超大規模な国際大会が開催
2015年4月25~26日、PC用オンラインタンクバトル『World of Tanks』の世界大会“Wargaming.net League The Grand Finals 2015”が、ポーランドのワルシャワで開催された。
世界の各地域のリーグを勝ち抜いた12チームが会場のEXPO XXIに集結。3チームごとに分けられたグループリーグが25日に実施され、それぞれの上位2チームが26日の決勝トーナメントで激突した。
準決勝第一試合は、ロシア圏の強豪チームどうしがぶつかる、会場の注目度がもっとも高い一戦となった。
前回大会の優勝チームのNA'VIは、もちろん今大会の優勝候補の筆頭。前日のリーグでは1ラウンドも落とすことなく勝ち上がり、決勝トーナメントの一回戦では前回大会の準優勝チームのVirtus.PROを安定した試合運びで下していて、調子も悪くなさそうだった。しかし、NA'VIは多彩な攻撃バリエーションを見せるものの振るわず、複数の車両が近距離で撃ち合うインファイトに強さを見せたHELLRAISERSがつぎつぎとポイントを重ねていく。
結果、NA'VIを5対2で撃破し、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。
準決勝第二試合では、中国のEL GAMINGが大奮闘。相手チームのKAZNA KRUはワイルドカードで今大会の出場権を獲得し、決勝トーナメントの一回戦ではEU圏のチャンピオンであるSchoolbusを撃破。そんなノリノリのチームに前半マップの“ムロヴァンカ”では押されたものの、マップが“崖”に変わるやいなや得意のラッシュが炸裂した。
攻撃サイドと防御サイドが入れ替わっても勢いは変わらず、一気に4ラウンドを連取して勝利を奪取。アジアのチームでは初となる決勝戦への進出を果たした。
決勝戦は、ここまで数々の乱戦を制してきたHELLRAISERSとEL GAMINGが激突。しかし、残念ながら力の差は歴然だった。EL GAMINGは積極的な攻撃で一矢報いたものの、7対1(決勝戦のみ7ラウンド先取)でHELLRAISERSが今大会を制した。それでも、圧倒的にロシア・CIS圏のチームの力が群を抜いている本作のリーグにおいて、北米とヨーロッパのチームを飛び越えての準優勝は立派。この結果に奮い立った日本のプレイヤーも多いことだろう。
今大会で採用されたe-Sportsルールはプレイヤーにも観客にも好評だったようで、とにかくどの試合も展開が速かった。つねに攻めの姿勢を見せていた2チームが決勝戦に残った事実も、新たな時代の到来を示している。
そんな状況に付随して、機動性能が高い軽戦車、とりわけソ連のT-54 lightweightの活躍が印象的だった。マップによっては、この車両を半数以上揃えるチームがほとんど。前回大会で存在感を示していた防御にすぐれる重戦車や、瞬間的な攻撃力の高い回転弾倉式自動装填装置を採用した戦車などは、まったく見られなかった訳ではないが、すっかり影を潜めてしまっていた。
とはいえ、この現象は悪いことではない。定められたルールのもとで勝ちを意識するとなると、おのずと最適解は生まれてくる。逆に、そのときどきの流行を強く感じられることこそが、オンラインゲームならではの魅力だ。
ここまで極端な結果になると、新たに始まるリーグではルールの調整が入りそうな気もするが、来年の大会で猛威を振るう車両はいったいどれになるのだろうか。膨大な数の車両が用意されている本作において現時点ではまったく想像もつかないが、つぎに吹く風がいまから楽しみだ。