『DARK SOULS III(ダークソウルIII)』ディレクターの宮崎英高氏インタビュー完全版を公開!

話題騒然のシリーズ最新作『DARK SOULS III(ダークソウルIII)』。週刊ファミ通2015年7月2日号に掲載した、ディレクターを務めるフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏へのインタビュー、その完全版を公開する。

●未公開部分を含めたインタビュー完全版を公開

 既報の通り、PS4、XB One、PC向けに2016年初頭発売予定の『DARK SOULS(ダークソウル)』(以下、『ダークソウル』)シリーズの最新作、『DARK SOULS III(ダークソウルIII)』(以下、『III』)。もちろん、開発を手掛けるのはフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏だ。1作目となる『ダークソウル』でディレクターを務め、『ダークソウルII』ではスーパーバイザーを担当した氏が、本作で改めてディレクターとして参加する。フロム・ソフトウェアが挑戦する新しい『ダークソウル』とは、どのようなゲームになるのか? その思いを、宮崎氏に訊いた。

※本インタビューは、週刊ファミ通2015年7月2日号に掲載したものに加筆・編集を行った完全版です。

▲宮崎英高氏(文中は宮崎)
 フロム・ソフトウェア代表取締役。ディレクター・プロデューサーとして『Demon's Souls(デモンズソウル)』や『ダークソウル』、『Bloodborne(ブラッドボーン)』などを手掛ける。

●『II』とは明確に関わり方が違います

――『ダークソウル』シリーズとしては第3作目となる『III』ですが、開発はいつごろから始まったのでしょうか?
宮崎英高氏(以下、宮崎) プロトタイプまで含めると、開発開始は2年ほど前ですね。

――そうなると、宮崎さんがディレクターを務めた『Bloodborne(ブラッドボーン)』(以下、『ブラッドボーン』)と重なりますね。
宮崎 はい。1年半ほどは重なっています。『III』については、当初は別のディレクターで開発が進められていたのですが、プロトタイプの終盤から私も開発に参加しました。『ブラッドボーン』のディレクター業と並行する形でしたので、元のディレクターにもそのまま残ってもらって、『III』はディレクター2名の体制となっています。

――前作の『ダークソウルII』では、ディレクションを谷村さん(谷村唯氏)が行い、宮崎さんはスーパーバイザーという立場でしたが、本格的にディレクターとしてシリーズに復活されることになるのでしょうか。
宮崎 そうですね。『III』ではディレクターとして参加しており、スーパーバイザーであった『II』とは明確に関わり方が違います。1作目となる『ダークソウル』と同じように、ゲームのコンセプト、アートやレベルデザインなどディレクションしていますね。

――『ブラッドボーン』の発売を前に、宮崎さんはフロム・ソフトウェアの社長にも就任されましたよね。非常に密度の濃い状況となりましたが、実際、たいへんではありませんか?
宮崎 そうですね。実際かなり忙しかったですし、いまも忙しいです。これは私が社長になる前の話ですが、『III』への参加依頼があったときもかなり驚きました。ですが、何より『ダークソウル』というタイトルに思い入れもありましたし、元のディレクターも残り、プロデューサーも別に立ててもらえるという話でした。また、『ブラッドボーン』のほうでも、ディレクタークラスの人材にサポートしてもらえるということで、最終的に引き受けました。プロジェクト参加のタイミングなど含め、感覚としては『Demon's Souls(デモンズソウル)』と『アーマード・コア フォーアンサー』をディレクションしていた時期に似ていましたが、サポートは厚くしてもらえて助かりました。まあ、その後で社長の話があったときには、さすがに“本気か?”とは思いましたけどね。予想外すぎました。

――それは心中をお察しします(笑)。そんな状況でリリースされた『ブラッドボーン』ですが、仕掛け武器やリゲインなど、新しい挑戦にいろいろ挑戦されました。そこで得た反響や経験などが、本作に与えた影響は?
宮崎 今回は『ブラッドボーン』について話す場ではないと思いますが、当然影響はあります。直接的な影響というよりは、経験なり知見なりの蓄積として、ですが。特に『ブラッドボーン』は、我々としてはPS4世代初のタイトルでしたから、開発経験はとても大きいものでした。

●物語としては英雄譚を意識しています

――それでは、より具体的に『III』の内容をお聞きしたいと思います。まずは、『III』で描かれる世界設定、作品のテーマをお聞かせください。
宮崎 世界観でいえば、『III』は終末、あるいは滅びの色が濃くなっていますね。それはただ暗いものではなくて、たとえば今回公開されたスクリーンショットに見られる、色褪せた太陽のイメージのような、枯れた美しさというか、そういった終末、滅びのニュアンスを重視しています。そして、そうした世界の中で、物語としては英雄譚を意識しています。『ダークソウル』の象徴的英雄である“薪の王”を巡る物語です。E3 公開されたプリレンダムービーの最後に、燻る巨人の王が彼方に叫ぶシーンがあったかと思うのですが、あれが「かつて火を継いだ薪の王たちが蘇る」イメージですね。

――1作目のラストの分岐のひとつに、主人公が“薪の王グウィン”の火を継ぐといったものがありましたね。トレーラーに登場する王は、第1作の主人公のように火を継いでいった幾世代か後の王たち、ということですか?
宮崎 そうですね。あくまでも観念的というか、適当なことを言うと(笑)、『ダークソウル』が神殺しの物語であれば、今回の『III』は王殺しの物語である、といったイメージがあります。

――薪の王たちが登場するということは、世界観的には『ダークソウル』の1作目や『II』と地続きになるのですね。ちなみに時系列で見ると、本作は『II』の前の話になりますか?
宮崎 いいえ。時系列としては『II』の後の話として考えています。もっとも、世界観が地続きであるとはいえ、前作や前々作のプレイを前提としたものではありません。そうした意味では『II』とスタンスは同じですね。

――もうちょっと、具体的な部分をお聞きしたいのですが、物語とは別に『ダークソウル』のベーシックな部分……たとえば、篝火やエスト瓶、拠点の存在、拠点にいる火防女、あるいはヒロイン的な女性、誓約、ゆるくつながるマルチプレイなどに、大きな変化はありませんか?
宮崎 シリーズの持つ基本的なコンセプト、それは「達成感のための手ごたえある難易度」であるとか、独特のオンラインプレイであるとかは、しっかりと継承しています。象徴的なモチーフ、篝火やエスト瓶、あるいは誓約などについても同様ですね。ただ、いくつかの要素については、引き継いだうえで進化なり、深化なり、修正なり、調整なりを加えています。

――『II』で大きく進化した機能的な部分、篝火でのワープや膨大に増えたアイテムの種類などは?
宮崎 『II』で進化した、便利になった部分は基本的に引き継いでいます。たとえば、武器や指輪の装備数、篝火でのワープの扱いなどがそうですし、ジャンプの操作も選択できる『II』方式です。

――マルチプレイは『II』で大きく変わりましたが、本作ではどうなるのでしょうか?
宮崎 詳細は続報になると思いますが、『III』のコンセプトと世界観に合わせて調整、整理しています。もちろん、専用のゲームサーバーも用意します。

●戦術性とロールプレイを豊かにしていくアプローチです

――ストーリーや探索とともにシリーズの大きな魅力に、“剣戟アクション”がありますよね。
宮崎 剣戟アクションは、『III』のポイントのひとつです。剣戟アクションを構成する諸々の要素、武器種別やアイテムについて、あくまでもシリーズらしい剣戟アクションを崩さないよう注意しながらですが、戦術やキャラクタービルドの幅を広げ、またロールプレイに貢献するような、新しいアクション要素を追加していっています。たとえば、弓については、ショートボウとロングボウを差別化するため、ショートボウに速射の概念を採用しようとしています。ロングボウは、いままで通りしっかり構えて強く射るイメージですが、ショートボウはもっと攻防の中で、ローリングやステップからスムーズに繋げて射ることができるイメージですね。こうすることで、ロングボウにはロングボウなりの、ショートボウにはショートボウなりの、戦術性なりロールプレイイメージなりが生まれてくれれば、ということです。

――なるほど。ロールプレイの没入度が変わりますね。
宮崎 また別の例でいえば、特大剣であれば、全力で踏み込むような攻撃準備モーションを可能とし、肉を切らせて骨を断つというか、相打ち上等で重い一撃を叩き込んでいくといったような戦い方ができるよう調整しています。ショートボウであれ特大剣であれ、概念としては1作目からあったものですが、それらをより特徴づけ、戦術性とロールプレイを豊かにしていく、というアプローチですね。過去作と同じ武器種であっても、また新しい発見と使う楽しさがあるものになればと思います。

――アクションのスピードはどうなりますか?
宮崎 あくまでも武器や攻撃の重さは残しながら、ということになりますが、前作、前々作より若干速く、また直感的に動かせるように調整しています。関連して、『II』で採用された敏捷の概念などは、今作では採用しないと思います。パラメータを上げるまではアクションに少しストレスがある、というのが、『III』の調整の方向性には合致しないという判断ですね。

――敵との戦いがより深く、納得がいくものになりそうです。
宮崎 そうなってくれるとうれしいですね。敵について言えば、『III』では“騎士が騎士としてしっかり強い”といった方向性、難易度を考えています。単騎でも出会えば緊張し、死を覚悟するような強敵としての騎士ですね。そうした強敵に挑むためにも、操作性は必要であると思っています。どう挑むかという戦術の幅も同様ですね。

――全体的なボリュームはどのくらいになりそうですか?
宮崎 マップの数は『II』よりは少なくなると思いますが、各マップのスケール感は大きく増していると思います。

●達成感のある濃い『ダークソウル』をお届けできれば

――気が早いですが、現在の進行状況を教えていただけますか?
宮崎 少し前にα版が終わり、データ量産が一旦終わった段階ですね。もろもろの調整とクオリティーアップ、足りないデータの追加、バグ修正、といった流れが始まっています。少し前に『ブラッドボーン』が発売されましたし、『II』の開発も終了して、ディレクターの谷村をはじめ、何人かのスタッフも合流してくれましたから、いまから正に勝負所、といったところですね。特に谷村が参加してくれたのは大きくて、『II』の経験やノウハウなど、正しく『III』にフィードバックできそうです。監修という形は除いて、彼といっしょに仕事をするのは初めてなのですが、よい協働ができていると思いますよ。

――本作はシリーズ3部作の最後というような、特別な位置づけの作品になると意識されているのでしょうか?
宮崎 明確にそういった位置づけはありません。ありませんが、私自身はひとつの区切りとして捉えています。というのも、これはユーザーさんには直接関係のない話で恐縮なのですが、『III』は、私が社長になり、フロム・ソフトウェアが新しい体制になる前に企画され、制作されていた、最後のゲームのひとつなんです。当然、すでに新しい体制下での新しいプロジェクトの仕込みは始まっているのですが、そこによい流れを繋げていくためにも、我々にとって『III』はひとつの区切りですし、だからこそこれを価値ある、おもしろいゲームにしたいと強く思っているんです。

――最後に、楽しみにしている世界中のファンへメッセージをお願いします。
宮崎 シンプルで申し訳ないのですが、是非ご期待ください、ということになりますね。シリーズ初のPS4/XboxOne世代専用タイトルということで、マップのスケール感、空気感などは大きく向上していますし、今回お話しした剣戟アクションや、まだお話しできない部分含め、また新しく、達成感のある、濃い『ダークソウル』をお届けできればと思っています。



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※画面は開発中のものです。