バグですら本作の魅力……らしい
今年もっとも注目を集めたインディーゲームのひとつが、Coffee Stain Studios開発の『Goat Simulator』。その名の通り、ヤギになって街の中で暴れ回るという、ごく単純なアクションゲームだ。ただし、決して完成度が高い作品ではない。ヤギの頭がちょっと壁に当たるだけで変な方向にプルプル震えるし、身体ごと壁にめり込むのも日常茶飯事。さらに、ゲームには明確な目標はなく、ヤギも不死身。やれることは、ジャンプしてトリックをキメるか、街で暴れ回ってあれこれブッ壊すぐらいである。
だが、この破壊活動自体がかなりおもしろく、熱中してしまうから不思議。ヤギに頭突きをされた人はポーンと吹っ飛び、クルマを攻撃すると大爆発して空の旅を楽しめる。ルームランナーに乗り込めば、まるで戦闘機がカタパルトで発射されるかの勢いでヤギが射出される。このありえないバカさ加減と街を壊す爽快感こそが、本作最大の魅力だ。ちょっとおかしなキャラクターの挙動など、本来は欠点となるはずの部分も、バカっぷりに拍車をかけており、結果的にうまく長所へと昇華されている。
開発会社自身も、このゲームの長所と短所をよく理解している。大量のバグを“笑えるから”という理由で放置し、あろうことか本作の“特徴”としてフィーチャーする始末。つまり、バグすら魅力であると理解し、開き直っているのだ。この剛胆さは、インディーゲームならでは。アップデートも行われており、ユーザーの誰もが予想しない方向でコンテンツが増えていく。この悪ノリも大きな魅力と言えよう。
ゲーム内容は英語だし、誰でも楽しめる作品ではないけれど、頭を空っぽにして遊びたい人にはけっこう楽しめる1本。スマートフォン版もリリースされているので、ゲーミングPCを持っていない人はそちらをどうぞ!
いろいろなヤギ(?)に変身しよう!
本作では、ヤギを変身させられる。ロケットを装備して吹き飛んだり、変なお面をかぶれるほか、キリンやダチョウといったまったく別の生物になることも可能。しかも、それぞれ特殊能力が違うのだ。
[公式が悪ノリ全開テイスト!]
Steamの紹介文からしてふざけすぎ。「このゲームを買うくらいなら、フラフープや山積みのレンガにお金を使うべき」と言い切るそのさまは、ある意味潔くてカッチョイイ。「ヤギになることができます」と2回言っているのもポイントだ!
ここがナイス!自由に暴れ回る!
柵や屋内の家具、デモ隊やバーベキューを楽しむ人など、街にあるいろいろな物を攻撃して破壊することが目的(らしい)。連続で物を壊すとスコア倍率が増えていくが、とくにスコアを稼
がなくても問題ない。逆立ちやウォールラン、アイテムを舌でつかむといったおかしなアクションも楽しめる。
[目標っぽいものも多少は用意されているぞ]
ゲーム中には一応、クエストやSteamの“実績”など、ゲーム的な目標もほんのり用意されている。特定の目標を達成すると、変身できるヤギの種類が増えるのがイイ。
ここがナイス!予想外のアップデート
11月には無料ダウンロードコンテンツが配信。“MMORPGの世界を忠実に再現したオフラインモード”という、じつにムダな新モードが実装されたのだ。しかも一定時間おきにラグっぽくワープするNPC(ノンプレイヤーキャラクター)がいたり、MMORPGっぽいチャットが流れるなど、作り込みがすごい。努力の方向を間違えているが、ある意味正解なのかも……。
Goat Simulator
メーカー | Coffee Stain Studios |
---|---|
対応機種 | iOSiPhone/iPod touch / PCWindows / AndroidAndroid |
発売日 | 配信中 |
価格 | Steam版は980円[税込]、iOS版は500円[税込]、Android版は500円[税込] |