コンセプトから細かい仕様までいろいろ聞いてきた
日本発売が2015年11月19日に迫った、エレクトロニック・アーツのマルチプレイアクションシューティングゲーム『スター・ウォーズ バトルフロント』。先週末に2日間の海外プレス向けのプレビューイベントを元にした全モード解説などを掲載したが、今回はゲームデザインを統括するディレクターのニクラス・ファグレアス氏によるインタビューをお届けする。
各ゲームモードの細かい仕様がいろいろ判明
――βテストでいろいろフィードバックが出たと思います。ウォーカーアサルトのバランスについて直すとコメントされていましたが、具体的にどう変わったのか教えて下さい。
ニクラス・ファグレアス 多くのフィードバックを得て100以上の変更を加えたよ。いくつか紹介すると、AT-ATの腹部に弱点を設けた。これによって下に入り込めば優位になるし、帝国軍が機体の近くで反乱同盟軍の攻撃を防ぐ必要が出たり、新たな戦略の幅が増えた。マップ上のスポーンポイント(復活地点)も変更した。どんなパワーアップをフィールド上に出すかといった調整も行ったよ。最新のバージョンをプレイすれば、新しいホスを経験してもらえるはずだ。(※編注:実際にバランスは良くなっているように感じた)
――リスポーンという点だと、本作ではパートナーを組んだプレイヤーとソロプレイヤーで結構違いますね。
ファグレアス そうだね、パートナーシステムがあって、パートナーを組んでいる時はお互いにリスポーンできるようになっている。ゲームに招待していない場合もパートナーを割り当てることはできるよ。パートナーがいない時はスマートスポーンシステムでアクションが起きている所の近くで復活する形になる。
――もうひとつ、フィールドに落ちているパワーアップのリスポーン(再発生)はどうコントロールしているんですか?
ファグレアス パワーアップが沸く場所はマップごとにいろんな場所を設定してある。しかしそれが全部アクティブになっているわけではないので、いつも同じ所にあるわけではない。探索することでより多くの報酬を貰えるというシステムになっている。そしてプレイヤーが拾うと、そのマップとモードに関連したパワーアップのリストからドロイド、ロケット、シールドなどのパワーアップがランダムに選ばれる。
特定のマップやモードではこの通常のパワーアップのリストに加えて、ヒーローパワーアップ(ヒーロー/ヴィランになれる)やビークルパワーアップ(搭乗兵器に乗れる)も置かれている。異なるアイコンになっているからわかりやすいと思うよ。ヒーローパワーアップではどのヒーローになりたいか選択もできる。
――ところでイウォークで遊びたいんですけど……。エンドアのマップにはいましたね。でもウィケットをヒーローで使ったりしたいんです!
ファグレアス あーうん、このゲームのヒーローは反乱同盟軍と帝国軍のメインヒーロー/ヴィランに絞っているんだ。イウォークはエンドアの環境の一部として出てくるが(樹上で戦闘と関係なくうろうろしている)、ヒーローではないんだ。ごめんね。
――C-3POやR2-D2も同様ですかね。このゲームでの位置づけをあらためて教えて下さい。
ファグレアス 彼らはヘルパーで、ミッションをやっている時に話しかけたり助けてくれたり、どうしたらいいか教えてくれるんだ。メニューにもカメオ出演しているね。ああやって「スター・ウォーズ」的な味付けをして、自分がその世界にいるんだと感じられるようにしているんだ。
――「スター・ウォーズ」でエピソード4のデススターの戦いは象徴的なもので、このゲームが発表された時にあれをイメージした人も多いと思います。しかしゲームでは採用されなかった。宇宙空間での戦闘やデススターでの戦闘、宇宙船内での戦闘などが採用されなかった理由は?
ファグレアス このゲームは惑星での戦闘にフォーカスすることにしたんだ。スター・ウォーズの世界は巨大だから、ゲームにするにはどこかにフォーカスしなければならない。そこで映画に出てくる壮大な地上戦を取り込みたいと思った。ホスもエンドアも入っている。そしてさらに映画にはなかったタトゥイーンやサラストでのバトルも加えた。でももちろんファンの声は聞いているので、フィードバックを集めてなにができるか検討していきたいね。
――ジャクーがDLCとして提供されることが発表されていますが、そこで遊べるゲームモードは?
ファグレアス ジャクーのコンテンツはまだ教えられない。ひとつ言えるのは、どうして砂漠のような所にスター・デストロイヤーがクラッシュしてデブリと化しているのかがわかる内容になっているということだ。いま作っているので楽しみに待っていて欲しい。
――シーズンパスのアップデートと、シーズンパス以外のアップデートの違いを教えて下さい。
ファグレアス シーズンパスを買うと新しい拡張版が出たら早くコンテンツにアクセス出来る。その後リリースされて他の人が買えるという形だ。
――何も買わない場合は?
ファグレアス ジャクーDLCはすべての人が無料で入手出来る。それ以外はパッチなどになるね。
――カーゴランモードでカーゴを運んでいる敵のプレイヤーが壁越しに見えることがあったんですが、あれはどういうタイミングなんでしょうか?
ファグレアス ドロイドがセンサーを起動した時だと思う。それでエネミーが見えていると壁を通して見られるが、限られた時間だ。自分でスキャンのカードを起動したり、パワーアップでドロイドを見つければ敵を発見しやすくなる。
――そもそもゲーム中のレーダーが反応する条件は?
ファグレアス 敵が撃っている時や走っている時だね。それ以外は見えない。ステルスで潜り込みたい時は撃ったり走ったりしないことだ。
――ファイタースコードロンで飛んでいる機体が多かった気がするのですが、AI機がいるんですか?
ファグレアス 10人のプレイヤー・ファイターと10人のAIファイターがいる。人間とAIのミックスだ。プレイヤーを倒すとより多くのポイントが得られる。でも最大のポイントを得られるのはAIが操縦する敵勢力の輸送機を落とした時だ。
――スプレマシーはバトルフィールドのコンクエストと似てますけど、復活するごとに減るチケットがありませんね。
ファグレアス スプレマシーには独自のゴールとルールがある。敵チームの前線を押し下げてマップの外に追いやるというゲームなのでそういう設計になっている。しかし終わらない戦いになる可能性があるので、バトルの終結を伝えるタイマーがある。どれだけ相手チームを追いやったかで勝敗が決まるという形だ。
――スターのシステムについて教えてください。
ファグレアス ミッションモード(サバイバルモードなどの非マルチプレイ対戦モード)をプレイして目標をクリアーするとスターがアンロックされてクレジットを貰えるんだ。ノーマルで簡単に取れるスターもあれば非常に難しいスターもある。すべてのスターを取るのは、ゲーム中最大の実績のひとつ。これをクリアーするには友達と組んで優れた戦略を立てなければならない。
ゲームデザインのコンセプトや、影武者声優のハナシ
――DICEというとやはりバトルフィールドブランドです。差別化は苦労したと思いますが、どのように?
ファグレアス 表面上似ているゲームの差別化は難しいね。両者ともFPSであり、ビークルがあり、ビッグバトルがある。しかし重要な違いは、今作がスターウォーズに由来するアイデンティティを持っていることだ。開発に当たってバトルフロントの旧作を検討しなおしたんだけど、これらの作品の核となる価値を拾い上げた上で、そこに自分たちの経験から出てきた新しいアイディアや手法をを加えて、ユニークな新しいものを作ろうと努力した。同じジャンルではあるが、2つの全く異なるゲーム、それぞれの面白さを持ったゲームとして楽しんでもらえると思うよ。
――ゲームデザインの企画書の一行目、一番重視することとして書いてあるのはどんなことですか? もちろん1ページ目には「スターウォーズに忠実なこと」とか書いてあると思うんですけど。
ファグレアス いい質問だね。うーん、最初の言葉は“fun”だ。スターウォーズに忠実なことはコアな柱の1つだけど、その点でもまず最初に意味するのがfunであること。とても広い意味があるけど、コンセプト上非常に大事なことだ。
――ストーリーモードをつけたくなるようなこともあったと思いますが絞ったのは? 例えば映画の強力なストーリーがすでにあるから、根本的なところは変えたくなかった?
ファグレアス ゲームのビジョン、ゲームのコアはバトルファンタジーだ。それがバトルフロントだ。友達とオンラインでもオフラインでも遊べるバトルファンタジーを実現したかった。このゲームではミッションモードがシングルプレイヤー・モードにあたる。いろいろなことがソロでもフレンドとの協力プレイでも出来る。ここでのバトルやイベントのストーリーは映画と関連しているので、映画との関連性を理解してもらえるはずだ。
――実際の開発期間は? 開発に関わった人の総数は?
ファグレアス およそ2年から2年半だと思う。人数はコンセプトを作っていた初期段階では少なく2−30人だったが、最終段階では100人以上いた。
――サウンド面について聞かせてください。有名なテーマなども含まれています。サウンドはオリジナルの映画のものなのでしょうか、本作のために再録/新録されたものなんでしょうか?
ファグレアス ルーカスフィルムの協力により、オリジナルの音源にアクセスできた。ゲーム全体のサウンドとしては、新しいサウンドをレコーディングしてオリジナルサウンドとミックスした。これで全体のサウンドスケープができた。
――各キャラクターの声優は?
ファグレアス これは答えていいんだっけ?(アシスタントによる確認が取れてから) オリジナルの人もいるけど、ルーカスフィルムで仕事をしたことのあるマーク・ハミルやキャリー・フィッシャーに声の似た人たちにも参加してもらった。両方のミックスだね。
――イースターエッグはどんなものがあるんでしょうか? 例えばDICEのほかのゲームとか、映画からとか、あるいはボーダーランズのClaptrapが出てきたら面白そうですが。
ファグレアス それは秘密なので答えられない。イースターエッグだからね!
――このゲームは普段シューターをやらない人も遊ぶと思います。おすすめの方法は?
ファグレアス 確かに本作はスターウォーズが好きな人がFPSをやってみる良い機会を提供すると思う。シューターの経験があまりないプレイヤーや未経験者は、まずトレーニングミッションをやるといい。スターウォーズ・ファンタジーを味わいながら練習できる。その後はバトル・ミッション、サバイバル・ミッションで慣れていくのがオススメ。もちろんこの間もスターウォーズの世界を楽しめる。
そして準備ができたと思ったらマルチプレイに進めばいい。ブラストやドロイドランのようなあまり複雑でないモードから慣れていける。マッチメーキング・システムがあるので、すごいうまい人よりもできるだけ同じレベルの人と当たる。そうやって練習しながらいろいろアンロックしていけば、かなりいいプレイヤーになれる可能性があると思うよ。