バンダイナムコエンターテインメントの“カタログIPプロジェクト”は、何でもアリのすごい企画だった!? キーマンに訊いた!

●ゲームファン驚愕! 17タイトルから何が生まれる!?

 既報の通り、いよいよ始動したバンダイナムコエンターテインメントの“カタログIPプロジェクト”。これは、2015年にバンダイとナムコが統合して10周年を迎えることを記念して、バンダイナムコエンターテインメントのカタログIPを国内のクリエイターへ開放するという試みだ。

 簡易的な審査のみで、ゲーム史に輝く17の強力なIP(ギャラガ/ギャラクシアン/源平討魔伝/スカイキッド/スターラスター/ゼビウス/ディグダグ/ドラゴンバスター/ドルアーガの塔/パックマン/バトルシティー/バベルの塔/マッピー/妖怪道中記/ワギャンランド/ワルキューレの冒険 時の鍵伝説/ワンダーモモ)を使って、コンテンツの制作・提供が可能になるという、この夢のような企画。はたしてここから、どんなコンテンツが生まれるのだろうか?

 本稿では、このプロジェクトのキーマンである、バンダイナムコエンターテインメントの桝井大輔氏にお話しを伺った。なおこのインタビューは、2015年4月24日発表のリリースを前提にしているため、一度発表内容に目を通しておくことをオススメする。

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バンダイナムコエンターテインメント
NE事業部 マーケティングDV
ネットマーケティング部 ゼネラルマネージャー
桝井 大輔氏
(文中は桝井)

●大反響、すでに問い合わせが殺到中!?

「パックマン」
(c)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

――ついに正式発表となりましたが、まず 2015年3月31日のプレリリースの時点から、かなり大きな反響がありましたね。
桝井 僕らとしても、けっこう大きな決断をしたつもりではいたのですが、実際それがどのように伝わるかは不安だったんです。ところが、いざ発表してみると、思った以上に大きなニュースとして受け止めてもらえたようで安心しました(笑)。まだ正式な受付前の段階で、すでに多くの企業様から問い合わせを受けています。

――それはすごい! まずは絶好のスタートと言えそうですね。
桝井 そうですね。まだこれからどうなるかはわかりませんが、初動としてはいい反響をいただいています。とくに、いわゆるゲーム開発会社さんからはもちろんのこと、いままで我々がおつきあいをしたことがないような異業種の会社さんからも、たくさんのお問い合わせをいただいています。

――それはおもしろいですね。
桝井 ええ。新しいゲームを作ってほしい、という思いももちろんありますが、それ以外の、ツールやサービスといった分野で、我々のIPを使っていただきたいと期待しているところがあるので、非常に楽しみですね。

――海外でも、かなり話題になっているようですね。
桝井 じつはプレリリースも国内向けにしか出していなかったのですが、すぐに海外の方が翻訳して広めていったようで、すでに何件か問い合わせがきています(笑)。

――ただ、今回はまず国内向けに限定して展開されるのですよね?
桝井 はい。我々のIPは世界中で認知度が高いのですが、今回のプロジェクトに関しては、いろいろと手探りなところがあるので、スタート段階では、日本国内でのサービスに限るということにさせていただいています。

●IP=“大事な箱入り娘”に旅をさせて、たくましく育てたい

――改めて、本プロジェクトの企画から、実現に至るまでの経緯について教えていただけますか?
桝井 発表文の文面にも書かせていただきましたが、バンダイとナムコの統合10周年を迎えるにあたって、何かいままでと違うことをやりたい、と企画を検討していく中で出てきた企画です。我々はIPを非常に大切にしているメーカーですが、だからこそできないこと、やれていなかったこともあるのではないか、と。そこは10周年ということで、思い切って、いままでと違うことをやってみようという思いがありました。

――なるほど。IPの運用に長けたバンダイナムコだからこそ、逆に動きづらいという部分もあるのですね。
桝井 それともうひとつ、ご存じの通り、弊社は2015年4月1日から、会社名を“バンダイナムコゲームス”から“バンダイナムコエンターテインメント”に変更し、社名から“ゲーム”という言葉が消えることになりました。もちろん、ゲームを捨てるわけではないですし、いままで以上にしっかりゲームを作っていきますが、同時に、ゲームに限らずあらゆるエンターテインメントにチャレンジしたいという思いもあります。ですので、当社だけでなく、異業種の方も含めて、いっしょに何かを生み出していきたい、と。そういう思いが、背景にありますね。

――ところで、プロジェクト名にも含まれている“カタログIP”という言葉は、どのような意味合いのものなのでしょうか?
桝井 我々は長きにわたってキャラクター、IPビジネスをやってきましたので、非常に多くのIPを保有しています。この、我々が持っている“IP群”という意味合いで、社内で“カタログIP”と呼んでいるんです。今回のプロジェクトでは、その“カタログIP”の中から、主旨にあったタイトルを選別しています。

――その対象タイトルですが、すごいラインアップが揃いましたね。
桝井 当初は、ここまで大胆にやろうとは思っていなかったのですが、社内で議論を重ねていくうちに、どうせやるなら思いきってやろう、となりました。やはり、2~3タイトルだけでは幅が狭くなってしまいますし、なるべくたくさんのクリエイターさんに興味を持ってもらうためにも、可能な限り入れていこう、と。我々の所有するIPは、それぞれに特徴があって、クリエイターさんとしても、思い入れの強いタイトルが多いと思いますから。

――これだけのタイトルですし、御社内でも強い思い入れを持った方が多いでしょうね。
桝井 本当に、社内でも、思い入れがかなりあるタイトルばかりです。でもだからこそ、思い入れが強すぎて、なかなか自分たちでは料理がしきれないところもあって。我々がよく、“お父さんみたいな目線”と言っていることなのですが(笑)。

――ああ、まさに我が子のような(笑)。
桝井 大事な箱入り娘みたいな扱いをしてしまって、なかなか親の手で冒険をさせられないんです。とはいえ、手をこまねいて旬な時を逃してはいけませんし、“可愛い子には旅をさせよ”ということで、外部の方に旅をさせてもらうことで、我々のかわいいIPたちが、たくましく育ってくれるといいな、と思っています(笑)。

――ちなみに、対象IPは、現在の17タイトルから追加される可能性はありますか?
桝井 十分にあると思いますし、追加に値するだけのプロジェクトになるように盛り上げていきたいと思っています。

「マッピー」
(c)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

――それにしても、つくづく80年代のゲーマーにとっては夢のようなラインアップですよね。
桝井 これらのタイトルって、40代前後くらいの方々にとって思い出深いタイトルだと思いますが、そのくらいの世代の方って、ちょうど、いまのゲーム業界でリーダーになっている世代なんですよね。その人たちに、思いをぶつけるような提案をしてきてもらえるとうれしいですね。一方で、今回、 niconicoでの動画の展開も含めたのは、そこに若い世代の方々がたくさんいるからなんです。若い世代のお客様って、我々のIPについて、「名前も内容も知っているけど、実際に遊んだことはないな」とか、「軽く触れたことはあるけど昔のゲームだよな」と考えている方が多いんですよね。今回のプロジェクトを通じて新たな作品が生まれることで、そういった方々の認知、接触が膨らむといいな、という思いもありますね。

●洗濯機のプロや冷蔵庫のプロからの提案も大募集!?

――今回のプロジェクトでは、許諾する企画をデジタルコンテンツに限定されていますが、その理由を教えていただけますか?
桝井 まずは、いちばん伝播力がある、という点です。また、社名をバンダイナムコエンターテインメントに変えるにあたって、新たに“アソビきれない毎日を。”という企業理念を策定しましたが、これには「いつでもどこにでもこれまでにない新しいアソビを創出したい」という思いも込められています。そして、“いつでもどこにでも”と考えると、インターネットを通じたデジタルサービスならば、スマートフォンを含めたさまざまなネット接続機器を通じて、いつでもどこにでも、あらゆるユーザーにアソビを届けることができるかなと考えました。

――なるほど。それと発表文には、“スマートフォンアプリ”、“ブラウザゲーム”、“動画投稿”に加えて、“新規ネットワークデバイス分野”の企画も受け付けるとありますが、この“新規ネットワークデバイス分野”とは、どのようなものを想定されているのでしょうか?
桝井 これは……我々も、まったくわからないです(笑)。ただ、ここ最近の世の中の動きを見ていると、ネットが思わぬものにつながるようになっていますよね。テレビや時計、体重計、冷蔵庫……ありとあらゆるものがネットにつながっていく中で、何かそこに、アソビが入っていくチャンスがあるのではないかと。とはいえ僕らも、すべてに手が回るわけではありません。そこで、洗濯機のプロや時計のプロ、冷蔵庫のプロといった方々が、この発表を見て、弊社のIPを使って実用サービスにアソビを追加するような提案をしてきてくださればおもしろいな、と。そういう思いがあって、こういった形の発表となりました。

――つまり、企画の対象を狭めないように、こういう表現にしたわけですね。
桝井 その通りです。どんなことでも相談してほしい、ということですね。ひとつの事例として、先日、エイプリルフール企画として、グーグルマップ上で遊べるパックマンが公開されました。これは直接的にこのプロジェクトから生まれているわけではありませんが、あれも、本来は我々の領域ではない“地図”のサービスに、アソビを加えることで生まれたものですよね。こういう事例が増えてくれるとおもしろいな、と思っています。