コミュニティーの成長につながるような施策を展開していきたい

※記事初出時、一部表記に誤りがありました。「World of Worships」とありましたが、正しくは「World of Warships」になります。読者の皆さまならびに関係各位にご迷惑をお掛けしましたことをお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。 (2016年2月8日11時20分)

 2016年1月28日~2月2日、台北世貿中心(台北ワールドトレードセンター)にて、台北ゲームショウ2016が開催。台北ゲームショウでも、ひときわ存在感を放っていたウォーゲーミング。ここでは、『World of Tanks』マーケティングプロダクトマネージャーのマックス・チュバロフ氏と台湾 カントリーマネージャーのスカイ・リン氏に台湾市場におけるウォーゲーミングタイトルの現状などを聞いた。

台湾のゲームユーザーは、情熱的に『World of Tanks』や『World of Warships』をプレイしている【台北ゲームショウ2016】_02
▲『World of Tanks』マーケティングプロダクトマネージャー マックス・チュバロフ氏(左)と台湾 カントリーマネージャー スカイ・リン氏(右)。

――まずは、台湾市場におけるウォーゲーミングタイトルの展開を教えてください。

リン 2013年1月1日に、台湾のコミュニティーに『World of Tanks』を提供させていただきました。それ以来、多くの台湾プレイヤーは、『World of Tanks』を情熱的にプレイしてくださっています。それに続いて、モバイル版『World of Tanks Blitz』、PC版『World of Warships』、そしてついこのまえ、正式サービスが開始されたプレイステーション4版『World of Tanks』と続いています。この数年間多くの台湾の方々にサポートされ、ゲームが支持されています。コミュニティーの成長も非常に大きく、プレイヤー数も増えていっておりますし、何よりも私たちのゲームを楽しく遊んでいただいています。

――台湾市場における『World of Tanks』や『World of Warships』のユーザー数は?

リン 数字はとくに開示していないのですが、『World of Tanks』においても、『World of Warships』においても台湾のプレイヤーは大きな比重を占めています。

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――台湾では、『World of Tanks』や『World of Warships』はどのような楽しまれかたをしているのですか?

リン まず、台湾においてひとつ知っておいていただきたいのが、すべての男性は軍役が義務付けられているということです。ですので、そういった方々に向けて私たちのタイトルをご紹介するという戦略を持っています。彼らは軍に対する経験を持っていることから、戦車や戦艦を身近に感じているんですね。それをしっかりと紹介することによって、興味を持っていただけているようです。一方で、ただ紹介するだけではなくて、私たちは台湾限定のコンテンツをご提供しています。たとえば、『World of Tanks』や『World of Warships』においては、台湾の迷彩や紋章などを実装しています。さらに、旗や勲章など、台湾のユーザーさんにフィットするコンテンツをご提供しているんです。

――より、戦車や戦艦を身近に感じているのですね。

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リン 台湾の方は軍役を経験されていることから、「私たちは台湾の乗り物を操縦しているんだ」という意識を持ちたい方も多いようです。彼らが実際に操作している艦艇や戦車に台湾の旗をつけることによって、身近に感じていただいているんです。一例を挙げさせていただきますと、『World of Warships』では洛陽(ローヤン)という台湾の駆逐艦を実装させていただいています。ご覧いただければわかるとおり、台湾の国旗がポールについています。じつは、艦長は私をモチーフにしているんですよ(笑)。

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――日本では、『ガールズ&パンツァー』や『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』などとのコラボを展開していますが、台湾でもそのような例はあるのですか?

リン じつは、『ガールズ&パンツァー』や『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』とのコラボは、そのまま台湾に持ち込んでいますよ。台湾は親日的でして、日本のコミュニティーの方が好まれるタイトルは、だいたい台湾の方も好むんです。

――台湾の方にも、日本のアニメは人気があるみたいですね。

リン 台湾の特徴としては、国との協力関係を積極的に展開しているということはあるかもしれません。たとえば、昔実際に戦闘があった場所にある古い塹壕をレストア(修復)して、我々のゲームを楽しんでいただくオフラインイベントを開催したりしています。国の軍事パレードにも協力していますね。また、台湾の国防軍では年に数回お祭りを実施して、軍の施設を一般の方に開放しているのですが、そんな機会にブースを出させていただいて、基地の中で『World of Tanks』や『World of Warships』を体験していただけるようにしています。ですので、自宅でゲームをプレイするだけではなくて、実際の本物のものを見たり、軍の雰囲気に触れたりと、いろいろな体験をしていただけているのではないかと。

――マックスさんは、台湾市場をどのように思っていますか?

マックス 2013年に初めて台北ゲームショウに出展したときに、とても印象深いエピソードがありました。会場には非常に情熱的なプレイヤーがたくさん遊びに来てくださったのですが、そのときに、とある台湾のプレイヤーの方が、台湾の戦車の資料を1フォルダまるまる私たちに持ってきてくださったんですね。「これを見て、台湾の戦車をぜひ、『World of Tanks』に入れてください」というご要望でした。それくらい彼らが情熱的だったのが印象的でした。

――それはすごいですね。

マックス そのフォルダは、開発チームに渡したのですが、その中から何両かは、実際にゲーム内に実装されています。今年の台北ゲームショウでフォルダをくださった方々と再会できたのですが、そのことで非常に感謝していただきました。そういった情熱的で、私たちのゲームをサポートしてくださるプレイヤーの方々に会える。台北ゲームショウや台湾は、私にとっては大切な機会ですね。

――ほかの地域に比べて、台湾ならではの楽しまれかたとかは、あったりするのですか?

マックス 情熱的でサポート精神に溢れています。さきほどお伝えした通り、資料をくださったりしますし。フォルダの資料に戦車の資料をまるまる集めたものを持ってきて、提供してくださるというのは、世界のほかの地域でもあまり例がありませんでした。台湾の皆さんがイベントに参加される際も、目をキラキラさせながらいつでも楽しんでいただいており、心から感謝していただけいているので、イベント実施する私たちも、それを見るのがうれしいですね。ゲームが好きな方は長期間にわたってサポートしてくださるので、そういったところは台湾ならではと言えるかもしれません。

――ちょっと無茶な質問をしますが、ウォーゲーミングのゲームで日本と台湾とで戦ったら、台湾のゲームユーザーのほうが強そうですね。

マックス (笑)。勝ち負けの結果は、国で決まるのではなくて、どれだけこのゲームに情熱を注ぎ込んで、練習を積んで研究を重ねて、チームワークを育てたか……という地道な努力の積み重ねによります。台湾の方が勝っても、日本の方が勝っても、それは彼らが積み上げてきたものの結果だと思っています。何よりも、eスポーツという世界では、アジアのチームが年々増えていっていますし、彼らがいい成績を残していっていますので、今後もアジア地域にはがんばっていただきたいです。どこが勝っても、しかるべく結果を残すために努力したチームの成果ですし、この世界では国というのは、あまり関係ないかと思います。

――サービスが開始されたばかりの、プレイステーション4版について聞かせてください。

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▲SCETブースでもプレイステーション4版『World of Tanks』はプレイアブルで出展。

マックス プレイステーション4版『World of Tanks』に関しては、私たちは非常に大きな期待を持っています。いま現在ソニー・コンピュータエンタテインメントさんともさまざまな企画を進めています。彼らも非常に協力的で、今回台北ゲームショウでも、ソニー・コンピュータエンタテインメント台湾(SCET)さんのブースでも、私たちのブースでもプレイステーション4版を体験できるようになっています。今後もこういった形で、世界中でサポートしていきたいです。さらに言えば、コンシューマ版がプレイステーション4とXbox Oneの両方で配信されたことによって、今後はeスポーツも視野に入れていきたいと思っています。いつでもeスポーツで展開できるように、ゲーム内のコンテンツの充実化や?スポーツに向けたシステムなども、今後どんどん追加していく予定です。世界中のコミュニティーでも、コンシューマでも「プロの世界に行きたい」と思えば、私たちがそれをいつでもご提供できるように開発を進めております。

――台湾市場では、プレイステーション4にどのように期待しているのですか?

リン プレイステーション4版はリリースされたばかりですが、多くの方にダウンロードして楽しんでいただいていて、数字もほうもいい伸びを見せています。何よりも、SCETさんにも本作には期待していただいています。なぜかというと、プレイステーション4にはフリー・トゥ・プレイのゲームがあまりありません。こういったビッグタイトルが参入することによって、フリー・トゥ・プレイの分野も成長するのではないかと、SCETさんも期待してくださっているようです。また、私たちとしては、ただゲーム内で出会うだけではなくて、今後もオフラインでも彼らに交流を持っていただく機会をご提供したいです。こういった大きいイベントでは、会場にいらっしゃった方限定の特別なグッズなどもご用意しています。今後も試遊したり、ほかのプレイヤーの方と交流できるイベントを積極的に展開していきたいですね。とにかく私たちが非常に大事に思っているのは、プレイヤーの方にゲームのことを理解していただかないといけないということです。「どうやってプレイしたらいいのか」、「どうやったら上手になれるのか」といったことをお伝えしつつ、その結果として彼らがよりゲームを深く理解してくだされば、今後もゲームを楽しんでいただける。引いては、ゲームの寿命も伸びるわけです。そして、ゲームをプレイするだけではなく、結果として多くの方々が出会い、自分の腕を磨き、より高みを目指そうと目標を持っていただく。そのことによって、コミュニティーの成長というものが始まるのだと思います。

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