柔らかい素材と手軽さが魅力

 ドワンゴと言えば、動画サービス“niconico”を運営している会社として有名だが、そのルーツが、米国で展開されていたオンライン通信対戦システム“DWANGO(Dial-up Wide Area Network Gaming Operation)”にあることはご存じだろうか。

 1994年に始められたDWANGOは、FPS『DOOM』などで利用され、好評を博した。日本では、1996年よりソフトウェアジャパンという企業が運用していたが、ソフトウェアジャパンは倒産。その後、ソフトウェアジャパンに勤めていた川上量生氏(現・ドワンゴ代表取締役会長)と、DWANGOを手掛けたロバート・E・ハントレー氏が共同出資して、有限会社ドワンゴジャパンを立ち上げた。このドワンゴジャパンが、後にいまのドワンゴとなる。

 現在ハントレー氏は、テキサスのライス大学で学生にゲーム作りを教えながら、“Merge VR ゴーグル”という、スマートフォンとともに使用するVRヘッドセットの開発・販売を行っている。Merge VR ゴーグルは、北米では2015年11月から販売がスタートしており、ゆくゆくは日本でも発売したいという。

 ファミ通.comでは、闘会議2016(1月30、31日開催)に合わせて来日したハントレー氏に、Merge VR ゴーグルを紹介していただく機会を得た。本記事では、ハントレー氏のお話を交えつつ、Merge VR ゴーグルの見どころを紹介しよう。

ドワンゴ創立者のひとり、ロバート・E・ハントレー氏が手掛けるVRヘッドセット“Merge VR ゴーグル”とは?_06
ロバート・E・ハントレー氏

 Merge VR ゴーグルの最大の特徴は、素材が軽くて柔らかいこと。VRヘッドセットで、このような素材を使用しているものは、ほかにないという。

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▲柔らかい素材なので、落としても割れない。また、実際に装着してみるとわかるが、着けていても圧迫感がない。
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▲VRアプリをスマートフォンにダウンロードし、そのスマートフォンをセットするだけで、VR体験が楽しめる。スマートフォン対応のヘッドセットとしては“Gear VR”が知られているが、Galaxyにのみ対応しているGear VRとは違い、ほかのスマートフォンにも対応している点がMerge VR ゴーグルの売りだという。

 「レンズの質がよく、映像がきれいに見える点もポイント」とハントレー氏。また、上側に付いているデュアルインプットボタンで、操作を行うこともできる。記者が体験したデモ(風光明媚な地を歩くという内容)では、ボタンを押すことで前進・後退ができた。

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▲インプットボタンは、ヘッドセット上部にふたつ付いている。

 また、Merge VR用の片手で持てるコントローラを、現在開発中とのこと。Wiiリモコンのようなコントローラで、たとえば剣のように振り下ろしたり、釣り竿のように動かしたりできるようだ。

 このコントローラを展開する時期については、慎重に検討しているという。最初に触れたユーザーが、「これはつまらない」と思ってしまったら、そのユーザーはもう戻ってこないから――とハントレー氏は語る。

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▲VRの市場はまだ若いが、Oculus VRの“Rift”が2016年3月に発売されれば、市場を引っ張っていくコンテンツが必ず出てくる、そこから市場が成長する、とハントレー氏。

 日本では、ニコニコ超会議を“Merge VR ゴーグル”ローンチの場にしたい、とハントレー氏は語る。ニコニコ超会議2016は、2016年4月29日(金・祝)、30日(土)に千葉県・幕張メッセで開催予定。もしかしたら、Merge VR ゴーグルをユーザーが体験できる場が設けられるかもしれない。

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▲川上量生氏も、ハントレー氏のプレゼンの場に同席し、Merge VR ゴーグルを体験していた。