『Scalebound』がE3以降の沈黙をついに破る

 本日2014年9月18日より、千葉・幕張メッセで開幕した東京ゲームショウ 2014。メディア向けにXbox One用ソフト『Scalebound』のインタビューセッションが行われた。E3で大注目を浴びた同作の現状を、プラチナゲームズの稲葉敦志氏、神谷英樹氏、ジョーン・ピエール・ケラムス氏に聞いた。

--E3でのサプライズ発表には本当に驚きました。神谷さんが登壇されたときには鳥肌が立ちました。
神谷英樹氏(以下、神谷) ありがとうございます。
--E3以降、続報が出ていませんが、まずゲームの概要について簡単に教えてください。ジャンルはアクションということですが……。
神谷 え? アクションとはひと言も言っていないですよ(笑)。
--え? 御社のHPにはそう書いてあったのですが(笑)。
神谷 そうでしたか?
ジョーン・ピエール・ケラムス氏(以下、JP) アクションになっています(笑)。
神谷 これまで僕が作ってきた『デビル メイ クライ』や『ベヨネッタ』のような、アクションにフォーカスしたタイプのゲームではないですね。もちろん、アクションゲームが持つ迫力というか、ダイナミズムのようなものは出ていると思いますが、いわゆる“3Dバトルアクション”ではないですね。
--E3のあのステージに日本人クリエイターが出席していたこともうれしいです。
神谷 思えば、日本人は僕だけでしたね。
稲葉敦志氏(以下、稲葉) 当日、リハのときに神谷が「死にたい」ってメッセージを送ってきたのにはびっくりしましたよ(笑)。
神谷 いままでもショウやイベントで登壇したことはありましたけど、あれだけの規模のイベントは初めてでしたからね。
JP 発表の順番で、神谷はフィル・スペンサーさん(米マイクロソフト・Xbox部門責任者)が待機しているところに戻ってくるんですよ。それもあって、とても緊張していたようですね(笑)。
神谷 フィルさんは、リハーサルでは言わなかったんですが、本番では『Scalebound』のことに触れてくれたんですよ。期待されているのを肌で感じて、うれしかったですよ。英語のスピーチも飛ばなくてよかった(笑)。リハーサルでは、失敗していたので。
--発表後の反響は大きかったのではないですか?
神谷 そうですね。ふだんはツイッターで余計なことをつぶやいているのですが、E3に言っていることすら公表しなかったんですよ。世間がE3で盛り上がりつつあるころにも、あたかも日本にいるかのように「つけ麺ウマー」的なツイートをしたり。でも、つぶやいた時間で詮索されないように、日本人が起きている時間につぶやいたんですよ。そこまで偽装しました(笑)。

▲稲葉敦志氏
▲神谷英樹氏
▲ジョーン・ピエール・ケラムス氏

神谷氏の長年の夢がXbox Oneで実現へ!

--本作のキーワードに“ドラゴン”が上げられるとのことですが、ゲームの根幹に深く関わってくると?
神谷 そうですね。子どものころから“ドラゴン”がとても好きで、いつかゲームで表現してみたいと思っていました。その思いをダイレクトにぶつけています。
--こういったファンタジー要素を前面に押し出したタイトルは初めてではないですか?
神谷 そういえばそうですね。ただ、昔からファンタジーは好きだったんですよ。PCゲームの『ソーサリアン』や『ハイドライドIII』とかはプレイしていましたし、マンガだと『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』も流行っていて、そういった“剣と魔法の世界”が昔から好きでした。言われてみると、ゲームで表現したことはいままでなかったですね。
--今回はマイクロソフトとの協業というスタイルですが、神谷さんが温めていた企画にマイクロソフトが賛同してくれたわけですね?
稲葉 そうですね。神谷と練っていた企画に対して、神谷といっしょに作りたいと手を上げてくれたのがマイクロソフトさんになります。
--今回のインタビューは手探りな感じになると思います……。
稲葉 僕たちもどこまで話していいか(笑)。プロモーションムービーが公開されていますが、あのムービーは「なんとなくゲームの雰囲気を派手に表現しました」というものではなくて、あの映像に入っているひとつひとつの要素は、本作にとって重要なものです。
神谷 そうですね。ムービーに登場している青年とドラゴンの絆というか、ふたりで巨大な敵に立ち向かう……、
--慎重に言葉を選んでいますね(笑)。
神谷 (苦笑)。
JP いまは想像して見てほしいと思います。
神谷 このインタビューの後にPVを見ると、また新しい発見があるかもしれません。最初に言った通り、スタートはファンタジーのキャラクターであるドラゴンを描きたかったわけですが、もうひとつの大きな柱は、巨大な敵どうしがバトルをくり広げるという迫力も、ゲームの中で表現したかったのです。そこから、「じゃあ、ゲームはどういったスタイルにしていこうか」という感じで肉づけしていきました。だから……うーん……(笑)。
稲葉 そこまでじゃないですか?(笑)
神谷 あのドラゴンと協力して敵と戦うのが、このゲームのいちばんおもしろい部分になっていくと思います。

--Xbox Oneというハードの印象はいかがですか?
神谷 いわゆるハイエンドなゲーム作りをしないといけないので、たいへんですよ。
稲葉 映像にもハイエンドなものを求めているのも、プラチナゲームズとしては初めてかもしれないね。
神谷 たとえば『ベヨネッタ』だったら、映像よりも動きが重視されます。本作では、広大な大自然を舞台に現れた巨大な怪物たちがバトルをくり広げる、そういう雰囲気も大事にしています。
稲葉 スクリーンショットもカッコイイよね。
JP 確かに。毎日、見たことのない画面が出てきます。
稲葉 ハードの世代が変わると、優先的に神谷に“あてがわれていた”ことが多かったよね。
神谷 確かにね(笑)。
稲葉 散々食い散らかして、つぎのハードに行くしね(笑)。
--プラチナゲームズ側の3人の役割は?
稲葉 神谷がディレクターで、JPがプロデューサー、僕がエグゼクティブ・プロデューサーという、よくわからないポジションです(笑)。
神谷 JPがプロデューサーをやるのは初めてですが、僕と組んで、『ベヨネッタ』で翻訳やボイスのディレクションをやってくれました。『The Wonderfull 101』もか。
JP そうですね。付き合いは昔からあります。プラチナゲームズには設立後少ししてから加わりました。昔からやりづらかったですよ(笑)。
神谷 スミマセン(笑)。JPは、僕に似てクセがあるというか、アクが強いので、キャラクターの言葉遣いでやりあったこともありましたよ。まぁ、そういった部分も含めて、信頼して仕事を任せています。
--マイクロソフトとの関係性はいかがですか?
稲葉 今回は、いままでに経験したことのないようなパートナーシップです。これまでは、ハードメーカーからは技術情報をもらうだけでしたが、本作では開発ラインのなかにガッツリと入ってくれています。もちろん、神谷の作りたいものを作るというのが最優先なのですが、お互いに意見をぶつけ合っていて、とても刺激的ですよ。
--マイクロソフト側にもプロデューサーやディレクターがいて……。
稲葉 いえ、そんなレベルではなく、すごくしっかりとした開発チームがあり、そのチームとつねに連携しながら作っています。そのチームの中には、プログラマーもいれば、アーティストやプロデューサーもいます。神谷のやりたいことを、ベストな形で実現するためにすごく協力してくれています。
--マイクロソフトとは、言葉の壁などはなかったのですか?
JP プロジェクトが始まる前から、事前のプランニングにも力を入れていたので、マイクロソフトのスタッフもプラチナゲームズのスタッフであるかのように、言語の壁は感じません。ゲームの制作に集中できるような環境になっています。

いままでのプラチナゲームズでも手掛けたことのない画期的なタイトルに!

--アクションという単語に拒否反応を示していましたが、ジャンルとしては、いまは想像を膨らませてほしいという時期ですね。
神谷 僕を含め、いままでのプラチナゲームズでもやったことのないゲームになると思いますよ。
稲葉 インターフェースとしてはアクションですよ。ただ、まったく新しいものになると思います。
--オンライン要素などはあるのですか?
稲葉&神谷&JP うーん(笑)。
稲葉 ただ、相当長く遊べるものにはなると思います。神谷が水面下でずっと動いていて、構想1年半くらいかな?
神谷 構想レベルだったら、プラチナゲームズ設立のときに提出した企画ですよ。『ベヨネッタ』より前でしょうね。
稲葉 ああ、それでそのときは「いまはこれじゃない」と(笑)。
--ストーリーは神谷さんが担当ですか?
神谷 はい。ストーリーや世界観、キャラクターの設定含めて全部やりたいので、やっていますね。
--PVで印象的だったのが、主人公と思しき男性が変化・変態するシーンでした。
神谷 ああ、ありがとうございます。
稲葉 これ以上、何も言えませんけどね(笑)。
神谷 PVにはすべて意味があって、ちゃんと見てもらえれば、後で納得できるものになっていると思います。
--神谷さんの作品はキャラクターが立っているというか、個性的です。また、今回は久々の男性キャラクターが主人公ですね。
神谷 今回は、やっぱり主人公とドラゴンの絆を描きたいですね。ストーリーは詳しくは言えないのですが、強大な力を持っているドラゴンと等身大の青年のふたりが、どうやってあの世界で戦っていくのかを描きたかったのです。この作品を作ろうと思ったときに、まず浮かんだキャラクターですね。
--今後、ユーザーさんの目に触れたりする機会は?
稲葉&神谷&JP うーん(笑)。
稲葉 これはマイクロソフトさんとの調整もあるので、まだ断言はできませんね。
--発売時期なんかも……?(笑)
稲葉&神谷&JP (笑)。
神谷 作品の規模も大きいので、時間もかかります。いますぐに、というわけにはなかなかいきません。現場でゲームを作るディレクターとして、この規模のオリジナルゲームを作らせてもらえるチャンスはなかなかもらえないと思うんですよ。まずそうしたチャンスを与えてもらったことをうれしいと思うし、その期待に応えたいという気持ちも強いです。
--では最後に楽しみにしているファンの方々に向けてメッセージをお願いします。
神谷 僕自身、いままでに作ったことのないようなスタイルのゲームに挑戦しています。僕の作ったゲームは、エッジの効いたアクションゲームという印象が強いかもしれませんが、単純にゲームが好きだったり、ドラゴンが好きだという熱い思いを持っている方々に楽しんでもらえたらと思っています。楽しみにしていてください。
JP これまでのプラチナゲームズのタイトルとは違うゲームになると思いますが、ゲームの楽しさを最優先に作っています。神谷の作るゲームはパッと触って、すぐに楽しいと感じられるゲームですが、それは変わらないのでご期待ください。
稲葉 まだまだ作っている最中ですが、作りたいと思っていたゲームが実現しかけているのがすごくうれしいです。このゲームの企画は作るほうも、パブリッシャーもすごくたいへんだし、新しいものになると思います。期待していてほしいし、そういったゲームを届けられるレールに乗っているのがとても幸せです。