名作アドベンチャーが現代風にフルリメイクされてゲーム化!

 2014年12月28日~30日、東京ビックサイトで開催中の“コミックマーケット87”にて、5pb.から『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(対応ハード未定)のゲーム化がサプライズ発表された。なぜこのタイミングで、かつての名作アドベンチャーが“フルリメイク”されるのか。その真相を、5pb.の浅田誠プロデューサーに聞いてみた。

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★『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』とは?
 1996年12月にエルフから発売された、PC向けアドベンチャーゲーム。1997年にはセガサターンに移植された。企画・脚本・ゲームデザインを剣乃ゆきひろ氏(菅野ひろゆき氏)が担当し、“A.D.M.S”(オート分岐マッピングシステム)という画期的なシステムを搭載し、高い評価を受けた。


エルフから版権を獲得し、制作が実現

『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』“フルリメイク”の真相とは? 浅田誠プロデューサーを直撃!_01
▲MAGES.
ゲーム事業部 第一制作部 部長
浅田 誠氏

――コミケで、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』(以下、『YU-NO』)をフルリメイクしてのゲーム化が発表されました。まずはその経緯から教えてください。
浅田 誠氏(以下、浅田) 自分が2013年にMAGES.に入社して、最初に立ち上げるプロジェクトは、本当はこの『YU-NO』だったんです。版権元のエルフさんに「移植させてほしい」という打診から始まったのですが、その後紆余曲折があって、最終的に2014年1月くらいに、MAGES.がエルフさんから版権を譲渡していただくことになりました。譲渡のこともこれまで発表していませんでしたね。

――浅田さんがMAGES.に入ってから動き出したプロジェクトなのですね。
浅田 はい。MAGES.の中でも「『YU-NO』をリメイクしたい」という意見はあったらしいのですが、版権の問題もあり、具体的に動いているわけではありませんでした。自分が入社してから、エルフさんと直接コンタクトを取りました。志倉(千代丸氏)も「全然問題ないよ」と承諾してくれました。

――エルフにはさまざまな人気タイトルがありますが、『YU-NO』狙いだったわけですか?
浅田 そうですね。もともと自分の知り合いが何人か制作に関わっていて、とくに音楽を担当していた梅本竜氏(ケイブでも多くの作品の音楽を担当。2011年に亡くなった。『YU-NO』には島田竜名義で参加)は、自分の十年来の親友でした。当初、どういった形態で制作するのがいいのか悩んだのですが、結局許諾をいただいて移植するよりも、権利を譲渡してもらったほうが現実的ということになりました。ユーザーさんの中には、“3大アドベンチャー”として、『シュタインズ・ゲート』、『Ever 17』、そしてこの『YU-NO』を挙げる方もいらっしゃいますが、奇しくもMAGES.に集まったことになりますね。

――歴史的名作だと個人的にも思います。とはいえ、発売から約20年経っていますよね。なぜにいま『YU-NO』なのか、という疑問もあります。
浅田 やはり自分がこの作品が大好きで「いつかリメイクしてみたい」という思いがまずありました。また、同じ菅野さんの作品である『ミステリートF 探偵たちのカーテンコール』を自分が担当することになったので、せっかく菅野さんの作品の開発をするのなら、『YU-NO』もいっしょに進めたいという思いも強くなっていきました。『YU-NO』を従来のファンの方はもちろんですが、名前は知っているけど……という、プレイ未経験のユーザーの方にもプレイしてもらいたかったわけです。

――コミケで発表した意図とは?
浅田 MAGES.がコミケに出展していて、会場でおもしろい方法で発表できるのでは、という計画があったのです。そこで、まだ発表するタイミングを決めていなかった『YU-NO』がどうかと。この時期に発表するという予定があったのではなくて、コミケでのサプライズ発表計画にタイミングがあったという感じですね。ただ、発売は2015年を予定しているので、結果的にはよかったのかもしれません。