幅の広いゲームプレイが楽しめる、シリーズの新機軸に

 というわけで、東京ゲームショウ 2014も無事に終了。初めての東京ゲームショウの取材ということで、右も左もわからず不安だらけだったわけですが、そんな記者がもっとも楽しみにしていた取材がありました。エレクトロニック・アーツから2015年発売予定の『バトルフィールド ハードライン』のクリエイターさんへのインタビューです。

『バトルフィールド ハードライン』のクリエイティブ・ディレクターにちょっとコアな質問をぶつけてみた【TGS 2014】_06

 そもそも記者が『バトルフィールド』シリーズに触れたのは18歳のとき。たしか『バトルフィールド バッドカンパニー』でした。友だちに薦められたのがきっかけで、初めてのFPS体験だったので、最初はものすごく戸惑いました。それがしばらくプレイしているうちに、キルレートが上がったり、スコアがアップしたりと、目に見えて上達していくのがわかって、どんどん夢中になっていきました。以降、『バトルフィールド』シリーズはすべてプレイしているわけですが、同シリーズの魅力は、何といってもほかのFPSに比べて圧倒的に戦場の雰囲気がリアルであること。そしてマップが広いこと! マップが広いので、いろいろなルートで敵地に侵入できるし、広いからこそビークルを使って高速移動して敵の意表を突いたり、輸送ヘリで上空を移動して敵の裏取り行為をしたりとか……が可能になるんです。そういった意味では、ビークルもシリーズの魅力ですね。

 シリーズ最新作となる『バトルフィールド ハードライン』は、“警察vs犯罪者”という新機軸を盛り込んでいるのですが、新しいビークルに期待大! 先日行われたベータテストももちろん遊びこみました!

 で、今回取材させていただいたのは、開発元であるVisceral Gamesのクリエイティブ・ディレクター、イアン・ミルハム氏。『バトルフィールド』シリーズというと、DICEがおなじみですが、今回はVisceral Gamesが“犯罪者vs警察”というコンセプトを提案。それならば……ということで、DICEから開発を任されるという経緯があったようです。詳細は、(⇒詳細はこちらの記事をご参照あれ)。『Dead Space』の開発元としてもおなじみのVisceral Gamesですが、『バトルフィールド』シリーズほどの大作ともなると、開発を引き受けるにあたっては、相当のプレッシャーがあったはず。そんなわけで、そのへんからお話を聞いてみました。

『バトルフィールド ハードライン』のクリエイティブ・ディレクターにちょっとコアな質問をぶつけてみた【TGS 2014】_01

――『バトルフィールド』シリーズを手掛けることになって、プレッシャーはなかったのですか?
イアン もちろんプレッシャーはものすごくありました。『バトルフィールド』シリーズには世界中にファンのいる大きなタイトルですし、下手なものは作れないという思いはありました。ただ、シリーズへの関わりはこれが最初、というわけでもないんです。『バトルフィールド3』では最後の拡張パックを担当していますし、『4』でもメインパートをお手伝いしているんですよ。そういった意味では、準備はできていたと言えるのかもしれません。

――開発にあたって、『バトルフィールド』シリーズとして守らなければならないポイント何だと考えていたのですか?
イアン マップのバラエティーが豊富なこと。とくにスケールの大きなマップは必須です。あとは、さまざまなビークルが登場すること。そしてチームワークを要する戦略性かな。あと、『バトルフィールド4』では、“レボリューション”というシステムを導入したのですが、「これは今後シリーズのスタンダードになるんだろうな」と思いましたね。

※レボリューション:決まったポイントでアクションを起こすと、エレベーターが起動したり建造物が崩壊したりと、マップの環境を変化させられる。

――ということは、『バトルフィールド ハードライン』にも“レボリューション”が?
イアン はい、入っていますよ。

――では、『バトルフィールド ハードライン』で変えていこうと思った部分は何になりますか? そもそも“警察vs犯罪者”という設定も新機軸なわけですが……。
イアン シングルプレイに関しては、ちょいちょい新要素を盛り込んでいますよ。音楽とかも変えていこうと思っています。とはいえ、多くの変更点は、“警察vs犯罪者”という設定に付随してのものですね。

――といいますと?
イアン たとえば、『4』までだと舞台は軍隊なので、「敵を発見した。さあ、撃とう!」という感じになるのですが、“警察vs犯罪者”だと、そういうわけにはいきません。ステルス的な感じで忍び寄ったりとか、アジトに潜入したりとか、考えながら行動するという要素が多くなりますね。

――戦争の派手なバトルとは一線を画した、緻密な戦いかたが必要になるということですね?
イアン そうですね。かといって、『4』までのような派手な撃ち合いがないというわけではありませんよ。そういった意味では、プレイにあたっての選択肢も増えているんです。これまでのシリーズのように撃ちまくる戦いかたもできますし、逆にまったく撃たずに進むこともできるんです。

『バトルフィールド ハードライン』のクリエイティブ・ディレクターにちょっとコアな質問をぶつけてみた【TGS 2014】_02
『バトルフィールド ハードライン』のクリエイティブ・ディレクターにちょっとコアな質問をぶつけてみた【TGS 2014】_04

――なるほどー。いろんな戦いかたができそうですね。ところで、ファン目線になってしまうのですが、細かいことをいくつか聞いてもいいでしょうか?
イアン もちろん! どうぞ。

『バトルフィールド ハードライン』のクリエイティブ・ディレクターにちょっとコアな質問をぶつけてみた【TGS 2014】_07

――『バトルフィールド4』みたいに、全部の全兵科共有で使えるカービンライフル(AK5Cなど)は今回もあるのですか?
イアン どうだろう。ちょっと把握していないけど、たぶん入っているんじゃないかな。

――ベータテストでは、前作までと同様に、兵科の名称が突撃兵、工兵、援護兵、偵察兵になっていましたが、これで決定ですか? なんか軍隊っぽい感じも……。
イアン ベータテストのときに、いろいろなフィードバッグをもらっていて、もしかして名称はかわるかもしれないです。そのへんは未定です。ただ、名称は変わっても、役割は変わらないです。リリースまでに再度のベータテストを予定していますので、そこでフィードバックを受けて変更するかもしれません。

――ベータテストはいつ頃から?
イアン 『バトルフィールド ハードライン』の発売は2015年頭を予定しているのですが、発売時期が近くなったら実施したいと思っています。

――先日行われたベータテストでは、クルマの窓を開けて射撃できるのが楽しかったのですが、ほかにもクルマに乗ってできることは増える予定ですか?
イアン おお、気に入ってくれましたか! 個人的にもクルマの中から外に向けて射撃するのは楽しかったですね。『バトルフィールド ハードライン』では、同じような要素がいろいろと入っていますよ。先日発表させていただいたマルチプレイモードの“ホットワイヤー”などでも、そういったアビリティーがすごく重要になってきますし。

――ベータテストでは、新武器として警棒が確認できましたが、そんな感じで職業的にマッチした武器やビークルなどは今後ももっと増えますか? 警察犬とかいたらうれしいなあ。
イアン 新しい武器やビークルを入れるときは、“警察vs犯罪者”の世界観にマッチするかにフォーカスしていました。警棒はもちろんですが、バットやテーザー銃(スタンガン)などが出てきますよ。

――そういえば、ベータテストでパトカーに乗車して、サイレンを鳴らしたら敵がわんさか来て殺されてしまったのですが、今後改善されたりするのですか?
イアン 変えません(笑)。戦略的に見るとわけがわからないと思われるかもしれませんが、それもひとつの楽しみですから。みんなに気づかれて、押しかけられるのも楽しいじゃないですか。犯罪者のほうも、カーステレオを大音量で鳴らすと警察に気づかれるようにしていますし。

――なるほど。それでバランスを取っているんですね。あと、シリーズファンとしては、今回戦車や戦闘機が登場しないのは正直ショックなのですが、それ以上に今回初登場するビークルは楽しくなります?
イアン 今回登場するビークルは、ほとんどどれも初登場ですね。戦車などは出てこないのですが、いままでシリーズで出てきた役割は果たされるようになっています。見た目や機能は変わったりしますが、役割的にはいっしょです。戦車とはまた違った、新しい楽しみかたを堪能していただけるのではないかと。

――ベータテストでは、指揮車がおもしろかったですが、動かすのは少しハイリスクでしたね。指揮車といえば、今回コマンダーモードはないのですか?
イアン コマンダーモードは現時点ではアナウンスしていませんね。まあ、いいアイデアはたくさんありますよ。

――では、ドッグタグシステムはどうなりますか?
イアン それはいい質問ですね(笑)。今回は新規のシステムが出てきます。スプレー缶でした落書きを集めるとか……。ドッグタグシステムに近いものはいくつか予定しています。

――正直、Visceral Gamesさんはシナリオ重視という印象があるのですが、マルチプレイのほうも期待していいのですか?
イアン もちろん! 少し前からスタッフを増員したんですよ。シナリオに強い人材はもちろんですが、マルチプレイのエキスパートにも参加してもらっています。『バトルフィールド ハードライン』はバランスの取れたゲームに仕上がっています!

――では、マルチプレイではどのようなマップを?
イアン 本作の雰囲気にあわせて、できるだけバラエティーに富んだものを用意しようと思っています。都市部もあれば、山や海、砂漠もあります。さまざまなロケーションでの戦闘を楽しめますよ。ご期待ください。

 Visceral Gamesが開発する『バトルフィールド ハードライン』は、核となるマルチプレイはもちろん、シナリオ面でも楽しめる、隙のないゲームになりそうです。新機軸のゲームプレイに、シリーズファンとしてか期待が高まります。

『バトルフィールド ハードライン』のクリエイティブ・ディレクターにちょっとコアな質問をぶつけてみた【TGS 2014】_05
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