『艦これ』『刀剣乱舞』『千年戦争アイギス』etc……DMMゲームズ代表・片岸憲一氏がヒット連発の秘密を語る!【インタビュー】

続々とヒット作をリリースし、PCブラウザゲームではトップクラスのプラットフォームとなったDMMゲームズ。そのヒットの秘密を、片岸憲一氏へのインタビューから探る!

●DMMゲームズ快進撃の要因とは? そしてつぎなる展開は?

 『艦隊これくしょん-艦これ-』のヒットを機に、一気に認知を広げ、いまやPCブラウザゲームの中でもトップクラスのプラットフォームとして、押しも押されもせぬ存在となったDMMゲームズ。さらに昨年秋以降は、『かんぱにガールズ』、『俺タワー』など続々とヒット作をリリースし、今年1月にサービスインした『刀剣乱舞-ONLINE』では女性層を中心にメガヒット級の盛り上がりを見せている。
 快進撃を続けるDMMゲームズが、ヒットを連発できる秘密とは? そして今後目指すものとは? DMMゲームズの代表を務める片岸憲一氏に、詳しくお話を聞いた。

 なおファミ通.comでは、2014年6月にも片岸氏にお話を伺っている。そこでは、今後注力する方針として、“女性向け”“スマホ”と明言されていた。“女性向けに注力”の成果は、読者諸兄もご存じの通り。“スマホ”についても、いよいよ本格化しようとしている。今回のインタビューにも、近い未来に「ああ、なるほど!」となる発言が多々含まれているかも……? 要注目だ。

※本記事は、週刊ファミ通3月26日号(2015年3月12日発売)に掲載したインタビューに加筆・修正したものです。

DMMゲームズ 代表
片岸憲一氏(文中は片岸)

●ユーザーを置いてけぼりにせず、エゴイスティックにならないこと

――昨年秋以降、DMMゲームズの勢いが凄いですね。今年度の業績、成果については、どのように評価されていますか?
片岸 2014年は、2013年に用意したものがリリースされた年でした。まずはPCでナンバーワンを取ろうという方向性で、ブラウザゲームのラインアップを充実させてきましたが、それなりに評価していただいて、新しいIP(知的財産)も生まれた一方で、失敗もたくさんありましたね。とはいえ、全体の事業規模は成長しているので、80点くらいは取れているかな、というのが総括です。

――事業規模もかなり大きくなったのでは?
片岸 会員規模で言うと、1000万人弱には達しましたので、今年は1500万人に届かせないといけませんね。そのためには、やはりマーケットの大きいスマートフォンに、我々の強みを活かして、しっかり参入していくこと。それが、今年の命題となります。

――とくに昨年秋以降のタイトルにおいて、ヒット率がとても高いですよね。ヒット連発の要因をどのように分析されていますか?

片岸 昨年秋以降は、2013年から2014年初期にかけて承認したものが、しっかりローンチされて、成果が出ました。でもじつは、わりとダメになっているものも多いのですが(苦笑)。ただ、ここまで、いろいろなジャンルを取り揃えようとしてやってきましたが、その中で感じたのは、無理矢理ゲーム性をつけ加えたようなものは、評価されにくいのかな、ということです。どちらかというと、既存の遊びをブラッシュアップするとか、別のIPで作ってみる、といった形の、あまり奇抜にしすぎないタイトルが、うまくいっているような印象は受けますね。

――奇抜にしすぎない、ですか?
片岸 一般的な、たとえばRPGだったり、カードバトルだったりの仕組みを逸脱しすぎていると、評価されにくいのかな、と。一方で、『千年戦争アイギス』のようなタワーディフェンスのタイトルでも大ヒットしたりしているので、一概には言えないのですが。方向性としては,ユーザーさんを置いてけぼりにしない、エゴイスティックにならないように開発することは重要だと思っています。

――片岸さんご自身が、DMMゲームズのラインアップの中でとくに注目、期待しているタイトルはありますか?
片岸 あまりこれ、と注力しないのがポリシーなんですよ。それをしてしまうと、フェアじゃなくなってくるかな、と思うので。そこはある程度、公平に見るようにはしています。ただ、あえて言うと、『千年戦争アイギス』は、うちのよさが出ているタイトルかな、と思いますね。現在、PC用の成人向け版と一般向け版、それと成人向けのスマホ版がリリースされていますが、こうした展開は、うちでしかできないことです。今後は、『千年戦争アイギス』で展開したプラットフォームモデルをベースにして、いろいろ作っていけるとおもしろいかな、と思っています。

――そういったプラットフォーム戦略において、コンシューマ機でも、というお考えはありますか?
片岸 もちろん、検討していますよ。

◆千年戦争アイギス

●“お騒がせ”は「何の仕込みもないんです(苦笑)」

――とても多くのタイトルをリリースされていますが、開発体制はどのようになっているのですか?

片岸 大きく分けて、セカンドパーティーとファーストパーティーの部隊があります。セカンドパーティーは、企画室が4つあり、それぞれエグゼクティブプロデューサーがプロデューサー、ディレクター束ねる形で進めています。もうひとつはファーストパーティー、つまり内製の部隊で、開発ライン単位でメインディレクターがついて進行しています。それがいま、金沢、札幌、東京に、6~8ラインありますね。今後は、もちろんセカンドパーティーのタイトルにも引き続き注力しますが、なるべく内製の比率を上げていきたいと考えています。やはり、内製のほうがコントロールしやすいところがありますからね。

――開発チームごとに特色があったりするのでしょうか?
片岸 ありますね。第1チームだと、成人色が強いタイトル。第3チームだと、『銀河英雄伝説タクティクス』や『千年戦争アイギス』のようなシミュレーションが得意。第2チームは、PCのクライアントゲームが専門……といった感じですね。どの企画室にも、「ブラウザでもネイティブでもなんでも作っていいよ」と言ってやらせていたのですが、やはり得意分野があって、その特色が自然と出てきました。後は、フリーと言いますか、どこの企画室にも属さないプロデューサーが何人かいます。後、DMM.comの特色として、会長(DMM.comの亀山敬司会長)の直属組織の“亀直”というのがあって(笑)。グループ内でも、会長か僕が承認して予算が降りれば、誰でもパブリッシャーをやっていい仕組みになっているんですよ。『艦隊これくしょん-艦これ-』も、会長直属で面接して入ってきたプロデューサーさんが進めた企画でした。そういうところも、DMM.comの特徴としてあると思います。

――ちなみに、多数のタイトルをリリースされていますが、企画の方向性はどのようにコントロールされているのでしょうか?
片岸 僕の役割は、やってはいけないことをストックして、そこから外れていないかをチェックすることですね。また、ラインアップを見て、あまりにもほかと重複するものや、すでに計画済みのものはNGにしますが、逆に言うと、そういうところしか見ないようにしているんです。ゲーム性などの部分は、客観的に判断しないといけないし、マーケットのトレンドも考慮する必要もある。そこはディスカッションしながら決めています。

――DMMゲームズのタイトルは、とても巧みにバズを生み出しているように見えますが、プロモーション施策についてはどのように?
片岸 僕もともと、DMM.com全体のチーフマーケティングオフィサーという肩書で仕事をしてきましたが、バズマーケティングだけはやったことがないし、やれたことがないんですよ。最近、DMMゲームズでは“お騒がせ”が多いのですが、何の仕込みもないんです(苦笑)。やっていることと言えば、コンバージョン(達成率)を見たり、認知度を上げるための方法を考えたり、と当たり前のことばかりで。ただ、どうしてもネット畑の人間なので、数値がわかるマーケティング手法によりがちになってしまうところはあるので、そこは頭でっかちになりすぎないように注意していますね。PRに関しては、あまり予算を渋らず、現場がやりたいことをある程度やれるように、と心がけています。