いよいよPS3版発売直前! 濃密された3時間

 モスから、2014年8月28日発売予定のプレイステーション3用ソフト『カラドリウス ブレイズ』の発売を記念したイベント“カラドリウス祭り2014”が、8月24日に東京・蔵前のライブハウス、浅草KURAWOODで開催された。この発売記念イベントは入場無料ということもあり、多くのシューティングゲームファンで盛り上がったのだ。
 イベントは、モスの星野仁ディレクターと、『カラドリウス』のイベントでもすっかりおなじみのスゴ腕プレイヤー・太菱さんによる、『カラドリウス ブレイズ』の解説からスタートした。『カラドリウス ブレイズ』は、Xbox 360版、アーケード版と続いてきたシューティングゲーム『カラドリウス』シリーズの最新作。被弾することなどでキャラクターの衣装が破れる“羞恥ブレイク”が話題を呼んだが、本作では“Synchro”や新キャラクターの登場など、さらにパワーアップしている。

ゴシックホラー・シューティング、ここに極まる! シューティング愛溢れる“カラドリウス祭り2014”をリポート_02
ゴシックホラー・シューティング、ここに極まる! シューティング愛溢れる“カラドリウス祭り2014”をリポート_03
▲会場では、発売前の『カラドリウス ブレイズ』の試遊台が設定されていた。
▲モスの星野仁ディレクターの解説の内容に合わせたプレイを、太菱さんが披露。

2年半の成長を活かせなかった!?/ゲスト声優トークショー

 『カラドリウス』はシューティングでありながら、ヤスダスズヒト氏デザインのキャラクターや、ゴシックホラー的な独特の世界観も魅力のひとつ。イベントでは、本作に出演声優陣によるトークショーが行われ、井澤詩織さん(マリア・テレーゼ・ブルームフィールド役)、笹本菜津枝さん(アイラ・ジェナ・パルシオン、レイズ・ナージュ役/主題歌アーティスト)、山本綾さん(リリスの悪夢役)がゲストとして登場した。ちなみに、この日の司会を担当している中村豆千代さんは、アーケード版から登場した“セシリア・ネル・オルブライト”役の声優だ。トークイベントでは、アフレコの裏話などが披露された。

 最初の収録時、井澤さんは「ハードは何で出るのか聞いたら、Xbox 360とPS3だと聞いた」らしく、星野さんが「当時は僕の妄想が入っていて(笑)、駒澤(社長)にもその時は相談していなかったんですよ(笑)」とあせるひと幕も。それゆえ、井澤さんらはXbox 360版が発売された時に「あれ? PS3版はいつ出るの?」と思ったそうだ。
 本作は、最初のアフレコだったXbox 360版からすでに2年半以上は経過しているということで、PS3版での追加収録についてコメント。「2年前よりかわいい声が出せるようになったんですけど、収録では「地味な声でお願いします」と言われました(笑)」(井澤さん)、「2年前より低い声が出せるようになったんですけど、今回は「低すぎます。ふつうに喋ってください」と言われました(笑)」(笹本さん)、「“リリス”はセリフらしいセリフがなく、笑ったり、絶叫するばかりで、腹筋が吊るのが先か、収録が終わるのが先かという戦いでした」(山本さん)と苦労を語ってくれた。
 また、限定版の特典としてドラマCDが同梱されるが、そのアフレコは、ゲームの収録終了後、同じ日に続けて収録したそうだ。ドラマCDはほのぼの系の内容で、テンションの持っていきかたやアドリブなどがたいへんだったそうで、会場ではその一部が流されたが、それを聞いた感想は「(別録りの割に)ちゃんと会話している!」だった。それぞれのキャラクターの成長具合も垣間見られるかもしれない本作、キャスト陣の熱演にも注目しよう。

ゴシックホラー・シューティング、ここに極まる! シューティング愛溢れる“カラドリウス祭り2014”をリポート_10
ゴシックホラー・シューティング、ここに極まる! シューティング愛溢れる“カラドリウス祭り2014”をリポート_01
▲左から、井澤さん、笹本さん、山本さん。井澤さんは当初、キャスティング担当が“ベルゼブブ”を推したところ、サンプルボイスを聞いた星野さんが「“マリア”役にピッタリ」と感じて、決定したというエピソードも披露。
▲2年半で着実に演技力が上がった声優陣だが、笹本さんは「当時の棒読みの感じがよかったので、それでお願いします」といった指示もあり、複雑な心境だったとか。

○×で本音をオブラートできた?/緊急座談会

 続いてのコーナーは、すっかりおなじみとなった(?)シューティングメーカー座談会。参加者も星野氏に加え、これまたすっかりおなじみのサカリP(5pb.)、米沢勇気氏(キュート)、藤野俊昭社長(トライアングル・サービス)、そして宇野薫氏(セガ)の5人。題して“緊急座談会・生き残れ、次世代シューティングゲームを考える ここで聞いたことはつぶやき厳禁だ”。
 お互い面識があり、すでに座談会も何度か行っているということで、今回はいくつかの質問に○×で回答することに。さっそく第一問“正直次世代機でいちばん興味があるのはプレイステーション4だ”からスタート。社内でPS4タイトルを手掛けているというサカリPは○を、Xbox Oneに参入を表明している米沢氏と藤野氏は×を上げた。自分の台本に「MSにきびしい意見を」と書かれていたというサカリPは、「MSさんは割と新作を欲しがる。一方、ソニーは追加を欲しがる。すると順番が、×(Xbox)→○(PS)となるわけです。皆さんは“完全版商法”と言いますが(笑)、そういった事情があるのです」と内情を明かしてくれた。
 ふたつ目の質問は「アーケードには、しばらくシューティングが出ないと思う」。×を上げたセガ・宇野さんからは「モスさんは『カラドリウス ブレイズ』をアーケードに戻してくれるんですよね?(笑)」という鋭い指摘に、星野さんは「新作の話なので(笑)」と軽くいなす。また、同じく×を上げた藤野氏からは「だって、もう作っているんだもん」という衝撃発言が! そもそもトライアングル・サービスは、アーケードのシューティングゲームを作るために藤野氏が作った会社なので、「作らないことはありえない」と断言し、大きな歓声を浴びていた。またサカリPは、以前某社でアーケードのシューティングゲームを作っていた経験があり、機会があれば作りたいとしつつも、旧態依然とした内容では無理だろうとも話す。たとえば、メーカーの枠を越えたネットワークランキングといったような業界全体を巻き込んだ話を、宇野さんとも飲みに行ってするのだと言う。また、藤野さんから星野さんに「『雷電』は? 来年25周年ですよね?」という逆質問も飛び出した。それに対し、「(会場内の駒澤社長をチラッと見つつ)個人的には出したいですよ。でも、まずはいまやっているソフトを完成させろ、という話ですよね」とかわした。
 興味深かったのは「同人のシューティングに負けていると思うことがある」という質問に対し、4人ともが×を上げたこと。もちろん、サカリP、米沢氏、藤野社長はクリエイターとしてのプライドもあるだろうが、宇野氏からは「仕事柄、彼らとも会うことがあるのですが、過去にゲームを作っていた人が多くて、実際は“同人の皮をかぶったプロ”です(笑)」と実情が明かされた。

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▲左から、サカリP、米沢氏、藤野氏、宇野氏。
▲今回の座談会は、○×形式で回答するスタイルに。

ライブ、スゴ腕プレイヤー対決、抽選会と後半も怒とうの盛り上がり

<リブストロー Basiscape Band ライブ>
 続いては、『カラドリウス ブレイズ』の音楽を担当している“リブストロー Basiscape Band ライブ ”が行われた。そもそも今回の“カラドリウス祭り”がライブハウスで開催されることになったのも、このライブをふさわしいい環境でやりたかったためなのだ。工藤吉三氏、金田充弘氏、千葉梓氏の3人で結成されたバンド“リブストロー Basiscape Band”の生演奏によるミニライブが3曲、笹本菜津枝さんを加えた主題歌『終焉の交狂曲≪シンフォニア≫』が披露された。

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▲迫力ある演奏と工藤氏のゆる~いMCがウリ(?)。笹本さんの澄み渡るボーカルも魅力的だった。

<TOPプレイヤー2名によるシューティング対決>
 このコーナーは、太菱氏(『デススマイルズ』、『赤い刀』などの全一)とKTN-ほむら氏(『カラドリウス AC』多数部門全一)によるシューティング対決! ソフトはもちろん『カラドリウス ブレイズ』を使用し、“Synchro”、カスタマイズなし、対戦相手の使用キャラ指定(一度使用すると以後使用不可)、ステージごとのスコア対決で3本勝負というルールで行われた。
 対戦相手が横にいるという、シューティングではあまり見られない光景だったが、ダテに『カラドリウス』のイベントに呼ばれ続けているわけじゃない、というわけで、3勝1敗で太菱氏が見事に勝利した。

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▲KTN-ほむら氏(左)と太菱氏(右)。名うてのシューターが、ガチで対決!
▲3回負けると、目の前のキャラクターのイラストが肌もあらわに……。

 イベントの最後は豪華プレゼントをかけた抽選会。シューティング対決で使用したムフフポスターや、イベント記念のTシャツ、サイン色紙などが抽選で来場者へプレゼントされた。濃密な内容盛りだくさんの3時間はこうして終了。シューティングゲームの関わる開発者、ファンの熱い思いを垣間見られた気がする。

「おかげさまで8月28日に『カラドリウス ブレイズ』を発売することができます。遊んでくれるみなさんのおかげです。今後も皆さんに遊んでいただいて、シューティングゲームを作り続けていきたいと思います。8月28日の発売をお待ちください!」(モス・駒澤敏亘氏)

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▲終演後、豪華な出演者が勢揃いしてパチリ。無事『カラドリウス ブレイズ』の完成&発売を祝った。