ハードコアPCゲーマー以外にはちょっとキツいかも

 今月頭に、2016年第一四半期の製品版発売が発表されたOculus VRのVRヘッドマウントディスプレイ“Oculus Rift”。同社の公式ブログで、推奨スペックなどが公開された。

【グラフィック性能】 NVIDIA GTX 970 / AMD R9 290 以上
【CPU性能】 Intel i5-4590 以上
【メモリー】 8GB以上
【OS】 Windows 7 SP1以上
【ポート】 HDMI 1.3(297MHzでのダイレクト出力が必要) USB 3.0ポート×2

Oculus Rift製品版の推奨スペックが発表。グラボはGTX 970またはR9 290以上、CPUはi5-4590 以上が必要_01
▲ブログには新たな製品画像も掲載。後頭部で製品を支えるヘッドバンド部分の形状もちょっと変わっている。

ノートPCについては注意が必要。OS XやLinux対応は一時停止中

 率直に言ってしまえば「結構高いな! っていうか私用マシンだと動かんな!」という感じだが、スペック公開と同時に掲載された同社チーフアーキテクトのAtman Binstock氏による専門家向け記事では、Rift製品版は2160×1200ピクセルの解像度で90ヘルツの描画を行うため、1080pの秒間60フレーム(60Hz)動作するPCゲームと比較して、概算で約3倍の処理能力が必要になると説明している。

 またHDMIポートに関連して、(この要求スペックを満たすノートPCがそもそもほとんどないことを踏まえつつ)モバイル向けの専用GPUを積んでいるノートPCでもHDMIポートは内蔵GPUを経由していることが多いため、Riftがうまく動作しないことがあると指摘。消費者が自分のノートPCがこの部分にひっかかるかどうかはスペック表を読んでもわからないため、動作する環境をはっきりさせるための取り組みを進めているという(認証サービスやチェッカープログラムなどだろうか?)。

 一方、Windows以外のプラットフォームについてもコメントしており、現在はまずWindowsでハードウェア&ソフトウェア&コンテンツにまたがったハイクオリティな消費者向けVR体験をローンチさせることに集中するため、OS XとLinux対応については一時停止しているとのこと。時期は未定ではあるものの、いずれ再開したいと述べている。

ハイエンドPCがなければVRに縁がないというわけではない

 ちなみに、これはあくまでOculus VRがOculus Riftで目指すPCベースのハイエンドなVR体験がそれだけの能力を必要とするというだけの話で、ハイエンドPCがなければVRとは無縁と言うわけではない。
 日本でもついに開発者や新しいもの好きの人向けの“Innovator Edition”が発売されたGear VRのようなモバイルVRや、Project MorpheusのようなコンソールVRのメリットはまさにそこにあるわけで、Oculus VRがモバイル向けコンペ“Mobile VR Jam”などを開催しているのも、まさにOculus Riftのハイエンド路線だけでなく、Gear VRのようなカジュアルに楽しめる路線の両立が必要だと考えているからこそ。

 もちろん時間が経つに連れて推奨スペックのハードルは市場に出回るマシンのスペックが上がっていくのに反比例してそれほど高いものではなくなっていくわけだし、自分にあったタイミングで自分にあったハードを選んでいけばいいだけの話なのだ。