本日2015年8月11日に配信されたPS4用ダウンロードソフト『Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失-』。本作は、住民が全員消失したイギリスの農村“ヨートン”を探索し、さまざまな場所に残された人々の“想い”を見つけ出していくオープンワールド・アドベンチャーゲームだ。謎に包まれた本作のプレイインプレッションをお届けする。
人々の“想い”の断片に触れる
かなり独特な雰囲気を持つ本作のインプレッションをお届けする前に、ますは本作の概要について解説しておきたい。
本作は、2012年2月に発売されて多くのアワードを受賞したアドベンチャーゲーム『Dear Esther』を手掛けた開発会社The Chinese Roomの最新作となる、オープンワールド型のアドベンチャーゲームだ。舞台は1980年代のイギリス。住民や滞在者が突如として消失してしまったヨートン村での出来事が描かれる。プレイヤーの目的は、誰もいなくなった村で、かつてそこにいた人々の残留思念のような“想い”を読み解いて、“終末”を迎えた村の謎を解き明かすことだ。謎を解き明かすといっても、探偵や新聞記者のような主人公がいるわけではなく、プレイヤーができる行動は電話やラジオを聞く、扉を開ける、看板を調べる、“想い”を聴くなど、ごく限られたことだけ。そのため、フィールドを自由に散策しながら進めていくサウンドノベルのような作品とも言える。
さて、細かいインプレッションをお届けする前に、簡潔に感想を言うならば“詩情的”、“荘厳”、“切ない”という言葉が思い浮かぶ。読み取れる村人たちの“想い”は、何気ない日常会話や異変が始まってからの出来事、そして最期の時……。寄り道をせずにプレイすれば数時間で“終末”を迎えるのだが、短時間のうちにたくさんの人の心情や最期の時を追体験するため、プレイを終えた後は軽い喪失感を味わうほどだ。
本作のタイトルにある“Rapture(日本語で携挙)”という言葉は、“イエス・キリストが再臨したときに信仰深い人を連れて神の国に昇天する”という、プロテスタント系の終末論に由来した宗教用語で、本作はそういった宗教観をモチーフにした作品になっていることは間違いない。
オープンワールドならではの利点と欠点
ストーリーについて語ろうとすると、ネタバレを存分に含んでしまいそうなので、それ以外の部分について少し感想を。
本作はオープンワールド型のアドベンチャーだが、基本的にゲーム内での説明や解説は一切ない。目的や目指すべき場所、マップ表示などがないため、自由度が高い反面、放り出された感じがして戸惑う人も多いかもしれない。ナビゲーション代わりの光の玉を追いかければ、ある程度ストーリーを追っていけるので、まずは光の玉の行く先を目指すのがいいだろう。ただし、それ以外の場所にもさまざまな“想い”が残されているため、ときには自由に、村を散策してみるのがオススメだ。
このとき、フィールドに点在する落書きをすべて見つけたり、隠された道を発見するなど、物語を追っていく以外の楽しみもトロフィー要素として用意されている。ただし、フィールドが広大がゆえに、探索する楽しさはあるものの移動の億劫さを感じることも。速く走ることはできず、マップはところどころにある案内板で確認するしかないなど、やや不親切な印象だ。
ただ、こういった要素をわざと排除し、画面にUIを一切表示させないことで、唯一無二の雰囲気を作り出している作品だと感じた。
音楽と融合した特徴的な世界
本作を語るうえで外せない要素のひとつが音楽だ。国際的な作曲家Jessica Curry氏が提供するゴスペル調の音楽が、本作をより盛り上げてくれる。通常時はあまり音楽が主張することはないが、場面に合わせてときには叙情的に、ときには荘厳な音楽が前面に出てくるのだ。これらの演出によって、プレイヤーはゲームの中に強烈に引き込まれるはず。時間に余裕があるのが前提にはなるが、一度プレイし始めたら“終末”を迎えるまで立ち止まることなくプレイしてしまうだろう。
本作は音楽、雰囲気、物語が融合されており、消失した村人の謎を解くミステリーというよりも、その世界観をどっぷりと味わうのが主目的にも思える。人生は儚いものであると説くかのような本作を、心の底から楽しめるかどうかは遊ぶ人を選ぶかもしれないが、独特の雰囲気で織り成される至極の物語を一度体験してみてはいかがだろうか?
さて、余談にはなるが、本編クリアー後に流れるスタッフロールの最後に、意味深なものが表示されるので、ぜひとも最後まで目を離さずに楽しんでもらいたい。
■早期購入特典として、PS4用オリジナルテーマの提供が決定
2015年8月25日(木)までに『Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失-』を購入すると、“Everybody’s Gone to the Rapture -幸福な消失- オリジナルテーマ”がプレゼントされる。時間が経つと夜空が見えたり、天気が変わったりする、夏にぴったりな片田舎らしいPS4用テーマだ。
■サウンドトラックの発売も決定
作曲家Jessica Curry氏によるオリジナル楽曲が収録された「Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失- サウンドトラック」が、2015年8月11日より、PlayStation Storeにて販売開始。販売価格は500円[税抜]。
Everybody's Gone to the Rapture(エブリバディーズ ゴーン トゥー ザ ラプチャー) -幸福な消失-
メーカー | ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア |
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対応機種 | PS4プレイステーション4 |
発売日 | 2015年8月11日配信 |
価格 | 2000円[税抜](2160円[税込]) |
ジャンル | アドベンチャー |
備考 | ダウンロード専売 開発:The Chinese Room |