どこまで行っても“RPG”を作りたかった

 本日2014年12月11日に発売されたプレイステーショ3用ソフト『シャイニング・レゾナンス』。東京、秋葉原のクラブセガ秋葉原 新館と、大阪のジョーシンディスクピア日本橋店 PlayStationコンセプトショップでは、本作の発売を記念して、“シャイニング・レゾナンス発売記念抽選会”を開催した。秋葉原の抽選会の模様と、開発者へのインタビューをお届けしよう。

これぞ“王道のRPG”! 『シャイニング・レゾナンス』発売記念抽選会の模様と開発者へのインタビューをお届け_01

 あいにくの天候ではあったものの、午前中からファンがつぎつぎと抽選会に訪れていた。社会人層の仕事が終わる夕方以降は、もっと人が増えていたのではないだろうか。商品はTony氏直筆サイン入り複製原画色紙や超高画質イラストパネルなど、ファンにはたまらない一点モノばかり。抽選会には本作を購入したことがわかるレシートや納品書などを提示することで参加できた。

 こここからは、イベント会場でメディア向けに行われていた、本作のプロデューサー澤田剛氏と、同じくディレクターの小澤武氏への合同インタビューの内容をお伝えする。

これぞ“王道のRPG”! 『シャイニング・レゾナンス』発売記念抽選会の模様と開発者へのインタビューをお届け_02
▲写真左が澤田氏、写真右が小澤氏。

――まずは、発売を迎えておふたりから、ひと言お願いします。

小澤武氏(以下、小澤) わりと長い期間をかけて作っていたので、ようやくこの日を迎えられたかな、というのが率直な感想です。また、ユーザーさんに我々が魂を込めて作ったこのゲームを、どう受け止め、楽しんでいただけるかというところが不安であり、楽しみでもあります。ただ、手ごたえはあるので、楽しんでいただけるとは思っております。ユーマ(本作の主人公)たちと『シャイニング・レゾナンス』(以下、レゾナンス)の世界を冒険していただければ、と思います。

澤田剛氏(以下、澤田) 最近は業界的に、ゲームの開発期間が短いことが多のですが、『レゾナンス』は2年かけて作っています。2年のあいだにさまざまな試行錯誤がありましたが、作り始めたころから“RPGをちゃんとやらなきゃ”というところがあって、最終的に“日本人がやりたいRPG”を作れた、という点をいちばんうれしく思っています。発売日を迎えて、我々が目指した『シャイニング』シリーズをどう受け止めていただけるのか、期待と不安でいっぱいです。

――ちなみに、本日はいらっしゃいませんが、イラストレーターのTonyさんから何かコメントなどは?

澤田 Tonyさんはなんかもう、“僕のイラストをこんなに動かすのはたいへんだったろう”というか、ユーザーの皆さんにも“隅々まで”いろいろな方向から見て楽しんでもらいたいっていう感じでしたね。(笑)

――Tonyさんの絵を落とし込むにあたって、苦労された点はありましたか?

小澤 Tonyさんの絵の淡い雰囲気をどうやって出すか、というところでシェーダー部分をかなり試行錯誤した点と、クオリティーを上げようとするとポリゴンやテクスチャーの容量が大きくなってしまい……私のワガママで「つねにパーティーメンバーの4人を表示して」と、「これが冒険でしょ」と言い続けていたこともあって、そこの調整には苦労しました。開発ががんばってくれたので、クオリティーを落とすことなく、4人でパーティーが“世界を駆け巡る”という冒険感を出してくれたので、皆さんにもぜひ味わって頂きたいと思います。

澤田  “4人で歩いて、シームレスにバトルに入って”というところがいちばんこだわったところで、やっぱりRPGなので“仲間といっしょにフィールドを歩きたい”といった我々の単純な欲求から始まっています。ただ、それを表現するのが難しくて開発はたいへんでした。キリカ(本作のヒロイン)の袖とか、「こんな長いの揺らすんですか!?」って言われて、「それだけは絶対やってください!!」ってワガママを言ったり(笑)
 Tonyさんのイラストを3Dにするところもたいへんだったんですけど、背景とか、敵とかを違和感のないデザインにする、というところもこだわりました。リアルすぎない、イラストのイメージを残した背景、敵もわざとイラスト的なタッチを残していたりするんですが、Tonyさんのキャラクターと並んでも違和感のない“空気感”の世界を作れたかな、と思います。

――今回、ひさびさに据え置き機でのリリースとなりますが、据え置き機ならではのこだわった点や、据え置き機だからこそできた点などがあればお教えください。

澤田 ここ数作はずっと携帯機でのリリースだったこともあり、最初は携帯機で、という話もあったのですが、先の小澤のこだわりにもあったように“4人で冒険”という点や、Tonyさんのイラストを表現するというところで、携帯機ではやらない、むしろ携帯機ではできないことをやりたいというところがありました。また、据え置き機で、落ち着いて大きな画面でやりたいという点ですね。

小澤  携帯機はカジュアル、サクサクといつでもどこでも短時間で、というのが持ち味なので、それに合わせた作りをしてきましたが、据え置き機はどっしりと腰を据えてプレイすると思うんです。そうなると、遊びかたや取り組みかたも変わるので、それに合ったゲームを作らなければというところでやり込み要素であったり、今日、まさに発売日に配信されるのですが、“魔導書グリモアールの迷宮”という無限ダンジョンのように、シナリオ本編だけではなく、バトル部分もおもしろく作り込めたという自負があります。そういう仕掛けを用意できたのも、据え置き機ならではと思います。

澤田 ここ何作かは音楽、歌をテーマにしてる部分があって、携帯機だと音作りの面で限界があり……。今回はすごいスピーカーで聴いてもらっても、いい感じにできてると思います。音楽面でも相当力を入れて作っていて、とくに音質面、携帯機ではそもそも携帯機のスピーカーでよく聴こえるように作るんですけど、それとはひと味違った“据え置き機ならでは”の豪華な音楽、というのを聴いていただきたいですね。

――実際に遊ぶユーザーに向けて、ひと言アドバイスをお願いします。

小澤  触り心地はアクションなので、直感的にプレイできると思いますが、我々はどこまで行っても“RPG”を作りたかったので、触っていただければ根幹にあるのはRPGだな、というのがわかっていただけるのではないか、と思います。たとえばレベルを上げることや、スキル、フォース(いわゆる必殺技に相当するシステム)をカスタマイズできるので、敵に合わせてカスタマイズすることで、アクションが苦手な方でも切り抜けられるようになっている点などですね。また、アクションを行うごとにAP(アクションポイント)を消費し、これが尽きてしまうと攻撃できなくなってしまうのですが、フォースを出すとAPが回復するので、適度に通常技とフォースを組み合わせて連続技を作る、という戦略的な面も楽しんでいただきたいと思います。

澤田 難易度的にはスタンダードがデフォルトなのですが、若干歯応えがあって、とくにボスなどは辛い目に遭うこともあるかと思います。ですが、難易度を抑えたカジュアルモードも用意しておりますので、こちらに切り換えていただけるとアクションが苦手な方でも進みやすいのではないかと思います。ただ、ゲーマーを自負している方は最後までスタンダードで挑戦していただきたいですね(笑)。

小澤  チューニングという武器の種類と、スキルの組み合わせもあるので、たとえば初期に手に入れたチューニングも、後々手に入れたスキルと組み合わせると意外な効果があったり、キャラクターごとに合う、合わないもあるので、そのあたりも自分なりのカスタマイズを見つけてもらえれば、と思います。

澤田 遊びかたにもいろいろあって、性能で選ぶ人もいれば見た目で選ぶ人もいて、どちらでも楽しめるように遊びかたには幅を持たせています。アクションが得意な人は低レベルクリアーも可能かもしれませんね。

――最後にひと言お願いします。

小澤  “Tonyさんのキャラクターがいる世界”を、その空気を感じられる作品を作ろう、と開発に言い続けて、がんばって実現したので、フィールドに出たときの“拓けた”感覚をユーザーさんにも是非味わっていただきたいし、「この世界を駆け巡ってみたい!」と思っていただけるものになっていると思います。現実を忘れて、ユーマたちの一員になったつもりで冒険していただければと思います。

澤田 今年は、Tonyさんをキャラクターデザインに起用した『シャイニング・ティアーズ』という作品からちょうど10周年にあたるので、本作は心機一転、新しいイメージのものを作ろうという面があります。ゲームシステムはまったく新しいものに挑戦していますし、世界観もこれまでの作品とは一切つながっていません。この機会に、いままでシリーズに触れていなかった方にこそ、ぜひ遊んでいただきたいと思います。もちろん、いままでのシリーズを遊んでいただいた皆さんにとっては、“いままででいちばん楽しい”ものになっていると思います。


 インタビューを行って強く感じたのは、ふたりの強い“RPG”に対するこだわり。そして、“これぞ王道のRPGだ!”と断言するかのような自信に満ちていた。シナリオ、グラフィック、やり込み要素のあらゆる面で重厚な本作。RPGが好きなユーザーは、年越しを遊び倒す1本として『シャイニング・レゾナンス』を選んでおけば間違いなし!!