アンビエントテクノ&エレクトロニカ好き必見! ゲームコントローラーやMIDIコンで音とCG映像を即興で弄って楽しむ作品『PANORAMICAL』

Fernando Ramallo氏とDavid Kanaga氏による音楽系ソフト『PANORAMICAL』を紹介する。

●PS初期の名作『DEPTH』が好きだった人にもトライしてもらいたい

 2015年9月17日にSteamほかで配信予定のPC/Mac用ソフト『PANORAMICAL』を紹介する。本作はゲームではなく、ゲームコントローラーやマウス&キーボード、そしてDTMなどに使うMIDIコントローラーなどを使ってパラメーターを変化させ、音と連動した映像を操作して楽しむ、音楽系のエンターテインメントソフトだ。

 まぁ実際どんなものかはプレイ映像を編集した解説を見てもらうのが早いのだが、いわゆるインタラクティブアートの世界で“オーディオビジュアル”と呼ばれるジャンル(AV機器の語源とはちょっと違い、音と映像の連動を楽しむもの)に属する作品で、ビデオゲームではプレイステーション初期の名作テクノ系タイトル『DEPTH』をイメージするとかなり近いと思う。
 アレをインディーゲームの文脈に沿ってさらにインタラクティブにアップデートしたような内容で、ゲーム的なスコアやタイムなどの概念が特になく、演奏をひたすら楽しめばオーケーの緩い内容なのも同じ(一方で『DEPTH』のように別の曲の音のパーツを組み合わせたりはできない)。

▲グラフィックが3D空間にブワッと広がる気持ちよさ!

 本作ではメインクリエイターであるFernando Ramallo氏とDavid Kanaga氏によるものを中心に、隠しトラックやゲストトラックを含めて全15ステージ(曲)を収録している。
 各ステージには合計18個のパラメーターが存在し、それぞれに異なる音のループと映像要素が割り当てられている。このパラメーターを弄ることで、音もビジュアルもいい感じに変化が起こる。そうやって自分だけの“演奏”を楽しむのだ。

 過去にイベントなどに出展されたバージョンではMIDIコントローラーの18個のノブを操作してプレイしていたが、製品版ではキーボード&マウスやPC用ゲームコントローラーでの操作にも対応。9キー/ボタンにマウスやアナログスティックのXY2軸を組み合わせ、MIDIコントローラーがなくても全パラメーターをコントロールできる。

▲昨年サンフランシスコで行われたイベント“Day of the Devs”に出展された際のMIDIコントローラー。18個のノブを回しまくって遊ぶ。

▲コントロールの設定画面(左がゲームコントローラー用、右がMIDIコントローラー用)。任意のボタンやノブに機能を割り当てることができるが、MIDIコントローラーでノブに選べる形式に制約があり、コントローラーによっては選べないノブもあった(手持ちの機材で確認)。もっと細かい対応にして欲しいところ。

 ストリングスの旋律がボリュームアップするとともに山がせり上がってきたり、ドラムにディレイがかかるとともに虹の雨が降ってきたり、いい感じのサウンドとトリッピーなCGが自分の操作でリアルタイムにグワッと変化していくのは絶妙に気持ちいい。アンビエントテクノやエレクトロニカ系のサウンドをVJに合わせて聴いたりするのが好きな人にはたまらない内容だ。
 ちなみにソフト側の機能としてスクリーンショットや動画を直接撮影したり、撮ったスクリーンショットをTwitterに投稿することもできる。

▲ビカビカッと光ったりするので、光の点滅に弱い人は注意。設定でブラーをかけて影響を低減することはできる。

 音楽系ソフトということで若干敷居が高く感じる人もいるかもしれないが、メインの曲はこの手の表現が好きなら誰でも操作できる。音楽理論やクラブミュージックの構造などがわからなくても、なんとなく操作していればそれっぽい高揚感のあるシーンが出来上がるのが素晴らしい。
 この設計の絶妙なさじ加減は、さすが『Proteus』や『Dyad』などのインディーゲームでインタラクティブなサウンドを手掛けてきたDavid Kanaga氏だと思う。どこからでも溶けこませやすいドローン系の音を多用しつつ、さまざまな音を用意してあって、ちょっとずつ上げたり下げたりするだけで展開がつくようになっているのだ。

 なおステージの終わりはなく、気が済んだところでスペースキーを押せば終了で、次のステージに進める。また一応最初は順番にステージをプレイしていく形になっているが、オプションからさっさと全トラック開放を選ぶこともできる。

▲ステージによってサウンドもビジュアルもテーマが違うので、いろいろ楽しめる。

 一方でゲストトラックはメインを遊んだひとの上級編といった感じで、ループ感を把握していないと入れにくいはっきりとしたドラムパートや、雰囲気がガラッと変わる(使いドコロを考えないといけない)ド派手なエフェクトが仕込まれている。
 サウンドを手掛けているのは日本のマルチメディアアーティストBaiyonをはじめ、インディーゲームの音楽も手掛けるアンダーグラウンド・ヒップホップシーンの雄Dose One(アンチコン)、そしてインディースタジオVlambeerなどに曲を提供しているKOZILEKことJukio Kallioら。インディーゲーム音楽のファンも必見と言えるだろう。

▲Jukio KallioステージはGeorge Buckenham氏によるビジュアルが超ヤバいのだが、点滅も最強に激しいので注意。