インディーズ発! アイデアが光る良作アクション
近年、注目される“インディーズゲーム”の世界。年々、大規模化、複雑化していく大手パブリッシャーの大作ゲームに対して、インディーズゲームは少人数による制作、自主運営のサイト(もしくは小規模オンラインパブリッシャー)による小規模流通、アイデアひとつで勝負するシンプルなゲーム性……といった、いわばゲーム世界の“カウンターカルチャー”として存在しており、通なゲームファンを発端に脚光を浴びている。
いまでは大手パブリッシャーにも、このインディーズゲームに熱視線を送る企業も多く“インディーズ発のメジャーデビュー”といった作品も近年多く見られる。スパイク・チュンソフトが展開する“スパイク・チュンソフト インディーズ セレクション”というシリーズもその一例。インディーズゲームは、一般層にリーチしにくいという短所があるが、このシリーズは立ちはだかる“壁”を取り払うといった役割を担っている。海外タイトルの中で評判が高く良質なインディーズゲームを、日本のユーザーに気軽に楽しめるように、ローカライズし低価格で配信しているのだ。「小粒ながらいいゲームを、世界から集めました」というわけだ。
今回紹介するゲーム『How to Survive: ゾンビアイランド ストームワーニングエディション』も、そのシリーズのラインアップ作。決して派手さはないが、テーマや遊びどころを絞ったことで生まれる“ゲームの根源的な楽しさ”が得られる一作。シンプルながらも奥深い、探索型アクションが堪能できるゲームなのだ。
本作は過去にプレイステーション3で配信されて人気を博したサバイバルアクション『How to Survive: ゾンビアイランド』のパワーアップ版と呼べるもの。待望のプレイステーション4対応となったことでビジュアルの強化はもちろんのこと、新要素や各種モードの追加でやり込み性が増している。もちろん、カジュアルに遊べるという、インディーズゲームのキモとなる部分も健在。本稿では、初めて触れる人に向けてこのサバイバルアクションゲームの手ほどきを中心に記していこう。
ゾンビが徘徊する絶望の島で生き残れ!
メインモードとなる“ストーリー”では、ゾンビの棲まう島に辿り着いた主人公となり、ゾンビとの死闘と脱出までの過程を体験することになる。物語は、救難無線を発信する船が連絡を絶つ……というシンプルなオープニングから始まり、プレイヤーは“どこにいるのか”、“何をすべきか”といった基礎的な情報探しから強いられることになる。島にはなぜか主人公とは別のタイミングで島に放り込まれた生き残りが数名ほどいる。大怪我を負ったり、事切れる直前の彼らから使命(ミッション)を受けて、ゾンビ対策やサバイバルの術をイチから学んでいく。
“絶海の孤島で生き残る”ゲームは定番ジャンルではあるが、まったく知識ナシ(なにせ状況もよく説明されていない)から始まるというのはちょっと新鮮。インディーズならではのシンプルさが、これから始まる壮絶なサバイバルのムードを盛り上げるいい効果を出してくれる(決して不親切というのではなく)。
とはいえ、基本的なアクションは状況に応じて指示をしてくれるので、決して見逃さないように! 最初は、出会った者から授かった木の棒が唯一の持ち物だ。タッチパッドを押すと表示される全体マップで位置を把握しながら、少しずつ、少しずつ……行動範囲を広げていこう。基本は“ハック&スラッシュ(敵をぶったぎる)系”のアクションと考えてもらうとイメージが伝わりやすいだろう。
ストーリーモードは前述のとおり、“ミッションを受託→クリアーすると物語が進行”というオーソドックスな形式。その過程で無数のゾンビとの戦いが待っているのだが……はっきり言って、ゾンビは序盤から超強い。数々のゾンビパニックを題材にしたゲームで描かれているように、素の人間VS.ゾンビでは圧倒的にゾンビに分があるのはご存知の通り。ましてや、こちらは命からがら島に辿り着いた丸腰の人間、あちらは不死身の化物である。木の棒はRボタンで狙いを定め、R2ボタンで棒を振るアクションを行うが、がむしゃらに振り回そうとするものなら、あっけないほど簡単にやられてしまう。もう、序盤のゾンビとの戦いから決死の覚悟。文明生活に慣れきった人間は、笑っちゃうほどに弱いのだ。
でも、人間には知恵がある! 人類最大の武器“知恵”を使って、ゾンビや過酷な状況を克服することが、本作最大のテーマであり、楽しみとなるのだ。