任天堂・宮本茂氏が、フランスのファンを前に新作を語る! 手塚卓志氏、阪口翼氏もサプライズ出演した激レアイベントリポート!【JAPAN EXPO】

2015年7月2日〜5日(現地時間)、フランス・パリにて、ゲームやアニメ、マンガを中心に日本文化を紹介する“JAPAN EXPO 2015”が開催中。2015年7月3日のICHIGOステージ(もっとも大きいメインステージ)では、任天堂 専務取締役の宮本茂氏によるステージ“Nintendo MASTERCLASS”が行われた。

●大勢のファンを前に宮本茂氏が生で語る!

 2015年7月2日〜5日(現地時間)、フランス・パリにて、ゲームやアニメ、マンガを中心に日本文化を紹介する“JAPAN EXPO 2015”が開催中。2015年7月3日のICHIGOステージ(もっとも大きいメインステージ)では、任天堂 専務取締役の宮本茂氏によるステージ“Nintendo MASTERCLASS”が行われた。宮本氏が登壇するということ以外は、いっさい謎に包まれていたステージだが、ステージの始まる前から長蛇の列ができるほどの人気ぶり。宮本氏のワールドワイドな人気の高さをうかがわせた。イベントの内容は、宮本氏が携わる新作のプレゼンテーションが中心ながら、『スーパーマリオメーカー』の紹介時には手塚卓志氏が、ステージ終盤には『Splatoon(スプラトゥーン)』の阪口翼氏がサプライズで登壇するなど、非常に豪華な内容になっていた。本記事では、そのステージのリポートをお届けする。なお、ゲーム画面の撮影は禁止だったため、一部わかりづらい部分もあるが、ご了承いただきたい。

 会場が暗転し、『ドンキーコング』や『スーパーマリオ』、『ピクミン』といった代表作、E3や『ゼルダの伝説』25周年コンサートへの出演時などをまとめた宮本氏のムービーが流れ出すと、会場中から興奮を抑えきれない歓声が(もっとも歓声が大きかったのは『ピクミン』のシーン!)。そして、ナレーションとともに、宮本氏が登場すると、観客は総立ちのスタンディングオベーションで迎える。

宮本茂氏(以下、宮本) これまでパリはあまり縁がなかったのですが、最近は身近な存在になっていました。というのも2年ほど前にルーヴル美術館で3DSが公式ガイドに使われて、僕がその開発を担当していたので、そのために何度もパリに来ていたんです。じつは、昨年のJAPAN EXPOに来ようと思っていたんですが、昨年は中止になってしまって、申し訳ございません。でも、今年は来れました。去年は制作途中だった『スターフォックス ZERO』もほとんど完成したので、詳しい話ができますし、今年は『スーパーマリオ』が生まれて30年になるんですね。(観客から大きな歓声)ありがとうございます。そんな年にJAPAN EXPOに来れたのはすごいことだなと思っています。(このイベントを)皆さんで楽しみましょう。

 挨拶を終えると、作品紹介の前に宮本氏が軽く仕事への印象について話し始める。

宮本 日本に生まれて、京都に住んで、京都でずっと仕事をしてきました。それが、こうしてパリに来て、パリの皆さんにこんなに注目していただけるとは、想像もできませんでした。最近は、仕事の上でもよくグローバリゼーションとか、国際的な感覚を身につけてとか、勉強すれば役に立つという言いかたをする人も多いんですが、僕は実際に仕事をしてみて、勉強して国際的な感覚を身につけるよりも、自分のいちばん中にあるものを、世界中の心にそれぞれ届けるということ、いかに共感してもらえるかということがいちばん大事だと思うようになりました。今回は、僕らが考えているもの、考えてきたものを皆さんに届けられるように紹介したいと思います。お楽しみください。

 ここで流れたのは、Wii U用ソフト『スターフォックス ゼロ』のムービー。ムービーが終わると、会場から大きな拍手が贈られる。厳密には異なるのだが、ここでは“E3 2015”バージョンのムービーを参考用に配置させていただく。

宮本 スーパーファミコンでどうしてもポリゴンのゲームが作りたくて、それでスーパーFXチップという特別なチップをカートリッジに載せて、誰にでも遊べるシューティングゲームを作ろうとしたんですね。それが、『スターフォックス』の始まりです。そのシューティングゲームに合わせて主人公を作ろうということで、いろいろ考えたんですが、僕が子どものころから動物の擬人化の絵を描いていたので、任天堂のデザイナーといろいろな動物の擬人化を試しました。そのいろいろなイラストの中にキツネの絵があって、それがすごくいいなと思ったんですよね。シューティングゲームのパイロットにいいなと。そのキツネを中心にいろいろな仲間を作って、なんならパペットショーでもやろうかという感じに、動物を並べていきました。キツネがいいなと思った大きな理由があります。近くに伏見稲荷という神社があって。この神社のお使いがキツネなんですよ。『スターフォックス』は飛びながら何かを潜ったりしますよね。神社も鳥居がいくつもあって、このゲートを潜っていくイメージもピッタリだなと思って、『スターフォックス』というタイトルにしたんです。僕らの街には、“稲荷フォックス”という野球チームがあったり、キツネがすごく身近な存在なんですね。JAPAN EXPOの京都ブースにも鳥居の写真がありましたね。いま、外国人の観光客から人気ナンバーワンのスポットになったらしいんですよ。これ、『スターフォックス』が有名にしたわけじゃないんですけどね(笑)。

宮本 『スターフォックス』は、アクションアドベンチャータイプの『スターフォックスアドベンチャー』を作ってもらったり(『スターフォックスアドベンチャー』の開発はレア社が担当)と、いろいろと作ってきたんですが、今回は2画面で作るシステムを考えたんですね。上の画面を演出や全体を映すものにして、下のWii U GamePadの画面でコクピット視点を映して、全体を把握するために上の画面を見たり、コクピット画面で敵を狙ったりといった遊びを考えて試作していたところ、「これは『スターフォックス』にちょうどいいぞ」って思ったんですよ。この2画面の遊びは、ユーザーさんにとっても初めての体験になるので、わかりやすいほうがいいだろうと、『スターフォックス64』をベースに作っています。ただ、リメイクではなく、同じ地名や同じキャラクターは登場しますが、コースの内容などはすべて新しくしているので、新しい体験ができます。

宮本 タイトルについては、『スターフォックス64』をベースにしているので、『スターフォックス』でいう“6”とか“7”ではなく、“ゼロ”がふさわしいかなと思って、このタイトルにしました。“ゼロ”というのは、日本で作っているわけだから、絶対漢字にしようと思って、漢字の“零”をロゴに入れたんです。今回、シリーズとしては、『スターフォックス64』以来、久しぶりに自分がディレクターに近い立場でやっています。

宮本 今度はアーウィン(フォックスたちが乗る戦闘機)が、ウォーカーという歩行タイプのロボットに変形するんですね。以前、初代『スターフォックス』の発売後に、スーパーファミコンで“スターフォックス2”というゲームを作っていて、ほぼ完成していたんですが、どんどんまわりの技術が進化して、ハードウェアが新しくなっていたので、いまさらカートリッジにチップを積むのも古いだろうと、ペンディングにしていたんです。その“スターフォックス2”にウォーカーが出てきていたんです。このウォーカーを使うと、着陸して建物に入ったりと、いろいろな組み合わせの冒険ができるんです。アーウィンからの変形も、キレイに変わるんですよ。これ、いっしょに開発を担当しているプラチナゲームズがアートと合わせて全部作ってくれているんですが、彼らが、すごく苦労して、同じモデルできっちり変形するように作ってくれました(プラチナゲームズの名前に、観客から歓声が挙がる)。ウォーカーは、ダチョウなどの鳥のイメージですね。地上へ降りるときに、パタパタパタと羽ばたくんですよ。では、実際にゲームを見てもらいながら説明しましょうか。

 実機のゲームプレイに。このイベントでのROMは、試遊台などで出展されているバージョンではなく、オープニングから遊べる最新のバージョンを持ってきたとのことだ。

宮本 Wii U GamePadを使うと、演出が入っているときも周囲を見渡せるんですね。いま、これは飛び立つ前のオープニング部分ですが、仲間がまわりを飛んでいて、それぞれをロックオンすると、仲間たちのセリフが聞けます。そして、降り立つのはおなじみのコーネリアですが、新しくなっています。いままでの『スターフォックス』は飛んでいる方向にしか攻撃できませんでしたが、ジャイロを使うことで飛んでいない方向も狙えるようになりました。操作は2本のスティックを使って移動しながら加速したり、宙返りしたりできます。撃つのはRボタンだけなので、かなりシンプルに遊べるようになっています。あと、僕らがこだわったポイントとして、ふたつの画面、どちらも60fpsで動くようにしているんです。

宮本 このステージでは、本来はウォーカーに変形できないんですが、一度クリアーすると、本来は変形できないステージでもウォーカーに変身できるようになります。違う性能を持つ、新しいビークル(乗り物)で挑むと、同じステージでも新鮮な体験ができます。いま、横に扉がありましたよね。あれは、きっと分岐ができるんです。そして、いままた敵がふさいでいるので、横にそれようとしています。これで、ひとつのフェーズが終わりましたが、フェースは2、3個でひとつのステージになっています。

宮本 ここのフェーズ2では、オールレンジモード、360度飛び回れるステージになりますが、コクピット画面で敵をロックオンして狙っていきます。デモシーンが始まりました。ストライダーという歩行型の敵が登場してきますが、このデモシーンのあいだも、コクピット視点を使えば、操縦ができます。ストライダーが中央のタワーを上らないように防ぐのが目的になりますが、ストライダーを倒す方法はいろいろあって……。ここで、ウォーカーになりましょうか。パタパタパタって。ストライダーは頭が弱点なので、上空を飛びながら下を狙って撃つとか、ウォーカーで浮かびながら狙う必要があるんです。敵がタワーに上ってくると、ZRボタンで注目をすると、ラジコン操作のように狙いやすくなります。

宮本 フェーズ2が終わりまして、ボスが出てきます。『スターフォックス』のボスは前にいて、だいたい正面から撃ち合いをするんですが、今回は実際に動くボスに対して、裏側に回ったり、下側に回ったりと、立体的な攻めかたができます。撃ってくる弾をかわしながら攻撃するというのは、ふたつの画面だとやりやすくなっています。ミサイルを撃ってきたりするんですが、ミサイルが追いかけてくるのが自分で見えますからね。宙返りをして、GamePadの画面でミサイルを見たりできます(ボスを倒して、ゲームの実機プレイ終了)。

宮本 このゲームはふたつの画面を使い分ける戦略を見つけるのが楽しいので、基本的にはふたつの画面を使うんですね。ですが、GamePadのマイナスボタンを押すと、テレビの画面にコクピット画面を映し出せるので、ゲームが把握できたら、大画面をコクピットにして、コクピット画面だけで遊ぶということもできます。

宮本 ちょっと新しい部分を見せます。ランドマスターという戦車タイプのビークルがありますが、映像にあったように、今回がランドマスターも変形して、フライングタンクになります。そのランドマスターで遊ぶタイタニアというステージも新しくなっていますので、見てください。

 ランドマスターが砂漠のステージで進む映像が映し出される。巨大な岩のようなオブジェがつぎつぎと飛来してくるので、それを避けながら進んでいく。蛇のようなボスが登場し、花弁を開くように頭が割れると、中央から赤いレーザーがランドマスターへ向かう。ランドマスターはレーザーにつかまり、釣り上げられるような状態に。

宮本 このボスは、プラチナゲームズがデザインした新しいボスです。これは、飛んでいるんじゃなく、釣り上げられているんですね。自分が釣り上げられていてもコクピットでは敵が見えるので、そこで攻略します。こういうシネマティックなシーンと、実際に自分が入って遊ぶシーンが盛りだくさんになっています。

宮本 いくつかのビークルがあって、ひとつのステージを複数のビークルで遊ぶ仕組みなんですが……。新しいビークルを見てみましょう。ジャイロウイングという、ヘリコプタータイプのビークルですね。ふたつの画面を使って遊んでいると、高いところに上って、GamePadの画面で地上を見たりと、ゆっくり進みながら景色が見られます。これは変形はしませんが、お腹からダイレクトアイというロボットが出てきます。ダイレクトアイでまわりを見渡して、狭いところに入ったりできるんです。ファミコンロボットに似ていますね(笑)。ダイレクトアイでコンピューターにアクセスして、いろいろできるんです。サーチライトを止めたり、ジャイロウイングに荷物をぶら下げて敵の上から落としたりできます。ジャイロウイングから垂れているケーブルの範囲内をウロウロできるんです。ダイレクトアイを下ろして上を見ると、飛んでいるジャイロウイングが見えて、ちょっと怖いという(笑)。こういうゆっくりした、探索型のステージが好きな人もいると思うので、そういう方も楽しんでもらえると思います。