エレクトロニック・アーツのブースでサッカーゲーム『FIFA 15』を遊んできた。

●個人的に嬉しいのは選手AIのチューン

 アメリカのロサンゼルスで開幕したE3。エレクトロニック・アーツのブースで、サッカーゲームシリーズ最新作『FIFA 15』を遊んできた。なお本稿は次世代版エンジンが搭載されているプレイステーション4/Xbox One/PC版についてのリポートなのであしからず。

 『FIFA』シリーズは記者泣かせのタイトルだ。すでに完成度が高いところに毎年何かしらの変化が加わっているのだが、カンファレンスなどの一般向けの発表内容では「その辺の要素、前からなかったっけ」と細かい違いがわからない。
 ブースでわかってる人向けのプレゼンを受けたり、実際にプレイして、ようやく「そういうことか!」と分かるのだが、面白いのは、分かった瞬間からまったく違って見えてくるのだ。

 そして今年、カンファレンスでは案の定よくわからず、今日ブースで専門的なプレゼンを受け、プレイもたっぷりして来たのだが、今年は競り合いが面白い!

 プロデューサーのNick Channon氏にもブース内で話を聞いたのだが、今年の進化の特色は5つ。

 まずは“感情移入と緊張感のレベルアップ”。ピッチ上の22人のプレイヤーは内部パラメーターで感情レベルを持っており、例えば「さっきからこいつがハードタックルしかけて来やがる」とか、「キックオフ早々にウチのGKがオウンゴールしやがった」といった出来事に応じてレベルが変化し、その後のプレイに対するリアクションが変わってくる。
 つまり、決定機にFWがシュートを外して、サイドハーフがジェスチャーで「でも、いいよそのプレイ!」って激励する一方、ボランチが天を仰いでいるといった光景や、プレイが止まってる間に度重なるタックルに切れたフォワードが「テメェいい加減にしろよ」とマークしているディフェンダーに詰め寄ったりといった光景の表現が可能になるのだ。
 なお、感情レベルはあくまで見かけ上のリアクションに反映されるだけで、「カッカしてプレイの精度が下がる」といったことはないそうなのでご安心あれ。

 お次は“ビジュアルの改善”。プレイヤーのモデルやアニメーションをよりアスリートらしく見えるようにチューニングしているほか、観客がその地域らしい応援をするようになっていたり、芝生にスライディングなどの痕が残るようになっていたりする。
 このふたつは、マッチハイライトをよく見れば、選手のリアクションや芝生の汚れによって、より本物らしい、ストーリーを感じる映像になっているのがよくわかると思う。

 プレイヤーコントロールの面では、“プレイヤーやボールの反応”という根幹的な部分にも手が入っている。 「プレイヤーの反応にラグを感じる」というフィードバックに応えたもので、より機敏なスタップのターンが可能に。ボールの挙動も再検討して、ワンタッチごとにちゃんと反応して自然な動きをするようにしたのだという。
 これはもう触ってみてもらわないと難しいが、ブースで遊んだ限りでは、ゲームとしての手触り感も違うし、現実のサッカーからイメージしたパスやドリブルが出やすくなってきているように感じた。

 そしてもうひとつ大事なのが、パスの流動性の改善。例えば、タックルして完全に奪いきれず、苦し紛れのパスも通らずに相手ボール……みたいなぐだぐだなプレイをしてしまったことがある人もいると思うが、本作ではパスを改善しているだけでなく、ディフェンス側がよりボールを奪うようなタックルを出来るようになっていて、うまく行けばすぐにカウンターに向かえる。
 またプレイヤーの挙動部分にも手が入っているので、逆に「横から身体を入れられたが、押されつつもそのまま走り抜ける」とか、「ディフェンスがさらに身体入れてきたのを(ドログバっぽく)カウンターで肩を当てて弾きながら爆走」みたいなプレイも出やすく、見た目もリアルになっている。

 そしてキャリアモードなど、CPU戦をよくやる人に注目して欲しいのが、'AIのチューン'だ。例えば、これまでCPU選手のドリブルをディレイしてチェックしていると、切り返せば抜けそうなギャップがあるのに、安直にサイドに逃げていってしまうことがあったと思う。
 まぁそういったプレイが不正解なわけではないが、負けている試合の終盤では、普通もっとゴールに向かってダイレクトにプレイするもの。だから今回はAIはフレームごとに状況を判断するだけでなく、「試合に勝つ」、ひいては「残り時間で同点ゴールを狙いに行く」といった中長期的な目標も考慮に入れるようになっている。先ほどのケースでは、プレゼン中に試験映像として、よりゴールに向かってダイレクトに、ドリブル突破からゴールを狙うよう動いている姿を見ることができた。
 面白いのは、逆にリード時に時間を潰そうとし始めることもあるということ。現実のリーグでありがちな、「優勝がかかったリーグ終盤戦、下位チームにリードされていて、相手は降格圏内から抜け出すために何としてもこの試合を取りたい」といった状況でドン引きして試合をスローダウンさせられたら「ムキーッ」となるだろうが、普通そんな状況ではそうなるのが当たり前、それでいいのだ(プレゼンでは10人がドン引きで守っている様子が紹介された)。

 個人的には冒頭に言ったように、際どい球際の競り合いが面白い(キャリアモード大好きなので嬉しいのは選手AIのチューン)。どう身体を入れるか、どうターンして交わすか、どう奪ってカウンターに出るか、どんなパスを選択するか、どうそれを奪い返すか……。一見細かくも結構な違いが確かにあるので、FIFAファンの人は恒例の体験版が出たらチェックしてみて欲しい。(文・取材・写真:ミル☆吉村)