Xbox屈指の人気RPGの舞台を語る
2015年7月9日~7月12日(現地時間)、アメリカ・サンディエゴのコンベンションセンターにて、エンターテイメントコンテンツの祭典、Comic-Con International 2015(通称:コミコン)が開催。ここでは、会期2日目(7月10日)に行われたパネル“The World of Albion - The History and Future of the Groundbreaking Fable Series”の模様をお伝えしよう。初代XboxやXbox 360で展開されてきた『Fable』シリーズは、善にも悪にもなれるという自由度の高さなどがファンの心をがっちりと掴んだ、RPGシリーズ。そのシリーズの舞台となるアルビオンの歴史をまとめるというのが本セッションの主旨だ。登壇者は、開発元であるライオンヘッドスタジオのゲームディレクターデイビット・エックルベリー氏と、リードデザイナーのアレックス・スキッドモア氏が担当した。
なお、本セッションは、開発者であるスキッドモア氏みずからが「ネタバレ三昧」と豪語(?)する内容となっている。『Fable』シリーズをこれからプレイする……という方は、記事をお読みになる際はくれぐれもご注意を。
少しおさらいをすると、これまでリリースされた『Fable』シリーズのコアとなるゲームは4本。アルビオンの時間軸に照らし合わせると、以下の通りとなる。
『Fable』→(500年後)→『Fable 2』→(50年後)→『Fable 3』→(50年後)→『Fable: The Journey』
まさに連綿と続くサーガであり、『Fable』シリーズの本当の主役はアルビオンとも言えるのかもしれないが、スキッドモア氏の解説に則って、各タイトルの概要を紹介すると以下の通り。
■『Fable』
2004年にXbox向けにリリース。シリーズ1作目でゲームに対する評価も高く、商業的にも成功を収めた。
特徴は、ヒーローが取る行動によって外見が変化すること。
主人公は農村の少年。父と姉のテレサといっしょに農村に住むが、ある日不幸な事件により村民が殺されてしまう。少年は、ヒーローのリーダーであるメイズによって救出され、ヒーローとして育てられることに。10年後、村を襲った山賊の敵討に成功。その際、テレサは失明してしまうが、彼女の能力はさらに上がる。その後、メイズが悪に加担していることが判明するなど事態は混沌。ヒーローは隠れてしまい、貴族が新たなクラスを作る。ヒーローがいない世界では、弾薬や武器が使われる。海上の移動も可能になり、アルビオンの地図は拡大することになる。
■『Fable 2』
2008年にXbox 360向けにリリース。『Fable』から500年後が舞台。
結婚して子どもを持つことができたり、主人公を愛する犬が登場することなどが特徴。女性キャラクターとしてもプレイ可能になった。協力プレイが採用されている。
ローズという姉と暮らす、親のいない子どもが主人公。とあることから姉は殺され、主人公も大怪我をする。窮地の主人公を救ったのはテレサで、10年間にわたり主人公の面倒を見て、ヒーローとして育てる。悪役であるルシアンは、願いが何でもかなうという“オールド・キングダム”のタワーを建てようとするが、ヒーローを集めて対抗したテレサに阻止される。その後、テレサはタワーを保持。主人公は王となり、男の子と女の子を授かることになる。
■『Fable 3』
2010年にXbox 360向けにリリース。『Fable 2』から50年後が舞台。
アルビオンは大陸となり、プレイヤーはオーロラという国の王もしくは女王となり、プレイヤーの判断により世界が変化する。
お城に王子もしくは王女として暮らす主人公だが、ある日兄弟であるローガンの裏切りあい、逮捕される寸前に城を逃げ出すことに。テレサからは、将来に対する予言を告げられる。主人公は、ローガンを倒して王となり、オーロラを統治することになるが……。
■『Fable: The Journey』
2012年にXbox 360向けにリリース。『Fable 3』から50年後が舞台。
Kinect対応のストーリーベースのゲーム。
本作の主人公は、キャラバンの一員として旅を続ける商人であるガブリエル。ある日ガブリエルは、テレサから助けを乞われることになる。英雄としての脂質を認められたガブリエルは、テレサから能力を授けられ、腐の帝王の部下たちとの戦いに身を投じていく。最後にテレサは犠牲となり、唯一英雄の血を受け継ぐものが絶えてしまったことで、ヒーローの時代は終わりを告げることになる。
こうして見ると、『Fable』、『Fable 2』、『Fable 3』、『Fable: The Journey』の4作は、ヒーローの時代で、その影の主役はテレサだったことがわかる。そして、「ヒーローの時代の初めを見ると、そこにはもっとストーリーがあるのでは……」(スキッドモア氏)という気付きが、ただいま開発中の『Fable Legends』につながっていくことになる。
スキッドモア氏に続いて登壇したデイビット・エックルベリー氏は、ライオンヘッドスタジオ入社前から『Fable』シリーズをプレイしており、「シリーズをずっと遊んできて、いま貢献できるのがうれしい」とコメント。魔法や妖精の世界であるアルビオンに強く惹かれていたと語った。『Fable Legends』を手掛ける段になって、舞台としたのは1作目『Fable』の100年前の、とても混沌とした時代だ。ストーリー上の見地に照らすと、アルビオンの歴史を語るうえで、欠かせないピースを埋めるのが『Fable Legends』だったと言えるのかもしれない。
さて、セッションでは、エックルベリー氏が改めて『Fable Legends』の特徴を、「アルビオンの世界を新たなやりかたで探索できる」、「もっとも美しいオンラインファンタジーゲームを作りたかった」などと説明。また、『Fable Legends』ではヒーローになるか、ヴィランになるかの選択ができるが、これに対しては「これまでは悪役になりたくても最終的にはヒーローとしてプレイしなければならなかったのですが、本作では本当に“悪役”として、ヒーローと対戦できるんです」とのコメントには、納得。そういう意味では、『Fable』シリーズの“善にも悪にもなれる”というコンセプトを、よりダイレクトな形で受け継いでいるのが『Fable Legends』とも言えそうだ。
さて、最大4人の協力プレイにより、バラエティーに富んだヒーローたちを駆使できる『Fable Legends』。エックルベリー氏から説明された、現在明らかにされているヒーローたちのプロフィールを聞いただけでも、ひと癖もふた癖もありそうな雰囲気で楽しくなってしまう。たとえば、「悪になりたいがどうしてもまっすぐ進んでしまうRock」、「アドレナリンが出っぱなしで恐れを知らないパーティーガールのWinter」、「アサシンとして成功を収めているが、有名になりたいと思っているShroud」、「呪われていて、悪から逃れようとしているMalice」などなど……いずれも人間くさいヒーローばかり。
“ヒーローの時代はここから始まる”ということで、魅力的なヒーローが活躍する『Fable Legends』が、ますます楽しみになりました。