僕の席にゲーミングチェア“AKRacing”がやってきた

素敵なイスがほしいとずっと思っていた。
高級感のあるイスは成功者の証だと思う。後ろから声をかけられたら「なにか用かな?」と余裕たっぷりにイスごとくるりと振り返りたい。膝にはねこ。
そこに機能性が加わっていたら完璧だ。長時間同じ姿勢でゲームや原稿書きをやっても肩や腰が凝らないイスがいい。そんな魔法のイスはないものか。
あった。あったのだ。本稿ではミス・ユースケとゲーミングチェア“AKRacing NITRO”の蜜月をお届けする。
きれいなお姉さんに頼られたときのために
PC周辺機器などを取り扱うテックウインドは、2015年8月からゲーミングチェア・AKRacingシリーズを販売している。現行のモデルはベーシックモデル“NITRO”とハイエンドモデル“Pro-X”の2タイプ。前者の市場想定価格は4万2800円[税込]、後者は5万2800円[税込]。
NITROはブルー、レッド、ホワイト、グリーン、オレンジの5色、Pro-Xはブルー、レッド、ホワイト、グレーの4色で展開している。僕が使用しているのはNITROのレッドである。


一般的なオフィスチェアと同様に、AKRacingも組み立て式だ。必要な工具や日本語マニュアルは同梱されているし、組み立て動画もWebで公開されているので、そんなにたいへんではないと思う。なお、ダンボールの横幅は88センチ。組み立てスペースや搬入経路は確保しておこう。


そして、隣りに引っ越してきたきれいなお姉さんが夜中に「AKRacingが組み立てられなくて」と頼ってくる可能性もゼロではないので、男子は組み立てを経験しておいたほうがいいぞ。

初めてのゲーミングチェアがうれしかったので、プロのカメラマンにお願いして記念写真を撮ってもらった。AKRacing NITROにはPUレザーという素材が使われていて、スポーツカーのシートのような高級感がある。
その高級感に負けないように、僕も正装をした。赤のモーニングを着て色を合わせている。ゲーミングチェアに真摯に向き合おうという意思表示でもある。
AKRacing NITROは名前も見た目も車のシートっぽい。それもそのはず。AKRacingはレーシングカーのシート分野に端を発するブランドなのだ。公式サイトには「健康的な生活を目指す人間工学に基づき、レーシングシートの要素を取り入れた」みたいなことが書いてある。
車用とゲーム用のイスの設計思想は厳密には異なるのだろうけど、共通する部分もあると思う。圧力を分散させて体への負担を減らしたりとか。冒頭で“魔法のイス”と表現したが、不可思議な力ではなく、たしかな技術と経験がここにある。

AKRacing NITROが男だったら間違いなくモテる
実際に座ってみると、体にすごくフィットする。PUレザーのしっとりとした手触りが心地いい。座面のクッションはやや高反発なので体が沈み過ぎず、滑りにくいので腰もずり下がらない。腰を下ろして体重を預けた瞬間に「ほぅ・・・」と息がもれた。



背もたれはサイドが包み込むような形状なのでホールド感が良好で、軽く抱かれているみたいに体が安定する。横にずれないので安心するというか、包容力があるのだ。高級感と包容力。なんてこった。このイス、モテる男の条件をふたつも満たしているぞ!
仮に、カップルがもめて口論した後に、女性が男に「早く私を抱きしめてよ!」なんて叫ぶ状況に出くわしたとするだろう。そんな彼女の前に立って言いたい。あなたに必要なのはその男ではない。AKRacing NITROだ。




肘かけの高さは上下およそ7センチの範囲内で調整可能だ。僕はいちばん高い状態で使っている。肘かけの位置が高い=偉い人のイスというイメージがあるからだ。お父さんお母さん、ユースケは東京で見事に出世(気分を味わうことが)できました!



僕はゲームパッドよりもマウス&キーボード派ということもあり、ゲームをするときは少し前傾姿勢になる。これまでは猫背気味だったが、AKRacing NITROに切り替えたら少し姿勢がよくなった気がする。深く腰掛けて背中を軽く伸ばしたほうが楽なのだ。
これが人間工学に基づくデザインというやつか。たぶん座面の背もたれ側が少し低くて、さらに腰のクッションのサポートがあるからだと思う。姿勢を支える筋肉が弱っていると猫背になり、いつか背骨も歪む。正しい姿勢をキープできるのなら健康にもよさそうだ。おれ、健康、好き!



ちなみに、ハイエンドモデルのPro-Xシリーズはやや広めの作りで、ゆったりした座り心地。ほかにも“肘かけの位置を調整しやすい”、“キャスターがポリウレタン製なのでフローリングに傷がつきにくい”などの特徴がある。
近くに展示店舗がある人は、まずはどちらが自分好みか確かめてみたほうがいい。僕はNITROのほうが体に合っていた。
イス寝界の革命児、いや救世主なのかもしれない
肩や腰が楽とはいえ、仕事をしていると疲れるときは疲れるし、横になりたいときもある。だが、いきなり会社の床に寝ころんだら上司に心配されるだろう。年末の忙しい時期に人事部から呼び出しを食らうのは避けたい。
AKRacing NITROはそんな悩みもスマートに解消してくれる。リクライニングの角度は最大180度。ほぼ水平になれるので、めちゃくちゃ寝やすいのだ。


包み込むような背もたれのデザインの真価はここでも発揮される。少しくらいの寝返りは受け止めてくれるのである。ぐらぐらするのが不安な人は、角度を150度くらいに留めておくのがオススメだ。
ところで、編集者と言えばイス寝(もしくはイス寝り)みたいなイメージがあるだろう。僕も昔はよくイスを3脚並べて寝たものだ。デスクに突っ伏すよりは寝やすいが、それでも背中は痛くなる。
ここでも活躍するのがAKRacing NITROである。背もたれを真横に倒せばそれだけでイス寝環境が整うのだ。首のクッションはいい枕になる。足を別のイスで支えればパーフェクトである。


AKRacing NITRO=イスの純文学
姿勢が崩れるのを防ぎ、抱かれるような安心感があって、横になってもオーケー。AKRacingはどこまで僕を甘やかそうというのか。誰かお姉さんの姿で擬人化したイラストを描いておくれ。
長時間使うものだから、イスやデスクにこだわって高いものを買う人は意外と多い。たしかに高級オフィスチェアはいいものだが、平気で10万円とかする。それに比べれば4万2800円なんて安いものだ(あからさまな宣伝入りました!)。

いろいろと特徴はあるものの、何だかんだでいちばんのポイントは“疲れにくいこと”だろう。イスとしては王道だ。将棋の王道戦術・矢倉囲いを“将棋の純文学”と表現するように、AKRacing NITROは“イスの純文学”と言っても過言ではない。ほめすぎか。
ここまで書いた後にWikipediaで調べたら、矢倉囲いが純文学と呼ばれる理由は「相手に合わせてネチネチと戦うから」なのだそうだ。全然高尚な表現じゃなかったし、そんなにほめてなかった。
いや、よくよく考えると、AKRacing NITRO=イスの純文学というのは正しいのかもしれない。ネチネチと手練手管を尽くしてプレイヤーの疲れを減らしてくれるわけだから。
だから僕は宣言する。AKRacing NITROはイスの純文学である、と。

