FPSネタ以外の用途が広がると面白そう

今年はE3正式出展だぜ! ゲームの世界を自分の足で360度歩けるデバイス“Omni”【E3 2014】_01

 先週カリフォルニア州ロサンゼルスで行われたE3 2014。長く取材していて楽しいのが、製品が突然「化ける」ことだ。
 今年は一般メディアなどもVR関連でいろいろと盛り上がっていたが、昨年取材したVRデバイス“Virtuix Omni”も、ついに正式出展(昨年は会場外のホテルでの限定デモのみ)。Oculus Riftブースのそばでデモを行っていた。

 ご存じない方にあらためて簡単に説明すると、OmniはVRヘッドマウントディスプレイのOculus Riftと組み合わせて使うデバイス。VRヘッドマウントディスプレイがもたらす効果については以前書いた解説記事を参照してもらうとして、「自分の視界がゲームの世界の中に入ったような」感覚をもたらすVRヘッドマウントディスプレイの体験に、自分の足でゲーム世界の中を歩ける体験を加えるというものだ。

 どんな動作をするのかは動画を見てもらうのが早いと思うが、Omniはすり鉢状の土台とシューズ、そして足の動きを検出するセンサー類、そして足の動きをゲーム中の移動に変換するソフトウェアから成り立っている(以前は足の検出にKinectを使っていたが、専用のハードウェアに置き換えられた)。
 プレイヤーは専用のソールが張られたシューズを履き、腰に転倒防止用のハーネスをつけて土台の上に乗る。このシューズは土台上ではとても滑る素材になっているので、アリ地獄というか小学生のムーンウォークの真似というか、その場で滑るだけで前に進まないので、結果として360度歩き続けることができるのだ。
 例えばこれに銃のおもちゃにセンサーを付けたもの(既成品だけでもいろいろある)を足せば、「視界がCG世界に飛び込む体験+自分の足で実際に歩ける体験+自分の手で銃を撃てる体験」という、結構いろんな部分をカバーしたVR体験が可能になるというワケ(ちなみにこれが最終形というわけではなく、しゃがみなどにも対応したプロトタイプ研究も行われている)。

 デモやVirtuixが公開している紹介動画はFPSが大半を占めているものの、もちろんシューター要素がないものも可能。というかむしろ、昨年もちょろっと書いたことだが、その方がいいぐらいじゃないかと思う。
 というのも、FPSの場合、そのソフトは既存のVR専用ではないタイトルである可能性が高く、その場合マップのサイズがコントローラー操作に最適化されているので、なかなか目的地に到着できずにダルいはず。せっかくのVRなのに、突撃する戦友たちに思いっきり置いてかれたり、足が攣って格好の的になるのはどうかなぁと思うのだ。
 それよりは初音ミクとかUnityちゃんと現実ではありえないような遊園地をデートするとか、2019年のロサンゼルスで屋台のスシマスターにヌードル注文して一緒にすする所だけ体験するとか、なんかそういう歩き前提の設計の体験の方がいいんじゃないだろうか!

 さすがにこのサイズなので、いくら海外の家がデカいとはいえ、一家に一台というのは難しいと思うのだが、何かのイベント時のアトラクションとかに採用するのはアリな話。例えばファンイベントとかで、自分の好きな作品の世界をちょっと散策できるだけでも楽しくないか?
 「いや、俺は自分ちに置けるね」という気合もマネーもたっぷりある人は、日本への発送も受け付けているので公式サイトからプレオーダーをどうぞ。本体は499ドルで、日本への輸送料は150ドルから250ドル。追加のハーネスやシューズも販売されている。
(文・取材・写真・映像:ミル☆吉村)