ポスト『艦これ』候補も続々! 快進撃を続ける“DMMゲームズ”代表に直撃!

 昨年サービスを開始した『艦隊これくしょん-艦これ-』(以下、『艦これ』)が社会現象と言えるほどのヒットとなり、一躍注目の的となった“DMMゲームズ”。今年に入ってからも続々と新作を投入しており、その勢いは増すばかりだ。躍進を続ける、この新たなゲームプラットフォームの今後の展開は? DMMゲームズの代表を務める片岸憲一氏に、詳しく語ってもらった。
※本記事は、週刊ファミ通6月26日号(2014年6月12日発売)に掲載した記事に加筆したものです。

【DMMゲームズとは?】
 DMMゲームズは、DVD&CDレンタル、動画配信、通販など多彩なサービスを展開する総合サイト“DMM.com”が提供しているサービスのひとつだ。DMM.comのアカウントさえ持っていれば、PC、スマートフォン、携帯電話向けのさまざまなゲームタイトルを簡単にプレイすることができる。また、サイト内のコミュニティ機能なども利用することが可能。なお現時点では、基本料金無料(アイテム課金あり)のタイトルのみが提供されている。
※DMM.comは→<こちら>

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『艦これ』で急上昇! 新たなゲームプラットフォーム“DMMゲームズ”の秘密に迫る!【インタビュー】_05
DMMゲームズ代表
片岸 憲一氏
Kenichi Katagishi

競合他社にはない“尖った”タイトルを 『艦これ』は今後も現場第一で展開

――まず、DMMゲームズのこれまでの歩みについて教えてください。
片岸憲一氏(以下、片岸) スタートしたのは約3年前です。最初にあったのは、Steamのようなプラットフォームを作りたいという思いです。でも、最初からあれだけ大規模なプラットフォームを作るのは難しいですよね。そこで、まず社内を説得するためにも、「オンラインゲームがDMM.comの事業として成功するのだと証明しよう」と。そこで、当時流行っていたフィーチャーフォンから始めて、まずしっかり収益化して、そこからPCに広げていったという経緯ですね。

――いまやSteamは日本でもすっかりメジャーになりましたが、早い時期から目を付けておられたのですね。
片岸 というか、個人的に『Counter-Strike』や『Left 4 Dead』などが大好きで遊んでいただけなんですが(笑)。

――好きだからビジネスにしてしまおう、と(笑)。

『艦これ』で急上昇! 新たなゲームプラットフォーム“DMMゲームズ”の秘密に迫る!【インタビュー】_01

片岸 はい(笑)。あとは、オンラインゲームって、コンテンツの中で価値を創造して、それを販売するという、究極のデジタルコンテンツですよね、いつかやりたいとは思って、ずっとタイミングをうかがってはいたんですよ。また、DMM.comは基本的にシステム全般が内制で、基幹部分は、アウトソーシングしていないんですね。動画やライブチャット、レンタルの仕組みやコンテンツは、すべて社内で設計してきたので、そのノウハウもありますから。

――そして、いざゲーム事業を立ち上げることになったときに、社内での反応はいかがでしたか?
片岸 難しい事業だというのはわかっていたので、最初はそれほど「力を入れていくぞ!」という感じではなかったですね。でも月商が順調に伸びていったので、去年の初めごろからは、社内でも戦略事業として位置付けて、しっかり伸ばそうということになりました。

――去年の初めというと、『艦これ』がスタートする前ですよね?
片岸 じつは先行してスタートしていた成人向けゲームでは、ひとまず成功した状態で、それなりに利益が上がっていたんです。そこでの利益を原資にして、競合他社が作りにくい、“尖った”ゲームを作っていくことを、基本戦略としています。

――確かに、『艦これ』を筆頭に、個性的な作品が多いですね。タイトル選定にあたって、新規性以外に重視している点はありますか?
片岸 ラインアップとしては、『艦これ』もそうですが、RPG要素が強いタイトルが多いですね。やはり、扱っているのがF2P(フリー・トゥ・プレイ)タイトルなので、累積していく価値がないと、お客様にお金を払っていただくロジックを作るのが難しいんです。

――アーケードの超人気タイトルをカードバトルゲーム化した『バーチャファイターフィーバーコンボ』のような大物タイトルが登場したのも、ゲームファンとしては驚きでした。
片岸 最初は名もないプラットフォームでしたから、なかなかいい企画が集まらなかったのですが、『艦これ』がヒットしたおかげでいろいろな提案をいただけるようになりました。

――やはり『艦これ』のヒットは大きな影響があったのですね。
片岸 個人的には、ステークホルダーさんが変わってきたのが、いちばん大きいと感じています。実績が立ったことで、採用するスタッフの質が上がったり、いままでは相手にされなかった大手の企業さんや、海外からもお話をいただけるようになったり。そういう機会がすごく増えました。ただ、名もないプラットフォームだったからこそ、メインストリームではない、目新しいタイトルが生まれたという面もあるので、そこは逆によかったと思っています。

――『艦これ』はプレイステーション Vitaでの展開も発表されていますが、今後もさらに拡大していく方向でお考えですか?
片岸 そこは角川ゲームスさんとの相談になります。制作現場のモチベーションや、キャラクターへの思いを崩してしまうと、ユーザーさんも離れてしまうと思うので。何と言っても、ゲームの世界観を作ってきた人たちのお邪魔をしないこと、クリエイティブの源泉となる思い入れを壊さないことが第一です。そのうえで、一般ゲーム化や、Androidでのリリースなど、いろいろ展開は考えています。ただ基本は、現場の制作者が中心です。我々もオーダーは出しますが、彼らのスピードに合わせて育てていきたいですね。

『艦これ』で急上昇! 新たなゲームプラットフォーム“DMMゲームズ”の秘密に迫る!【インタビュー】_04

年内に1000万人規模のプラットフォームへ。マネタイズで新しいイノベーションを

――DMMゲームズの事業内容についてもう少し詳しくお聞きしたいのですが、現時点でサービスの規模はどれくらいなのでしょうか?
片岸 ユーザー数は、現時点で580万人くらいです。男女比は8対2で、男性が多いですね。

――女性ユーザーも100万人以上いるのですね。
片岸 これも『艦これ』のおかげか、女性がとても増えました。今年の後期くらいから、女性向けのゲームをリリースする計画なので、そういうところから女性ユーザーを増やしていきたいと思っています。

――DMMゲームズの事業目標はどのあたりにおいていらっしゃいますか?
片岸 数値目標は、ざっくりとしか立てていませんが、年内に1000万人規模のオンラインゲームプラットフォームを目指したいな、とは考えています。後は、『艦これ』に続くようなメガヒット……というよりは、それなりのヒット作を2、3タイトル出したいです(笑)。

――具体的には、どのようなタイトルを計画されているのでしょうか?
片岸 今年の後期はPCブラウザゲームが多いですね。PC市場は縮小傾向ですが、みんながアプリにいってるところの隙を突こうということで(笑)、まずはPCでトップをとることを目指していきます。ただ、DMM.com全体では、“マルチデバイスプラットフォーム”が基本戦略ですし、いま制作しているタイトルに関しては、App Store、Google Playでしっかり出していく方向で考えています。

――やはりアプリの展開は外せませんよね。
片岸 デバイスとしてPCが売れなくなってきている一方で、スマートフォンやタブレットは勢いを増しています。ゲームを開発、リリースする立場として、そこは捉えないとまずいだろうと。個人的には、PCゲームがいちばん好きなのですが(笑)。

――アプリではどんなタイトルを?
片岸 いまのところ、RPGという軸が課金の面でもすごく秀逸で、頼ってしまっている面はありますね。でもスマートフォンはここ数年で出てきたデバイスですし、タッチスクリーンのゲームという部分で、イノベーションを起こす余地はまだまだ残っていると思うんですよ。そこを開拓していきたいと思っています。

――ほかに事業として、新しい方面での展開などは計画されていますか?

『艦これ』で急上昇! 新たなゲームプラットフォーム“DMMゲームズ”の秘密に迫る!【インタビュー】_02

片岸 大きな目標として、いまプラットフォームを世界中に作っているのですが、日本で制作したゲームを、グローバルに輸出することも計画しています。ゲームって、世界中で大きなゲームショウがいくつもあって、商談がしやすかったり、輸入も輸出もしやすい環境が整っているんですよね。そこをうまく活用して、日本のいいゲームを輸出することと、海外のおもしろいゲームを輸入してくるというのを、確実にやっていく。これも長期的なビジョンのひとつですね。

――F2P以外のタイトルをリリースされる可能性はありますか?
片岸 DMM.comではPCゲームのダウンロード販売の機能もあって、『DARK SOULS(ダークソウル)』なども販売させていただいたりはしています。ただ、やはりマネタイズ(収益化)の部分でイノベーションを起こさないといけないな、とは思っています。パッケージって、物理世界で帳尻を合わせるための課金の一手段だと思うんですよ。それがデジタルの世界になってくると、いろいろ自由に設定できる。アイテム課金もその仕組みのひとつでしかないし、まだいろいろな課金の手段や、タイミングがあるはずだと考えています。我々は後発ですから、業界的な役割、立ち位置として、新しいもの、新しいイノベーションを起こさないといけません。当たり前のソーシャルゲームを作っていては太刀打ちできないので、後発は後発として、謙虚に、新しいものにチャレンジしていきたいですね。

――御社の場合、ゲーム以外のサービスとの相乗効果も期待できそうですね。
片岸 実際、ゲームの波及効果はすごいですよ。ここ2、3年で、DMM.comのサービスを利用するユーザーが、全体で500万人くらい増えました。ほかのサービスも多角的にやっているぶん、マネタイズの軸がゲームでなくてもよかったりするんです。

――そうした強みがあるからこそ、新しいものが生み出せるのでしょうね。
片岸 それはあると思います。ただ、もともとは生粋のゲーム業界人ではない人間が集まって作ったプラットフォームなので、運営やサポートで、ユーザーさんにご迷惑をおかけしているところも多々あるかもしれません。でも一方で、業界の人間ではないからこそ創出できるものがあると信じています。そこも大事にしながら、一歩一歩、しっかりユーザーさんと向き合いながら、このゲームプラットフォームを育てていきたいですね。 今後、「こういうゲームを作ってほしい」といったご意見を受け付ける場もご用意させていただく予定ですので、ぜひ奇譚なくご意見をお寄せいただければと思います。

『艦これ』で急上昇! 新たなゲームプラットフォーム“DMMゲームズ”の秘密に迫る!【インタビュー】_03