『妖怪ウォッチ』の日野晃博氏が語る『新生FFXIV』

『新生FFXIV』のファン感謝イベント、“Full Active Time Event in FUKUOKA”が2014年11月29日に開催された。その一環として催されたインターネットストリーミング放送“第18回プロデューサーレターLIVE”に、レベルファイブの代表取締役社長/CEOの日野晃博氏がゲスト出演し、吉田直樹プロデューサー兼ディレクターと『新生FFXIV』をテーマにトークを展開した。

●社会現象を巻き起こしている“時の人”がサプライズ出演!

 日野氏と吉田氏のふたりは、友人として広く知られる間柄。吉田氏によれば、最近も毎月1回は食事をするほどの仲だという。「時の人の状態でお忙しいなか、お越しいただいてありがとうございます」と吉田氏が感謝の言葉を述べると、日野氏は「今日はレベルファイブの社長とか『妖怪ウォッチ』などは抜きにして、『新生FFXIV』のいちプレイヤーとして、吉P(吉田氏の愛称)の友だちとしてご協力させていただきます」と応じた。
 日野氏といえば、いまや社会現象にまでなっている『妖怪ウォッチ』の仕掛け人。その一方で、大迷宮バハムート:真成編を第二層までクリアするほどの『新生FFXIV』の熱心なプレイヤーとしても知られる人物でもあるのだ。


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▲『新生FFXIV』と『妖怪ウォッチ』の総責任者ふたりが夢の共演!

 現在もっとも注目を集めているゲームクリエイターのひとりである日野氏が、はたして『新生FFXIV』をどう語るのか。注目が集まるなか、コーナーがスタートした。


●ジバニャン+アラガントームストーン=シガクニャン!?

 最初のコーナーは、“日野さんにとって『新生FFXIV』とは?”がテーマ。日野氏は「『新生FFXIV』はゲームの世界でいちばん高い次元のもの(コンテンツ)を作っていると思います。「お手並み拝見」のつもりでプレイしていたのですが、いつのまにかハマってしまいました(笑)」と本作と出会ったきっかけを述べていた。
 ここで日野氏は「(地元)福岡でイベントをやるということで、僕たちレベルファイブと吉田さんたちのチームの記念となる“コラボしたもの”を用意しました」と切り出し、おもむろにイラストを提示した。


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▲アラガントームストーン:詩学と交換で獲得できる装備を身にまとった“シガクニャン”。盾と剣を手にしていることから、ナイトであることがわかる。

 以下は、そのときのやり取りだ。

吉田直樹氏(以下、吉田) シガクニャンって……(笑)。これ誰に描いてもらったんですか?

日野晃博氏(以下、日野) メインキャラクターデザインの長野(拓造氏)を社長室に呼び出して、「ちょっと相談があるんです」と(笑)。さすがにちょっと申し訳ない気持ちになったので、ほかの仕事を頼みつつ、「もうひとつあるんだよね」と。

吉田 (仕事が)倍になってるじゃないですか(笑)。

日野 (笑)。僕が「詩学というものがあってだな」と、こと細かに説明したうえで描いてもらいました。僕はナイトをメインにプレイしていて、バハムート装備や詩学装備を集めているところですが、今回はデザインがいいですよね。

吉田 ありがとうございます。それにしてもこのイラストは超レアですよね。お父さんがこの放送を観ていて、それを目にした子どもたちが「あのジバニャンがほしい!」となったら、どうしたらいいんですか?(笑)。

日野 それはもう、わかりますよね。

吉田 (ゲーム内に)出せっていうことかな?(笑)。

日野 (笑)。じつは、イラストがまだあります。

吉田 まだあるんですか!?


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▲日野氏が取り出した2枚目のイラストはシガクニャン+“ウィスライオン”。後者はナイトで活躍したプレイヤーだけに与えられるマウント“ウォーライオン”と人気妖怪ウィスパーが融合したものだ。

日野 僕はライオンの取得に苦労したので、すごくこれに感情移入していまして。“シガクニャン”のイラストがすぐに完成したので、時間がまだ残っていたから「まだいけるかな」と(笑)。

吉田 社長のために頑張って早く仕上げたら、「もう1枚お願いしていいかな」って(笑)。

日野 乗りに乗って……(描いてくれました)。

吉田 乗りに乗っているのは日野さんだと思います(笑)。

日野 ナイトの詩学装備のなかでインパクトがあったのが、頭です。これも(長野氏に)描いてもらおうと思ったのですが、ジバニャンは顔が大きいので、なかなか難しいかなと。そこで僕がこと細かに説明して……。

吉田 仕事が増えていくばっかりじゃないですか(笑)。

日野 ナイトの詩学装備を語るうえで、頭は欠かせません。ぜひこれも描いてほしいということで……。

吉田 まだある!?


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▲ジバニャンは頭が大きく、詩学装備の頭の再現は難しいためバケツで代用。2本の青い線で、リアルさを強調!?

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▲こちらが実際のガーロンド・ディフェンダーヘルム。たしかに、青い線が2本引かれている。

吉田 これは遠回しに、「詩学装備の胴は気に入っているけど、頭はバケツだよね」と言っているんですか?(笑)。

日野 僕がこと細かに説明したところ、こういうふうにできあがりました(笑)。

吉田 「バケツだから」っていう説明しかしてないでしょ(笑)。

日野 「バケツに青いラインをふたつ入れておいてくれ」とお願いしました。

吉田 発注がズサンだな……(笑)。

日野 こちら(のパネル)を記念の品としてお贈りします。

吉田 ありがとうございます。スクウェア・エニックスのブースに飾っておきます。

日野 バケツは、アラガン装備のころから、ナイトを語るうえで欠かせない存在です。詩学の頭を取得して、僕は衝撃を受けました。(バイザーの部分が)開閉までできて。フリーカンパニーの仲間たちと大爆笑しました(笑)。すごく気に入っているので、バハムート装備を獲得したら着られなくなってしまうのがすごく寂しいです。

吉田 長野さん、(お忙しいなか描いていただいて)本当にすいませんでした。


●日野氏が吉田氏に面と向かって物申す!

 続いては、『新生FFXIV』のヘビーユーザーである日野氏による“吉Pにモノ申す”のコーナー。日野氏の視点から、本作をより快適に遊ぶための要望を吉田氏に直接ぶつける場だ。
 冒頭で日野氏が「物申すなんてとんでもないです」と恐縮すると、吉田氏は「いつも言ってるじゃないですか!」と即座にツッコミを入れていた。

モノ申す(1):夜はまだこれからだぜ?


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吉田 これは僕と夜遊びしたいということですか?

日野 違います。夜の12時くらいに帰宅して、それから『新生FFXIV』をプレイしても、時間が遅いせいで大迷宮バハムート:真成編のパーティ募集がないことが多くて。僕の所属するワールドの方々は、健康的な生活を送られているようです(笑)。

吉田 みんな眠っているのでしょう。

日野 ですので(大迷宮バハムート:真成編に)行けないわけです。いまのコンテンツファインダーはデータセンター単位でワールドを横断して募集がかけられますが、パーティ募集は同一ワールド内でしか行えません。最先端コンテンツの大迷宮バハムート:真成編はパーティ募集のみという現在のルールを撤廃し、全ワールドを通して募集がかけられるべきなのではないかと。ほかのワールドでも行きたい人がいるのに、それぞれが離れ小島の状態になっていると思います。彼らを集めて、夜の3時を過ぎて突入できるようにしてほしいです。

吉田 コンテンツファインダーのパーティ募集版ということですね?

日野 そうです。

吉田 僕もログインできるのが午前2時くらいからなので、すごくわかるんですよね。パーティ募集を立てても、なかなかメンバーが集まらないという……。

日野 最新の大迷宮バハムート:真成編だけでいいんですよ。

吉田 僕はむしろ皆さんに「夜はまだこれからだぜ?」と言いたい。

日野 違います違います(笑)。ぜひこれからの検討項目のひとつにしていただきたいです。そもそも(開発内の検討項目として)ありませんでしたか?

吉田 じつは今日ありました。だからさっきからイヤな予感がしていたんです(笑)。ちょっと見積もりはしてみますね……。

日野 2回くらいメシおごりますよ。

吉田 プログラムチーム全員を(食事に)呼んでもいいなら、ありかもしれません(笑)。パーティ募集機能のいいところは、同じワールドで友だちが作れる点です。便利にしすぎると、「ワールドを超えて」になってしまうので、ちょっと警戒しているところはあります。便利なものがあると、皆さんは基本そちらを利用しますから。

日野 せめて夜の12時以降の発動を……。

吉田 仕様を盛りましたね(笑)。

モノ申す(2):家に誰もこないんだけど?


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吉田 そもそも友だちがいないんじゃないんですか?(笑)

日野 いやいや(笑)。(来場者に向かって)皆さんもこの経験はお持ちですよね? 自宅を買ったけれど、フレンドはテレポできないし、畑も育てられないというところで、訪れる必要性がなくて……。すでに(調整)予定には入っていると思いますが、現時点で感じている不満として言っておこうかなと(笑)。

吉田 ストレートに“不満”をぶっこんできましたね……。エターナルバンドが(パッチ2.45で)入るので、ひとつの家を絆で結ばれたふたりでシェアしたい。あとは友だちに頼まれて、個人宅の畑に肥料をあげたりとか。現在は水しかあげられませんので。その部分も含めて何とかしたかったんですが、間に合わなかった……。いずれにせよ、対応はします。

日野 家が廃墟になっていく感じがして(笑)。

吉田 その仕組みが入ったときに、日野さんに「人が遊びに来るようになりましたか?」と聞くようにします。でも誰も来ないという(笑)。

モノ申す(3):真成3層W3


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日野 これはいまの僕の進捗状況です。正確には最終フェーズまで到達しているのですが、ウェーブ3のベンヌさんを取るのに相当いろいろと苦労した経緯がありまして。なんでこんなに苦しまなきゃいけないんだろうと。皆さんはそんなこと言われなくてもわかっていると思いますが、敵視リストに(マーカーで)つけた番号が表示されるようにしてほしいです。

吉田 たとえば相手に“3”とマーカーすると、(その数字が)そのまま敵視リストにも表示される感じですね。

日野 ターゲット対象のパラメータには(マーカーが)つくのですが、敵視リストには表示されない。あそこにつけば、けっこう楽かなと。

吉田 技術的な話をすると、敵視リストはおもにタンクの方が「それぞれの敵が全部自分を向いているか」を確認するために用いる表示です。そこをターゲットの対象にしている人は大勢いると思っているので、レスポンスを最優先に開発してあります。そのモンスターが抱えている敵視の値がいくつなのかを円滑に確認できるようにするため、じつは敵視リストは、サーバー上の更新スピードがいちばん早いのです。もしこの部分が遅れたら、「ウソをつくなよ」という話になってしまいます。敵視を度合いを数字で表していないのもそれが理由で、(厳密な数値として表示すると)サーバーとの交信を行う際に、瞬間的なズレが必ず出てしまうからです。そこに日野さんのお願いを入れると、「誰にどの番号がついているのか」という判定処理を回さなければならないので、それによってレスポンスの遅延が発生し、結果的に更新頻度や正しさが狂ってしまうことを懸念しています。

日野 なるほど。でも、もはや僕にとってそれは関係ないんです(笑)。

吉田 最初の「なるほど」は何だったのですか(笑)。

日野 とりあえず、欲しいものは欲しいということで(笑)。

吉田 たまには開発者としての一面も見せてくださいよ(笑)。

日野 だって僕は(『新生FFXIV』の)開発じゃないですもん。いちプレイヤーとして今日は来ていますから。

吉田 まあね……。

モノ申す(4):消える家具の謎


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日野 土地が増えたことで、自宅が買えるようになりました。フリーカンパニーの邸宅に置いた家具を自宅のほうへ移動したいのに、それができないんですよね。

吉田 買いましょう。

日野 これは当然、修正項目に……。

吉田 買いましょう!

日野 もう一度(家具を)買えということですか?

吉田 買いましょう!!

日野 それはさすがに厳しくないですか?

吉田 クラフターが精魂込めて作ってくれた、せっかくの新しい自宅じゃないですか。家具も総入れ替えするのは、どうですか?

日野 でも高いんですよ、これ。新しい家具を置くのもいいですが、古い家具も再利用したいじゃないですか。市場の問題などがいろいろあるのでしょうが、せめて自分の家から自分の家への移動は可能にしてほしいなと。

吉田 マーケットを考えるのであれば、消滅ではなくBIND(二度とほかのプレイヤーに渡せなくなる状態)にならないかという意見は多く聞きます。でも家具は、一度獲得したものはひたすら保管できます。経済のことを考えると、とくにハウジングのパーツを作り続けている方が、どうなるのかなと。ただ、気軽にテストできないのは現在の仕様では事実なので、BINDにするかどうかも含めて、経済面で問題ないのであれば、一部のもの以外(家具配置の制限を)撤廃するのもありなのではという話は出ています。

モノ申す(5):マクロマン


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吉田 ぜんぜん意味がわからないです(笑)。

日野 昔、『ミクロマン』というのがありましたよね。

吉田 ありました。でも年齢がバレますよ(笑)。

日野 僕はすごくマクロを使うほうでして。

吉田 (日野氏は)もともと超天才プログラマーですからね。

日野 マクロを活用していろいろなことをやっているのですが、皆さんがもう何年も前から感じているであろう部分がありまして。

吉田 何年も前からって、まだ『新生FFXIV』がリリースされてから1年ちょっとしか経ってないですよ(笑)。

日野 (笑)。皆さんマクロタイマーというのを作りますよね。それを起動しているときに挑発マクロを使ったりすると、タイマーが途切れて使えなくなるわけですよ。ですのでマクロタイマーが必要な場面では、それの実行を誰かに任せるか、僕は一切マクロを使わずに戦うかの苦しい選択を迫られます。せめてマクロをふたつ起動できるようにできないものですか?

吉田 マクロラインを表と裏で2ライン同時に……ということですね。

日野 あともうひとつ。僕はクラフターの製作時にもマクロを使っているのですが、パーティ募集をしながらアイテムを作ることが多いんです。仲間に加わってくれた人が「よろしくお願いします」と挨拶すると、当然僕もそれに応えるわけですが、そうすると製作のマクロが途切れてしまうのです。

吉田 え?

日野 ですから、“よろしくお願いしますボタン”を押しますよね。

吉田 『新生FFXIV』には“よろしくお願いしますボタン”は存在しません(笑)。最初の挨拶なんだから、心を込めて一字一句、キーボードで入力しましょうよ。僕は完全に手動入力ですよ。同じ挨拶であっても、すべて手打ちです。同じ文言を何度もくり返すと「マクロっぽくなってきた」と感じてくるので、まったく違う人に挨拶した場合であっても、言いかたをちょっと変えたりしています。

日野 マクロを使って挨拶をする僕のスタイルは邪道であると。

吉田 だって挨拶ですよ。

日野 でも、デフォルト状態のマクロ機能を呼び出すと、メニューの左上に挨拶マクロが入っているじゃないですか!

吉田 オンラインゲームを初めてプレイする際は、チャットで挨拶することがじつはいちばん難しいので、その解決策としてあのマクロが置いてあるのです。つまり、挨拶の重要性を説くために置いたのであって、あれを使って挨拶をしろと言っているわけではありません(笑)。

日野 そうなんですか。でもあのマクロを使うと、ちゃんとお辞儀までしてくれますよね。

吉田 「よろ~」や「おつ~」をボタンで行ってほしいわけじゃないんです。

日野 たまにダンジョンが終わった後に、「よろしくお願いします」って出ちゃうときがありますよね(笑)。

吉田 うわ~(笑)。でも意外とその話に納得している人たちも多そうです。

日野 とにかく、製作しているときに「よろしくお願いします」と言っても、マクロが止まらないようにしてもらえませんか?

吉田 でも同じ挨拶ばかりしていると、マクロを使っていることが仲間にバレてしまいますよ。

日野 2回くらい同じ挨拶をした後は、(キーボードで)打ちます。人間関係的にバランスを取る意味で(笑)。

吉田 そのへんはちゃんとしてるんだ(笑)。

日野 たとえば大迷宮バハムート:侵攻編の3層のマクロも、パーティリーダーである自分が流したいわけですよ。でも僕は防御バフをマクロ化しているので、それができないんです。ですので、タイマーマクロだけでもせめて別枠で流せるようにしてください。

吉田 ガチプレイヤーすぎて言葉が出ません。とりあえず挨拶は手動で行っていただきたい(笑)。

日野 多くの方も希望されていると思うので、どうでしょう?

吉田 でも、なぜそれが実現できないのかをここで話しても、「わかったけど知らないよ」という返事になるのですよね(笑)。

日野 後の検討課題としていただければ(笑)。

吉田 担当者である皆川(裕史氏/リードUIアーティスト兼リードwebコンテンツアーティスト)自身が、いちばん直したいと思っている部分だと思います。

日野 挨拶だけ別ボタンにするという手もありますね。

吉田 挨拶だけマクロから切り離して、別ボタンにしちゃう。新しい発想だけど、絶対にやらないですよ(笑)。挨拶は心を込めて、一字ずつ入力しましょう(笑)。


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●日野氏は深夜の北ザナラーンでひたすら盾を投げていた!

 3つ目のコーナーは、スペシャルゲストによる“エオルゼアでの思い出”。いくつかテーマを設けて、個別のエピソードを日野氏に語ってもらう趣向だ。

思い出(1):真夜中の青燐精製所


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日野 青燐精製所は、大迷宮バハムート:真成編の入り口ができたおかげで賑わっていますが、以前はすごく静かな場所でした。

吉田 現在ではなく、昔の話ですね。

日野 テレポ地点近くのパブリックフィールドにそれなりに強い敵がいるので、青燐精製所の周辺はいろんな特訓をするのに向いています。僕はゲームパッドでプレイしているのですが、大迷宮バハムート:邂逅編の5層で登場するヘビ(アスクレピオス)をサブタンクとして引き回すのが当時苦手でした。とくに、2体の敵に走りながらシールドを投げられずに苦しんだのですが、そんなときにL2とR1ボタン(またはL1とR2ボタン)による“クロス押し”の存在を知りまして。これを使って自在にネクストターゲットに切り替えられるよう、青燐精製所周辺の敵を5層のヘビに見立てて訓練をしました。

吉田 ずっとですか?

日野 そのへんにいる2~3匹のモンスターにシールドを投げて、走るんですよ。そのあとLRボタンでターゲットを切り替えながら逃げ回るのですが、咄嗟に入力するのが難しくて。毎夜毎夜、練習していました。この切り替え機能はすごい発明だと思ったので、フリーカンパニーのメンバーにも利用を勧めたうえで、「ここで特訓するといいよ」とアドバイスしたほどです。


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▲もしかして、F.A.T.E.のボスでシールドロブの練習をしていた……?

吉田 メンバーの反応はどうでした?

日野 「はぁ……今度やります」と言われて(笑)。青燐精製所は思い出の場所なので、いまの賑わいは僕にとっては複雑です。

吉田 “時の人”が、誰もない場所で盾を投げていたんだ(笑)。

日野 ずっと投げてましたね(笑)。

思い出(2):僕と天気予報士とトンベリ


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日野 ヌシ釣りってありますよね。

吉田 日野さんから「釣りが趣味スキルだというなら、ヌシ釣りくらいあるべきだ」と言われたことがきっかけで実現した遊びです。

日野 これがけっこうヘビーな作りでして。タイタニックソーを釣り上げた後、シルバーソブリンを20匹獲得しなければならない……これがなかなか釣れなくて、3時間も待ったときもありました。長時間釣れないと少しずつ心が病んできて、「釣るための法則が何かあるのではないか」と思い始めたりします。そんなとき、トンベリのミニオン(マメット・トンベリ)を連れていた隣のプレイヤーが、椅子から急に立ち上がって何かを釣り上げたのです。

吉田 ヌシが掛かったかどうかを判断するために、椅子に座って釣りをする人は多いです。

日野 何が釣れたのかはわからないのですが、その人はテレポで帰っていきました。僕は当然「シルバーソブリンを卒業したな」と直感したわけですが、そこで得た結論は「なるほどトンベリなんだ」と。

吉田 その人のプレイ時間や忍耐力や運ではなく……。

日野 トンベリにはそういう効果があって、僕がそれを知らないだけなのではないかなと。そこでトンベリを呼び出して釣りを再開すると……来たんですよ! それ以降僕の中では、トンベリはヌシの獲得率を20%高める効果があるということになっています。所属するフリーカンパニーのメンバーにも、(ヌシを狙う際は)トンベリを呼び出すことを徹底してもらっています。

吉田 漁師でトンベリを連れている人を見かけたら、「あれ?」と思ったほうがいいと。

日野 そうですね。

吉田 でもどうしてトンベリですか?

日野 包丁を持っているところに(関連性を)感じました。小粋なことをやってくれるなぁと(笑)。


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▲日野氏の発言の直後、マメット・トンベリの取引価格が一気に上昇したワールドもあったという。

吉田 ちなみに天気予報士のお話は?

日野 (シルバーソブリンを完遂した)後にまた、オルゴイコルコイを釣り上げるという地獄が待っていました。最初にサクッと1匹釣れたので、これは楽勝かと思ったら、また3時間ほど掛からなくて……。オルゴイコルコイは灼熱の天候でのみ釣れる魚なので、ログインして最初に行うのが、ウルダハの天気予報士に話しかけることになりました。


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▲日野氏は、「この天気予報士の顔を何度見たことか」と話していた。

吉田 灼熱が続いているときに、仲間から「コンテンツに行きましょう」と誘われたらどうするんですか?

日野 それは断りますよ。以前パーティメンバーに誘われたときに「すいません、いま2回連続で奇跡の灼熱中なのでダメです」と返事をしたこともあります。

思い出(3):背中のスプラの謎


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日野 スプラを語る前に、ルミナリーについてお話しなければなりません。黄金に輝くルミナリーを装備すると、(通常のものとは異なり)道具を背負う形になります。これは“選ばれし者”だけに許されたアピール要素のはずです。

吉田 まさしくそのとおりです。

日野 僕はそれをすごいと思っていたのですが、その後、新たに登場したスプラを装備したら、なんとこれも背中に着けるタイプでした。にも関わらず、別のクラスでふたつ目のスプラを取得し、それを装備してみたところ、今度は背負わないタイプでした。そこで「スプラは自慢していいものなのか、どっちなのだろう」と思ったわけです。腰に提げるタイプと背負うタイプは、何を基準に決められているんですか?

吉田 うーん、わからない(笑)。

日野 ワールドによっては、スプラをひとつ手に入れるために100万ギルが必要になったりもするので、背負えるようにしてもらわないと困りますよね。

吉田 そっちですか(笑)。ルミナリーの話は『旧FFXIV』時代までさかのぼります。当時、僕が体制を引き継いだときに、まずジョブがありませんでした。ジョブ公開に向けて装備を大急ぎで作ったのですが、同時進行で『新生FFXIV』を開発していたこともあり、クラフター向けの装備の制作は後手に回ってしまいました。クラフターをやり込んだ人のために、せめて主道具だけでもということで発注したのがルミナリーだったのです。

日野 なるほど。

吉田 僕が加入する前のクラフターの道具は、すべて腰に提げる仕様になっていました。理由は、そうしたほうが製作に入るときなどのモーションが小さくて済むためです。背中に装着できるタイプを提案したところ、製作開始時に道具がパッと手に握られる形になるのを担当者が嫌がったようで、「腰にしか着きません」という回答が返ってきました。僕はその回答を「知るか!」とはね付けて、背中に着けるよう指示したのです。

日野 それはまさに英断です。

吉田 プレイヤーのモチベーションに繋がるよう、頑張って取得したものは目立たせるべきだし、目立つ場所に配置すべきだという指示を、その時点で完遂したつもりでした。ところが、その指示はルミナリーに限ったことだと理解しているスタッフもいるような気がしています。

日野 ルミナリーと同様、スプラを手に入れるためにも相当苦労するし、ギルも掛かる……これはやっぱり背中に装備するべきなのでは?

吉田 うん、まぁ……ふつうはミスかな……ミスじゃないのかな……。なんで僕が責められるのだろう(笑)。キャラリーダーを連れてくればよかった(笑)。ちょっと確認してみます。先ほども話しましたが、パッチ2.0シリーズ中は、クラフターをこれ以上難しくすることはありません。とはいえ、現在の状態でもスプラを取得するのはものすごく大変だと思います。そこで、バトルクラスでいうところのゾディアックウェポンに相当する、時間は掛かるけどスプラに比肩するアイテムの公開を準備しています。その開発担当者に、(当該の道具は)背中に装着できるように指示しておきます。ちなみに、日野さんはどれくらいまでクラフターをやっているんですか?

日野 あと3つでスプラが揃います。

吉田 全部揃うんですか?

日野 はい。


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▲ウルリクムミソー・スプラを含めた全5クラスぶんのスプラを、日野氏はすでに獲得していた!

吉田 信じられない……すごいのはバトルだけではなかったという(笑)。

日野 待ち時間は、ずっと釣ってるか作ってるかしてますからね(笑)。

 吉田氏と日野氏によるトークはここまで。日野氏の思い入れの深さや熱の入りかたは伝わっただろうか。


●放送後に……

 じつはストリーミング放送を終えてから、両氏はメディア向けに「5分だけ」という約束でコメントの場を設けたのだが……放送分以上にざっくばらんな雰囲気となり、もちろん5分では済まないトークがくり広げられた。以下はその内容だ。


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――日野さんをここまでやり込ませる要因は何なのでしょうか。
日野 僕はもともとゲーマーなんですよね。MMOみたいなものも好きだし、『スカイリム』みたいなオープンワールドも好きだし。『新生FFXIV』は自分の好きな要素を持っている作品なので。もうひとつ理由があるとすると、吉田さんの人柄を知っているので、そういうこともあって。作っている人たちの顔が見えている感じで楽しめるということです。最初は本当に、お手並み拝見という感じでしたけど、いまではプレイヤーとしてハマって楽しんでいますね。

――開発者としての視点からみると『新生FFXIV』はどうですか?
日野 やっぱりジェラシーを感じることが多くて。うらやましいなという。僕もいろいろと作っていますけど、『新生FFXIV』のように、プレイヤーとの対話を重ねて作っているというところが、ものを作るうえでの理想形だと思うんです。僕らも『妖怪ウォッチ』は子供たちの意見を聞いて、リサーチしてやっているので。そういう意味では、ステージは違えどある意味似たようなアクションをしているので参考になることが多いです。プレイヤーとしてやっているのも楽しいし、吉Pと飲むのも楽しいし(笑)。いちプレイヤーとして自然に遊んでます。

――来場者や視聴者は、日野さんのプレイぶりに驚いたと思います。おそらくいまものすごくお忙しいと思いますが、どうやってプレイ時間を確保されているんでしょう?
日野 先ほど言ったとおりですよ。12時から3時、4時ごろまでが僕のコアプレイタイムなのに、12時に家に帰ってからは募集が少ないってナイよねと(笑)。(リセットのある)火曜日だけはなんとか人が多いけど、水曜、木曜になると少なくなるので、先ほどの話をちょっとどうしてもやってもらわないと、っていう。
吉田 (笑)。
日野 (その時間帯は)昔から好きなゲームをやる時間として確保しています。ここ何年かは『新生FFXIV』をやっていますけど、つねにゲームはやってます。
吉田 日野さんはめちゃくちゃゲームするんですよ。僕とまったく同じで、日野さんもショートスリーパーなので、ふたりとも睡眠時間は4時間半くらいでよくて。いま、さらっと12時から4時ってさらっと言ってましたけど、それがふつうになっちゃっているという。

――おふたりが仲よくなられたもともとのきっかけって何だったんでしょう?
日野 『新生FFXIV』を遊び始めて、いろいろ話をするようになりました。もともとは『ドラクエ』のころからいっしょに合宿したりしていましたね。
吉田 ちょうど『ドラクエVIII』の制作が終わって、僕がいまの『ドラクエX』を作るということでスクウェア・エニックスに入社して、晴海でやった堀井さん主催の最初の合宿のときに初めてお会いして。その後は『バトルロード』のディレクターをやっているときに『ドラクエVIII』でレベルファイブさんが作ったリソースをお借りして作っていたので、そのときにご挨拶をしていたり。それ以降はイベントでちょっと顔を合わせてお話するくらいですよね?
日野 そうですね。僕は『旧FFXIV』をリセットして新しくやり直すというときに、吉田さんの名前が書いてあってちょっと心配だったんですよ。でもそれが違って、本当にガチの立て直しができていて。クリエイターとして本当に尊敬に値することをやっていると思っています。飲んでいてもすごく楽しいし、ふつうにクリエイターのライバルとしても友人としてもすごく楽しく付き合えるので、だんだん苦労話をし合えるようになっていったという感じですね。
吉田 とくに当時あれだけいろいろ言われた『旧FFXIV』ですが、「いやいや、そうは言ってもこれだけのものを作り出すなんて、世界的にみてもないことなんだ、すごいことなんだぞ」と当時日野さんが言ってくださっていて。日野さんもしばらくプレイを休止されていましたが、『旧FFXIV』がおもしろくなったと聞いて戻ったら、なんかえらいゲームが変わっていて驚かれたと。
日野 『旧FFXIV』のときの後半で大きく変わりましたよね。あのタイミングで「すごく変わったね」と話すようになったんですよね。
吉田 そうですね。それから頻度がわりと多くなりました。

――パッチ1.18でゼーメル要塞が入ったあたりでしょうか?
日野 そうですね。それから『旧FFXIV』の最後に、「あのダラカブが落ちてくるイベントを楽しみにしとけよ!」と言われて、吉田さんにさんざん煽られたんです(笑)。
吉田 (笑)。
日野 さんざん煽られて、その日は僕も、いっしょにプレイしていた何人かと、「あれだけ吉田さんが言っていたんだから、今日1日はこのためだけに予定を空けておこう」と。そうしたら、(その日はぜんぜん)ゲームにつながらないんですよ。10秒で落ちるとか!(笑)。いやいやいや、もう……。

――アクセスが集中しすぎて混乱がありましたね。
日野 「吉Pが言ってたのってこういうこと?」って(笑)。
吉田 「つながんないんだけど!」って(笑)。いやー、お恥ずかしい……。最初のうちは、ゲームの「なんでだろう」と思うところ、それからゲーム観だったり、判断だったり、そういう話を最近いろいろするようになって。本当に月イチくらいですよね。なんとかお互い、「日野さんだったら時間を空けるから」みたいな感じでお会いして飲んでます。
――日野さんはまたオンラインゲームを作りたい……と。
日野 いま「また」って言いました?
――すでにご経験が……。
日野 作りたいと思っていますが、いろいろ勉強をさせてもらってから、順を追ってやりたいと思っています。

――日野さんはタンクですよね。エオルゼアにはタンクが少ないので、ぜひ日野さんから魅力を語っていただければ。
日野 最初は黒魔道士でしたが、途中でナイトになったんですよ。なんかね、そっちのほうが楽しかったんです。タンクは勉強が必要なんです。いまはだいぶ楽になりましたが、当時、ワンダラーパレスなどで先導しなければならないのが、あれを勉強したりするのが億劫でやってなかったんです。ですが自分が指示したとおりにほかの皆さんが動いてくれるなど、ちょっとした快感があり、MIPが導入されてからはガーッとポイントがもらえるようになったりして楽しくなったんですよ。僕は根っからのリーダー気質があって。
吉田 ああ気質ですね。
日野 それで楽しくなってきて。いまはタンクをやらないと物足りないんです。

――真成編3層で「ベンヌのマクロは僕が出したい」というお話がありましたね。
日野 ベンヌのマクロを出しながら、自分のマクロも出したいんですよね。
吉田 タンクはたしかにたいへんかもしれません。きちんと作戦を立ててもプレイヤースキルがバラバラなこともありますし。ふつうより時間がかかったかもしれないけど、クリアできたというとき、居合わせたメンバーの中では、たぶんタンクがいちばんうれしく感じると思うんですよ。「やったね、みんな!」っていう。あれはやっぱりタンクのいちばんの魅力だと思いますよ。
日野 あと、ボスのモデルを正面から見られますからね(笑)。
吉田 そうそう。慣れてくるとモデルを見られますからね(笑)。
日野 油断すると危ないのが、たまに黒魔道士で参加したときも、うっかり敵の正面にいたりするんですよ。気づいたら本能的に敵の前に回り込んでいて。危ない(笑)。


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 この時点で時刻は23時過ぎ。宣伝スタッフ氏の「そろそろこのへんで……」という言葉をきっかけに、トークはお開きとなった。
 第18回プロデューサーレターLIVEに関する、そのほかの情報や発表内容は<<こちらの記事>>をご覧いただきたい。