加隈さんと内田さんが3年半の思いを語る

ガストは2014年9月28日に東京コンベンションホールにて、10月2日に発売されるPS Vita用ソフト『シェルノサージュ OFFLINE ~失われた星へ捧ぐ詩~』(以下、シェルノサージュ OFFLINE)と『アルノサージュ PLUS ~生まれいずる星へ祈る詩~』(以下、アルノサージュ ONLINE)の発売直前イベント“発売直前だよ!サージュ・コンチェルト ファンイベント”を開催した。
イベントが始まると本シリーズの音響監督を務める納谷僚介氏と、イオン役の加隈亜衣さん、ネイ役の内田真礼さんが登壇。まず始めに、シリーズの開始から約3年半という長期間にわたって作品と関わってきたことについての質問に、加隈さんは「デビュー作品なので、これより長いのはありえないですよね(笑)。終わる、終わると思い続けてはや3年半みたいな感じですが、このままずっと続けばいいのにという気持ちでいます」、内田さんは「オーディションの時にものすごい気合いで向かった記憶があって、それから3年半たったというのが想像できなくて。ただ、“終わった”と思ったら“追加です”って言われて(笑)、ずーっとやっていたから最後という感じがしないですね」と、作品の区切りを迎えるにあたってを振り返った。
なお、本イベントは“今だから振り返れるこの時のイオンとネイ”と題して、スクリーンショットを見ながら作品を振り返っていく形で進行、オリジナル版ともいえる2作、PS Vita『シェルノサージュ ~失われた星へ捧ぐ詩~』とプレイステーション3『アルノサージュ PLUS ~生まれいずる星へ祈る詩~』の根幹に関わるネタバレが満載となっている。そのため、これから『シェルノサージュ OFFLINE』、『アルノサージュ PLUS』をプレイするという方はご注意いただきたい。

■イオンとネイの出会いを振り返る
最初のトークテーマは“出会い~夢ノ珠、プラネタリー・メゾン~”と題して、ふたりの出会いを振り返っていく。加隈さんは「(ネイは)よくしゃべる子だなーって(笑)。それまではここまで明るい子がいなくて、イオンにこんなにガンガン話しかけてくる子は初めてに近かったです」と初めてネイと出会ったときの印象を振り返った。内田さんは「最初から設定としてはいろいろなことを知っていたので……憎かったですね(笑)、セリフを読んでいるときから“ぼやぼやしたヤツだな”って。もちろん最初は隠してましたよ」と、設定を知っているからこその本音が飛び出した。


それぞれのキャラクターを演じるときに気をつけたことについては、内田さんは「見た目の感じだとネイのほうが年下に見えるんですけど、内面は最初からお姉さんの気持ちで向かっていて。イオンに対してはずっと“引っ張らなきゃいけない”と思っていました。何かあるけどそこは見せずに向かうのが大事だったかなと。ネイはこの作品の1部はお休みで2部からというのがあったので、出てくることで作品が一段盛り上がったらいいなと暖めて暖めて発散させました」、加隈さんは「ゲームの収録って別々に行うので、ネイがどういう感じでくるのか分からないんです。脚本だけ見ても気をつけようがなく巻き込まれていく感じになったので、なすがままされるがままネイちゃんのテンポに付いていこうと考えるけど付いていけないというイメージでした」と振り返る。
■ネイの裏切りとイオンの真実
続いては“裏切りそして、真実~チューブカンパニー コロンフォーシーズン~”。出会いから絆を深めてきたイオンとネイだが、ネイは突然イオンを裏切る。しかしその奥にはイオンとネイに隠された謎が関与していた。裏切りながらもイオンの危機を助けるという矛盾した行動を取るネイに加隈さんは「イオンって人を無条件に信じるところがあるので、裏切られたときのショックは大きいんだろうなと思いつつも、でもやっぱりどこか信じているところがあって、ネイちゃんに対する信頼感は一度も失ったことがなかった気がします」とネイに対する心からの信頼を覗かせた。逆に、ある意味ずっとだまし続けていた内田さんは「いつも“早くやったったれ”と思っていたんです(笑)。でも、進んでいくうちにだんだん仲よくなっていて、それでも“それは違うんだよ”とずっとモヤモヤしてました。この辺は“お前何なんだよ!”というフラストレーションがたまっているところで、回想シーンなんかを見ると“許しちゃだめだ”って思うんですけど、落差が激しすぎて分からなくなっちゃいましたね」と矛盾する感情を吐露する。とくに内田さんは、これまで公の場でネイや『シェルノサージュ』について話す機会がなかったこともあり「強い子ですよね。上手く人と接することができないのも人間らしくて可愛いなと思います」とネイに対する愛情を感じさせる発言も飛び出した。


ちなみに「魅力は相反する感情があるところ」(納屋氏)というネイは開発スタッフからの人気も高いそうだ。加隈さんは「開発の方のネイちゃん推し率が高くて、話が進むごとに“ネイちゃんめっちゃいい子じゃん”ってなっている反面でイオンが人の話を聞かずに突き進んでいくところとかで“う~ん”って(笑)」とネイ人気に嫉妬する一面も。
■イオンとネイ、ふたりの出した答え
続いて『シェルノサージュ』の最終盤について語る“そして、衝撃のラスト~謳う丘~”。イオンに対する葛藤を乗り越え、最終的には仲間だと認めるネイ。しかし結果的に待っていたのは永い別れだった……。内田さんは「最後のほうになってくるとネイが葛藤しているシーンが多くて、それまで何を考えていたのか分かってくるじゃないですか。ふたりは男女の恋のような関係で、簡単じゃなかっただけに感情を出すのが難しかったです」と、ネイの置かれた立場に対する複雑な感情を覗かせる。また、「最初のころはやっぱりネイが大事だったので、イオンのことを好きって気持ちはなかったですが、この辺になると私もイオンを好きで愛情を持って演じていました」とも。

一方、信じていたネイに激しく恨まれていたと判明しつつも最終的には“やっぱりあなたは仲間です”と言ってくれることを受ける側として、加隈さんは「ネイちゃんの気持ちを考えたら、イオンは自分のことを責めると思うんです。でもイオンは無理矢理連れて来られたというのがあるので、イオンはイオンでかわいそうだなって。それでもネイちゃんに“ごめん”と言えるイオンがいて。それはやっぱりネイとの関係が嘘だけじゃなかったから、イオンもネイのことをずっと好きでいられたんだろうなと思います。それだけネイが魅力的でいい子だった」と語る。
そして、ついに認めあえたと思ったところでイオンからの衝撃の言葉。これに対し加隈さんは「ネイちゃんだからこそ言えた言葉。ほかの人だったらこの世界よりも自分のことを取っちゃったかもと思います。ふたりの絆の集大成なのかなって」、内田さんは「もうここまできたらイヤですよね、最後こんなことになるなんて。これを受け入れることはできないんですけど、でもネイはもともと皇帝の血筋だからできたとか、ふたりだからこそできたんだと思います」と語った。そしてなんと、この感動のラストシーンをこの場で生アフレコ! 集まったファンには最高のサプライズとなった。
■そして物語は『アルノサージュ』へ……
衝撃のラストを迎えた『シェルノサージュ』から『アルノサージュ』で新たな物語が幕を開ける。皇帝としてイオンの意思を継ぐネイと復活してひとりで行動するイオンと、ある意味『シェルノサージュ』とは逆の立場となったふたり。
加隈さんは「『シェルノサージュ』では流されて意見を決めようとするけど結局は頑固で、というところがありました。『アルノサージュ』では頑固は変わらないけど、『シェルノサージュ』があったからこそ自分の意思で考えて“こうしなきゃ”と行動できるようになったなと思いました」とイオンの成長を感じ取っていたようだ。ただ、「ぼやーっとしたところはなくなったんじゃないかな」という言葉に会場のファンから疑問の声があがる一幕も(笑)。内田さんは改めて複雑な立場に置かれたネイについて「責任とかいままで欲しかったものがあるとやっぱりちょっと煩わしいなと思って、これが正解だったのかなと。それでも彼女は彼女なりに悩んだと思います」と語る。
そして、加隈さんと内田さんのサインが入った『シェルノサージュ OFFLINE』と『アルノサージュ PLUS』のポスターが当たる抽選会が行われた。


最後にそれぞれにとってのイオンとネイについて、内田さんは「ネイは私といっしょに戦ってくれた子。この子を演じたくて仕方がなかったんですよ。泣きながら、戦いながらイオンのことを想い、この2年間はすごく濃いものでした。最終的にネイが幸せになってくれてよかったですし、これからも愛してくれたら嬉しいなと思います」、加隈さんは「オーディションに臨んだときに、一番作り込まずに自然に演じたのがイオンで、そこから3年半いろんなことをやってきました。今回のイベントも、来たいけど来られなかったという人がたくさんいらっしゃったと聞きましたが、それだけの人がこの作品を愛し続けてくれる、その作品に関わることができてすごくすごく嬉しいなと思います。デビューからなので感慨深くて、感謝の気持ちでいっぱいです。イオンに会えたことも嬉しいですし、イオンちゃんを愛してくださった皆さんにも感謝しています」とコメント。シリーズに対する愛情たっぷりのキャストふたりとファンによるイベントの締めくくりとなった。