CBTの手応えや今後の展開は?
ウォーゲーミングは、PC用オンライン海戦ストラテジー『World of Warships』のオープンベータテストを2015年7月2日より開始した。それに先駆けて、開発スタジオがあるロシア・サンクトペテルブルクにてメディアツアーが開催。そこで本作の開発に関わるキーパーソン総勢7人にゲームの見どころやこだわりについて、話をうかがった。
今回は第1弾として、グローバルディレクターとアートディレクターへのインタビューを掲載する。
グローバルディレクター
Ivan Moroz氏
■衝撃を受けたゲーム:プリンス・オブ・ペルシャ
■好きな艦船:大和
■好きな動物:イルカ
――本作のサービススケジュールをお聞かせください。
Ivan Moroz氏(以下、Ivan) まず、これまで実施していたクローズドβテスト(CBT)を始める段階で、開発の85%以上が終了していることを目標としていました。CBTを数ヵ月間行うことがそのつぎの目標であり、その期間を過ぎましたので、ここでオープンβテスト(OBT)へとフェーズを移しました(日本では7月2日よりOBTを開始)。OBTから正式サービスへ移行する際には、OBTの期間を長めに設定していることもあり、OBTのプレイデータを引き継げるよう開発を進めています。
――CBTの反響をお聞かせください。また、それを受けてどのような調整を行っているのでしょうか?
Ivan 前述のとおり、ゲームの85%はすでに完成していますので、現在はバランス調整のほか、グラフィックやモーションなどに関する、細かな部分の調整がおもになっています。また、事前に行われたアルファテストを通じて、ゲームの核となる部分は形成されていましたので、CBTではよりゲームプレイに関するプレイヤーからの意見をフィードバックさせるよう調整を行っています。大きな部分での変更はないのですが、細かなところが多く変化しています。
――CBTの日本での手応えはいかがでしたか?
Ivan 感触はとてもよく、非常に楽しんでいただけています。プレオーダーパッケージの販売を開始しましたが、日本での売上がもっとも高くなっています。アジアの中でも日本はとても注目しているマーケットであり、私たちも重要視しています。とくに日本のプレイヤーの方々は熱狂的で、艦船の強化も、試合数をこなすことも、非常に速いスピードでプレイしていただいています。我々もそのスピードに遅れることなく、より新しいものを提供していきたいと思い、可能なかぎり開発スピードを上げているところです。また、より多くの方に楽しんでいただけるよう、クオリティーを高めていきたいと考えています。
――以前は、1ゲームに30分程度の時間がかかると聞いていました。現在では、1ゲームが15分ほどでさっくりと遊べるようになっています。ここに至るまでの経緯や苦労を伺えれば。
Ivan 細かく話すと10時間ほどかかってしまいます(笑)。ざっくりとお話しますと、最初にクローズドαという限定的なテストを行いました。ここでは、20~30戦ほど遊ぶと、プレイヤーが飽き始める傾向がありました。この段階で、ゲームの設計に問題があるとわかり、そこから長い期間をかけて根本的な見直しを行いました。さらに、αテスト、クローズドβテストでの変更を経て、初期のものとはまったく異なる、現在のシステムに行き着きました。
――CBTでは日本とアメリカの艦船がメインでしたが、それ以外の国の艦船を増やす予定はありますか?
Ivan OBTではプレミアムシップとしてソ連、ドイツ、イギリスの艦船が追加されています。今後、それらの国にツリーを用意していくことになっていますが、すべての艦船を一気に追加するのではなく、徐々に追加していく予定です。
――潜水艦は追加されるのでしょうか?
Ivan 現段階では追加の可能性がまったくない、とは言い切れません。今後は、艦船の種類を増やしていこうと考えていますが――たとえば、巡洋艦なら軽巡洋艦と重巡洋艦、戦艦なら魚雷を搭載しているものとしていないもの、というように、艦船の種類の追加やクラス分けを予定しています。そのなかで、潜水艦というプランも含まれてはいます。ただ、現段階ではまずゲームシステムの完成を目指していますので、すぐに潜水艦に関して追加を検討するのは難しいです。
――夜間の戦いは実装されるのでしょうか?
Ivan 現在のバージョンでは、波や風といった自然環境が影響するシステムはありませんが、リリース後には、波や風による揺れ、嵐や霧による視覚的な効果なども取り入れたいと考えています。もちろん、そのなかに夜戦のプランも入っています。
――プレイアカウントの共有化についてはいかがでしょうか?
Ivan もちろん、それは計画のなかに入っています。OBTの段階では、プレミアムアカウントをほかのタイトルと共有させています。正式サービス後は、ゲーム内ゴールドとダブロンも共有できるようにします。
――PC以外のプラットフォームでの展開はあるのでしょうか?
Ivan アジア圏ではコンシューマー機の市場が大きいということは認識していますが、まずはやはりPCプラットフォームでゲームを完成させてから、ほかのハードでの対応を考えたいと思います。『World of Tanks』では、Xbox 360やモバイルでの展開もしていますので、本作でも他のプラットフォームで展開できれば、と考えています。
――まだ先の話だとは思いますが、各地域での大会や世界大会などは予定していますか?
Ivan それらの判断はプレイヤーに委ねている、と言っていいでしょう。我々としては、プレイヤーがそういった大会やeスポーツを求めるのであれば、よろこんで提供させていただくというスタンスですね。
――正式サービス開始に合わせて特別なイベントは予定されていますか?
Ivan スケジュールによりますが、プレイヤーの方と交流するコミュニティーイベントを行ったり、ゲーム内に特別なステージを用意するなど、何かしらの形で実現できればと思います。正式サービスのスケジュールが確定した段階で考えたいですね。将来的には博物館と協力して、実在の艦船の引き上げや修復といったこともできれば、と思っています。
――日本独自の展開は考えていますか?
Ivan 日本では、アニメ『蒼き鋼のアルペジオ』とのコラボを予定していることを発表させていただきましたが、こちらは秋頃にさらなる情報を提供できると考えています。『World of Tanks』における『ガールズ&パンツァー』とのコラボはMODという形でしたが、『World of Warships』では、特別な艦船やキャラクターなど、ゲーム内に関わる何かを実現したいです。