マップを作成・共有できるエディター機能搭載で発売後も楽しみ!
2015年3月2日~6日(現地時間)にかけて、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のカンファレンス、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2015が開催中。その会場で、名作アクションゲーム『Thomas Was Alone』を手掛けたMike Bithell氏に、新作『Volume』を見せてもらった。
『Thomas Was Alone』は、ゲームジャムのために作られたプロトタイプを発展して作られた2Dプラットフォームアクションゲーム。「図体がデカイけど浮ける」、「小さいけど狭い所を通れる」、「デカくてジャンプ力も高い」といった能力の異なる長方形を個性が異なる人間に見立て、彼らが互いの個性を活かして大きな目標を目指すという、「最初はただ四角形が飛んだり跳ねたりしてるだけなのに、後半になると奮闘するキャラクターたちが目に浮かんできて泣ける」という不思議なゲームだった。
そして今度の『Volume』は仮想空間でのステルスゲーム。敵を殺さず、ガジェットなどを駆使して敵をおびき寄せたり欺いたりしながら、マップ内にあるジェム(白いドット)をすべて集め、ゴールに向かうという、『メタルギア ソリッド』シリーズのVRトレーニングモード×『パックマン』な感じの内容だ(実際に影響を受けている)。
敵には行動方針や性能が異なるさまざまなタイプがおり、視覚と聴覚の範囲がプレイヤーに示されている。最初の内は普通に監視網をすり抜けて行くだけでプレイできるが、次第に敵をおびき寄せたり、罠に引っ掛けるようなプレイが求められるようになる。
そこで使うのが口笛などの特殊アクションや、各マップの途中でゲットする各種ガジェットだ。壁の裏側で口笛を吹いたり音を放つガジェットを投げて捜索させたり、あらかじめ張ったトリップワイヤーに引っ掛けて痺れさせたり(ただし数秒で復帰する)、幻影を放って追わせたり、一定時間変装してやり過ごしたり。各ガジェットは使用間隔が決まっていたりするので、賢く使わねばならない。
もちろん、『Thomas Was Alone』の作者らしく話のヒネりもあり、「企業体が支配するディストピア世界で、悪の企業体がクーデターを起こすために用意したシミュレーションプログラム“Volume”を入手した少年Robert Locksleyが、これを逆手に取って「どうやれば守銭奴どもから盗めるか」を配信して皆に知らしめる……」というのがあらすじ。いわば「仮想空間の義賊ロビン・フッド」という体裁で、Robert Locksleyという名前もロビン・フッド(Robert Locksleyとも呼ばれる)からの引用だ。
『Thomas Was Alone』でトボけた感じの味のあるナレーションをしていたDanny Wallace氏がVolumeのAIを演じるほか、「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」シリーズでゴラムを演じた怪優アンディ・サーキスが敵のボスであるGuy Gisborne(これもロビン・フッドからの引用)の声を担当し、ミッション中も彼らの会話が挿入されてきて、仮想世界の内外で何が起こっているのかが段々わかってくるという仕組みも面白い。
というわけでまとめると、本作はステージクリアー型のピュア・ステルスなゲームだ。敵を倒してゴリ押しできないぶん、各面の配置や使用可能ガジェットからレベルデザイナーの意図を見抜いて遂行するパズル的な要素が大きいので、ステルスアクションゲームだけでなく、『ポータル』などのパズルアクションが好きな人にもオススメしたいところ。自分でマップを作れるエディター機能も搭載しているので、発売後の展開も面白そう。トレイラーなどを見て「おっ」と来た人は絶対に好きなタイプのゲームだと思うので、コンソール版の日本展開などは不明だが、ぜひチェックしてみてほしい。海外ではプレイステーション4/PS Vita/PC/Macで2015年の発売を予定している。