『FF零式 HD』は『FFXV』の絵作りにかなり近く全体を写実的に! 田畑ディレクターに直撃

東京ゲームショウ 2014で大きな話題となった『ファイナルファンタジー零式 HD』、『ファイナルファンタジーアギト プラス』のディレクターを務める田畑端氏のインタビューをお届け!

●(『FF零式HD』では)ボーナス映像のようなものは検討しています(田畑氏)

 スクウェア・エニックスから2015年3月19日に発売が決定した『ファイナルファンタジー零式 HD』(対応機種はプレイステーション4およびXbox One)。しかも『ファイナルファンタジーXV』の体験版付き! さらに、『ファイナルファンタジー アギト』のPS Vita版『ファイナルファンタジー プラス』の発表も! 本記事では、東京ゲームショウ 2014で大きな話題となった『ファイナルファンタジー零式 HD』、『ファイナルファンタジーアギト プラス』のディレクターを務める田畑端氏のインタビューをお届け! なお、週刊ファミ通10月9日増刊号(9月25日発売)では『ファイナルファンタジー零式 HD』と『ファイナルファンタジーXV』を大特集。

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■ファイナルファンタジー零式 HD

発売決定リリース素材/FF零式HD/FF零式HDキービジュアル

――海外での発売が発表されていた『FF零式HD』が、日本でも発売されることになりました。やはり、要望が多かったのでしょうか。

田畑 そうですね。『FF零式HD』は、北米や欧州の『FF』ファンのニーズにきちんと応えよう、というところからスタートした作品です。ただ、今年のE3で発表したときから、日本でも出したいとは関係者全員が思っていました。そして実際に、たくさんのご要望をいただいたので、スケジュール的には相当たいへんになるのですが、日本でも欧米と同時発売しよう、と決めることができました。

――PS Vitaで出すという選択肢は?

田畑 PSP版発売直後の段階では、そういう案もありました。ちょうどハードの移行期だったこともあり、PS Vitaに移植するのが普通なんだろうなと。ただ、海外版でしたから、あちらでは大画面でのプレイを好む方が多いこともあり、いまひとつ自分の中でスイッチが入らなかった。その後、僕と『FF零式』チームとが『FFXV』で据え置き機に開発の軸足を移したので、そのノウハウで『FF零式』のHD版もやりたいなと考え、いまの形になりました。PS Vitaでは、リモートプレイで楽しんでいただけますよ。

――海外版と日本版は、ほぼ同時にリリースとなりますが、音声はどうなっているのでしょうか。

田畑 海外版は、全部英語ボイスにしています。欧州版は字幕を追加して言語対応していますね。これは『FF』シリーズのローカライズ方式と同じです。日本版は、日本語ボイスと英語ボイスの両方が入っていて、個人的には、英語ボイス+日本語字幕でプレイしたときのシリアスな雰囲気が気に入っています。すでに『FF零式』を遊んだことがあるプレイヤーにもオススメですよ。

――東京ゲームショウ版の試遊をさせていただきましたが、あまりの迫力に、まるで別作品のような印象を受けました。

田畑 別物までいきますか?(笑)。まあ僕自身も実際に動かしてみて、「これはいいな」という手応えはありました。やはりハイエンドの据え置き機にしてよかったなと。

――アクション性が高いので、コントローラとの相性もいいなと実感できました。

田畑 カメラ操作が右スティックで行えるようになったのが大きいですね。それと、PSP版は、ボタンを押しているあいだ敵をロックオンしましたが、TGSの試遊版では、長押ししなくてもロックオンし続けるようになっています。これは、コントローラを使ってテレビで遊ぶのであれば、こちらのほうが操作しやすいからで、現在はこの設定をデフォルトにしています。もちろん、そのあたりはコンフィグで変更可能です。


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――ビジュアルも相当綺麗になっていますが、PSPからPS4やXbox One向けにHD化するにあたり、キャラクターや背景のテクスチャーを描き直しているのでしょうか。

田畑 エースなどのプレイヤーキャラクターは、もともとプリレンダのムービーで使っていたモデルを実機用に最適化して使っているんですけど、そのほかのキャラクターやモンスター、背景は、あまり作り直すことはしていないですね。もちろん、解像度は上げていますけれど。ただ、絵作りの方式を、DirectX 11ベースに変えたので、そのときに変なふうに見えてしまうデータを直したりはしています。『FFXV』の絵作りにかなり近くて、全体を写実的にしているのですが、そのときに、あまりにも描き込んでいるデータだと、逆に手描きした部分がクッキリ見えすぎたりするので、そういうところは手を加えています。

――絵作りについては、どういった部分にこだわりが?

田畑 “リアルな風景の中に、赤いマントの『FF零式』キャラがいる”という絵を目指しました。『FF零式』のHD化は、テクスチャーやモデルを作り直すといった方向で見た目を改善するのではなく、ライティングやレンダリングなどの描画方式を、DirectX 11ベースに大幅アップデートして、テクノロジー的に見た目を進化させたと言えます。

――シナリオに変化があったり、追加エピソードのようなものがあったりという、内容の変更はありますか?

田畑 シナリオには手を加えていませんが、ボーナス映像のようなものは検討しています。

――ボーナス映像、ぜひ観たいです。それから大きな変更点として、新たに難易度選択を追加されたそうですね。具体的にはどういった内容になるのでしょうか。

田畑 イージーモードを追加しました。ゲームの最初に選択する方式になっています。じつはオリジナル版では、「エンディングが売りと聞いたけれど、難しくてクリア―できない」といった声を多数いただいたんです。そのため、HD版では皆さんにエンディングを見てもらえるよう、イージーを追加することになりました。ちなみに、難易度の違いで特定のイベントが見られなくなったりはしませんよ。

――随所でバトルバランスにも調整を加えているとのことですが、こちらも難度を下げる方向になるのでしょうか。

田畑 タフすぎる敵に関してはそうですね。もちろん、オリジナルの歯応えがなくなってしまっては意味がないので、そのままにする敵もいます。基本的には、敵の強弱よりも、プレイヤー側のセッティングを見直すほうが多いです。たとえば、物理と魔法攻撃の強さのバランスを見直したりとか。それから、召喚獣の強さを実感しづらい部分があったので、“ひとりを戦闘不能にして引き換えに手に入る力”ということを見直し、強さを引き上げたほか、少し成長させやすくしています。

――PS4版はSHARE機能に対応とおうかがいしています。一部のイベントは配信不可など、規制をかけたりはしますか?

田畑 1回発売しているゲームですので、フルオープンにします。映画とかも、「感動するよ」という評判を聞いてから観に行ったりするじゃないですか。そういった形で広まってくれればと思います。

――ちなみに、『FF零式』の続編や、今回HD化を担当しているヘキサドライブさんと再び組んで、『ザ・サード バースデイ』の続編を出すおつもりは?

田畑 両方とも、自分も望んでいますが、いまはさすがに『FF零式HD』と『FFXV』に注力しなければならないので、自分がディレクターとなって開発するのは当面考えられないですね。ただ、ヘキサドライブさんは、今回いいエンジンを作ってくれたので、これで終わるのはもったいないなあとは思っています。

――まずは『FF零式HD』からと。2015年3月19日発売ということで、国内発売決定の発表と同時に発売日が告知されましたが、それだけ開発が順調ということなのでしょうね。

田畑 そうですね、80%といったところです。テストプレイをしていて、『FF零式』が好きだった人は、もう一度遊んでもらっても新鮮な気持ちで楽しめるんじゃないかなと感じています。それに、イージーモードも追加したので、PSPで『FF零式』を手に取る機会がなかった方にも、遊んでいただきやすい作品になるのではないかと。「『FFXV』の体験版に『FF零式HD』が付いてくる」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、おもしろさは遜色ないので、この機会に遊んでみてほしいです。


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■『ファイナルファンタジー アギト プラス』と『ファイナルファンタジー アギト』

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――『FFアギト プラス』の操作は、画面のタッチが主軸の『FFアギト』とは違ってくるのでしょうか。

田畑 自分で移動して、ボタンを押すことで攻撃や回避を行う、スタンダードなアクション操作になります。ただ、『FF零式』ほどバリバリ動くものではなくて、『クライシス コア -FFVII-』あたりの操作感に近くなると思います。

――ストーリー展開はどうなるのでしょう。

田畑 基本的に『FFアギト』の第1期と同じです。ただ先々、違った展開になっていくことも考えられます。両方を遊んでいるという方がイヤじゃなければ、そうなっていくのもいいかなと。ストーリーに限らず、これはたとえばですが、『FFアギト プラス』はマルチプレイに対応するといった、ゲーム機ならではの方向に進めていけたらいいなと思っています。

――PS Vita版の発売日は1月15日とのことですが、開発状況は?

田畑FF零式HD』のほうが進んでます(苦笑)。それなのに発売日が早いのは、『FF零式 HD』発売の前に出しておきたいという点が大きいですね。作業的には問題はないので、間に合わせます。

――続いてアプリ版の『FFアギト』について。もうすぐ第1期がフィナーレを迎えようとしています。振り返って、点数をつけるなら何点くらいになりますか?

田畑 そこは遊んでいる端末によって点数が変わりますね。iPhone5や5Sで遊んでいるユーザーを想定した場合、点数は悪くなかったように感じます。ほぼすべての要素が想定通りに動いていたので。でも、端末によってはそもそも遊ぶのが困難だったり、端末の性能に依存して不具合が発生したりもしたので、そういった側面では点数が低くなるのではないかと思います。

――端末の拡充には苦労されたようですね。

田畑 まあ正直そうですね。なので対応端末で遊ばれる方になるべく快適に遊んでもらうことを最優先にするというのが、配信直後に決めた大方針でした。第1期では動作の不安定さを解消して、第2期からはユーザーに愛されるコンテンツにしていきたいという目標に向かって開発チームが進めてくれたので、70点くらいは付けられますかね。

――1クール運営して、収益的な面はどうでしたか?

田畑 収益面では、想定していたところでアクセルを踏みませんでした。まずちゃんと遊びやすくする、つぎに好きになってもらう、その後で気に入ってくれた方にお金を払ってもらえばいいと思っているので。第2期で目指すのは、もっと好きになってもらうこと。いまはあまり収益のみを考えた施策を打とうとはしていません。

――今後、どのような方針で運営していくのでしょうか。

田畑 対応端末の増加とロード時間の短縮は、引き続き取り組みます。第1期で、ゲームとしておもしろい作りにできる地盤が固まった手応えがあるので、いろいろなキャラクターたちとのエピソードが毎日巻き起こるなど、学園ものらしさを出していけると思います。それから、第2期の最終目的としては部活システムを導入したいなと。これは、いわゆるGvG(ギルド対ギルド)要素です。ただ、殺伐とした感じではなく、部どうしの対抗戦で部費を奪い合うとか(笑)、そういった明るいノリで。『FF零式』で見られた“日常”と“非日常”のうち、『FFアギト』では“日常”にスポットを当て、遊びやすく親しみやすい、カジュアルなオンラインゲームを今後も目指します。

――第2期では、より『FFアギト』らしさが際立ちそうですね。

田畑 現在『FFアギト』チームは、ユーザーの方々に向け、第1期を最後まで楽しんでもらえるようにがんばっています。そして今後に向けて、ひとりでも多くのユーザーに『FFアギト』を好きになってもらうための、さまざまな企画も挙がっています。第2期は10月中に開始予定なので、現役候補生の方はもちろん未プレイの方も、お休みされている方も、ぜひ第2期を覗きに来てみてください。


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