ゲームシステムと世界設定、双方に強いこだわり

 スクウェア・エニックスが2016年3月にサービス開始を予定しているオンライン対戦ゲーム『フィギュアヘッズ』。FPSとRTSが融合した新機軸のゲームシステムを搭載した本作のメディア向け先行体験会が、2016年2月15日に東京・秋葉原のe-sports SQUAREにて開催された。ここでは体験会の模様と『フィギュアヘッズ』のプレイインプレッションをお届けする。

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 イベントが始まると、まずはこの日の司会である声優の巽悠衣子さんが登場し、続いて本作のプロデューサーを務めるスクウェア・エニックスの柴貴正氏と運営プロデューサーの石川岳氏が登壇した。

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▲司会を務めた巽悠衣子さん。ゲーム内でオペレータ的な役割を果たす“フィギュアヘッズ”の声も担当している。
▲柴氏(右)と石川氏(左)。ふたりのトークは石川氏がメインで語り、そこに柴氏が補足やツッコミをいれるかたちで和やかに進んだ。

 発表会ではまず『フィギュアヘッズ』の基本的なゲームシステムと世界設定を、ムービーを交えながら柴、石川の両氏が解説してくれた。

 『フィギュアヘッズ』の世界は、20世紀末に飛来した巨大隕石のせいで地表が汚染された地球となっている。地下に退避した人類は地上に残した資源を回収するため、遠隔操作できる二足歩行の無人ロボット製作技術の発展に注力。その結果“2Foot(ツーフット)”と呼ばれる無人ロボットが誕生したのだ。

 さらに、その副産物としてジャンクとなった2Footを使った模擬戦が娯楽として発展。鬱屈した地下世界での重要な産業となる。そのムーブメントに各国の企業も同調し、2Footを使ったバトル“BOT-game(ボットゲーム)”は国際的なスポーツとして大きな人気を獲得することとなったのだ。

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 本作では、プレイヤーは2Footを操作する“Ranks”と呼ばれる選手となる。2Footは遠隔操作で動くため、試合の流れを逐一プレイヤーに伝えるオペレーターとして“フィギュアヘッズ”と呼ばれるアバタープログラムが搭載され、プレイヤーは彼(彼女)らを通じて戦況を把握し、また指示を出して2Footを操作することになる。戦闘は最大で5人対5人のチームバトルで行われるが、プレイヤーひとりにつきメインとなる2Foot1機と僚機2機があてがわれるため、実際は15機対15機という大規模な戦闘が展開されるのだ。

 そのなかで相手チームの本拠地にある“アウトポストコア”を攻撃し、陥落させることで勝利を目指す。フィールドにはアウトポストコア以外にも、弾薬や耐久力の回復ポイントや、アウトポストコアにシールドを発生させるもの、アウトポストコアへの攻撃を感知してオートでガードロボットを展開するものなどが施設として存在する。この施設の奪い合いも試合の展開に大きく影響する。

 また、ゲームに使用する2Footには“軽量級”“中量級”“重量級”という3つの兵種があり、さらに軽量級は“スナイパー”と“エンジニア”、中量級は“アサルト”と“サポート”、重量級は“ストライカー”“ヘヴィアサルト”というタイプ分けがなされている。各タイプの特徴は以下のとおりだ。

◆2Footのタイプ別の特徴

○軽量級
スナイパー
スナイパーライフルを使った遠距離からの狙撃が得意
エンジニア
戦闘能力は低いが、アウトポストへの攻撃力が高い

○中量級
アサルト
バランスの取れた攻撃力、機動力を持つアタッカー
・サポート
2Footの耐久力や弾薬を回復する能力を持つ

○重量級
ヘヴィアサルト
鈍重だが、強固な装甲と高い火力を持つ
ストライカー
キャノン砲で遠隔地を爆撃できる、高い制圧力を持つ

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▲プレイヤーの操作する2Footがこちら。2Footにはヘッド、ボディ、ハンドなどパーツが装着でき、それに応じて機動力や耐久力が決まる。足元にいるのはオペレーションプログラムであるフィギュアヘッズだ。

 このあたりのゲームとしての概要や設定は、過去の関連記事にも詳しい。

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気鋭のクリエイターからベテランまで、製作スタッフも本気の本気!

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▲佐藤大氏。重厚なロボットものの世界設定を作っていたはずが、いつの間にかフィギュアヘッズたちの歌の歌詞を作るなど、アイドルのプロデューサーのような仕事をするようになったと苦笑いしていた。

 本作の世界設定と基本的なゲームシステムについての話がなされたところで、ゲストとして脚本家の佐藤大氏が登壇。柴プロデューサーとは10年来の付き合いだという氏を交え、クリエイティブ的な側面から、より踏み込んだトークがくり広げられた。

 ふたりの話によると『フィギュアヘッズ』の制作では、「なぜロボットが戦うのか」というリアリティをまず追求したのだと言う。「そういった設定の足回りは、ゲームの表面には現れず、軽視される傾向にある」と柴氏は続け、しかしそういった細部へのこだわりが『フィギュアヘッズ』の根底にあり、そういう姿勢を持った開発陣が本気で『フィギュアヘッズ』という作品に取り組んでいると語った。

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▲本作を契機に、オンライン対戦ゲームのムーブメントを日本から逆に発生させていきたいと柴氏は語る。そのためには『フィギュアヘッズ』には本気で注力する必要があるとも。

 続いて、その“本気”を体現するために集ったクリエイターの紹介ということで、音楽プロデューサーの☆Taku Takahashi氏、メカニックデザインを担当したアーロン・ベック氏からのビデオメッセージが上映された。

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▲音楽ユニットm-floのメンバーでもある☆Taku氏。自身もかなりのゲーマーでありサブカルにも詳しい。本作ではバトル中や2Footのガレージなど、場面に応じた曲調を意識したとのこと。
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▲アーロン・ベック氏。『第9地区』や『エリジウム』などに携わる気鋭のクリエイター。氏の参加により2Footの骨格デザインが見直され、より世界観に厚みが増したということだ。

プロゲーマーでも一筋縄ではいかない『フィギュアヘッズ』のゲーム性

 続いて、実際に動いているゲーム画面を見せるという段階で、スクウェア・エニックスの開発チームと、プロゲーマー集団である“DeToNator”のメンバーが登壇。2チームでの対戦でプレイの様子を披露することとなった。

 このエキシビジョンマッチは、エイミングなど個々の能力で優れるDeToNatorが試合を有利に進めるかと思われたが、DeToNatorは僚機の扱いに手こずり、フィールドの制圧がうまくいかない。そのあいだに開発チームは僚機を斥候に仕立てて進軍し、フィールド上の施設を押さえていく。

 開発チームは体力や弾丸の回復ポイントや、前線でのリスポーン(再出撃)地点、さらにアウトポストコアを守るシールド施設を占拠し、一気にDeToNator側のアウトポストコアを攻撃し、大きく優位に立つ。DeToNator側もすぐに僚機および各施設の重要性を把握したようだが、序盤についたアドバンテージの差を埋めきれず、そのまま時間切れとなり、アウトポストコアの残りゲージ量の多かった開発チームが勝利した。

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▲プロゲーマーに勝利した開発スタッフ。本作は操作精度よりも連携や戦況の把握が重要なゲームになったと語っていたが、それを見事に証明する形となった。
▲「考えることが非常に多い」と、本作の奥深さにはプロゲーマー集団も舌を巻いていた。だが同時に、それゆえに非常にやりごたえのあるゲームなので、ぜひ多くの人に触れてみてほしいともリーダーのYamatoN氏は語っていた。

 試合を見ていた石川プロデューサーはこの結果について、「本作の最大の特徴である“僚機の運用”の差が顕著に出た結果だ」と解説。そして『フィギュアヘッズ』はこのように、既存のFPSに馴染めなかったプレイヤーであっても、“僚機の運用”に適応できれば、じゅうぶんに活躍できるようになっている、と続けた。