UE4対応や、ケイティー・サッコフ(「バトルスター・ギャラクティカ」)の出演も判明
2014年5月1日、アイスランドのレイキャビクで、『EVE Online』や『DUST 514』などを運営するCCP Gamesのオフラインイベント“Fanfest 2014”が開幕した。
初日の基調講演を飾ったのは、Oculus VR社のVRヘッドマウントディスプレイ“Oculus Rift”などに対応したVRシューティングゲーム『EVE: Valkyrie』。昨年のFanfestで発表された本作が、早くも重要な存在となりつつあるのを実感させる出来事だ(VRヘッドマウントディスプレイでのゲーム体験についてよく知らない人は本誌で以前掲載した解説記事を参照のこと)。
昨年の発表ではEVE宇宙のVRタイトルということで“EVR”と呼ばれ、Oculus Riftの第1世代開発キット(通称Dev Kit1)でのデモが出展された本作。現状ではチームデスマッチ形式で少人数のドッグファイトが楽しめるのみで、『DUST 514』と異なり『EVE Online』との直接的な繋がりもないものの(設定や機体デザインなどは共有している)、E3をはじめとしてさまざまなイベントでのデモを経て、今年のGDCで発表されたソニーのProject Morpheusのデモにも採用。ゲームメーカーによる初のVR正式対応タイトルとして注目を集めてきた。
というわけで今年もFanfestでは、2日目よりアイスランドに駆けつけたCCPファンに向けて『EVE: Valkyrie』を公開予定。しかもDev Kit1から高解像度化をはじめ、あらゆる部分で性能向上した今夏出荷予定のOculus RiftのDev Kit2と、Project Morpheusでダブル出展!
記者はひと足先に両方遊ばせてもらったのだが、Fanfest 2014バージョンは昨年のものと比べると、全く別物の出来。アンリアルエンジン4を採用したことでゲーム内のグラフィックが向上しているほか、Dev Kit2とMorpheusの特徴である頭の位置の検出にも対応しており、頭を前につきだして覗き込むと、ちゃんとそのように見えるというのが面白い。
それ以外にも機体の種別が増えていたり、宇宙空間に巨大な艦の残骸や小惑星、ステーションなどが浮かんでいることで、それらを使った戦略も生まれていて、ゲームデザイン面でも着実に進化しているといった感じだ。
エグゼクティブ・プロデューサーのオーウェン・オブライアン氏による基調講演では本作の詳細についても一部公開された。
まずは機体バリエーションについて。ローンチ時にはファイター、ヘビー、サポートの3種類の機体が存在し、それぞれ2系統の武器と2種類のアビリティを持つという。
例えばファイタータイプの機体“Wraith MKII”だと、二連装のキャノンとミサイルランチャー(ヘッドトラッキングでロック可能)を搭載し、アビリティとしては、ガトリングガンで飛んできたミサイルを落とす機能とデコイを出す機能がある。ヘビーやサポートの役回り(ファイターとはじゃんけんのような関係であることのみわかっている)、またWraith MKII以外の機体については、今後順次公開していくとのこと。
戦術的な深みを出すようアップグレードや成長機能の類も予定されており、戦闘機のロードアウト(兵装)以外にも、パイロット、地上クルーのアップグレードや、カスタマイズ機能(恐らくカラーリングなど)がある模様。
講演では、アップグレードによるロードアウトの特化について一例が明かされた。追加のロードアウトはスキルを獲得することでアンロックされ、ガトリングガンのダメージとブースト時の速度が向上する代わりにミサイルの装填数が減る“ストライクファイター・ロードアウト”とか、ミサイルの搭載数とカウンター性能が上がる代わりにデコイなしでブーストのキャパシティが減る“インターセプター・ロードアウト”といった具合に、一長一短になるデザインになるそう。
前述したようにドッグファイトの舞台となる宇宙空間にはさまざまな場所があり、記者が体験した中でもステーションの構造の隙間を通って逃げたりできたので、これらの特化と組み合わせることで、より深い宇宙のドッグファイトが楽しめるかも。
ストーリー面についても言及され、プレイヤーたちの先達として指導者的な役割を演じる最初のバルキリー(パイロット)“Ran Kavik”の声を「バトルスター・ギャラクティカ」のカーラ中尉役などで知られる女優ケイティー・サッコフが演じることも発表に。彼女が放送禁止のFワード(いわゆるファ●ク)を連発しながら意気込みを語るビデオも上映され、会場を爆笑させていた。
具体的にどういった形で、いつ頃提供されるのかもまだ未定な本作だが、EVEユニバースの可能性を広げるタイトルとして確実に前に進んでいることを確認できた。本誌では後日インタビューを通じてさらなる詳細に迫ってみようと思うので、そちらもお楽しみに。(取材・文・写真:ミル☆吉村)