『Scalebound(スケイルバウンド)』神谷英樹氏らが明かす、アクションRPGとして目指していること【Xbox One 大感謝祭】

2015年9月26日、東京・品川クラブexにて“Xbox One 大感謝祭 2015”が開催。同イベントにてプラチナゲームズが開発を手掛ける『Scalebound(スケイルバウンド)』のステージが行われた。ファミ通.comではプレゼンを終えたばかりのディレクターの神谷英樹氏とクリエイティブ プロデューサーのJPことジョーン・ピェール・ケラムス氏にミニインタビューをさせていただく機会を得た。プレゼンに込められた意図とは?

●“クラフトのおもしろさ”が『Scalebound(スケイルバウンド)』の魅力のひとつ

 2015年9月26日、東京・品川クラブexにて“Xbox One 大感謝祭 2015”が開催。同イベントにてプラチナゲームズが開発を手掛ける『Scalebound(スケイルバウンド)』のステージが行われたことは既報の通りだが、ファミ通.comではプレゼンを終えたばかりのディレクターの神谷英樹氏とクリエイティブ プロデューサーのJPことジョーン・ピェール・ケラムス氏にミニインタビューをさせていただく機会を得た。プレゼンに込められた意図とは?


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▲ディレクターの神谷英樹氏(右)とクリエイティブ プロデューサーのジョーン・ピェール・ケラムス氏(左)。

――今回のステージイベントは大盤振る舞いでしたね。ここまで見せていただけるとは思いませんでした。

神谷 そうですね。今日はゲームプレイに加えてRPG要素紹介動画を公開したのですが、とにかく使えそうなところだけを急いでかき集めて、体裁を整えた感じです。紹介動画では、ドラゴンをカスタマイズできるところやサブ画面なども紹介したのですが、あれはぜんぜん仮のものなんです。ただ、そうまでしてお見せしないと、『Scalebound(スケイルバウンド)』がアクションRPGであるということが伝わらないのでは……との危惧がありまして。

――たしかに、ファンの方は『Scalebound(スケイルバウンド)』はアクションゲームという捉えかたをしているかもしれませんね。

神谷 2014年のE3で『Scalebound(スケイルバウンド)』を初お披露目したときに、どんなジャンルのゲームなのかということをあえて発表をせずに、「想像を膨らませてね」という形で展開したのですが、やっぱり“プラチナゲームズ=アクションゲーム”という印象になるみたいで、「アクションだ」「ハック&スラッシュなの?」という声が大きかったんです。そこで、今回のステージでは、アクションRPGというジャンルをはっきりと明言することにしたんです。ただ、明言しただけでは不十分で、見栄えのいいバトル画面だけを見ると「ああ、バトルゲームなんだ」と捉えられかねない。RPGらしく「買い物もできますよ」「村人と話ができますよ」「ドラゴンをカスタマイズできます」「サブ画面でアイテムの取捨選択もできます」といったことを視覚で訴えないとダメだと思ったので、急遽映像を作りました。クオリティーはぜんぜん仮です。

JP “RPG”というのは、『Scalebound(スケイルバウンド)』の重要なピースなので、今日お披露目したのは重要な映像ですね。ただし、神谷も強調しているように、映像はあくまで“プリアルファ”のクオリティーですけれど。

神谷 アクションゲームだと、プレイヤーを紹介してつぎは敵、今度はステージという形で、積み重ねて公開していけばやりやすいのですが、RPGとなると、どこを切り取ってどう紹介していけばいいのかが、難しいんです。制作も広げながら作っているので、なかなかまとまった形で何かをお見せする機会も持てない。仮に体験版を作るという話になっても、「そんな広大なRPGのどこをどう体験したらおもしろさが伝わるんだろう」という話になってしまう。ユーザーさんへの伝えかたが難しいんですね。

JP 『Scalebound(スケイルバウンド)』で目指していることを考えると、さらに伝えかたは難しいと言えるかもしれませんね。よくRPGは、「ストーリーが長い」というアピールをするのですが、僕らが刺激を受けたRPGはストーリーがメインではなくて、ゲームプレイや自分のキャラクターを作るのがいちばん楽しかった部分だったりします。本作では、それを皆さんに思い出してもらいたいという思いがあったんです。RPGは、ほかの人を見るのではなくて、自分が“ロールプレイング”をする、つまり自分が“役割を演じる”という楽しみを思い出してほしいんです。

神谷 ファミコンでRPGを遊んでいるときもそうだったと思うのですが、町のまわりをくるくる回って、雑魚を倒しているだけでも楽しかったですよね。少しずつ経験値を稼いで、レベルが上がっていって、そのころにはお金も溜まって、以前は買えなかった“鋼の剣”も買えるようになる。そうやって、チマチマやっていくのがすごく楽しい。『Scalebound(スケイルバウンド)』では、そういう“楽しみ”を大事にしたいと思っています。開発にあたっては、プラチナゲームズのチームやいっしょに仕事をしているマイクロソフトさんには、“クラフトのおもしろさ”ということをよく口にしています。ドラゴンのカスタマイズもそうですし、プレイヤーを成長させていく要素もそう。クラフトのおもしろさを作っていきたいです。それを伝えるための、今回の動画なんですね。


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――今回初めて日本のファンに向けて『Scalebound(スケイルバウンド)』をお披露目した形になりますが、イベントが終わった後ファンの方の殺到ぶりがすごかったですね。

神谷 日本でのイベントは久しぶりだったのですが、今回はあんなにユーザーのみんなが来てくれて、純粋にうれしかったです。最近は海外のイベントに出ることが続いていたのですが、海外のユーザーさんって、握手やサインを求めて来てくれたりして、けっこう熱気がすごいんですね。日本のイベントだとそういうこともあまりなかったのですが、今日は僕の経験史上最大の人数が接してきてくれたのではないかと……。あれは本当にうれしかったです。僕は引っ込み思案なところがあるので、これまでだとイベントが終わるとすぐに引っ込んでしまうことが多かったんですが、今日はファンのみなさんの熱気に後押しされまして。

JP とにかくXboxのファンはゲームが大好きな人が多くて、熱気はすごいですね。ゲームそのものだけではなくて、ゲーム開発者もすごく尊敬している印象があります。8月にシアトルで行われたPAXのパネルも、平日の最終日に行われたにも関わらずたくさんの方が集まってくださって、その後のサイン会も大盛況だったんです。「Xboxのファンはすごいなあ」と実感しました。今回の大感謝祭でのステージでは、ユーザーさんとの距離が近くて、それがよかったですね。少し時間を取ってひとりひとりのファンの皆さんとお話をして、期待してくださっているところとかを聞くと、すごくモチベーションが高まります。

神谷 Xbox Oneオンリーのイベントで、たくさんの方が集まってくれて、「応援しています!」と言ってくださると格別のうれしさがありますね。「濃いなあ、この人たち」という(笑)。

――とにかくファンの方からの期待値は高いですよね。

神谷 なのにデモプレイでは、失敗するという(笑)。

(インタビューに同席していたデモプレイ担当の佐藤氏から「ごめんなさい」とのひと言)

JP あとで、ニコ生のコメントを読むのがすごく楽しみですよ(笑)。

神谷 プラチナゲームズのスタッフもみんな映像を見ているんですよ! ステージ開始前、控室で話をしていたんですよね。「ハングったらどうする?」とか。でも最悪なのは、「カマキリが崖から落ちることだよね」って。やり直しも利かないし。そうしたら、最悪のことが起きました(笑)。

――実機デモでプレイしているということは伝わりましたよね(笑)。

神谷 これがライブ感ってやつですね(笑)。

JP まあ、カマキリもドラゴンもAIで動かしているので、ありえなくはない事態だったんです。プレイヤーキャラとしてドルー(主人公)が入っているのですが、いわばいちばん賢いAIみたいなものです。自分の行動によって位置関係が変わったりするのですが、あれだけAIで動かすと、カマキリが崖から落ちるのも、想定される結果のうちのひとつということですね。

神谷 当然、カマキリも崖際に行きたがらないし、隅っこにも追いつめられたがらずに、すぐに逃げたがるという挙動はするハズなのですが、(デモプレイのときは)たまたまうまい具合に攻撃がヒットして、後は佐藤がプレゼン用にやってはならない誘導をしたことにより、あれが起きてしまったんですね(笑)。

――それだけリアルなAIということでしょうか。AIの話が出たのでうかがわせてください。ドラゴンのトゥバンのAIですが、プレイする度に違うリアクションがあるとのことで、まったく同じプレイにはならないかと思うのですが、トゥバンのAIは神谷さんの好みが反映されているのですか?

神谷 どうでしょうね。

――やんちゃな部分とか、ちょっと天邪鬼な部分とか……。

神谷 思い通りにならないというところも、生き物らしいですよね。思い通りにしたければ、それこそ「ドラゴンを直接操作すべし」という話になってしまうので。同じ、「敵を攻撃しろ」でも、どう攻撃してほしいかは、その時々で違うと思うのですが、そこは、ドラゴンは状況に合わせて自分で考えて最適の行動を取るということで……。すべてが、自分で操作しているときのような思い通りにはならないというところも、おもしろさのひとつなのではないかと思っています。

――思い通りにいかないからこそ、そこをクリアーしたときのカタルシスが大きい?

神谷 そうですね。たとえばネットで協力プレイをしていても、そんなに息のあったコンビネーションプレイができるわけじゃないですよね。「そっちがそんなことをするのならば、こっちはこうしよう」ということで臨機応変にプレイしていくと思うんです。そういう味わいは大事にしたいですね。


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――ステージの最後にオンラインの話が出ましたが、詳細に関しては続報に期待ということで? あのクオリティーで4人と4匹が同じフィールドに立って、しかも巨大な敵ということで、すごいことだと思うのですが……。

JP めっちゃたいへんですよ(笑)。ある意味、マイクロソフトとタッグを組んだ理由はそこにあります。マイクロソフトはマッチングやクラウドのノウハウもお持ちですが、『Scalebound(スケイルバウンド)』でやりたいことを実現しようと思ったら、すべての技術面でのツールを活かさないと無理なんです。さっきAIの話が出ていましたが、『Scalebound(スケイルバウンド)』のマルチプレイでとくに求められるのは、英語で言うところの“イマージェントゲームプレイ”です。つまり、ユーザーが起こした行動に対して、いかに反応してくれるかです。『グランド・セフト・オート』や『マインクラフト』がまさに“イマージェントゲームプレイ”なのですが、自分のプレイによって、新しい遊びが生まれる。『Scalebound(スケイルバウンド)』の協力プレイでは、4人のプレイヤーがいろいろと考えて行動するうえに、AI(ドラゴン)もいる。それぞれが反応するということが遊びのメインになるので、それは技術のチャレンジはすごいです。とにかくマイクロソフトさんのサポートは必須で、それがなかったら『Scalebound(スケイルバウンド)』は無理でしたね。

――AIで動くキャラが4体ですものね。

神谷 プラス敵ですからね。とにかく映像の迫力は半端ないです。“Scalebound(スケイルバウンド)”というのは、日本人には耳慣れない言葉だと思うのですが、“scale”には、ドラゴンのウロコでもあり、スケール感の意味もあるんです。そのふたつ、“ドラゴンとの絆”と“巨獣のバトル”によるスケール感を大事にしていこうというメインテーマをユーザーさんに訴求したいという思いを込めたタイトルなんです。

JP “bound”にも、“行き先”という意味と“結合”というふたつの意味が込められていますからね。その組み合わせですね。“scale”と“bound”のすべての組み合わせを考えると、『Scalebound(スケイルバウンド)』で狙っているところと、遊んでもらいたいところがすべてわかると思うんですね。

神谷 タイトルもゲームの内容もユーザーさんには認識してほしいという気持でいます。

――今日映像を見て改めて思ったのですが、ドラゴンかわいいですね。

神谷 そういうユーザーさんの声が、意外と多いんですよね。まあ、単に敵を倒すための殺戮マシンではなく、かといって従順なペットでもなく、尊重すべきひとりの相棒という思いを込めて、我々も作っているので、そういうところがユーザーには伝わっているのかなとは思います。

――生きている感じがするからこそ、かわいいと感じられるのかもしれませんね。

神谷 今回のデモでは、わざと攻撃してドラゴンを怒らせてみたのですが、プレイしていくと、いたずらでもそういうことをするのが憚られるかもしれません。自分の仲間だし。そういうふうになっていくんじゃないかなと思います。

JP わざと怒らせるのがためらわれるような気持になってくれるとうれしいですね。それを深く考えるとマルチプレイの魅力のわかるのではないかと。自分のドラゴンがかわいいと感じると、「自分のドラゴンを細かくカスタマイズしたい」という気持になる。そこから生まれるのが、自分のドラゴンをほかの人に見せたいという思い。それでマルチプレイがさらに盛り上がるんですね。

――「俺の嫁はこれだよ!」という感じですかね。

神谷 まさに、そういうことですね。

――つぎに『Scalebound(スケイルバウンド)』の情報に触れられるのはいつごろになりますかね?

神谷 どうでしょうね。現時点では「ご期待ください」としか言えないです。いずれにせよ、『Scalebound(スケイルバウンド)』の世界観はどんどん広がっていくので、つぎの機会には、情景やシチュエーションなど、もっとバリエーション溢れるものをお見せできると思います。あと、ひとつ言えるのはストーリーを早くお伝えしたいですね。いまは、ストーリーの情報をほぼ出していない状態なので。今回はゲームプレイが始まる前に簡単なデモシーンがあって、ふたりが凸凹コンビみたいな感じで会話をしているシーンがありました。あれもふたりの関係性を表現した象徴的なシーンなのですが、具体的なストーリーは一切明らかにされていません。そもそもドルーという青年がなぜドラゴニスという世界に来てしまったのか、そしてこれから彼はどのように成長しながらトゥバンとの絆を深めて、困難に立ち向かっていくのか。つぎは、そんなところも紹介したいです。そして、世界観に対する理解を深めてもらって、「こんなストーリーが展開されるのかな?」ということを楽しみにしてもらえたらと、個人的には思っています。


※“INSIDE Xbox「Xbox One 大感謝祭」スペシャル”の模様は、ニコニコ生放送にて2015年10月26日23時59分まで、タイムシフト視聴が可能(プレミアム会員に登録する必要あり)。