『新生FFXIV』吉田Pのドイツ所感+ちょっとパッチの話+海外メディアを逆取材【gamescom 2014】

2014年8月13日〜17日、ドイツ・ケルンにて開催された、ヨーロッパ最大級のゲーム見本市“ gamescom”。『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏に、ドイツでの所感や今後のパッチの話を伺った。また、海外メディアが取材中の模様を逆取材したので、そちらのリポートもお届けしよう。

●ドイツでは『FF』ではなく、“MMORPG”としてアピール

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▲『新生FFXIV』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏。

 2014年8月13日〜17日、ドイツ・ケルンにて開催された、ヨーロッパ最大級のゲーム見本市“ gamescom”。『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』)のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏に、ドイツでの所感や今後のパッチの話を伺った。また、海外メディアが取材中の模様を逆取材したので、そちらのリポートもお届けしよう。


――今回のgamescomでは、『新生FFXIV』のブースが2ヵ所で展開していて、すべての試遊台を足すと、なんと80台! これは、ものすごい規模ですね。
吉田直樹氏(以下、吉田) ドイツでは、『新生FFXIV』を“コンソールのゲーム”と認識していて、“本格的なMMORPG”として認識していない人たちも多いのです。ですので、今回はPCゲームのコーナーにも出展して、MMORPGとしてのPRに力を入れています。

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――プレイしているところをのぞき見すると、皆さん、見事にキーボード+マウスばかり。6月にロサンゼルスで開催されたE3では、ゲームパッドを使う人が多くて、後から追加したりしていましたが、それとは対照的でした。
吉田 ドイツはもともとPCゲーム大国ですので、僕もゲームパッドは皆無だろうなあ、と思っていました。ところが、フロントラインの試遊のほうを見ると、ちらほらゲームパッドを使っている人がいたので、これには逆にビックリしましたね。

――やはり、ヨーロッパはコアなPCゲーマーが多いという印象が強いのでしょうか?
吉田 ヨーロッパというより、ドイツですね。フランスやイギリスは、MMORPGというジャンルの浸透度でいったらまだまだです。いま伸びているのは北欧ですね。

――なるほど。そんなドイツですが、『新生FFXIV』にとってドイツとはどんな市場でしょうか?
吉田 ドイツは、MMORPGというジャンルに対しての理解度がとても高く、そもそもの土壌が違います。これまで僕自身が慣れ親しんできたMMORPGの歴史を見ても、ヨーロッパでヒットさせていくうえで、ドイツはシェアを取れてあたりまえの地域という感覚です。

――ところが、先ほどおっしゃったように、『新生FFXIV』をMMORPGとして見てくれていない人がいると?
吉田 ええ。ドイツでは、『FF』シリーズが少々ニッチになりすぎている状況です。これは、フランスなどとは真逆の反応です。「ファンタジー」というくくりにしても、ドイツは“ウォーハンマー”がベースにある国ですので、ほかの地域よりも、より一段とハイファンタジーを好む傾向があります。色彩に関しても、色が抜け落ちてくすんだ感じだったり、埃が舞っているようなフィルターだったり、そういう雰囲気を好みます。『新生FFXIV』の絵作りは、暗いところは暗く作っていますが、基本的に色彩豊かですから、その点はドイツの一般的なゲーマーの趣味とは異なる部分です。グラフィクスのテイストは、ゲームの本質ではないと思いますが、それが理由で触ってもらえないと意味がないので、今回はゲームの中身をよりアピールしようと考えたわけです。また、PR素材の配色や色彩もほかの国とは変えるように指示をしています。

――ドイツ対策というわけですね。そんなドイツのメディアは、やはりコアな質問をするのでしょうか?
吉田 いいえ、国による違いはほとんどないです。世界各国のメディアの皆さんは、むしろ共通して、「ヨーロッパならではのフィードバックはあるんですか?」とか、「中国って特殊な市場ですよね?」といったように、地域や国の違いについて質問されます(笑)。僕からすると、プレイされている方のフィードバックや質問にほとんど違いがないというのが、世界中をPRで回ってみての確信です。たしかに、それぞれの国で言葉や生活のサイクルは違いますし、絵的な好みはあるとは思います。あとは、全体のマスに対してPvPが好まれる中国とか、逆に敬遠されがちな日本とか……。でも、中国のPvPに関するフィードバックと日本のPvPコアゲーマーの意見はほとんど同じです。おもしろいかどうかは世界どこでも共通で、ヨーロッパのメディアの方も日本のメディアの方と同様、いまはもっともホットなモブハントのご質問が多いです。

――そうでしたか(笑)。ここできっかけをもらったので、モブハントについてお聞かせください。


●モブハントの調整は、コンテンツを意図通りにするため

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――パッチ2.35でモブハントに調整が入りますね(2014年8月22日現在、すでに実施済み)。

吉田 はい。その調整意図ですが、よく、「SランクのモブのHPを増やせないのか?」というご要望がいただくのですが、これでは問題の解決にならないと考えています。HPを増やすと、モブとの戦闘時間が長くなりますが、モブが生存している時間が長いほど、それだけ多くのプレイヤーが集まる時間が生まれます。この調整の場合だと、いま200人でSランクのリスキーモブと戦っているのが500人になるだけで、ダメージの総量が一定を上回った途端、モブが瞬殺されてしまうことに変わりはないことになってしまいます。つまり、HPをこれ以上増やしても、プレイヤーの皆さんのストレスばかりが溜まってしまう結果となります。問題なのは、 “モブハントさえやっていればいい”という状態になってしまったことだと考えています。

――実際、貯めた同盟記章でアラグの時油やアラグの時砂とも交換できますし、同時に戦記も貯まりますものね。
吉田 アラガントームストーンまで報酬として出したのは、新コンテンツということで緩和も含めて盛った部分なのですが、少々やりすぎてしまったと反省しています。モブハントは、Sランクを誰かが見つけたら、shoutし、集まった人数で倒すというのは意図通りなのですが、あまりにも多くの人が、Sランクを狙うのではなく、全ランクのリスキーモブを狙う結果となり、結果的にSにさらに人が集まるということになってしまいました。本来Bランクは、毎日自分でモブを探し、ソロで倒すというイメージだったのですが、そうはならず、大きな集団がSランク、Aランク、Bランクすべてを対象にフィールドを走り回っている。この状況を当初の想定方向へ調整させていただこうと思っています。

ーーモブハントは、パッチ2.35以降も段階的に調整を入れていくのでしょうか?
吉田 まずは、パッチ2.35の変化を見させていただいて、その上でフィードバックを拝見しつつ、必要があればさらに調整を続けます。

ーーちょっと気が早いのですが、忍者や双剣士についてお話いただけることはありませんか?
吉田 パッチ2.4での実装は確定です。アクション類もほぼ固まりましたし、クラスクエストやジョブクエストもテキストは完成していて、ドイツに来る前に、忍者のジョブの本拠地をチェックしてきました。外観からは、中に忍者たちがいるとはとても思えない感じですが、足を踏み入れると「おーっ」という感じになっています。ドマの人たちが仮宿的に立てているという設定も含めて、細かいところまで作り込んでいます。ストーリー的も、忍者や双剣士の登場が必然と思える内容になっているので、そこにもぜひ注目してください。

ーーうーん、もうひと声!
吉田 忍者については、もう少々お待ちください。まだまだ東京ゲームショウなどもありますので(苦笑)。パッチ2.4は、大迷宮バハムートもいよいよ完結しますし、アイテムレベルのキャップも上がりますから、バージョン3.0に向けて大きく展開していくパッチとなります。

ーーでは、そのままバージョン3.0のお話へ……。
吉田 まだお話する機会はたくさんありますし、現時点では多くを語れませんが、バージョン3.0ではレベルキャップの開放や、9ジョブ+αのレベリングを想定しています。『新生FFXIV』の運営を開始し、そして『ドラゴンクエストX』の状況を見ていても、キャラクターを育てたいという欲求が、いまも想定以上にあるという認識をしています。アイテムによる成長ではなくて、キャラクターのパラメーター自体がじわじわ上がっていくというのも、疲れてしまう方もいる反面、まだまだそれが好きだ、それがRPGだろう、という方も多いと感じました。バージョン3.0もそうですが、今後もキャラクター自体の成長を楽しめるようなシステムやコンテンツも、一段階意識を上げて考えていこうかと思っています。

ーーレベルキャップのお話が出たので、アイテムレベルとの関係についてお聞きしたいのですが、キャラクターの素のレベルとアイテムレベルは、今後どんどん離れていくのでしょうか?
吉田 レベルキャップの上限開放よりも、アイテムレベルの上昇回数のほうが多いので、最終的にはアイテムレベルの方が圧倒的に高くなります。


●海外のメディアはどんな質問をする? メディア逆取材を敢行!

 今回のgamescomでは、吉田氏と宣伝担当の方のご厚意で、海外メディアの取材現場に同席してもよいとのお話をいただき、逆取材を敢行。他メディアの取材のため、詳しい受け答えについては触れないという約束で、記事化も許可をいただいた。海外のメディアがどういった点に注目しているか、リポートしよう。

 まずは、フランスのメディア“millenium(ミレニアム)”から。取材はムービーを回しながら行われた。質問内容と筆者の所感は以下の通り。


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・大規模PvPのフロントラインは好評?
(どんなフィードバックが寄せられているか、気になるようです。)

・ウルヴズジェルのアップデートは行われないのか?
(PvPへの姿勢が積極的ですね。日本のメディアは、いまはフロントラインのターンかなあという認識だと思います。)

・PvPがメインストーリーに絡むことはあるのか?
(この質問は、日本のメディアは思いつかないかもしれません。PvPが必須というのは、『新生FFXIV』ではちょっと考えにくいですよね。)

・『新生FFXIV』は1周年を迎えるが、この成功に満足しているか?
(改めて聞きたくなる質問。週刊ファミ通でも、8月28日発売号で1周年記念特集を掲載する予定ですが、同様の質問を行っています。)

・吉田Pにとって拡張パックの定義とは? ほかのMMORPGで、吉田Pが個人的にもっとも印象に残っている拡張パックは?
(バージョン3.0についてはまだ話が引き出せないと踏んで、切り口を変えて聞いています。もっとも印象に残っている拡張パックについては、『Dark Age of Camelot』のとある拡張パックの名前が出ていました。)

・PCでゲームパッドを使うのは非常にユニークだが、『新生FFXIV』でのゲームパッドの使用率はどれくらいなのか?
(そもそも、ゲームパッドが珍しいという前提ですね。日本でのゲームパッドの使用率に非常に驚いていました。)

・海外のMMORPGを日本に持ち込むなら、ゲームパッドの対応は必須か?
(吉田Pの話に興味津々でした。日本がどういう市場なのか、まだよくわかっていないようですね。)

・DirectX11への対応はまだか?
(日本でも気になる人はいるでしょうね。わりと近そうな感じでしたよ!)

・ゴールドソーサー(仮)はどういうチーム体制で作っているのか?
(制作体制を聞きつつ、コンテンツについてもちゃっかり聞いていました。けっこうコンテンツの詳細を語っていて、吉田Pもサービス気味でした。)

・チョコボレースは『FFVII』と同じようなものになるのか?
(こちらも、わりと具体的な話が出ていました。かなり仕様も進んでいるようです。)

・ゴールドソーサー(仮)では専用通貨は用意されるのか? また、インゲームで稼いだ通貨をプレイ料金などに充てることは可能か?
(ビジネスモデルの話ですね。日本のメディアでは、あまりその可能性を探らないかもしれません。)

・ヨーロッパのデータセンターはまだか?
(通信ラグはゲーム体験と直結するので、気にしている人も多いようです。吉田Pも、前向きに検討しているようでした。)

・エギではなく、イフリートを召喚できる日は来るのか?
(これ、最近聞いていない質問ですね。水面下で着々と進んでいるみたいです。)


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▲「日本語は読めないけど、ファミ通は見てるよ!」と言ってくれたミレニアムの記者。メルシー!

 続いては、フランスのコミュニティマネージャーによる取材。海外におけるコミュニティ(ユーザーグループ)はかなりの影響力を持っており、メディアと同等の扱いでインタビューを行うことができる。今回取材を行っているANDRE Guillaume氏は、『旧FFXIV』のころから活動している“Secrets of Eorzea”というコミュニティのマネージャーだ。ユーザーの代表として、どんな質問を投げ掛けるのだろうか。


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・正式サービスから1周年を迎えるが、この成功への感想は?
(『旧FFXIV』から続くコミュニティなだけに、『新生FFXIV』の成功はかつてない偉業として捉えていました。)

・友達招待キャンペーンについて、すでに誘ってしまったという人への救済措置はないのか?
(早速、コミュニティならではの質問。これは、現状では難しいようです。)

・PvPの新しいルールはいつ入るのか?
(もうつぎのルールが気になる模様。フロントラインが非常に好評なので、予定よりも早く進行しているようです。)

・ウルヴズジェルのアップデートは行われないのか?
(やはり気になるものなのですね。milleniumさんとまったく同じ質問です。)

・他人の装備を修理したいのだが、そういう仕様は入らないのか?
(さすが『旧FFXIV』世代! 『新生FFXIV』ではNPCによる修理も安価ですし、自身での修理もやりやすくなったので、これは実現するでしょうか……?)

・銃術士ってどうなった?
(これも、日本のメディアは聞かなくなりましたね。少なくとも、バージョン2.xのあいだは、双剣士と忍者以外のクラス/ジョブは追加されない模様です。)

・ハウスの引っ越しができるようになるのはいつ? 引っ越しするときは、個室はリセットされる?
(これもコミュニティならではの質問ですね。引っ越し時の個室はリセットで、再配置になるのが濃厚そうです。)

・gamescomが終わると、この後はファンフェスティバルや東京ゲームショウが控えている。吉田Pに休む時間はちゃんとあるのか?
(世界中のメディアが吉田Pの健康を案じています。)

・日本の大規模MMORPGで中国に進出するのは『新生FFXIV』が初だと思うが、特殊な中国のマーケットで展開するうえで、苦労したことはないか?
(この質問を受け、吉田Pは、世界最大のオンラインゲームマーケットで新たな挑戦をする気持ちであるということ、そして名だたる世界のMMORPGの多くが中国でサービス展開していることを丁寧に説明していました。)


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▲この日は、10時の開場と同時に取材開始。吉田Pは1日取材漬けです。

 世界のどのメディアも聞きたがる要素から、日本のメディアでは考えつかない質問まで、さまざまな質疑応答を目の当たりにして、非常に刺激的な時間だった。今後も、こうした機会があれば、積極的に参加していきたいと思う。


●おまけ

 取材の合間に『シアトリズム ファイナルファンタジー』を熱心にプレイする吉田P。さて、その理由は……?


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▲取材の準備中に、おもむろにゲームを始める吉田P。また戦っちゃうんですか!?

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