ID@Xboxの注目作を紹介
2015年9月8日、東京・品川の日本マイクロソフト本社にて、国内産ID@Xboxタイトルのプレゼンテーションが行われた。ご存じの通り、ID@Xboxはインディペンデント(独立)系デベロッパーを支援するための取り組み。開発会社はID@Xboxに登録することで、自社で開発したゲームをセルフパブリッシングできるようになるなど、独立系の開発会社にとっての利点も多い。2013年に発表されたID@Xboxは、2015年に入ってその動きがさらに活性化。続々と注目作がリリースされようとしている。今回日本マイクロソフトによりプレゼンテーションが企画されたのも、日本マイクロソフト ID@Xbox プログラム・マネージャー 村山功氏いわく「充実してきたID@Xboxタイトルをお披露目する」ことを目的に実施されたものだ。今回紹介されたのは以下の4タイトルだ。
『EARTH WARS』 発売元/開発元:ワンオアエイト 発売日:2015年夏
『リバーシクエスト』 発売元:パレアナ 開発元:YokogoSystem 発売日:2015年
『巫剣神威控』発売元/開発元:ZENITH BLUE 発売日:2015年
『Q』 発売元/開発元:リイカ 発売日:発売中
以下、当日のプレゼンテーションの模様をお届けしよう。
自分たちの作りたいものを作った『EARTH WARS』
『EARTH WARS(アースウォーズ)』は、西暦2020年という近未来を舞台とした2Dアクション。突如襲来した未知の敵対生物“E.B.E(イーヴァ)”により壊滅的な打撃を受けた地球を救うべく立ち上がった、特殊強化兵器隊“A.N.T.I.(アンチ)”の戦いが描かれることになる。本作の発売/開発を手掛けるのはワンオアエイト。同社は、もともとイメージエポックに所属していた黒木崇氏(ワンオアエイト 取締役)らにより2012年4月に設立。以降、アプリ向けに数タイトルをリリースしているが、家庭用ゲーム機向けは本作が初となる。プレゼンテーションを担当したのは、黒木氏と『EARTH WARS』のディレクターを手掛ける黒岩太一郎氏(フリー)のおふたりだ。
黒木氏のコメントで印象深かったのが、「とにかく自分たちの作りたいものを作った」とのひと言。まさにそれはインディーゲームの真髄とも言えるが、『EARTH WARS』にはいい意味で、作り手の“好み”が随所に溢れているようだ。その一例を挙げると、キャラクター設定。本作では、プレイヤーキャラクターとして、男性8キャラ・女性8キャラの16キャラが用意されているが、男性8キャラはほぼすべていわゆる“おじさん”。ふつうに考えると、ユーザーの好みを考慮して年若いイケメンを揃えそうなものだが、「前職での“萌え要素”などを配慮した設定に抵抗を感じていた」という黒木氏は、今回は作り手の好みを貫いて、“おじさん”を揃えたという。
格闘ゲームの要素が加味されているのも、“作りたいものを作る”という方針の延長線上にあるもの。ディレクターを務める黒岩氏は、もともとエイティングで格闘ゲームを手掛けており、今回「長年作りたいと思っていた」(黒岩氏)という2Dアクションに、自身が深いノウハウを持つ格闘ゲームの要素を加味。新機軸のゲーム性を構築しているのだ。
では、本作のゲーム概要を軽くご紹介しよう。先述の通り、本作は2Dタイプの横スクロールアクション。プレイヤーは16人の“A.N.T.I.(アンチ)”の戦士の中から任意のキャラクターを選び、“E.B.E(イーヴァ)”を倒していくことになる。攻撃方法は、剣(Xボタン)とガン(Yボタン)の2種類。それにジャンプ(Aボタン)やブースト(Aボタン2回押し)などの動きを織り交ぜることで、ゲームを進めていく。方向キーとボタンの組み合わせによって、特殊なムーブを起こすこともできる。実際のところ、体験してみたゲームプレイは爽快そのもの。ジャンプして攻撃したり、ブーストしてコンボを決めたり……と、多彩なアクションが堪能できる。「いわゆる硬直がないので、さくさく攻撃できます」(黒岩氏)とのことだが、格闘ゲームにおける深いノウハウを持つ黒岩氏が関わっているだけに、触り心地はめちゃくちゃ気持ちいい。これは本作の大きな魅力と言えるだろう。
一方で、本作はやり込み要素も充実している。ひとつはキャラクターの成長要素。本作では、プレイするごとにキャラクターがレベルアップ。さらに、ステージに散りばめられている“宝石”を入手していくことでスキルアップが可能になる。スキルアップは“バランス”、“攻撃特化”、“テクニック特化”、“防御特化”、“能力制限”(いわゆる縛りプレイ用)を大枠に、細部に至るまできめ細かく設定することが可能だ。
さらに、武器のカスタマイズ。本作では、倒した敵がドロップした残骸(アイテム)から武器を合成することができる。さらにレアアイテムには“炎”や“氷”などの属性が付与されることがあり、属性が付与されたアイテムを合成に使うことで、追加効果のある武器を作ることも可能だ。本作では、剣とガンのほかに、大剣と弓の4種類の武器が用意されているのだが、それぞれに用意されている武器は24種類。さらに属性は7種類存在し……と、相当なバリエーションに富んでいる。なお、アイテムの出現はランダムで、「引きがいいと、最初からいい武器を作れますね」(黒岩氏)とのことだ。
本作のゲームプレイは、「うまい人で9~10時間、時間をかけても20時間くらいでクリアーできるのでは」(黒木氏)とのこと。サブミッション(80種類)でキャラや武器を強化しつつ、メインミッション(15種類)をこなしていくのが通常のゲームプレイとなるようだ。
「開発費が不足しているので、オープニングもムービーではなくて、一枚絵で」(黒木氏)との裏話も聞かれたが、ボイスには声優が起用されていたりと、『EARTH WARS』の作り込みは相当なもの。さらに言えば、予算などの兼ね合いで、用意できたイラストは各キャラにつき1枚で、それを切りわけて動きをつけたという涙ぐましい努力も聞かれたが、そういったキャラの動きもむしろ“味”と言えるだろう。マルチプレイには対応しておらず、ひとりプレイなのが残念と言えば残念だが、「本作の売れ行き次第では対応するかも」とのことなので、今後の楽しみとしよう。
2年間をかけて、平均3人、多いときは5人で作り上げたという『EARTH WARS』は、インディー魂が詰まった1作と言えるだろう。本作の発売時期は、現時点では以前アナウンスされた“2015年夏”のまま。さすがに“夏”というはきびしかろうと思われるが、「近いうちにリリースしたいです」とのことで、意外と早く遊べるようになるかもしれない。
おなじみのゲームの新機軸『リバーシクエスト』
誰もが知っているリバーシの新機軸との言えるのが『リバーシクエスト』。敵をフィギュアで挟んで“攻撃”することで、敵にダメージを与えられるほかに、“回復”も可能。ただ単に自コマを増やせばいいというわけではなく、自ライフを維持しなければいけないということで、独自のゲーム性が加味されている。「リバーシにもこんな楽しみかたがあったんだ」と思わせてくれる1作だ。こちらは2015年配信予定。