気になる双剣士と忍者について聞きまくる!

 2014年6月10日〜12日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催された世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2014。スクウェア・エニックスのビジネスブースで、『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』)のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏へのメディア合同インタビューが行われた。
※2014年6月21日 9:30 記事を一部修正いたしました。

『新生FFXIV』新ジョブから聞きづらいことまで、90分間質問攻め。吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビュー【E3 2014】_02
▲『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏。

 インタビューは、昨年のE3と同様、日本のメディア各社が集められ、記者がひとりずつ順番に質疑を行う形式。今回のE3では、新クラス/ジョブを始め、蛮神ラムウ、蛮神シヴァ、そして最大72人参加のPvP(対人戦)“フロントライン”など、注目すべきポイントも多く、それぞれで深掘りしたいところも異なっていたため、話題が飛ぶことも多かった。本稿では、内容を整理するため、一部編集を行っている。そのため、実際の質疑の順番通りではないことをご了承いただきたい。

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――『新生FFXIV』は昨年に続いての出展となりますが、今年のE3はいかがですか?
吉田 昨年のE3の時点では、まだ『新生FFXIV』の全世界サービスを開始していなくて、E3最終日にプレイステーション3版も含めてのβテストフェーズ3がスタートでしたから、本当は現地からライブ放送どころではないほどたいへんでした。そうして正式サービスが始まり、序盤の大混雑はありましたが、その後なんとか軌道に乗って、メジャーアップデートも順調に行えていますし、ひとまずホッとしています。今回のE3では、新クラスや新ジョブ、パッチ2.3のお話もできて、今後は拡張パックに向かって、メジャーアップデート以外のパッチでも、トータルとして皆さんに驚いてもらえるくらいの物量を出していけたらと思っています。それと同時に、つぎの目標としては、コミュニティーのさらなる最大化を掲げていて、今年夏には、いよいよ世界最大のオンラインゲームマーケットである中国で正式サービスを開始する予定です。それ以外にも、いくつか進んでいるお話がありますので、ここからさらに、世界中でひとりでも多くの方に『新生FFXIV』を遊んでいただくために、引き続き挑戦していきたいなと思っています。

――今回のE3では、新クラスの双剣士、そして新ジョブの忍者が発表になりましたが、まずはそのお話からお聞かせください。このふたつのコンセプトとは?
吉田 クラスやジョブの追加は拡張パックで、と予想していた方もいるかと思いますが、前倒しで実装を決めたわけではなく、拡張パックを出す前に新クラスと新ジョブを入れたいという話を開発チームとは以前からしていました。『新生FFXIV』のローンチのタイミングで、学者をサプライズで実装できたものの、『旧FFXIV』から遊んでくださっている方は相当長い期間レベル50のままですし、キャラクターの育成というところもニーズとしてあるということはわかっていたので、何かしら入れたいと思っていました。あとは、クラス、ジョブのバランスを見ると、とくにDPSについて、ローグ(シーフ)タイプ、つまりステルサー系のスカウトクラス(身を隠しつつ索敵する役割)がないことが、MMORPGのバランスとして物足りないと感じていて、それが今回の実装の大きな要因です。ただ、ローグのようなクラスは、最初に揃えておくべきものというよりは、トリッキーな派生タイプという位置づけになってくるので、まずは先に学者を実装して、今回のタイミングになったということになります。

――このタイミングは、大規模PvPのフロントラインとも関係していますよね。
吉田 そうですね。フロントラインでは、かなり広いフィールドの中で24対24対24が行われるので、索敵をする人たちがいずれカギを握ります。たとえば、「グリダニアの3パーティが、拠点3へ向かって北から南下中」というスカウト情報があるだけで、では迎撃するのか、あるいは回り込んでサイドアタックを仕掛けるのか、はたまた「ほかの勢力の忍者が姿を消した状態でそちらに向かったから、さらに後ろから押そう」みたいな、そういう情報戦にもなって、盛り上がりますよね。パッチ2.3でまずフロントラインを実装して、大規模PvPになじんでいただいたうえで、パッチ2.4でスカウトクラスが入る。そうすることで、さらに違った戦局が生まれてくるので、順番に実装していくという狙いもあります。

――今回の新クラス/ジョブの追加は、何となくゲーム内でその兆候はありました。
吉田 ええ。「あれ? もしかして新クラス、新ジョブが来る?」と思わせるようなヒントをパッチ2.2のストーリーで出していたので、これもライブ感的な意味で意図したところです。一般的なMMORPGだと、報道を出して、急にシステマティックにクラスやジョブが追加されるパターンが多いと思うのですが、ストーリーの中にちゃんと組み込むことで必然性も出てくるので。そのあたりはやはり『FF』ですし、そういうこだわりをもって作ってきたクラスとジョブです。

――双剣士のクラスデザインはシーフがベースにあるそうですが、ファンの中には「私はシーフという名前で戦いたい!」という人もいると思うのですが……
吉田 開発チームでもシーフと呼びたい気持ちは大きかったです(苦笑)。とは言え、すべてのバトルクラスは各都市に拠点があり、しかもそれらはギルド(組合)と呼ばれている。仮に、地下組織で“シーフ”と言っていたとしても、それではメインストーリー上、表に出られない。あとは、新規でプレイされている人たちからすれば、なんでこいつだけ〜士ではなくて、盗賊なの? ということにもなります。そのため、かつて彼らはシーフと呼ばれていたが、戦闘術がきちんと体系化して、国にもある程度認められ、ギルドを持つようになったという設定にしました。そこで、彼らをずっと“盗賊”と呼び続けるのは変だろうと。ということで、尊敬の念や、その体系化された武術を象徴する呼びかたとして、双剣士になったと。それでも僕らなりに考えた、いまの時代のシーフを目指して作っているつもりです。

――ジョブのほうは忍者になるんですね。
吉田 忍者は、日本の文化というか、日本のゲームのステルサーと言ったら、世界中の誰もが忍者を最初に思い浮かべますし、グローバルに運営していることもあって、いろいろな想像が働きやすいと思いました。あとは、『FFVI』のシャドウがカッコよくて好きというのもあります。シャドウをいま風にしたらどうなるだろう? と。ユウギリという謎めいたキャラクターとともに東方から流れてきた武術が、サンクレットが属していた元シーフたちと混ざり合って、エオルゼアで新たに忍者が誕生していく……というイメージです。

――『FF』シリーズのシーフでは、“ぬすむ”のイメージが強いですが、双剣士はどうなのでしょうか?
吉田 スタンドアローンのシーフとしてのイメージは、さほど強くはないかもしれません。先ほども言った通り、ステルサー系のスカウトクラスというのが基本です。

――なるほど。『新生FFXIV』の忍者は、『FF』シリーズのシーフと忍者のハイブリッドという感じではなく、スカウトクラスとしての双剣士、そこからさらに特化した形で忍者がいるわけですね。
吉田 基本的にそうなりますが、ちょっと違うところもあります。双剣士のうちは毒の使い分けがポイントで、忍者になってからは、それに加えて印をどう使っていくのかが重要になります。

――忍者というと、『FFXI』の忍者を思い浮かべる人もいると思いますが、ロールはDPSでしょうか?
吉田 DPSです。忍者がみんなの盾になっているところが、どうしてもイメージと合わなくて……。忍者って、もともと世を忍ぶ存在ですから、そこは純粋なDPSでいきたいし、シナリオでもそういう扱いをしています。忍者は、『NARUTO -ナルト-』という日本のマンガのヒットもあって、海外のプレイヤーの方にまた新しい“忍者像”ってできていると思うんです。日本が、しかもオンラインの『FF』シリーズ最新作が、そしてスクウェア・エニックスが忍者というものを出すときに、どう捉えられるかというところを考えて作っています。もちろん、『FFXI』のイメージがある方もいらっしゃるので、「回避していくタンクなのでは?」という書き込みをネットで見たりもしましたけど、そうではないです。とにかく、忍ぶほうへ……。『NARUTO -ナルト-』も最近はクライマックスなので、忍んではいないですが(笑)。

――ちなみに、空蝉の術はありますか?
吉田 どうでしょう(笑)。そこは『FF』なので、効果はともあれ、技名は忍者らしいものを用意します。

――触媒のようなものも使わないのでしょうか?
吉田 アイテムを消費したりすることはないです。それは毒に関してもそうです。コンテンツ中に触媒が足りなくなったので、ダメージが出せないとか問題が出てしまうので。

――いろいろなロールがある中で、なぜ近接DPSを追加したのでしょうか?
吉田 これは最初に言った通り、スカウトクラスが足りないと思ったからです。タンクのナイトと戦士はうまく棲み分けができていますし、白魔道士と学者など、同じ役割ながら、特性が異なるジョブが各ロールに最低ふたつはあります。そういう意味では、近接DPSもモンクと竜騎士の2ジョブがすでに存在していますが、ステルスを使ってバックスタブ(不意打ち)するような役割、ローグ(シーフ)がいないので、そこを揃えたいと。必要なものをきっちり入れたかったからです。

――吉田さんの中では、これでひと通りロールが揃った感じでしょうか?
吉田 そうですね。バッファー兼アタッカーの吟遊詩人、近接でコンボに特化し、突き詰めるともっともDPSが高くなるモンク、汎用的に戦える竜騎士、純粋なキャスターの黒魔道士、DoTを中心に戦う召喚士がいて、これでひと通り揃ったかなと。

――双剣士/忍者が実装されたら、DPSだらけになりそうですが、何か対策はあるのでしょうか?
吉田 単純な話ですが、なかなかコンテンツファインダーでマッチングしなくなるとは思います。そうなると、経験値稼ぎはF.A.T.E.に流れるでしょうね。忍者8人でやるF.A.T.E.も、ある意味では新クラス/ジョブ実装後のお祭りとして、多少の期間はMMORPGらしいなとも思っています。また、双剣士/忍者実装のタイミングは、タンクやヒーラーの不足ロールボーナスを大量につけることで、ある程度はタンクを育てていなかった人たちが、「よし、このおいしい隙に上げちゃおう」みたいな感じになるのではないかと。たとえ、その状態が2〜3週間続いたとしても、エンドコンテンツに行くときは、皆さんまたメインジョブに戻るでしょうし、戦記を稼ぐときは慣れているジョブでサクッと終わらせたいという人もいるでしょう。せっかくの新ジョブですし、忍者だらけのエオルゼアもまあ少し大目に見てください。極端には心配していないです。

――忍者の具体的な話になりますが、印はデバフなのでしょうか? それともバフの効果なのでしょうか? また、複数のプレイヤーで効果を重ねることはできますか?
吉田 複数のプレイヤーで印を最大化するようなことは考えていません。なぜなら、それが強いとなると、パーティに忍者を複数入れるのが必須ということになってしまうので。印は、いくつか法則性があって、必ずしもひとつの効果を発揮するわけではありません。印を結ぶ順番によって変わります。どの局面でどんな印を結ぶのが有効なのかというところを模索するのが楽しみですね。ですから、これ以上は控えさせてください。

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――E3で公開されたトレーラーでは、かなり動き回っていた印象がありますが、忍者にも方向指定のコンボがあるのでしょうか?
吉田 方向指定がないとは言いませんが、モンクとは全然違います。動き回って戦っているのは、どちらかというと動画の見栄えを考慮しての部分が大きいです。基本的には、どういったタイミングでどの印を結んでいくかということを適時考えながら戦うという感じです。たとえば、学者や召喚にエーテルフローという要素がありますが、エーテルフローをいつ蓄積して何を使うかというような駆け引きに近いですね。そこからさらに方向指定を激しく要求するという感じではないです。

――同じく、トレーラーの映像にあった、敵の頭に飛び乗って刀を突き刺すアクションはレベル50のアクションでしょうか?
吉田 公開をお楽しみに(笑)。忍者っぽい技ですよね、首にクリティカルヒットみたいで。あの技は、相手がたとえレディバグ(てんとう虫)でも飛び乗るので、ぜひいろいろな敵に試してみてほしいです。

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――双剣士と忍者は二刀流ですが、武器は1本ずつ別々の武器を持てるのでしょうか?
吉田 いいえ。モンクと同じで、二対で一振りなので、武器は1種類になります。

――STRやDEXなど、攻撃力に影響する主要ステータスは?
吉田 これ以上はまだお話できません。いまからガチガチに準備されてしまう方もいそうなので……。

――忍者の古の武器(レリック)は実装されますか?
吉田 はい、もちろんです。

――取得条件はどうなりますか?
吉田 既存ジョブと同じにするつもりです。ですから、ゾディアックウェポンを目指す方は、アートマをいまから集めておくと、早めに武器を光らせられるかもしれませんね。忍者だけ条件を変えるというつもりはないので、その準備はしていただいてもかまわないかと。

蛮神の今後について

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――今回のE3でシヴァが発表されましたが、蛮神はこの先もコンスタントに登場するのでしょうか?
吉田 召喚獣は『新生FFXIV』の世界では蛮神と呼んでいますが、『FF』の華だと思っています。まだまだ数え切れないくらい、『FF』シリーズには召喚獣がいるので、『新生FFXIV』の世界で彼らの活躍の場所をちゃんと作ってあげたいですね。リヴァイアサンまでは、蛮族たちの“人間を滅ぼしてほしい”という願いに引きずられて出てきていますが、ここからはもう一段深い話になっていきます。ラムウあたりからその兆候が見えてくると思います。蛮神には蛮神の考えがあって、喚ぶ側の思想に微妙なズレがある。そのあたりにもちょっと意識してもらいたいです。

――シヴァが入れば、いわゆる有名どころはだいたい入った感じでしょうか。
吉田 はい。『FF』シリーズの最新作としてようやくメジャーどころの召喚獣は揃いつつあります。この後はだんだん予想が難しくなってきますね(笑)。パッチ2.3のストーリーは、バージョン2.0からのストーリーのちょうど分岐点というか、いろいろな思惑が交錯します。みんなエオルゼアを守ろうとするものの、それぞれのエゴみたいなものも絡み合って、だんだん混沌としてくる。そこに蛮神がどう絡んでくるのか、暁やミンフィリアがどう対応するのか、一方、また新しい勢力がどう動いてくるのかみたいなものは、蛮神問題と切り離せなかったり、ここからのストーリーは激しく動くので、ぜひそちらにも期待していただきたいです。

――パッチ2.3でラムウが実装されますが、そう考えるとシヴァの公開タイミングが早い気もしますが……?
吉田 これは、パッチ2.3のストーリーをお楽しみに、ということになってしまうのですが……。現状、3つの勢力の合間にそれぞれ蛮神問題を抱えていますが、『旧FFXIV』のころから開放されない4つ目の地域もあり、シヴァが氷の蛮神だというところも含めて、ここからどう物語が北へ進んでいくのかというのも、見どころかもしれません。それを見ていただくと、このタイミングでシヴァが出てくる意図もわかっていただけると思います。パッチ2.2のラストで新ジョブを匂わせたように、シナリオの中にヒントというか、物語性を持ってゲームが進んでいくというのは意識していますので、今回も楽しみにしてくださるとうれしいです。

――シヴァは、これまでの蛮神とは毛色が違うような気がしますが、たとえば通常の女性キャラクターとして登場したりは?
吉田 お楽しみに! これはイエスともノーとも言えません(笑)。

――蛮神戦としてシヴァが実装されるタイミングは、イシュガルドの実装と同じでしょうか?
吉田 そうとは限らないです。まだバージョン2.0以降のストーリーで語られていない一団があったりするので。伏線を徐々に回収しているところです。

――極ガルーダ、極タイタン、極イフリートの3体を倒して武器と交換できたように、極リヴァイアサン、極ラムウ、極シヴァの3体を倒しても武器が手に入ったりするのでしょうか?
吉田 現状考えていないです。これ以上、同じレベル帯の武器を増やしても、あまり意味がなくなってくるので。

――極ラムウ討滅戦の難度はどれくらいでしょうか?
吉田 パッチ2.2での極リヴァイアサン討滅戦、極王モグル・モグXII世討滅戦と同じように、最初はコンテンツファインダーでのマッチングは使えないようにするつもりです。とは言え、侵攻編の2や3をクリアーしている人じゃないと、太刀打ちできないかといったら、そんなことはありません。極リヴァイアサン、極王モグル・モグを倒して、武器もリボンも取れて、そろそろ侵攻編に行こうかな……くらいの人がちょうどいいと思います。侵攻編の4が終わった人は、おとなしく“大迷宮バハムート零式:侵攻編”に行ってくださいと(笑)。あちらの難度は、僕にもどうなるかわからないので(笑)。

――噂の、最難関エンドコンテンツのハードモードですね。
吉田 少なくとも、侵攻編の4つの層の戦術はすでに判明していますし、敵の技が全部変わるわけでもありません。そうした前提のうえで、“ありえない難度”になった侵攻編をどのように皆さんが突破していくのか、僕らも楽しみに見せていただこうと。その反響やフィードバックによって、今後も同じ方針で行くのか、ちゃんとリワードを作っていくのか、考えていきたいと思います。

――邂逅編に続き、侵攻編も世界最速で突破したフリーカンパニー“BG(Order of the Blue Garter)”は、また世界最速を目指して挑戦するのでしょうね。
吉田 今回の侵攻編は、日本勢も惜しかったんです。相当いい勝負をしていると思います。ぜひ、日本のゲーマーの指先だったり、チームワークを世界に見せつけていただけたらと。

新クリスタルタワーの“シルクスの塔”では派手な防具がドロップ?

――パッチ2.3で実装される、新クリスタルタワー“シルクスの塔”ですが、参加条件は?
吉田 “古代の民の迷宮”をクリアーしている必要があります。そこから、クエストをこなせば参加できると考えていただければ結構です。

――全体のボリューム感と難度について教えてください。
吉田 ボリューム感は、古代の民の迷宮とだいたい同じです。皆さんのアイテムレベルも上がっていますから、敵のHPや耐久性は当然上がっていますが、感じる難度は同じくらいです。ただ、ギミックはもちろん総変わりしていますので、またみんなとわいわい、ああじゃないか、こうじゃないかとやってほしいですね。戦術が浸透するまでは、いきなり全滅することもあると思います。

――参加条件として想定している平均アイテムレベルは?
吉田 80か90かという話をしていますが、おそらく80にするという感じですね。古代の民の迷宮でドロップする防具のアイテムレベルがすべて80なので、それを揃えていってくださいという意味でも。

――報酬の防具は、前回の古代の民の迷宮と同様、過去の『FF』シリーズにちなんだものになるのでしょうか?
吉田 楽しみにしていてください(笑)。少しお話すると、クリスタルタワーのボスにちなんだものだと思ってもらえれば……。今回はけっこう派手です。ですから、全身ぶん揃えてもらってもいいですし、パーツ単体をミラージュプリズムで使うのもいいですし。いままでとは毛色は違いますね。そんな防具を各ロールで用意しています。

――古代の民の迷宮でも見かけましたが、欲しい防具が取れた途端に離脱してしまうプレイヤーに対して何か特別なペナルティーを与えたりはしないのでしょうか?
吉田 コンテンツファインダーにメンバー補充の仕組みもありますし、その週にNEEDをしていないプレイヤーは、“攻略途中パーティへの参加”にチェックを入れてどんどんプレイしたほうがいいので、極端な対策はしてはいません。むしろ、途中離脱をくり返すようなプレイヤーは、GMを通じてきびしく接していきます。それこそ、本当に世界のルールを壊してしまうよう不正行為は別ですが、何もかもシステムで塞いでいくアップデートは、息苦しくもなるので、慎重に考えています。不正ツールへの対応については、もう一段レベルを上げて実装する予定で、裏ではいろいろやっていたりしますが、表立って途中離脱にペナルティーを設けるよりは、24人でマッチングできる仕組みを早く入れる方が皆さんに喜んでいただけると思っています。それこそ、数パーセントの悪意のあるプレイヤーのために極端にコストを割くよりも、多くの人が楽しめることにコストをかけていきたいです。「オレ、欲しいもの取れたから抜けるわ」みたいな人がコミュニティーの中にいたとして、そういう人といっしょにプレイする人は多くないと思いますし、ある程度自然浄化されていくとも思っています。

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フロントラインは、誰もが気軽に遊んでほしい

――フロントラインの実装意図を改めてお聞かせください。
吉田 そもそもは、フロントラインを『新生FFXIV』でのPvPのメインに据えるべく、ウルヴズジェイルを先行実装しました。ウルヴズジェイルで、対戦格闘ゲームのようにPvPに慣れてもらったうえで、その勢いでフロントラインに行っていただきたかったのですが、調整が至らなかったこともあって、格闘ゲームのストイックな部分が出てしまいました。これは、正直申し訳ないと思っています。そして、コンテンツにつけた名前も“狼たちの檻”だったので、まさしく狼たちばかりになってしまった。たまに新規の方が行くと、すごい勢いで食べられてしまうという。しかも、モラルというパラメーターでさらに差がつくという状態だったので、その格差は開くばかりで……。

――プレイヤースキルはもちろん、PvPアクションの習得や装備のハードルもあって、実装直後に参加したっきりという人も多かったのではないでしょうか。
吉田 ただ、大阪や札幌、名古屋で開催したファンイベントでは、『新生FFXIV』で初めて本格的にPvPに触れて、PvPのおもしろさに出会ったという人も大勢いて。「いろいろな人と対戦したい」ということも言っていただけたこともあって、フロントラインに関しては、とにかくたくさんの人に参加してもらうことが大事だと思っています。クリスタルタワーと同じで、人数が多いぶん、ひとりにかかってくる責任比重が非常に軽い。また、チームが全滅してしまってもゲームエンドではなくて、ポイントを競う形になるので、戦闘不能になってもリスタートして即戦線へ復帰という考えかたをしています。

――確かに、4人で戦うウルヴズジェイルと比べて、緊張感はいくらか緩和されそうです。
吉田 本当にカジュアルに作ったつもりです。今回は、攻城武器つまり、ラムやカタパルトで城を攻め落とすみたいな要素は入っていないのですが、今後はそういったルール追加をフロントラインにしていって、より大規模なマップであったり、外壁のある建物を奪い合ったりという形で発展させていきたいと思っています。

――最終的な構想としては、海外MMORPGなみの大規模RvR(Realm vs Realm)を目指すのでしょうか?
吉田 そこまでやるつもりはないです。なぜなら、『新生FFXIV』はPvEのゲームだからです。あくまで、1週間プレイする中の何時間かをPvPで過ごしてもらえばうれしいです。今回、フロントラインの報酬の中に、参加賞的な意味合いで戦記や神話が入っているのも、いままでPvEのアラガントームストーンを稼ぐために使っていた時間をPvPに使いませんか? という提案から来るものです。

――モラルのパラメータを使わないのは意外でしたが、ウルヴズジェイルからの継続性はないのでしょうか?
吉田 ウルヴズジェイルで稼いだポイントを使って強化したPvPアクションは、フロントラインのフィールドでもそのまま使えるので、若干有利だとは思います。しかし、フロントラインの実装にあたって、ほぼすべてのPvPアクションに調整をかけています。効果が強すぎたもの、あまりに弱すぎて使いものにならなかったもの、効果は適切だけど時間が長いもの、逆に短いものなど、全部見直しています。フロントラインのコンセプトは、対等な戦いです。公平なバトルで楽しみたいという声にお答えした形となります。

――フロントラインの戦場の広さはどれくらいなのでしょうか?
吉田 グリダニアの中央森林よりも若干狭いくらいですかね。3つのアウトポストは相当離れているので、それぞれから相手はまったく見えないですね。大軍隊がいきなり現れて、そこに巻き込まれると、びっくりすると思いますよ。

――最大参加人数が72人というコンセプトは、最初からあったのでしょうか?
吉田 そうですね。24対24対24は最低限実現したいという話をしていました。

――マッチングに時間がかかると、1勢力が18人ずつになったり、8人ずつになったりするのはいい仕様ですね。これを採用した理由は?
吉田 24時間戦場を開くためには、「よーい、どん」というタイミングが絶対に必要です。つまり、つねに誰かが攻めていて、つねにどこかの国が勝利を収めているタイプのPvPでは、劣勢になった勢力が盛り返しようがないのです。そうならないように、スタートとエンドを作って、ワンサイクルごとに勝負を決めたいと。そうした場合、24対24対24でしか遊べない仕様だと、マッチングが非常にきびしい時間帯が出てきてしまう。そこで、マッチングに時間がかかっていたり、コンテンツファインダーで希望を出している人が少ない場合、システムが自動的に足切りするようにしたんです。

――コンテンツファインダーを使えば、ワールド対抗戦などもできそうですよね?
吉田 今後、PvPのイベントはぜひやっていきたいと思っています。インテルさんのスポンサードで世界大会を開催しているゲームもあるので、もっともっとアップデートをして、きちんと調整をかけ、ああいった大会ができたらなあとは思います。日本も格闘ゲーム大国ですし、強いギルドがたくさんできると思うので、e-Sportsの世界でも楽しめるようにしていきたいですね。そのためにも、まずは気軽に参加してほしいです。

――ロールにも縛りがないですしね。
吉田 もう、全員白魔道士で突っ込んで、迅速ホーリーしてみる? とかもありだと思うんです(笑)。スタンの効果もあるので、案外強かったりして……。どうなるか、わからない(笑)。

そのほか、聞きづらいことも含めて、気になることを片っ端からぶつけてみた

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――以前、DPS表示ツールについて話題になりましたが、公式のアドオンサービスはまだなのでしょうか?
吉田 アドオンツールはいま作っていますので、ユーザーの皆さんにツールを公開できたら、まずはスキン変えとか、情報表示を増やしてみたりとかはぜんぜんやってもらってかまわないかなと思います。しかし、導入するかどうかは自己責任になります。我々はあくまで、個人で楽しむ範疇でツールをリリースするだけであって、どなたかが作ったものをインストールしてプレイするのは自己責任です。そこから先は、リスクがあるということを前提で使っていただけたらなと思います。

――これも以前話題になった“初心者の館”のイメージについて教えてください。
吉田 あまりいい事例ではないかもしれませんが、最近の格闘ゲームにはトレーニングモードがあり、コマンドを練習できます。たとえば、初心者の館に行って、「モンクの練習がしたい」とNPCに告げると、専用マップに移動した後にお題が表示され、ダミーモンスターなども使い、一定のコンボが出せたり、指定のDPSを上回るなど、それが達成できたらクリアー! みたいなイメージです。まずはモンクのコンボを2段つないでもらって、成功したら“達成!”と表示されてつぎのお題へ、といった感じで……。ひと通りこなすと、そのジョブの何たるかがわかって、最後は応用編。「1分間で疾風迅雷を切らさずコンボをつないで、このDPSを超えろ」みたいなお題が出て、結果がDPSとして表示されて、DPSを出すための練習ができる。

――遊びながらプレイヤースキルが磨けるわけですね。
吉田 モンクでたとえると、まさに格闘ゲームのトレーニングモードに聞こえますが、タンクなら、「フラッシュを使って敵3体の敵視ゲージを全部赤にしましょう」とか、ヒーラーがモンスターに襲われた状態で始まって……「あのモンスターの敵視をこちらに向けて見ましょう」というように、“挑発”の練習をしてもらうとか。トレーニング内容をジョブごとに用意することになります。黒魔道士なら、アンブラルブリザードとアストラルファイアの回しかたを学んだりとか。そうしたトレーニングを各ジョブに用意することで、初めて新しいジョブに触れる人や、初めてMMORPGをプレイする人が、自分のジョブやクラスの特性であったり、敵視だったり、タンクといった概念を覚えられると。いまも仕様はジリジリと切ってはいるのですが、どうしても遊ぶコンテンツを優先してしまい、いつ実装できるかなあという状態でもあります。

――プレイステーション4版の機能である、プレイステーション Vitaを使ったリモートプレイですが、評判はいかがでしょうか?
吉田 アカウントの状態を見ると、PC版をメインにしつつ、プレイステーション4版を関連づけておき、寝る前とか、外出するときにリモートプレイする人がけっこう多いようです。僕の友だちでも何人か利用している人がいて、いっしょにプレイしていると、LSのチャットで「そろそろ布団に行ってリモートプレイするわ。チャットしなくなるので、よろしくw」という発言を残して切り換えたりして。「そのまま寝るのが気持ちいい」と言っていました(笑)。使いこなしている人は、非常に便利な機能として重宝しているようです。あとは、侵攻編の2層までリモートプレイでクリアーしたという人にも出会いました。

――巴術士は召喚士と学者に派生しましたが、ほかのクラスの派生は予定していますか?
吉田 仕組みとしてはもちろんできますし、やるとなったらどれを採用するかはちゃんと考えますが、クラスからジョブに派生するときって、クラスのアクションに縛りを受けてしまいまうのが悩ましいところです。作る側としては、そもそも全体デザインをしなければいけないのと、フィジカルボーナスを切り換えられないという弱点が露呈しているところもあって……。実際、作るとなったら、ジョブクエストなども必要になります。もちろん、あの仕組みを使ってのハイブリッドな派生という方向性は捨ててはいないですし、そのときどき、追加するものによって変えると思います。バージョン3.0以降は、せっかくの拡張パックですし、また新しいシステムを考えて実装する可能性もあるので、そのあたりは今後の発表を楽しみにしていただけたらと思います。

――現在、レベル50がキャップで基礎ステータスは頭打ちですが、『FFXI』のメリットポイントのような要素は入るのでしょうか?
吉田 予定はしていないです。『新生FFXIV』でやるとしたら、まずはレベルキャップの開放ですね。メリットポイントのような要素は、レベルキャップの開放が限界に達したときに考えるべきだと思うので。

――哲学があったころは、ジョブ専用装備(アーティファクト)を取ったら、哲学を集めてダークライト装備を入手という流れがありましたが、現在はダークライト装備がエキスパートダンジョンでドロップするため、アーティファクト装備でエキスパートダンジョンに挑むのはきつい印象があります。このあたりはどうお考えでしょうか?
吉田 パッチ2.2を実装するときにバトルチームといちばん話し合った部分で、「哲学を廃止するのが早いんじゃないか」という話をしたことがあります。レベル50になった後に、どうしたらいいかわからなくなる可能性があると。最終的には、パッチ2.2で実装したエキスパートダンジョン3つの難度に合わせて、その下に位置するワンダラーパレス、アムダプール、シリウス大灯台などにも全調整をかけて、難度を下げました。ですから、アーティファクト装備が揃ったら、アイテムレベル50向けのダンジョンへ行ってアイテムレベル60の防具を揃えましょうと。それでアイテムレベル60の防具が揃ったら、今度はダークライトを目指すといった具合に、ふつうのRPGのような流れができています。

――パッチが進むと、神話装備もドロップするようになるのでしょうか?
吉田 ドロップさせるかはわかりません。今度のパッチ2.3でNPCがひとり追加されて、神話装備がなぜアーティファクトのレプリカっぽいデザインなのかということが何となくわかるようになります。ダンジョンでのドロップはともかく、少なくとも、パッチ2.3のモブハントのポイントで交換するものに神話装備が入っているので、そちらで手に入れることもできます。ですから、もう“神話装備”という言いかたができなくなってきますね。神話は黄道十二文書の交換や素材に回したいという人も出てくると思います。

――“超える力”があると、一部やりづらくなる(火力が上がりすぎてかえって難しくなる)コンテンツがありますが、このあたりは開発チームのほうでも認識されているでしょうか?
吉田 極タイタンに関しては、対策を考えています。タイタンは、敵のヒットポイントによってフェーズが変わるようになっているので、DPSの変動による影響が大きいです。言ってみれば、“手加減”が必要になるわけですが、手加減できる人というのは、基本的にうまい人なので、それは解決になりません。調整はかなり前向きに考えています。

――パッチ2.3で黒魔道士に調整が入ることはすでに伝えられていますが、これによってほかのジョブへの影響はありますか?
吉田 黒魔道士の調整がほかのジョブ調整に影響を及ぼすことはないです。日本語は難しいですね……。もう一度おさらいしますと、黒魔道士はウォールもマバリアもあって、そもそも攻撃だけでなく、防御にも秀でていますし、俗に“ブレフロ士”とも呼ばれているように、範囲攻撃も強いです。ただ、キャスト時間があって、プロック(追加効果のこと。黒魔道士の場合は、ファイアのプロックがDPSに大きく影響する)を考えると、動くことが多いシチュエーションでは単体DPSが上げにくい状態になっています。もともと、黒魔道士は単体DPSが強くて、範囲攻撃もそこそこ使えるというふうに作っています。攻守全体的にバランスがいい、でも突出し難い、というイメージですが、コンボの位置取りや近づかなければ攻撃できないという制限をもつ近接攻撃クラスのほうが、つねに攻撃できる状況であれば単体DPSは当然高いです。ですので、単純にこのDPSに追いつく調整をしてしまうと、すべてのシチュエーションにおいて、ほかのジョブの立つ瀬がなくなってしまうわけです。その点を踏まえながら、「黒魔道士とほかのジョブのバランスを見て、ほかのジョブに比べて下がりすぎな点などはキチンと見極めて調整します」というお話をしたつもりです。

――なるほど。調整は黒魔道士の中で完結していると。
吉田 これとは別のお話で、ほかのジョブで、いま使われにくくなっているアビリティやアクションがあるので、そこは見直しをかけていきます、というお話もしています。これと、黒魔道士の調整が混同している可能性はあります。つまり、ほかのジョブとのバランスを見たうえで、黒魔道士そのものの調整は行います。ただし、ほかのジョブは、ほかのジョブがどうこうではなく、そのジョブの中で使いにくくなっているアクションやアビリティは個別調整をかけていきますというお話です。

――ある日突然ゲームへのモチベーションがなくなってしまった人へ、何か訴求する要素はありますか?
吉田 足踏みをしている人については、おそらくクリアーできないものがあったり、どうしたらいいかわからない状態だったりすると思うので、それに関しては検討しています。たとえば、極タイタンで詰まっている人がけっこういて、そこから先のコンテンツがオープンしないという状況になっている方もいるので、即死系の要素を緩めていこうという話はあります。遊んでもらえなくなってしまうのは避けたいので。ただ、先頭を突っ走りすぎて疲れてしまった方の場合、僕は正直お休みでもありなのではないかなと……。もちろん、続けてはいただきたいのですが。今回、海外のメディアの皆さんにもお話したのですが、『新生FFXIV』は戻りやすいゲームを目指している部分もあるからです。

――それはすごく感じます。
吉田 MMORPGをいくつか経験されたメディアの方と話すと、クラフターが作る武器や防具を最強にしたほうが、経済が回るんじゃないかという話題によくなるのですが、『新生FFXIV』のクラフターは、パッチの直後にすごく商機があって、パッチが少し進むと1回落ちて、また新しいアイテムレベルのアイテムが追加されるとまた跳ね上がってというように、経済を回すのではなく、“波”を作っています。MMORPGでは、お金がシステムからつねに排出されているものである以上、市場は緩やかだろうと、急だろうとインフレーションする方向にしか進みません。そう考えると、仮に市場がクラフターベースで全部動いていると、ひさびさに復帰した人はお金もない(市場がインフレしているため相対的に価値が下がる)、いい武器や防具はすべて市場にある、そうなると時間をかけないと復帰が難しくなり、RMT(ゲーム内通貨を現金で購入する違反行為)の誘惑に負けそうになってしまいます。『新生FFXIV』の場合は、アラガントームストーンやダンジョンで装備を揃えれば、3~4週間で戦線復帰できます。もちろん、我々としては、ゲームを継続してもらうほうがいいに決まっていますが、“とにかく走り続けてください”というようなコンテンツばかりを追加することが、いまの時代の正解ではないとも思っています。

――ゾディアックウェポンですが、日本人のプレイヤーの多くは必死になって挑戦しているように見えますが、これは想定内なのでしょうか?
吉田 国によっても人によってもかなり違う印象です。焦っていないところは焦っていないですし。性格によるのかなあという感じもします。アートマのドロップレートは、じつはそんなに低くはないんです。たとえば、6時間やって1個も出ないという書き込みも見ますが、コンテンツファインダーのマッチング待ちをしながらのアートマ集めだと、たとえ6時間とはいえ、意外とF.A.T.E.の試行回数は少なかったりもします。そうなると、プレイ時間上はとても長く出ていないという感覚になりがちです。ゾディアックウェポンは、僕のまわりでも、やっている人、やっていない人、それぞれです。僕もまだ4冊目ですし。そこはマイペースでいいんじゃないかと。ただ、すごく思ったのは、パッチ2.28のログインラッシュを目の当たりにして、こんなにノウスを楽しみにしてくれている方が多く、そのぶん今後もがんばらねばと思いました。

――ゾディアックウェポンは、今後取得の難度を緩和したりするのでしょうか?
吉田 取得条件を変えるのではなく、コンテンツからの神話の入手量を増やす方向の調整はあると思います。ですから、アートマを12個揃える壁のほうが当面は高いのではないかなと。ただ、ノウスのつぎ、さらにそのつぎとなったとき、後発の方があまりにきくつくなるので、そういった場合は、ほかのコンテンツと同様、みんなを押し上げていく努力はしていきます。焦ってプレイされる方もいますが、『新生FFXIV』の“時間が経てばどんどんクリアーしやすくなる”ということがまだ浸透しきっていない部分もありますので、これからも地道に続けていきます。それは、コンテンツだけではなく、休止からの復帰しやすさも含めてです。ですから、そんなに焦らないでいただきたいな、と。

――長々とお聞きしてきましたが、『新生FFXIV』のプレイヤーに向けて最後にメッセージを。
吉田 今後は、強くなる方法をいろいろと用意させていただこうと思っています。ゾディアックウェポンの継続強化や、大迷宮バハムートでのドロップに期待をかける方向、戦記での底上げにアイテムを加えた改造など、アイテムの強化ルートであったり。パッチ2.3で実装される“シルクスの塔”も同じです。あとはエンドコンテンツも、24人のものから、8人のカツカツのもの、フロントラインでお祭り対戦するようなものまで、物理的限界はあるにせよ、ありとあらゆる層の人に、ひとつずつ着実に遊びをお届けするつもりです。世界中のひとりでも多くの方に遊んでもらえるように、これからもひたすら走り続けます。今後の動向にも注目いただきたいですし、ゲーム内でもご声援をいただければと思います。

さまざまなお話を伺う中、忍者の装備品について例え話としてお話いただいた内容を確定事項のように掲載してしまっていたため、該当箇所を修正いたしました。スクウェア・エニックスからは、忍者が装備可能な装備品について開発チームで現在も検討中であるので、今後の発表を楽しみにお待ちください、とされている。