吉田氏の自宅に『牙狼<GARO』! それは……
『牙狼<GARO>』とは、映像作家の雨宮慶太氏が手掛ける特撮ドラマシリーズ。この世の闇に潜む魔物“ホラー”と戦う、魔戒騎士と呼ばれるヒーローの活躍を描く作品群だ。2005年に第一弾がテレビ東京系列で放映され、重厚なストーリーや、テレビでは観ることのできないようなアクション、そして雨宮ワールド全開の造形美で多くのファンを獲得し、続編や劇場版など、現在までに多数のシリーズが制作されている。
そのファンが集うトークイベント“GARO CREATOR'S kNight 番外編”が6月26日に東京・新宿ロフトプラスワンで催され、シリーズの大ファンだと公言する『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)のプロデューサー兼ディレクター、吉田直樹氏がゲストで出演したのだ。トークでは『牙狼<GARO>』シリーズの制作にまつわる裏話を始め、『FFXIV』との関係性、さまざまなゲームの話題が語られた。ここではその模様を、吉田氏関連の話題を中心にまとめる。
また、じつはこのイベント直前に雨宮氏と吉田氏へのインタビューを収録。追ってご覧に入れよう。
お題:キャラクターの造形に関わる苦労話
雨宮慶太氏(以下、雨宮) 『牙狼<GARO>』の場合は、実際に現場にある(アクション)スーツを始めとする作り物と、現場にないCGがあるので、それぞれででしかできない、なるべく違うものを作っています。
吉田直樹氏(以下、吉田) 『FFXIV』のキャラクターは、開発チームが作った演出だけで動きが完結するものではなく、プレイヤーさんが動かすもの。ゴツい鎧などを着て腕を曲げたときに、どうしてもポリゴンが食い合うことがあるのですが、プレイヤーの皆さんに「これはバグです」と言われるんです。ご自身のキャラクターはかわいいものですから、ポリゴンが削れてほしくないのは当然ですよね。ヘルムをかぶったときに髪の毛が見えていてほしいというご要望もありました。
雨宮 その点、『牙狼<GARO>』なら、見えてほしくないものがあるときは、カメラアングルを変えればいいのでね。
吉田 CGで造形するときに、こだわっていることはありますか?
雨宮 スーツでは実現できないことにこだわりますね。あとはスーツを着てワイヤーアクションをするとなると、ワンシーンを撮るのに2~3日はかかるので、俳優さんのスケジュールとの調整がたいへんなので、そういうところはCGでやりますね。
(同じ話題が竹谷氏に振られる)
竹谷隆之氏(以下、竹谷) (造形物のテーマは自分が決めるわけではないので、)雨宮さんが描いたイラストを見て、「こうしてほしいのだろうな」ということを理解しながら作っていきますね。
雨宮 俺のデザインは竹谷にしか作れない。(ほかの相手だと)「何が描いてあるかわからない」と言われることもあります。
竹谷 解釈が違ったときには、ちゃんと「違う」と言ってくださるのでわかりやすいですね。
お題:ゲーム
雨宮 ゲームは毎日します。遊んだゲームはたくさんありますが、いちばん思い入れ深いのはファミコンの『マイティボンジャック』ですね。当時、絵が描けなくなって医者に行ったら「腱鞘炎だ」と言われました。『マイティボンジャック』って、ボタンを連打するゲームなんですよ。それが原因でした(笑)。最近は『スカイリム』や『Fallout』などの洋ゲーもしますね。『シェンムー3』も気になります。竹谷は、『ネクタリス』(PCエンジン)が大好きで、自宅まで造形物のチェックに行くと、俺を待たせるときにやらされるんですよ。待っている俺がルールを覚えた頃合いにやってきて「対戦しましょうか」と言うくらい。誕生日やクリスマスにプレゼントをくれたことがない彼だけど、『ネクタリス』だけはくれました(笑)。
吉田 ヘックスで仕切られた月面で二手に分かれて戦うシミュレーションゲームですね。
竹谷 最近はゲーム機を持っていないんですよね。今度プレイステーション4を買おうかなと。
藤田玲氏(以下、藤田) そのときはぜひ『FFXIV』を!
吉田 うちの開発室は、竹谷さんのフィギュアだらけですよ。……あれ、あんまりうれしそうじゃない。
竹谷 ……。
雨宮 いや、いま、めっちゃうれしそう。俺にはわかる。
(吉田氏、藤田氏に話題が振られる)
吉田 最初はファミコンの『マリオブラザーズ』でした。あのゲームは、ひとりで遊ぶのと友だちと遊ぶのではゲームがまったく変わる。それが衝撃的で。友だちと遊ぶと、コントローラーを置いてケンカ(笑)。あのゲームで「ゲームで食っていく」と決めていっさい勉強しなくなりました(笑)。『スーパーマリオブラザーズ』じゃないのが世代的に古いんですが。
藤田 ニンテンドウ64版の『スマブラ』です。僕がすごく覚えているのは、お正月に雨宮監督の息子さんとゲームキューブ版の『スマブラ』をやらせていただいたこと。監督に「お年玉やるけど、その代わりに息子を倒せ」と言われて。当時小学生だった息子さんが超強いのに、僕に気を遣って負けてくれたんですよね……。いい子だ……。
(話題が『FFXIV』に及んで)
雨宮 吉田さんは神と呼ばれているんですよ。『FFXIV』を一度壊して作り直した。それが皆さんに支持されているんでしょう?
吉田 『旧FFXIV』の評判がよくなく、自分が引き継いで作り直すときに、(終わらせる過程を)シナリオにしたほうがおもしろいと思ったんですね。月がちょっとずつ世界に近づいてきて、最後にバハムートが出てきて世界を壊す、というのを2年かけてやりました。
藤田 バハムートといえば、大迷宮バハムートはたくさんやりました。黒魔道士の胴装備が欲しくてめちゃくちゃ回っていたのに、竜騎士の装備しか出ないんですよ!
吉田 それは竜騎士をやれということですよ(笑)。
『FFXIV』はこんなにも『牙狼<GARO』をリスペクトしている!?
吉田氏が『牙狼<GARO>』に惹かれる大きな理由のひとつは、派手なアクション。第1シリーズを観たときに、同じ作り手としてアクションへの強いこだわりを感じたという。と同時に、雨宮氏が生み出す造形物のデザインにも魅力を感じているため、『FFXIV』に数多くの『牙狼<GARO>』リスペクトが見られるのだ。
◆リスペクトポイント
・『牙狼<GARO>』7話のアクションシーンに登場した屋敷の階段が、フリーカンパニーハウスの構造にそっくり。
・ガイウスの二つ名が“漆黒の王狼”。しかも、甲冑が金色になるシーンがある。金色のガイウスを見て『牙狼<GARO>』ファン中心の会場は大いに沸いた。「ここまでやったら、剣を回してほしかった」(雨宮氏)、「シナリオ担当の発注では、そう書いてあったんですが、さすがに……」(吉田氏)。聞けばシナリオの前廣和豊氏も『牙狼<GARO>』の大ファン。
・PvP装備であるライオンズメインは、まさしく……! 『FFXIV』プレイヤーで『牙狼<GARO>』を知っている人には、“牙狼装備”と呼ばれているほど。ミコッテが牙狼装備に変身するこの動画は、イベントのために吉田氏みずからが撮影したとのこと。
・アシエンは『牙狼<GARO>〜MAKAISENKI〜』に登場するシグマが元ネタ? という藤田氏の指摘に、会場の前廣氏がペコリ。吉田氏は、「探すと、ぼろぼろ出てくるから!」と笑いながら牽制。
『FFXIV』と『牙狼<GARO』がコラボ?
週刊ファミ通のクリエイターインタビューで、吉田氏が2年連続で好きな作品として『牙狼<GARO>』を挙げていたのを見て、本当に作品を愛してくれていると感じたという雨宮氏。ライオンズメインの動画を見た藤田氏が、「『FFXIV』に牙狼の乗る魔導馬“轟天”のマウントも欲しい」と語った発言もあり、吉田氏への感謝の気持ちとして、「『牙狼<GARO>』に登場するものを使っていいと言うしかない」と述べ、急遽コラボ話が持ち上がった。「『牙狼<GARO>』の敵、ホラーとして出演してみては」と問われた吉田氏は、「陰我(因果)にまみれたゲームを開発ですかね(笑)」とコメント。すると雨宮氏が、“吉田氏を救うにはゲームをクリアーしなくてはいけない”という設定を提案。藤田氏演じる零が、ゲーム機を前に鋼牙(牙狼)にゲームを教えるというのはどうか、と盛り上がった。
最後にお知らせなど
藤田 お酒を飲みながら、皆さんとゲームやフィギュアの話ができて楽しかったです。ぜひ皆さん、『FFXIV』をいっしょにプレイしましょう! これからも『牙狼<GARO>』と『FFXIV』、そして竹谷さんをよろしくお願いします。
竹谷 本当に楽しかったです。また呼んでください。最後に、藤田さんをよろしくお願いします(笑)。
吉田 観ていない人は、本当に損だと思うので、初代『牙狼<GARO>』からぜひ観てみてください。2~3ヵ月はそれで生きていけますから! 観たうえで『FFXIV』を楽しんでいただければと。僕は単なる『牙狼<GARO>』ファンなんですが、今日は『牙狼<GARO>』と『FFXIV』、それぞれのファンによさをお伝えすることができたかと思います。
雨宮 うれしいのは10年やっていて、応援してくれるクリエイターさんに知り合えること。皆さんもぜひ知り合いで『牙狼<GARO>』の好きなクリエイターさんがいたら教えてください(笑)。どんどんコラボしていきますので。
と、締めくくりに出演者が述べ、イベントは終了。『FFXIV』ファンと『牙狼<GARO>』ファンがお互いの結びつきを感じたひとときとなった。最後に『FFXIV』と『牙狼<GARO>』シリーズの近々のお知らせを掲載しよう。
またイベント終了後、観客席で楽しんでいたメインシナリオライターの前廣和豊氏を直撃。前廣氏も『牙狼<GARO>』のファンで、吉田氏とこっそり劇場版を観に行ったときに、吉田氏が劇場のスタッフに「吉田さんですよね? 『蒼天のイシュガルド』楽しみにしています!」と声をかけられたエピソードを明かしてくれた。
◆『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』のお知らせ
・『FF』のテーマのピアノ演奏と『FFXIV』のSEで構成されたテレビCM、“Eorzea Shmphony”のセットが6月28日(日)までお台場シネマメディアージュにてディスプレイ中(リポート記事はこちら)。27日(土)と28日(日)には、サウンドディレクターの祖堅正慶氏が、再度ピアノの演奏を行う予定だという。ゲリラライブなので、会えたらラッキー!
◆『牙狼<GARO>』のお知らせ
・『牙狼<GARO>-魔戒ノ花-』の人気キャラクター“媚空”を主人公に迎えた最新作、『劇場版「媚空」』が2015年11月に新宿バルト9ほか、全国ロードショー!
原作・総監督:雨宮慶太
出演:秋元才加、須賀健太、浅倉えりか、伊藤かずえ、ミッキー・カーチス、佐野史郎
・シリーズ10周年を記念第一弾ムック本『牙狼<GARO> ぴあ 10th Anniversary book(仮)』2015年秋発売決定。
・テレビシリーズ『牙狼<GARO>-GOLD STORM-翔』がテレビ東京にて毎週金曜日25時23分から放送中。
(各地方テレビ東京系列、BBS10ch・スターチャンネル(無料)、CS・ファミリー劇場でも視聴可能)
(ニコニコ生放送にて毎週金曜日24時30分からおっかけ配信中)
・奥井雅美氏、雨宮慶太氏、影山ヒロノブ氏らが“team GAJARI(チームガジャリ)”としてプロデュースに参加する“魔戒歌劇団”が、『牙狼<GARO>-GOLD STORM-翔』の後半EDテーマ曲を担当することが決定。8月19日に2ndシングルとして発売。
・『牙狼<GARO>-GOLD STORM-翔』のBD・DVD発売決定
[劇場版] 2015年9月2日発売
[TVシリーズ]BOX1 2015年10月2日発売 BOX2 2015年11月4日発売
(1)特典
COMPLETE BOXには、雨宮監督による描きおろしBOX、応募券、サウンドトラックなど豪華特典が満載。メイキングやオーディオコメンタリーもある。
(2)スペシャルキャンペーン決定
■購入者イベント開催決定
劇場版セル商品いずれか+TVシリーズBOX(1)の計2商品購入で購入者イベントに応募可能。(2015年12月開催予定)
■上記2商品+TVシリーズBOX(2)の計3商品購入で豪華GARO商品をプレゼント。
・『牙狼<GARO>-GOLD STORM-翔』トークショー&前半一挙オールナイト上映イベント開催決定
日程:7月19日(日)/劇場:新宿バルト9/
詳細は公式HP“GARO PROJECT” にて近日発表