国内外で熱狂的なファンを持つゲームデザイナーのSWERYこと末弘秀孝氏が、Kinect対応の最新作『D4: Dark Dreams Don't Die』をモチーフに、感覚再現による感情移入のためのゲームデザイン論をGDC 2015で披露。くすぐり、天丼、何でもありの一筋縄ではいかない講演内容とは?

●きっと役に立つ65のアレコレ

 2015年3月2日~6日(現地時間)、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のセッション、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2015が開催されている。

 世界中からさまざまなクリエイターが集まるなか、国内外で熱狂的なファンを持つゲームデザイナーのSWERYこと末弘秀孝氏がKinect対応の最新作『D4: Dark Dreams Don't Die』(以下、『D4』)をモチーフに、感覚再現による感情移入のためのゲームデザイン論をGDC 2015で披露。くすぐり、天丼、何でもありの一筋縄ではいかない講演内容をお伝えしよう。

D4 "DARK DREAMS DON'T DIE" - Mega64

 冒頭にリアルで『D4』を再現したご覧のビデオを流し、会場が温まったところでセッションスタート。

 『D4』は当初テレビドラマを観るように、くつろいでゲームが遊べるという思想で作られたという。配信されているいまでもそのことに変わりはないのだが、「実際にはそれが100%実現したとは思っていない」とSWERY氏。

▲理想はこんな感じだが。
▲実際は隣の彼女も引いた感じに。

 開発のキーワードはEmpathy(感情移入)とSensory Replication(感覚の再現)だ。これについてはゲーム開発の頭から終わりまで氏がスタッフに言い続けたことだという。それを書いた模式図をここで披露。

▲と、わかるようなわからないような図を表示。

 「今日はこれを噛み砕いて、65個のメソッドを60分のあいだに解説します」と言いながら、その一覧が表示された。

▲本当に解説するの!?

 それでは解説スタート。ところどころのネタは、コメントなしで流していく。

▲つぶらな瞳のSWERY氏(中央)。シャツもよく似合っている。

#01 感覚を再現するためには、自分の行動をぜんぶ口に出して行動してみましょう

▲口に出すことで、その行動を分解して感覚がどういうものか理解できる。

#02 他人を詳しくメモしましょう

▲疲れているにもさまざまな理由があり、疲れの種類も変わる。詳しくメモを取ること。

#03 カッコをつけてテキーラを飲みます

▲プレイヤーになりきることで、プレイヤーの気持ちを感じとる。そこから感覚を再現していくプロセスだ。

#04 コーヒーを飲ませましょう

▲飲みかたは人それぞれ。共通点を探して続いて述べるシンボル化に役立てる。

#05 シンボル化しましょう

▲モーションコントロールでポーズを重視すると、実際には疲れるものになる。どういう行動をさせたいのかシンボル化で抽出し、ゲームの操作を簡素化する必要がある。

#06 ドラマを楽しむ余裕を残しましょう

▲アクションのUIで画面を覆わず、楽しさはそのままでドラマも楽しめることが重要。

#07 メモしましょう。後でメモはダメ、いまメモしましょう

▲後からのメモは、情報が古くなったり、変質してしまう可能性がある。

#08 ネットは鵜呑みにしない

#09 疲れたとき用に、甘いものは用意しておきましょう

#10 コーヒーはホットに限る!

#11 ユーザーの失敗をマイナス評価しない

▲失敗を怒られるのは皆イヤなので、そのときもゲームが楽しくなるように作るべき。『D4』ではイヤな気持ちにさせないように努力されている。

#12 予兆が大切

▲QTE(画面表示にしたがって突発的に操作をさせるイベント)を作るときに、モーションコントロールだとユーザーの動きがとても自由になるので、入力の開始がわかるタイミングが大切。かばんを投げられキャッチさせたいなら、キャッチしかけた瞬間から入力させることが重要。

#13 入力とフィードバックを一致させよう

▲モーションコントロールでは、ゲーム中の動きと自分の動きがつねに一致していないと気持ち悪くなる。入力中も含めてフィードバックを。

#14 試行錯誤が必要

▲実際にプレイヤーの動きをトレースすると鏡面表示になるので、反転させている。

#15 バランスボールを導入しよう

▲健康になるし会議も早く終わる。

#16 実現不可能なことを目標にする

「目標を高く持つことで、その手前にいいものが見つかるかもしれない」とSWERY氏。

#17 ドリームチームは作らない

▲若手を入れて無茶をしないと、『D4』のようなおかしなゲームは作れない。

#18 失敗したときに目を凝らしましょう

▲失敗は気分も塞ぎがちだが、そのときに何かが見つかることも。パスツールも言うように「構えのある心にしか物は恵まれない」。

#19 デバイスに振り回されない

▲モーションコントロールのゲームはデバイスありきになるが、デバイスからゲームをデザインしてはダメ。

#20 大事なのは発想

▲モーションコントロールも、作りたいゲームがあって初めて成り立つ。

#21 ゲームは人類の未来のために作りましょう

#22 彼女はシャラポワ

▲中央の彼女のこと。2014年の夏からSWERY氏のパートナーとなっている。

#23 不必要なモノこそ必要

▲必要なものだけ作るとゲームは記号だけになる。不必要なものを入れることで色気が出る。感情移入には欠かせない。

#24 キャラクターには二面性が必要

▲人間性が増し、感情移入がしやすくなる。

#25 感情移入をさせるには、ストーリーから書かない

▲作り手の自己満足にならないように、まずは世界をきっちり作る。『D4』もボストンを舞台に決め、そこから作られている。

#26 アイデアはつねに使い切ってください

#27 でもボツったアイデアもストックしておきましょう

▲なぜボツったのかまでメモしておくと、後で使いやすくなる。

#28 バランスボールの必要個数

▲スタッフの数÷4は用意すること。

#29 開発室をゲームの世界で彩ってください

▲スタッフもゲームが好きになり、感情がこもることでユーザーに届きやすくなる。

#30 映画をみんなでいっしょに観ましょう

▲感想を共有したり、ポイントを巻き戻してチェックしたりできる。

#31 最新ゲームはつねに遊びましょう

▲映画は古くてもいいが、ゲームは最新のものを。

#32 自分たちのゲームをチームで評価しよう

▲ゲームはディレクターだけでなく、全員でチェックして問題点をリストアップ。出た問題はホワイトボードに書き出して、解決するしないまで、みんなで共有すること。でもどれに手を着けるかは、最終的にはディレクター(SWERY氏)。

#33 大きなホワイトボードを用意しよう

#34 みんなで書こう

#35 色数は豊富に

▲ホワイトボードは大きいほうがいい。
▲そこにはみんなでアイデアを書き込む。
▲カラーのペンで書く。