本気の人間に本気で教える本気のスクール、新コースの説明会を開催

 福岡に拠点を置き、『.hack』シリーズや『NARUTO―ナルト― ナルティメット』シリーズ、『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』など、多くの人気作品を手掛けてきたゲームデベロッパー、サイバーコネクトツー(以下、CC2)が、ゲームクリエイター志望者向けの新規人材育成プロジェクトとして2015年に起ち上げた“スーパーゲームスクール”。2015年12月1日に開校したアーティストコースに続く新カリキュラムとして親切されたプログラマーコースの入校説明会が、2016年1月22日にCC2福岡本社で開催された。

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 最初にCC2・取締役副社長の宮崎太一郎氏が登壇。スーパーゲームスクール開校の経緯についての説明が行われた。
 CC2は福岡・東京あわせて230〜240人くらいの人数でゲーム開発を行っているが、それでも全然手が足りていないと宮崎氏。これはCC2だけの問題ではなく、ゲーム業界全体がどこも人手不足で困っているとのこと。実際、CG制作やゲーム作りを教えている学校や、ゲームクリエイターを志望する学生というのは決して少なくないのに、業界全体で人が足りていない。もしかすると、デベロッパーが求めている人物像やスキルのイメージが、世の中に浸透していないのではないか。実際に何を勉強したらいいのかわからなかったり、時間的な制約でインターンシップに参加できなかったりと、業界に足を踏み入れられない人も多くいるなかで、クリエイターを目指す人たちに機会を提供するため、本スクールが起ち上げられたというわけだ。

 「このスーパーゲームスクールは、サイバーコネクトツーに入社していただくためのプログラムではないです。ゲームクリエイターになりたい人のための学びの場です。ここは学校とは違うので、手取り足取り丁寧に教えていくつもりはありません。私たちは、いっしょに闘ってくれる仲間を探しているんです。ここで学んで、他社さんに就職していただいても構いません。日本のゲーム市場はいま狭まっていると言われていますが、元々は日本のお家芸ですし、北米・欧州の企業に負けない業界にしていきたい。そのために、福岡を皮切りにスタートした本スクールですが、いずれは日本全国に広めていきたいと思っています。やる気がある方ならチャレンジしていただけますし、結果も出せると信じています。皆さんの熱いチャレンジをお待ちしています。」と、宮崎氏の口より、本スクールの意気込み、今後の展望が語られた。

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▲CC2・取締役副社長 宮崎太一郎氏

 宮崎氏からの開校説明が終わったあとは、人事担当の中松芳生氏より、スーパーゲームスクールの概要の紹介が行われた。スーパーゲームスクールは学校法人ではないため、ゲームの作り方を一から教えるような授業は行わないとのこと。その代わり、クリエイターとして必要となる実力を身につけるための環境(機材、ソフトウェア、受講スペース等)はすべて、無償で提供される。また、プロの現役クリエイターによる指導も行われるなど、スーパーゲームスクールの課題に全力で取り組めば、業界採用水準の実力を身につけることができるが、そのためには“やる気”を持って自ら考え、行動する必要が求められる。
 本スクールは、入校時点の実力が問われることはない。ただし、一定期間ごとに設定されている課題のクオリティチェックで不合格となると受講終了になってしまうなど、けっして容易い道のりではない。その代わり、すべての課題をクリアーできると、業界で採用されるレベルを身につけることができる。なお、カリキュラムの途中であっても、十分な実力を証明できれば卒業を待たずして採用されるチャンスもあるとのこと。

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▲スクールに入れば何かを教えてもらえるという受け身の姿勢では通用しないとのこと。貪欲に知識と技術を吸収する意欲が、このスクールでは求められている。

 続けて、プログラマーコースの講師を務められるCC2 技術開発室チーフ リードプログラマーの宇佐見公介氏が登壇。プログラマーコースのカリキュラム説明が行われた。すでにスタートしているアーティストコースと同様、基本的には複数段階に分けた課題を提示し、それを順番にクリアーしていくというもの。プログラマーコースでは、3Dシューティングと3Dアクションのゲーム制作が課題の主軸に据えられており、これらの課題をこなしていくなかで、自身で解決する能力、創意工夫力、無駄のない正しいプログラムの書き方などが養われていくようになっている。
 通常の学校であれば、カリキュラムの進行に関しては生徒間で差がないように進んでいくところ、本スクールでは早く課題をクリアーできると、すぐ次の課題に進むことができる。卒業までの期間は、早い人で8ヶ月程度、通常でも一年間での卒業が考えられているとのこと。これは受講生のスキルや受講時間などによっても変わってくるため、おおよその目安ではあるが、このように本人の実力、やる気によって進行具合が決まってくるのも本スクールの特徴のひとつといっていいだろう。

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▲CC2 技術開発室チーフ リードプログラマー 宇佐見公介氏。
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▲プログラマーコースの課題では、“正しいプログラムが書けているか”、“無駄がないか”がとくに重視される。また、プログラムの組み方も、見聞きして覚えるのではなく、実際に作りながら身につけてもらうカリキュラムが予定されている。

 スーパーゲームスクールの制作環境面について、課題の実行に必要なノートPCもしくはデスクトップPC、各種ソフトウェアは無償で貸与される。これらの機材、ソフト類は、人材育成事業の趣旨に賛同してもらった企業(オートデクス、デル、ProjectWhite(ツクモ)、ワコム、エムエスアイコンピュータージャパン、日本HP)の協力により実現している。
 また、受講生にはCC2本社内にあるライブラリーが利用できる特典も与えられるとのこと。これは、よりよいゲームを作り出すために用意された膨大な資料(映画やアニメのBlu-rayやDVD、マンガ、ゲームソフト、その他各種参考書籍)で、これらを自由に閲覧できるというわけだ。

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▲スーパーゲームスクールの主旨に賛同し、協力してくれるメーカー。これらの企業のスポンサードが得られていることも、本スクールの大きな魅力といえる。
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▲スーパーゲームスクール受講生の特典のひとつ、CC2ライブラリー利用。ライブラリーのなかには週刊ファミ通も置かれている。

 次に、プログラマーコースの指導担当者と特別講演講師が紹介された。指導担当者は先ほども登壇したCC2の宇佐見氏が担当。特別講演講師としては、福岡に拠点を置いて活動しているガンバリオンの取締役/ディレクターの吉田秀治氏と、同エンジニア/リーダーの小林和豊氏が務める。

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▲プログラマーコースの講師陣。左より吉田秀治氏(ガンバリオン)、小林和豊氏(ガンバリオン)、宇佐見公介氏(CC2)。
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吉田秀治氏 私たちもCC2さんと同じように、業界全体でクリエイターが不足していると思っています。ですので、まずは皆さんにゲーム業界に入っていただきたい。もちろん、ガンバリオンでいっしょに仕事をしてもらえればうれしいですが、それよりも、「このゲームスクールのお陰で業界に入りました」、「こんなゲームを作りました」といって遊ばせてください。それから、プログラムは教えてもらっただけではうまくならないです。覚えてうまくなるのではなく、身につけてよりよいものにしていかなくてはなりません。毎日、いいコードを書くことを忘れずに、しっかり頑張ってください。

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小林和豊氏 このような場に、いっしょに参加できる機会を設けていただいたCC2さんには感謝しています。スーパーゲームスクールが自分の時代にあったら、力試ししてみたかったですね。ここにいる皆さんが将来いっしょに仕事ができる業界の人になって、そして自分を超えていく。そんな人がいっぱい出てくるのをすごく楽しみにしています。

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宇佐見公介氏 吉田さんも言われていたように、プログラムを身につけるには、とにかくコードを書かないと行けないんです。今回のゲームスクールでは、ゲーム作りの素振りをやってもらおうかと表居ます。素振りって何度もやっていると、きちんとしたスタイル・フォームが身につきますよね。そんな風に、黙々と基礎を固めるための素振りをやっていきますので、皆さん頑張ってください。

 その他の協力企業として、ノイジーロークと週刊ファミ通も紹介された。また、ここで紹介する以外の協力企業も続々参加予定となっている。なお、週刊ファミ通の林編集長の特別講義は2016年1月23日にCC2福岡本社にて開催される。こちらの特別講演の模様は、後日あらためてリポートをお届けする。

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 これでスーパーゲームスクール プログラマーコースの入校説明会はひととおり完了したが、最後に参加者に対して質疑応答の時間が設けられた。その模様をここでお届けする。

−−応募資格にC++が使用できることとありますが、どのくらい使用できたら大丈夫なんでしょうか。

宇佐見公介氏(以下、宇佐見) 人によってけっこう違うので、どこまでというのは決めていません。C++言語を書いた経験があればいいと思っています。

−−課題の3Dシューティングのゲームシステムは自分で考えて作っていいんですか。

宇佐見 いろいろ自由にされるとチェックがしづらくなるのと、システムの作りが粗くなってしまうことも考えられるので、ルールを決めて作ってもらおうと思っています。

−−一度専門学校を中座して、また勉強しなおしているんですが、それでもやる気があれば大丈夫でしょうか。

中松芳生氏 そういった方々のためにも、こういったスクールを開校しているので大丈夫です。やる気があるのであれば、ぜひご応募ください。

−−ゲーム制作にあたり、テクスチャーや3Dモデル、モーションデータといったリソースは用意されているのでしょうか。

宇佐見 リソースは基本的に用意しようと思っています。ただ、3Dシューティングですと、プリミティブをいくつか使ってキャラクターを作れると思うんですよね。そういった部分も含めて考えています。アクションゲームに関してはさすがにモーションがないと困るので、そういったものは弊社で用意させていただく予定です。

−−プログラマーコースの開始までまだ期間がありますが、それまでにやっておいたほうがいいことがあれば教えてください。

宇佐見 プログラムは書いた量が自分のためになるので、プログラムを組んでほしいですね。あとは、プログラムを書いていると、いつの間にか粗いコードになっていることもあるので、C++言語の本を見直してもらうのもいいんじゃないかなと思います。

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 以上をもって、スーパーゲームスクール プログラマーコースの入校説明会は終了となった。本コースの応募受付は2016年2月5日まで。以降、選考が開始され、2016年2月22日に受講生が決定、翌週の2016年2月29日より、カリキュラムが始まる。プログラマーコースは専門知識が求められる職種のため、C++言語を扱えると行った応募資格があるうえ、定員も10名と、条件的には若干厳しいものとなっている。ただし、本スクールはやる気のある人間に対しては本気で教え、本物のクリエイターを育成するプロジェクトとなっている。ここの受講生たちが密にコミュニケーションを取りながら課題をクリアーしていき、近い将来におもしろいゲームを作り出してくれることを、今から期待して待っていたい。

スーパーゲームスクール プログラマーコース
カリキュラム概要>
・開校時間
 平日:17時~22時/土日祝日:10時~18時
 ※上記時間帯は、受講生は出入り自由
・スクール会場
 サイバーコネクトツー福岡本社 10階 大会議室
・受講期間
 8ヵ月〜1年
 ※受講者の入学時点のスキル、入校後の習熟度によって卒業までの期間が変わります。
・受講料
 無料

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