強豪たちへの対策は?

 2015年11月7日(土)に『World of Tanks』(以下『WoT』)のアジアと北米の強豪チームが集うe-sportsイベント“The Pacific Rumble”が、東京・ベルサール秋葉原にていよいよ開催を迎える。これは日本における『WoT』イベントの中でも最大規模であり、e-sportsイベントとしてもその規模の大きさから注目を集めている。日本の『WoT』とe-sportsの歴史上に名を残すことは間違いなだろう。

『World of Tanks』日本最強チームの心境は? 一大イベント“The Pacific Rumble”前日に直撃インタビュー_01

 そんな日本での記念すべきイベントの第一戦に登場するのが、ワイルドカード枠出場チーム“Caren Tiger”だ。緊張も高まりそうな大会前日に、日本唯一の出場チームから、Renno選手とpoly選手のおふたりに、リラックス(?)ムードでインタビューに応じてもらった。

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▲Renno選手(左)とpoly選手(右)。

 まずこの大会で意識しているチームを尋ねると、第一戦に当たる“KONGDOO”ではなく、同じアジア圏の“EL Gaming”の名前が両者から挙がった。以前Wargaming.net Leagueで、圧倒的な強さを誇ると思われていたロシア・EU勢を打ち負かして上位入賞したこともあり、今回も当然優勝候補とされているチームだ。

 同じアジア地域ということで大会のたびにぶつかる可能性があるチーム。以前は「ラッシュの強さはあっても駆け引きについては“KONGDOO”の方が上」と評していたそうだが、この約半年ほどでその部分についても急成長し、非常に厄介なチームになっているとのこと。

 一戦目の相手の“KONGDOO”については、 “Caren Tiger”にとっては何度も戦い、さまざまなことを学んだ、先生のような存在と評しており、「いつか日本で対戦しよう」と約束をしていたそうで、今回その約束がついに果たされることになる。じつにいい話だが、その約束をした“KONGDOO”のチームリーダーが、少し前に引退したというのが少々残念だ。

 また、今回のほかの参戦チームについて尋ねると、北米のチームについてはふだん対戦する機会もなく、情報がつかめていない状態だそうだ。所属する地域のお国柄などから傾向の推測も可能かと思いきや、poly選手いわく、「日本の中でもチームごとに戦いかたなどはまったく違うので、国柄などはあまり参考にならないと思います」。なるほどと納得した。

 このため、今回の大会に向けたトレーニングも、あくまでふだんどおりの練習で基礎力を高め、特定チームへの対策などはとくに用意していないとのことだ。とりわけ北米チームに関しては、むしろ今回の大会が研究のスタートラインとなるだろう。

来シーズンからの新ルールについての見解を聞く

 また、Wargaming.net Leagueでは来シーズンからの新ルール導入がすでに決定し、各チームともにすでに新ルールでの練習に入っている。そのため、今回の大会に向けて既存ルールでの練習をしようとすると、相手が集まらず、そこは紅白戦などで補ってきたそうだ。

 新ルールの話のついでにTier X車両が導入される点についても見解を尋ねたが、ヘルスや装甲はもちろん、一発で1000を超える与ダメージを叩き出す車両もふつうに複数存在するTier Xでは、いままでよりも個人の技術が問われ、プレイヤースキルによる差がより開くと思われる、とのことだった。

 加えて、「車両全般の足が遅い」、「軽戦車がいない」、「視界が広い車両が多い」などといった点から、いままでのような駆け引きや戦術の重要性が下がることも懸念されるとのこと。確かに、新たな戦術が確立するまでは波乱の時期が続きそうにも思える。

 そんな新ルールも控えるいま、やはりプレイヤーとして気になるのはこのリーグで勝ち残るために強くなるコツだ。そんな『WoT』で強くなるためのポイントについても、この場を借りて尋ねたところ、Renno選手からは「ランダム戦もクラン戦も、うまい人の動きを見て学ぶことが大事」、poly選手からは「ひとつひとつ丁寧にプレイすることと、どこまで慎重に動いてどこで大胆に動くか緩急をつけること」とのアドバイスをもらった。大胆に動くべきときにヘルスが残っていないことがないように、ふだんから雑に動かず、勝負のためのヘルスを温存しておくのが大切なようだ。

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▲インタビュー会場には足湯があった。せっかくなのでふたりに入ってもらった。

やはりキーになるのはIS-3か? 当日の対戦に要注目!

 続いて話は少し変わって、『WoT』で好きな戦車の話題となったが、両選手ともにいちばんに挙げたのはIS-3だった。海外チームの選手からも必ず名前が挙がるこの重戦車は、両選手にとっても、そこそこの足の速さとバランスの取れた性能、そして低Tier車両では実践が難しい避弾経始などのテクニックが使いやすいことが人気の秘密のようだ。

 逆に相手にするのが嫌な車両について尋ねると、前線で撃ち合うことが多いRenno選手は、オートローダーによる瞬間火力の高さでこちらの撃ち合いの戦術を狂わせるフランスTier X中戦車B-C 25 tを挙げ、poly選手は自走砲全般を挙げた。自走砲については、大会ルールでは入ったぶんだけ前線車両の数が減るため楽になる側面もあるが、同じく苦手意識を持つプレイヤーも多く、納得できる話だろう。

 最後に大会に向けての意気込みをふたりに尋ねた。優勝賞金45,000ドルについて、「もし手に入ったらどうするか?」という質問に対してては、やはり緒戦のことでいまは頭がいっぱいのようで、考えていないとのこと。ただ、『WoT』を快適にプレイできるノートPCを持っているのがチームの中でpoly選手のみで、遠征先で練習のためにネットカフェに入ったら隣の席に別チームの選手が……なんてこともあったそうなので、ゲーミングPCの購入に使う選手が多そうとのことだ。

 また、今回は初めてのホーム戦となるわけだが、それについてはそもそも日本でこれほどの大会が開かれること自体が初めてのため、どれくらいの観客が入るのかもわからず、不安も大きいとのこと。だがせっかくのホーム戦、できるかぎり頑張りたいとの言葉をもらった。

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 それと今回、チーム全員が黄色のチームTシャツを着ている点については、以前のシーズンファイナルからユニフォームを作ろうという話はあり、チームメイトのopelisk選手が今回発注したそうだが、なぜ黄色なのかはふたりも知らないとのこと。この色には、何か隠された意図があるのだろうか?

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 “The Pacific Rumble”は入場無料で、その模様を公式ホームページのリンク先から生放送で観戦できるイベントとなっている。日本を代表するチーム“Caren Tiger”がどんな奮闘を見せるのか、ぜひ実際にその目で観て応援していただきたい。