あのお騒がせゲームに待望のDLCが登場

 昨年(2014年)、何かとインディー界を賑わせた『Goat Simulator』。ヤギになって暴れ回るという斬新なコンセプトや、あえてバグを放置するという背水の陣ともいえる戦略で、B級タイトル好きゲーマーの心を鷲づかみにしたタイトルだ。つい先日はXbox 360/Xbox Oneでもリリースされ、いまだ話題にはことかかない。

 そんな『Goat Simulator』に、待望(?)の新DLC『GoatZ』が登場。今度はゾンビ化したヤギで暴れ回れるというワケだ。現在はPC/Mac/Linux向けにリリースされているほか、iOS/Androidでも配信中(こちらは単体のアプリ)。さっそくWindows版を遊んでみたので、どんなカオスっぷりに仕上がっているのか、インプレッションをお届けしよう。

ゾンビになってウ○コしまくれ!

 まずは本編をざっくりとおさらい。本作は『Goat Simulator』という名称だが、中身は純粋なアクションゲーム。ヤギとなって街の中で暴れ回りつつ、スコアを稼いだり、クエストの達成を目指したりと、わりと自由に遊べるゲームだ。くわしくは“とっておきインディー”の紹介記事や、Xbox One版のインプレッションを参照していただきたい。

 さて本題の『GoatZ』だが、こちらを導入すると“Goat Z - Before Outbreak”と“Goat Z - After Outbreak”の、ふたつのマップが追加される。『Goat Simulator』はマップによってゲームシステムが変化するシステムのため、ふたつの新モードが追加されたという認識でも問題ない。まずは"Goat Z - Before Outbreak"から紹介していこう。

今度はヤギがゾンビになった!? 『Goat Simulator』の新DLC『GoatZ』インプレッション_01
今度はヤギがゾンビになった!? 『Goat Simulator』の新DLC『GoatZ』インプレッション_02
▲『Goat Simulator』本編。ヤギになって暴れたり爆破で吹き飛んだりするゲームだ。Windows版も、いつの間にか日本語に対応していた。
▲『GoatZ』を導入すると新マップがふたつ選択できるようになる。ゲームルールも変わるため、新モードといっても差し支えない。

 “Goat Z - Before Outbreak”は、ヤギがゾンビとなって墓場から復活したところからゲームがスタート。基本的には『Goat Simulator』本編に近く、街を我が物顔で暴れ回る爽快アクションが楽しめる。壁に近づくとヤギの頭がありえない感じで曲がったり、建物にめり込んじゃったり、爆発で空高く吹き飛んだりと、『Goat Simulator』ならではの楽しさは本編譲りだ。クエストや収集アイテムといった要素も新しいものが追加されているため、このモードは“『Goat Simulator』の新マップ”という気分で楽しめる。

 注目したいのは、新アクションの“ゾンビ化するガスをまき散らす”。このガスを使って人間を数人ゾンビにするとゾンビアウトブレイクが発生し、“Goat Z - After Outbreak”へとモードが切り替わる仕組みだ。モード切り替えのトリガーとなるアクションのため、何人ゾンビ化できるかチャレンジ、なんて遊びかたが楽しめないのはちょっと残念。“Goat Z - Before Outbreak”モードで遊び続けたい場合は、人間をゾンビ化させずに探索なり破壊活動なりを楽しむといいだろう。

今度はヤギがゾンビになった!? 『Goat Simulator』の新DLC『GoatZ』インプレッション_03
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▲ミニゲームやクエスト、アイテム収集といった要素も新しいものが用意されている。“判事をアッと言わせろ”ほか、何をすればいいのか見当もつかないクエスト目的も健在だ。
▲マップは新作のため、探索するだけでも楽しめる。どこかで見かけたような建築物をはじめ、パロディ要素も多彩だ。

 個人的に気に入ったのは、(たぶん)新アクションの“フンをする”だ。ある場所に行くと解禁されるこのアクションは、その名の通り、ボタンを押すとヤギのお尻から小さくて茶色い物体がコロコロと転がり落ち、どこでも気軽に脱糞を楽しめる。

 このアクションの特徴は、発動ボタンが標準状態でほかのアクションとかぶっていることだ。筆者はXbox 360用コントローラーをPCに接続して遊んでいるのだが、自転車やクルマに乗ろうとYボタンを押すと、フンをコロコロ。今回より新たに追加されたクラフトレシピを見ようとボタンを押すと、やっぱりフンをコロコロ……と、ものすごく考えられたボタン配置となっている。物議をかもし出したヤギの挙動と相まって、本編よりもさらにカオスなヤギライフを楽しめることは疑いの余地がない。悪ふざけもここまで突き抜ければ芸術たりえる、ということを証明してくれた。

今度はヤギがゾンビになった!? 『Goat Simulator』の新DLC『GoatZ』インプレッション_05
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▲ある場所へ行くと、“フンをする”アクションが解禁。心ゆくまで脱糞する快感を楽しめる。
▲死体のような体勢で高速に水面を泳ぎながらフンをする天使のゾンビヤギ、なんてよくわからないシチュエーションを楽しめるのも本作ならでは。

ゾンビヤギで本格的なサバイバルライフ!

 もうひとつの“Goat Z - After Outbreak”モードは、『GoatZ』の本命ともいえるゲームモード。ゾンビ化したヤギとなって、ゾンビまみれの街で(ゾンビなのに)生き抜くという、なんだか矛盾したような状況を楽しめる。アクションやゲームシステムがこれまでとはガラッと変わっており、まったく新しい『Goat Simulator』が楽しめると言っても過言ではないだろう。

 このモード最大の特徴は、空腹度と体力の概念が追加されること。これまでの『Goat Simulator』は無敵のヤギで暴れ回るゲームだったが、ここに来て急に本格的なサバイバルを楽しめるようになったワケだ。

今度はヤギがゾンビになった!? 『Goat Simulator』の新DLC『GoatZ』インプレッション_07
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▲“Goat Z - Before Outbreak”で人間を数人ゾンビ化させると、ゾンビアウトブレイクが発生し、このモードに移行する。最初からこのモードを選択することも可能だが、スキップできるとはいえ、毎回オープニングムービーが表示されるのはちょっと勘弁。
▲このモードでは、体力と空腹度の概念が追加。武器を装備した場合は残弾数も、画面左下にメーターとして表示される。

 空腹度は、0になると体力が徐々に減少してしまう仕組み。そのため、食料を食べたり、クエストをクリアーして空腹度を満たすことが長生きするコツといえる。

 本モードもうひとつの特徴が、アイテムのクラフトだ。素材となるアイテムを特定の場所に置くと、その組み合わせが正しい場合、新しいアイテムが生み出される。作成できるアイテムの大半は武器で、このシステムを活用することが本モードを生き抜くための近道といえる。

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▲クラフトの材料となるアイテムは、近づくと上部にスパナのアイコンが表示されるこれを舌で舐めて、クラフト場所まで運ぶ。
▲ここがアイテムクラフトを行える場所。ふたつのアイテムを置くと、その組み合わせが正しい場合、新しいアイテムが作成される。

 意外とサバイバルゲームらしい要素が盛り込まれているが、なかなかどうして難度が高い。その理由のひとつが、余計な、いやリアルな空腹度システムのせいだ。空腹度メーターが減る速度は尋常じゃないほど早いため、つねに食料を捜して街中を徘徊しなければならない。ゾンビを倒せばゾンビの脳を食料として食べられるのだが、ヤギ自体の攻撃力は高くないため、ゾンビを倒すには一苦労だ。

 じゃあ合成で武器を作ればいいじゃない!と思うかもしれないが、材料となるアイテムもなかなか発見できないため、探索しているあいだに腹が減って餓死、なんてことが多々ある。クエストをクリアーするのも非常に困難だ。

 そのため、まずはマップをしっかり探索し、食料と素材の位置を把握することが重要。生き抜くためには『Goat Simulator』らしからぬ、しっかりした攻略を求められるゲームデザインに仕上がっている。

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▲新たな装備を身につけられる本編のシステム“突然変異”も併用できるため、このモードでもジェットパックで空の旅を楽しむことが可能。
▲そして死ぬとおちょくられる。なんでや!

 というワケでしばらく両モードを遊んでみたが、やっぱり楽しい。ヤギのヘンな挙動や爆発で豪快に吹き飛ぶおバカっぷり、妙に笑える街のギミックなど、B級が好きな人にはたまらない要素が満載だ。さらに本格的なサバイバルも楽しめるのだから、値段を考えれば大満足といえる。

 本編が好きな人はもちろん、なんか気になって仕方がないという人は、この機会に本編とまとめて購入してしまってはどうだろうか。「まだSteam初心者なんですテヘヘ」という人は、とりあえずウィッシュリストにブチ混んで、サマーセールや年末セールで安くなったときに購入を検討するといいだろう。

今度はヤギがゾンビになった!? 『Goat Simulator』の新DLC『GoatZ』インプレッション_13
▲ちなみに新ルールを学べるチュートリアルモードも新たに搭載。でも最後のお題がアホみたいな難度のため、クリアーは至難の業。筆者は早々に諦めた。

筆者紹介 喫茶板東
ファミ通.comを中心に、あんな記事やこんな記事を寄稿しているフリーライター。最近は“とっておきインディー”コーナーのネタ探しに、Steamを探索する日々。