艦船や新モードの追加は?

 ウォーゲーミングは、PC用オンライン海戦ストラテジー『World of Warships』のオープンベータテストを2015年7月2日より開始した。それに先駆けて、開発スタジオがあるロシア・サンクトペテルブルクにてメディアツアーが開催。そこで本作の開発に関わるキーパーソン総勢7人にゲームの見どころやこだわりについて、話をうかがった。

 第2弾となる今回は、開発ディレクターと博物館&軍事リレーションスペシャリストへのインタビューを掲載する。

▼インタビュー第1弾はこちら
オープンベータテスト開幕! 『World of Warships』開発のキーマンに聞く from サンクトペテルブルク【その1

開発ディレクター
Danny Volkov

オープンベータテスト開幕! 『World of Warships』開発のキーマンに聞く from サンクトペテルブルク【その2】_22
『World of Warships』の開発ディレクションやマーケティングなどを担当する。過去には本スタジオで制作された『Pacific Storm』の開発を手がけた。
■衝撃を受けたゲーム:Batman ZX Spectrum
■好きな艦船:フレッチャー
■好きな動物:強いて言えばクマ

――開発ディレクターとは、どのような業務をされているのでしょうか?

Danny Volkov(以下、Danny) 可能なかぎりゲームのクオリティーを高め、皆さんを満足させられるように、開発チームのマネージメントをしています。

――たいへんグラフィックが緻密なゲームですが、プレイするためにPCスペックは最低限どの程度必要でしょうか?

Danny ゲーム全体として、『World of Tanks』よりも一段階高いものを目標としていますので、『World of Tanks』の最低動作環境でプレイすることは、おそらく難しいと思います。それよりも高いスペックのPCであれば、問題なく動作するよう開発を進めています。

――クローズドβテスト(CBT)での反響や手応えはいかがでしたか?

Danny CBTでは多くの意見をいただきましたが、その多くはポジティブなものでしたので、非常にいい手応えを感じています。開発チームとして、いいコメントがいただけることは目標のひとつですので、とてもよろこばしいことです。

――印象的だった意見はありますか?

Danny 皆さまの意見は、どれをとっても興味深いものばかりです。中でもおもしろかったのは、バランス調整において、ある特定の方たちの意見と、もう一方の方たちの意見が、まったくかみ合わないという点でした。具体的には、駆逐艦でプレイしている人は戦艦の砲撃が強すぎるという意見があり、逆に戦艦でプレイしている人は魚雷が強すぎる、といったように。

――(笑)。オンラインゲームにおけるバランス調整は、ものすごく難しいと思います。時間も労力もとても使うものだと思いますが、そのような仕事にどのような姿勢で取り組んでいますか?

Danny もちろん、とてもたいへんな仕事ではありますが、Wargamingで働くことは夢のひとつでありましたので、この仕事は私にとってよろこばしいことですし、誇りに感じています。ゲームバランスの調整に関しては、私たちのチームは協力体制が整っており、一丸となって臨めるため、恵まれた環境にあると言えます。

――コアなマニア向けに調整するか、悩むような場面はありますか?

Danny 歴史や史実に関して、またはグラフィックやメカニカルな部分に関して、できるだけ忠実にゲームに入れ込みたいと努力しています。ただ、そうした場合にゲームとして成り立つか、ということが重要になりますので、そのつどバランスの調整をして、手を加えています。

――現在の戦闘モードは敵の殲滅がメインとなっていますが、護衛などのミッションの追加予定はありますか?

Danny 現在ある通常戦や遭遇戦は、『World of Tanks』にもあるモードです。また、Co-opモードもあり、これは新規ユーザー向けの対CPU戦になります。それ以外にも、αテストでは護衛などの特殊ミッションもありましたが、これをよりおもしろくするには、多くの調整が必要でした。まずはゲームの完成を目指し、その後に護衛などのミッションを改良していきたいと考えています。

――日本では、Co-opモードのように、対戦よりも協力して敵を倒すことが好まれる場合もあるのですが、PvEのシステムに手を加えたり、モードを増やす予定はありますか?

Danny Co-opモードはプレイヤーがチームを組んでCPUを倒すというシンプルな設計になっています。現在メインに動いている開発が終わり次第、新しいPvE要素を提供したいと考えています。これは単に新規ユーザー向けのものではなく、対戦の合間に楽しめたり、プレイヤーどうしの協力をより高められるようなものにしたいと思います。

――海を持つ国や地域と、そうでない国とでは、ユーザー数やゲーム人気に差はあるのでしょうか?

Danny 本作に強い関心を持っていただいているのは、やはり海を持つ国が多いです。ロシア、アメリカ、ドイツ、日本といった国々ではユーザー数が多く、また多数の意見を寄せていただいています。

――オープンβテスト(OBT)ではどのような艦船が登場するのでしょうか?

Danny OBTでは、CBTの段階で登場させた艦船を最終的にテストすることが目的ですので、新しい国のツリーが追加されたりといったことは予定していません。ただし、プレミアムシップとして、特殊な艦船を追加することは考えています。

――たとえば“金剛”に対する“比叡”や“霧島”のように、艦船には姉妹艦と呼ばれるものがありますが、そのような艦船を登場させることは予定していますか?

Danny 現在のツリーの中に追加することは難しいですが、プレミアムシップとして当時の兵装や特性を活かしたものを追加することは可能です。また、それとは別に、カスタマイズによって自分の好きな艦船に変えられるようなシステムを追加したいとも考えています。とはいえ、こちらも現在メインとなっている開発が終わってからとなりますね。