集中してゲームや仕事をするためには、長時間座っても疲れにくいイスが重要だ。いい姿勢を保ちやすいゲーミングチェア“AKRacing NITRO”の使用感をお届けします。

●僕の席にゲーミングチェア“AKRacing”がやってきた

▲高級感漂うイスには銀座の街並みがよく似合う。

 素敵なイスがほしいとずっと思っていた。

 高級感のあるイスは成功者の証だと思う。後ろから声をかけられたら「なにか用かな?」と余裕たっぷりにイスごとくるりと振り返りたい。膝にはねこ。

 そこに機能性が加わっていたら完璧だ。長時間同じ姿勢でゲームや原稿書きをやっても肩や腰が凝らないイスがいい。そんな魔法のイスはないものか。

 あった。あったのだ。本稿ではミス・ユースケとゲーミングチェア“AKRacing NITRO”の蜜月をお届けする。

●きれいなお姉さんに頼られたときのために

 PC周辺機器などを取り扱うテックウインドは、2015年8月からゲーミングチェア・AKRacingシリーズを販売している。現行のモデルはベーシックモデル“NITRO”とハイエンドモデル“Pro-X”の2タイプ。前者の市場想定価格は4万2800円[税込]、後者は5万2800円[税込]。

 NITROはブルー、レッド、ホワイト、グリーン、オレンジの5色、Pro-Xはブルー、レッド、ホワイト、グレーの4色で展開している。僕が使用しているのはNITROのレッドである。

▲AKRacing NITROは大きなダンボール箱でやってきた。同僚が打ち合わせをしている会議室の隅を借りて組み立て。

 一般的なオフィスチェアと同様に、AKRacingも組み立て式だ。必要な工具や日本語マニュアルは同梱されているし、組み立て動画もWebで公開されているので、そんなにたいへんではないと思う。なお、ダンボールの横幅は88センチ。組み立てスペースや搬入経路は確保しておこう。

▲本体重量は23キロで、オフィスチェアとしては少し重めかな、くらいの重量感。タフガイの僕はひとりで30分ほどかけて作ったが、か弱い女子は誰かに手伝ってもらったほうがいいかもしれない。
▲工具のほかに手袋も同梱。手を守ってくれるだけでなく、投げつければ決闘を申し込める。決闘をしがちな貴族も安心だ。

 そして、隣りに引っ越してきたきれいなお姉さんが夜中に「AKRacingが組み立てられなくて」と頼ってくる可能性もゼロではないので、男子は組み立てを経験しておいたほうがいいぞ。

▲完成。

 初めてのゲーミングチェアがうれしかったので、プロのカメラマンにお願いして記念写真を撮ってもらった。AKRacing NITROにはPUレザーという素材が使われていて、スポーツカーのシートのような高級感がある。

 その高級感に負けないように、僕も正装をした。赤のモーニングを着て色を合わせている。ゲーミングチェアに真摯に向き合おうという意思表示でもある。

 AKRacing NITROは名前も見た目も車のシートっぽい。それもそのはず。AKRacingはレーシングカーのシート分野に端を発するブランドなのだ。公式サイトには「健康的な生活を目指す人間工学に基づき、レーシングシートの要素を取り入れた」みたいなことが書いてある。

 車用とゲーム用のイスの設計思想は厳密には異なるのだろうけど、共通する部分もあると思う。圧力を分散させて体への負担を減らしたりとか。冒頭で“魔法のイス”と表現したが、不可思議な力ではなく、たしかな技術と経験がここにある。

▲こんにちは。紳士&高級感のあるゲーミングチェアです。

●AKRacing NITROが男だったら間違いなくモテる

 実際に座ってみると、体にすごくフィットする。PUレザーのしっとりとした手触りが心地いい。座面のクッションはやや高反発なので体が沈み過ぎず、滑りにくいので腰もずり下がらない。腰を下ろして体重を預けた瞬間に「ほぅ・・・」と息がもれた。

▲モーニングを着た紳士とAKRacing NITROの高級感が調和している・・・!
▲質感が上品なので応接室用のイスとして使ってもいいのではないか。
▲上品かつ高級といえば銀座だ。紳士とAKRacing NITRO、銀座の相乗効果で高級感が暴動を起こしている!

 背もたれはサイドが包み込むような形状なのでホールド感が良好で、軽く抱かれているみたいに体が安定する。横にずれないので安心するというか、包容力があるのだ。高級感と包容力。なんてこった。このイス、モテる男の条件をふたつも満たしているぞ!

 仮に、カップルがもめて口論した後に、女性が男に「早く私を抱きしめてよ!」なんて叫ぶ状況に出くわしたとするだろう。そんな彼女の前に立って言いたい。あなたに必要なのはその男ではない。AKRacing NITROだ。

▲首と腰のクッションは取り外し可能。僕はどちらもつけているほうが楽だった。
▲このカーブで優しく抱きとめるのだ。
▲座面までの高さは42~50センチの範囲で調整できる。最大荷重は150キロ。

 肘かけの高さは上下およそ7センチの範囲内で調整可能だ。僕はいちばん高い状態で使っている。肘かけの位置が高い=偉い人のイスというイメージがあるからだ。お父さんお母さん、ユースケは東京で見事に出世(気分を味わうことが)できました!

▲高くした状態と低くした状態。これだけの差がある。
▲肘かけを完全に、そして紳士的に使いこなしている。おっと電話だ。「えっ、僕に油田を!?」。肘かけの使いかたが評価されて石油王になれました。おめでとう!
▲肘かけをいちばん高くすると僕が使っているPCデスクと高さが揃うので、マウスを使うときに腕が楽(正装をやめて私服に戻りました)。

 僕はゲームパッドよりもマウス&キーボード派ということもあり、ゲームをするときは少し前傾姿勢になる。これまでは猫背気味だったが、AKRacing NITROに切り替えたら少し姿勢がよくなった気がする。深く腰掛けて背中を軽く伸ばしたほうが楽なのだ。

 これが人間工学に基づくデザインというやつか。たぶん座面の背もたれ側が少し低くて、さらに腰のクッションのサポートがあるからだと思う。姿勢を支える筋肉が弱っていると猫背になり、いつか背骨も歪む。正しい姿勢をキープできるのなら健康にもよさそうだ。おれ、健康、好き!

▲腰のクッションのおかげで自然といい姿勢をキープできる。クッションの位置は上下に調整可能。
▲僕はたまにあぐらをかいて仕事をする。座面が広めということもあり、肘かけが邪魔にならないのがうれしい。
▲ゲームパッドでRPGなんかをじっくり遊ぶときは、少し背もたれを倒して体重を完全に預けるのがよさそう。

 ちなみに、ハイエンドモデルのPro-Xシリーズはやや広めの作りで、ゆったりした座り心地。ほかにも“肘かけの位置を調整しやすい”、“キャスターがポリウレタン製なのでフローリングに傷がつきにくい”などの特徴がある。

 近くに展示店舗がある人は、まずはどちらが自分好みか確かめてみたほうがいい。僕はNITROのほうが体に合っていた。

※展示店舗の一覧ページ

●イス寝界の革命児、いや救世主なのかもしれない

 肩や腰が楽とはいえ、仕事をしていると疲れるときは疲れるし、横になりたいときもある。だが、いきなり会社の床に寝ころんだら上司に心配されるだろう。年末の忙しい時期に人事部から呼び出しを食らうのは避けたい。

 AKRacing NITROはそんな悩みもスマートに解消してくれる。リクライニングの角度は最大180度。ほぼ水平になれるので、めちゃくちゃ寝やすいのだ。

▲ビフォー。
▲アフター。

 包み込むような背もたれのデザインの真価はここでも発揮される。少しくらいの寝返りは受け止めてくれるのである。ぐらぐらするのが不安な人は、角度を150度くらいに留めておくのがオススメだ。

 ところで、編集者と言えばイス寝(もしくはイス寝り)みたいなイメージがあるだろう。僕も昔はよくイスを3脚並べて寝たものだ。デスクに突っ伏すよりは寝やすいが、それでも背中は痛くなる。

 ここでも活躍するのがAKRacing NITROである。背もたれを真横に倒せばそれだけでイス寝環境が整うのだ。首のクッションはいい枕になる。足を別のイスで支えればパーフェクトである。

▲オールドスタイルのイス寝。年齢を重ねるにつれてイスの数が増える傾向にある。
▲イス寝ニュージェネレーション。試していたら同僚が羨望のまなざしを向けてきた。

●AKRacing NITRO=イスの純文学

 姿勢が崩れるのを防ぎ、抱かれるような安心感があって、横になってもオーケー。AKRacingはどこまで僕を甘やかそうというのか。誰かお姉さんの姿で擬人化したイラストを描いておくれ。

 長時間使うものだから、イスやデスクにこだわって高いものを買う人は意外と多い。たしかに高級オフィスチェアはいいものだが、平気で10万円とかする。それに比べれば4万2800円なんて安いものだ(あからさまな宣伝入りました!)。

▲家族が増えました、みたいな写真。

 いろいろと特徴はあるものの、何だかんだでいちばんのポイントは“疲れにくいこと”だろう。イスとしては王道だ。将棋の王道戦術・矢倉囲いを“将棋の純文学”と表現するように、AKRacing NITROは“イスの純文学”と言っても過言ではない。ほめすぎか。

 ここまで書いた後にWikipediaで調べたら、矢倉囲いが純文学と呼ばれる理由は「相手に合わせてネチネチと戦うから」なのだそうだ。全然高尚な表現じゃなかったし、そんなにほめてなかった。

 いや、よくよく考えると、AKRacing NITRO=イスの純文学というのは正しいのかもしれない。ネチネチと手練手管を尽くしてプレイヤーの疲れを減らしてくれるわけだから。

 だから僕は宣言する。AKRacing NITROはイスの純文学である、と。

▲きちんと自分でAKRacing NITROを押して帰る紳士。