【特別企画】我が青春のゲームたち! セガ奥成洋輔氏Xプラチナゲームズ神谷英樹氏によるクラシックゲーム対談

“セガ3D復刻プロジェクト”の立役者である奥成洋輔氏と、Twitterにて日夜1980~90年代のゲームについてのつぶやきをしているプラチナゲームズの神谷英樹氏。そんな両者の共通点である“クラシックゲーム”を話題に対談が聞けたら……ということで実現したのがこの企画である。

●“クラシックゲーム”愛溢れるふたりによる座談会が実現

 クラシックゲームを愛することは喜びである。“セガ3D復刻プロジェクト”の立役者である奥成洋輔氏と、Twitterにて日夜1980~90年代のゲームについてのつぶやきをしているプラチナゲームズの神谷英樹氏。そんな両者の共通点である“クラシックゲーム”を話題に対談が聞けたら……ということで実現したのがこの企画である。
 SNSを介しての交流はあったという両氏ではあるが、じつはお互いが顔を合わせて話すのはまったくの初めて。にもかかわらず、まるで10年来の友人のようにゲーマートークで盛り上がり、クラシックゲームを愛し“復刻”をプロデュースする側、同じくクラシックゲームを愛し“遊ぶ”側という視点が濃密にクロスオーバーする、興味深いものとなった。
 そのため2時間を超えるロングラン収録となり、非常に文量が多く、話題は多岐に及んでいる。しかし、そのすべてが現在の両氏を形作っているものなので、(本気で載せられないもの以外は)あえて切らずに掲載している。こうしたクラシックゲームを知らない世代の読者も増えたかと思うが、温故知新ということわざのとおり、古いものから見えてくるサムシングもあるはず。最後までじっくりと読み進めていただければ幸いだ。
 なお、発言中に不穏当なものが散見されるが、あくまでハード論争が大好きな学生時代の感想であるので、そこのところ誤解なきよう。

※本文中の社名やタイトルは、すべて当時のものです。

奥成洋輔(おくなりようすけ)氏(文中は奥成)・左
セガゲームス所属。1971年生まれ。1994年にセガに入社し、2005年より『SEGA AGES 2500』シリーズのプロデューサー職を引き継ぐ。以降、Wii、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで展開するセガハード向けタイトルやセガサターンやドリームキャストの移植タイトル、『SEGA AGES ONLINE』など、懐かしのタイトルの“復刻”を多数手がける。その流れで2012年よりニンテンドー3DS向け“セガ3D復刻プロジェクト”をリリース。時には開発会社に無理難題を言い渡す辣腕プロデューサーとして活躍中。

神谷英樹(かみやひでき)氏(文中は神谷)・右
プラチナゲームズ所属。1970年生まれ。1994年にカプコンに入社し、『バイオハザード2』や『デビルメイクライ』などを手掛け、クローバースタジオ所属時に『大神』、プラチナゲームズ移籍後は『BAYONETTA(ベヨネッタ)』といった人気タイトルを多数ディレクションするヒットメーカー。クラシックゲームへの愛着はかなりのもので、その熱力は日々のTwitterでの発言で見ることができる。最新作はXbox One用ソフト『Scalebound(スケイルバウンド)』。

●偶然の邂逅。クラシックゲームがとりもつ不思議な縁

――本日はよろしくお願いします。意外なことにおふたりがこうして会ってお話するのは、初めてのことなんですね。

奥成神谷 そうですね。

奥成 Twitter上でのやり取りはあったんですけどね。じつは僕、セガ本社ビルで一度神谷さんをお見かけしているんです。『ベヨネッタ』を手掛けていらっしゃるころに、当時のセガ本社ビル一号館のロビーに入ってくるところを偶然見かけて「あっ、神谷さんがセガに来てる!」って思いながらそのまま自分のデスクに戻った記憶があります(笑)。

神谷 ええーっ! そうなんですか。すごい偶然だな。僕、あそこ(一号館)に行ったのは一度だけなんですよ。Hiro師匠(川口博史氏。セガ・インタラクティブ所属のゲームミュージック作曲家)に『BAYONETTA(ベヨネッタ)』で『アフターバーナー』と『スペースハリアー』の曲を使わせてください、とお願いしにいったのが最初で最後です。

奥成 神谷さんとは『BAYONETTA(ベヨネッタ)』のプロデューサーとして関わりのある弊社の下村(下村一誠氏。『セガ 3D復刻アーカイブス2』プロデューサー)がいるんですが、以前彼と『SEGA AGES 2500』(PS2用に2500円の低価格でセガのタイトルを復刻したシリーズ)を手掛けていたんですね。シリーズの最後に『ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』を出すにあたって、下村から「いまいっしょに仕事をしている神谷さんが『ファンタジーゾーン』好きだからコメントをもらったらどうだろう?」との提案があったので、ぜひにと思って書いていただいた特別寄稿があるんですよね。あの『ファンタジーゾーン』愛にあふれた架空対談を。

神谷 ええ(笑)。

▲神谷氏による寄稿「俺とファンタジーゾーン」。この対談にも名前が登場する神谷氏の高校時代の友人・長沢氏、高木氏との架空対談にて、『ファンタジーゾーン』を熱く語っている。

奥成 「神谷さんが触れているなら掲載してもいいだろう」と、ここぞとばかりにソフトのギャラリー内には未収録だった秘蔵のファミコン版『ファンタジーゾーン』のチラシをサイトに掲載したりして(笑)。

神谷 『ファンタジーゾーン』を愛好する者として、寄稿させていただいたのは光栄でした。あれはうれしかったですねえ。そういえば僕にも「これは奥成さんの仕事じゃ?」と引っかかっている出来事があるんですよ。『BAYONETTA(ベヨネッタ)』にオマケの武器を入れたいというアイデアのために資料を作ってくださってのって……。

奥成 ああ、そうなんですよ。「セガのゲームで銃っていったらなんだろう」って下村に聞かれたので、ワーッと資料を作りました。残念ながらオマケ自体がボツになってしまいましたけどね(笑)。

神谷 やっぱりそうでしたか! じつは「セガ由来のオマケ武器を入れたいな」と考えて最初に思いついたネタは、ジリオン(1980年代にセガが発売した光線銃。のちにTVアニメ化やゲーム化された)だったんですよ。

奥成 あれはトイがあってアニメがあってと権利が複雑で実現できなかったんですよね。

神谷 それで下村さんから「こちらでも考えました!」と送られてきた資料が、ものすごく濃いものでして。その時は気づかなかったんですけど、後で「これ、絶対に奥成さんだ!」と思って。往年のセガファンでないとわからないネタが詰まっていましたね。

▲奥成氏が作成した資料。内容はスゴイのひと言。

▲セガとプラチナゲームズのタッグで制作された『BAYONETTA(ベヨネッタ)』。ディレクターを務めた神谷氏のこだわりで、セガのゲームへのオマージュネタが散りばめられている。

奥成 なんか、ずーっとそんな仕事ばかりをやっています(笑)。何を書いたかは忘れてしまいましたが、マニアックなものでやりたいというオーダーがあったので力を入れた記憶はあります。

神谷 奥成さんのお名前をちゃんと意識したのって、『ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』に収録された、SYSTEM16版『ファンタジーゾーンII』(3DS版『ファンタジーゾーンII』のもとになったゲーム)のときだったと思います。だって“マークIII用に開発されたタイトルに、もしアーケード版でつくられていたら”っていう、ありえない企画ですよ!? 紹介記事を見た瞬間から「マジか!」と飛びついて、そこで情報を探っていったら、どうやらこの“奥成”って人が仕掛け人らしいぞ、と。なにかイベントをされていて、実際にSYSTEM16のカスタム基板で実演デモもされてましたよね。

奥成 池袋GIGOでやった“3大シューティング祭り”ですね。実機基板で作ったということをどこかで披露したかったんです。開発を手掛けているエムツーの堀井さんが人前に出たのも、このイベントが最初でしたね。