このボリュームはお得すぎる!

 法廷でアツいバトルをくり広げる『逆転裁判』シリーズ。その誉れ高き初期3部作を、まるっと1本に収めちゃった『逆転裁判123 成歩堂セレクション』がリリース! ということで、本作が“買い”なコトを証言したいと思います。とくに未経験の方で、「どうしよっかな」と思っているアナタの背中を押したい!

 本作は、弁護士・成歩堂龍一(なるほどくん)のお話を描く『逆転裁判 蘇る逆転』、『逆転裁判2』、『逆転裁判3』の3作品、全14話が1本のゲームカードに入ったわけですが、コレってけっこうスゴいことなんじゃ……。各作品とも以前にニンテンドーDSでベスト版が2000円[税抜]で発売されていたことを考えると、2本分のお値段で3本全部買えちゃうってことですね。

これはやらねば! 『逆転裁判123 成歩堂セレクション』プレイインプレッション_01
これはやらねば! 『逆転裁判123 成歩堂セレクション』プレイインプレッション_02

 『逆転裁判』シリーズは、ご存知の通りテキストアドベンチャーなのですが、アドベンチャーゲームとは思えないくらいのプレイボリュームと作り込みが特徴。各作品の終盤に差しかかると、1話分のボリュームも相当なものになりますが、『逆転裁判』のナニがすごいって、本筋のお話だけではなく、事件現場のささいなモノを調べたときにもちゃんとセリフが用意されているんですよね。もちろん、なにもないといった無機質な言葉じゃなくて、「あ、ハシゴだ」、「それはキャタツだよ」、「どう違うの? 同じようなものじゃない。もっとホンシツを見ようよ、なるほどくん」といったやり取りが挟まれていて。こういった部分が作品の厚みを出しているのかもしれませんね。

これはやらねば! 『逆転裁判123 成歩堂セレクション』プレイインプレッション_04
これはやらねば! 『逆転裁判123 成歩堂セレクション』プレイインプレッション_03
▲探偵パートでは証拠品を探したり、関係者に聞き込みをします。ここで見つけた証拠品は法廷で戦うときの武器になるので、取りこぼしのないように。 「まさか!?」と驚愕する予想外な事実が浮かび上がることも。
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▲法廷パートでは、証人の証言をゆさぶって、ムジュンする証言に証拠品をつきつけていくわけですが、この“ゆさぶる”際にも証人となるほどくん、ライバル検事とのやり取りがあります。もちろんすべてに。でも、これをひとつひとつ聞いていくのがまた楽しいんですよね。その中にも真実に近づく手がかりが隠されているかも?

あのキョーレツ人物にまた会える

 さて、テキスト量もさることながら、キャラクターたちの表情がクルクルと変わる演出の派手なこと! 取材で開発スタッフの方とお話する機会があると、「あのキャラクターの、こういう演出がえらくたいへんだった」ということをよくうかがいます。濃いキャラクターばかりだから、おのずと演出も濃厚になるんだろうなあ。

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▲いわゆる立ち絵の種類も多いのに、証人や検事が追いつめられたときに見せる“ブレイクモーション”は凝りに凝っているんですよね。そりゃ、データ食うわ……。
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 そんな個性的すぎるキャラクターたちが、本作では解像度が上がっているためより美しく、より滑らかに、よりキョーレツに。しかも、ニンテンドー3DSならではの立体視対応ですから! まあ、オバチャンこと大場カオルや、「やあれ!」の探偵・星威岳哀牙、ムッチムチなオネエ系シェフ・本土坊薫とか、なかにはそんなにクッキリされてもちょっと困っちゃう方もいますが……。それでもキレイな画面でプレイできるのはうれしいものです。

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▲本作(左)と旧作のゲームボーイアドバンス版(右)を比較すると一目瞭然。ドットのジャギ感がなくなってとってもキレイ。

未経験に異議あり!!

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 初代の『逆転裁判』が発売されたのは、2001年。ハードはゲームボーイアドバンスでした。当時、私はゲームショップでアルバイトをしていたんですが、この初代の売れ行きはいわゆる“ジワ売れ”でした。私自身も最初は「何か珍しいタイトル名だなあ……ふーん、裁判?」くらいにしか思ってなかったんです。あるとき、ショップの店長が「コレ、おもしろいよ。ボクはけっこうハマった」と薦めてきたのをきっかけに、プレイしてみたんです。第1話は、なるほどくんの法廷デビュー戦。危なっかしいところもあったけれど、なんとか勝利して、これから順調にステップアップしていくんだろうなと思いきや、第2話で……! 詳しくは言えませんが、「ええええっ!」という衝撃的な幕開けで、もう心を持っていかれました。

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これはやらねば! 『逆転裁判123 成歩堂セレクション』プレイインプレッション_18
▲あり得ないような事件が、どうして起こったのか。証言のムジュンをつっこむたびに真相に近づいていく感覚がたまりません。

 それまで推理アドベンチャーって、個人的に、こう、ジットリしているというか、大人向けのアダルティーなイメージというんでしょうか、気軽に遊ぶ感じではなかったんです。それが「なにこの勢い!」と、止まらないんですから。アドベンチャーへの意識がガラリと変わりました。

 当時の感覚ですが、『逆転裁判』は少しずつ、クチコミでおもしろいと広まっていったような気がします。そして続編の『逆転裁判2』でドカーンとブレイクして、その名を不動のものにしたという感じ。『逆転裁判3』にいたっては、もうみんなが発売を待ち焦がれていたと思います。私も発売と同時に夢中でプレイし、店員みんなで早解き競争をしたなあ……。もはや『逆転裁判』ネタは共通言語だった気がします。

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 その後、新主人公の王泥喜法介(オドロキくん)にバトンタッチした『逆転裁判4』や、御剣検事が主役のスピンオフ『逆転検事』シリーズなど、シリーズが続いていきますが、やはり根底には成歩堂3部作が築いた世界観があります。もちろん、3部作を知らなくても遊べますが、ファンならニヤリとするネタも散りばめられていますので、3部作をプレイしたほうがより楽しめることは間違いなし。もちろん経験者も復習しておきたいトコロ。いまプレイしても、おもしろさは色あせていません。しかも、ニンテンドー3DS版の『成歩堂セレクション』は英語版も収録されています。英語の勉強になるかもしれません。英語版でのなるほどくんは、フェニックス・ライトという名になっています。そういえば、宝塚歌劇でもコチラの英語名が使われていました。ああ、その舞台で彼を演じていた蘭寿とむさん、御剣怜侍ことマイルズ・エッジワース役の悠未ひろさんのおふたりが、先日退団されたんですよね。すっごくカッコよかっただけに、ちょっとさびしい……。

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 さて、とにもかくにも、これは『逆転裁判』を体験するいいチャンスです。本作は一気に3作品をプレイできるわけですから、なるほどくんたちの物語がよりトクベツなものとして心に残るはず。経験者の方も、もう一度あのときの興奮を蘇らせてみませんか?

■筆者紹介:本間ウララ
『逆転裁判』シリーズはすべてクリアー済。カラオケでは、『大江戸戦士トノサマンの唄』は外さない。