既存の韓国産タイトルとはまったく異なる、ビジュアルとストーリーのこだわり
近年のPCオンラインゲーム市場では、海外の開発会社が作ったものをただ日本語にして提供するだけでなく、日本人プレイヤーに合わせた調整を行うのが一般的となりつつある。
韓国Lion Games社が開発し、NHN PlayArtが日本での運営を行う新作MOアクションRPG『ソウルワーカー』は、単純な“ローカライズ”に留まらず、あらゆる要素を日本人好みにする“カルチャライズ”を徹底しているタイトルだ。2012年に日本での提供が発表されて以来、音沙汰のなかった本作が、ついに今秋サービスを開始する。
今回は日本での運営を担うNHN PlayArtにうかがい、実際のデモプレイを見せてもらった上でインタビューも決行。この3年間の間にブラッシュアップされてきた内容について、いち早く詳細をうかがった。
本作で最初に目を引くのが、キャラクタービジュアル。リアル指向が強い昨今の韓国産MMORPGのキャラクターと異なり、トゥーンレンダリングで描写されている。日本のRPGなどでも、近年はこうしたアニメ調の3Dグラフィックを採用したゲームが多く、今時のゲーマー諸兄にはなじみ深いはず。
実際にサービス開始当初から使用可能な3キャラクターを見てみれば、この特徴はよりわかりやすいだろう。イラストと3Dグラフィック、いずれも日本のアニメやマンガにかなり近い印象を受けるものとなっている。なお、キャラクターはサービス開始後に順次追加されていくとのこと。
物語の舞台は現代風の荒れ果てた世界。謎の巨大竜巻が各所で発生し、その破壊跡に生じる“空白”と呼ばれる赤い空間の穴から侵攻してくる異世界の怪物“ソウルジャンク”によって、荒廃の一途をたどる世界。
唯一の希望となるのが、竜巻に飲まれながらも“空白”から落下し、帰還した者の中からまれに見出される“ソウルワーカー”と呼ばれる存在だ。ソウルワーカーは自身の心にある特別に強い感情が形をとったパートナー(通称:ソウルスピリット)とともに、巨大な武器を具現化し、ソウルジャンクやその上位種に立ち向かえる貴重な戦力となっている。
スクリーンショットやイラストを見てもらえばわかるとおり、日本におけるライトノベルやアニメなどの、いわゆる“中二”的な心をくすぐる仕掛けが大いに盛り込まれている。従来のPCオンラインゲームにはあまりなかった要素だ。
ストーリーは移動中や戦闘中などにメッセージウィンドウとフルボイスによってリアルタイムで表現。ゲームの進行テンポを妨げずに楽しめるようになっている。こういったシステムを“シネマトーク”と呼び、ストーリーとゲームの親和性を高めている。
実際にNPCとのやり取りやボス戦中に展開するシネマトークを見せてもらった。セリフの応酬で盛り上がる戦闘を見ているだけでも、世界観により引き込まれ、ゲームプレイにも力が入りそうな印象だった。
このように、キャラクターやストーリー、世界観すべてが日本人好みに作られているのが、『ソウルワーカー』第1の特徴。すらりとした西洋風の8頭身キャラクターや壮大すぎるストーリー展開が特徴の、いわゆる大作MMORPGにはあまり気が乗らなかったという人でも、始めやすいこと請け合いだ。
操作性やコンテンツなど、細かな部分まで含めてすべてが日本向け
『ソウルワーカー』は初心者向けの配慮が充実している。まず何よりもわかりやすいのは、その操作性とアクションだろう。『ソウルワーカー』での敵との戦闘は、3Dフィールドにおけるいわゆるノンターゲッティングバトル。WASDキーで前後左右に移動し、左右クリックで通常攻撃と特殊攻撃を使い分け、スペースキーでジャンプ。PCアクションゲームの基本をそのまま踏襲している。
特徴的なのは、スキルを登録するショートカットキーだ。本作ではひとつの数字キーに最大4つまでのスキルを登録できる“縦型スキルスロット”が採用されている。
同じキーに登録したスキルは、そのキーを押すと登録した順番で発動する。つまり連続技になるスキルを4つ同じキーに登録しておけば、そのキーを連打しただけでスキルが続けて発動するわけだ。
初心者のために代表的なプリセット例が用意されているほか、1キーを2回、そこから2キーを3回押すなど、スキル登録の順番を工夫すれば、4つどころかもっと激しい連続技を組むこともできる。ショートカットキーの数がかなり多い昨今のMMORPGなどと比べると、使うキーの数が圧倒的に少ないのだ。
ゲームパッドや携帯ゲーム機など、PCのキーボードよりも限られたボタン数のコントローラーでのゲームプレイになじみがある日本のユーザーにはうれしい配慮だろう。
操作はしやすいながらもアクションは簡素ではなく、非常に派手で華麗。初期で使用可能の3キャラクターのアクションを実際に見せてもらったが、各キャラクターの一撃一撃に非常に重みを感じたり、逆に攻撃のくり出しかたに軽快さを感じたり。多彩なアクションの一端が垣間見えた。
手間や時間をかけずに短時間でパーティーを組めるマッチングシステムも用意され、ソロでもAIキャラクターを連れて戦闘を楽しめる。ほかに、家具などを自由に配置できるマイルームも用意。
キャラクターやビジュアルのみならず、ゲームシステムやアクションなどすべてにおいて、日本のゲーマーの心をくすぐる要素がない部分を探すほうが難しい『Soul Worker』。
筆者は日ごろからMMORPG、とくに海外産タイトルにはハマればとことんハマれる魅力があるものの、MMORPGをやったことがない人にどう勧めるべきかと、ハードルの高さを感じていた。今回の取材で『Soul Worker』のプレイの模様を見せてもらうと、この作品なら日本のあらゆる層のゲーマーに気兼ねなくオススメできるタイトルだと思えた。
秋には正式サービスが開始され、誰でもプレイできる機会がめぐってくる。日本人ゲーマーなら違和感なく没頭できそうなこのプレイで感覚を、みずから体感してみてほしい。