インタビューでは、『龍が如く 維新!』での“チャレンジ”が語られる

 2014年2月22日、東京・秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディア Akibaにて、セガのプレイステーション4/プレイステーション3用ソフト『龍が如く 維新!』の発売を記念したサイン会が開催された。サイン会に登場したのは、おなじみ『龍が如く』シリーズ総合監督の名越稔洋氏と、『龍が如く 維新!』のプロデューサーを務める横山昌義氏のふたり。

 イベント開始前からイベントスペースには大勢の人が列を成し、本作の人気ぶりをひしひしと感じることができた。名越氏と横山氏は、来場者の人たちと写真を撮ったり握手を交わしたりしながら交流し、終始笑顔を絶やさなかった。

 『龍が如く 維新!』発売記念! 名越氏と横山氏のサイン会が開催 「PS4のロンチタイトルとして出すことが最大のチャレンジだった」_03
▲『龍が如く』シリーズ総合監督の名越稔洋氏(左)と、『龍が如く 維新!』プロデューサーの横山昌義氏(右)
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 サイン会に合わせて、名越氏と横山氏がインタビューに応じてくれたので、以下に紹介しよう。

――発売日を迎えての感想をお願いします。

横山昌義氏(以下、横山) ユーザーの方はみんな朝からプレイしてくれているのかなと思いまして、僕はずっとネットの情報をチェックしていました。今日はプレイステーション4の発売日ということもあり、ゲーム業界自体が盛り上がってさまざまなニュースが飛び交っていますが、その中に『龍が如く 維新!』というキーワードを見つけるたびに、「ああ、この日に間に合ってよかったなぁ」ってしみじみ思いました。ユーザーの皆様は気を使われているのか、ネットでネタバレがあまりないんですよ(笑)。みんな黙々と本作をプレイしてくださっている印象があります。中身の感想が出てくるのはまた明日以降になると思いますので、製作側としてはドキドキします(笑)。なので、明日以降また、注意深く情報を集めたいと思います(笑)。

名越稔洋氏(以下、名越) 僕はカウントダウンイベントにも出演させていただきまして(→関連記事はこちら)、その盛り上がりを見て、発売の実感を得ることができました。ホッとしています(笑)。ショップによっては、『龍が如く 維新!』が売り切れているところもあるようで、うれしいです。ただ一方で、プレイステーション4版のほうが印象が強いみたいで、プレイステーション3版のほうもよろしくお願いしますという感じです。プレイステーション4版はローンチタイトルなので、プレイステーション3版より注目度が高まるのは仕方ないですけれど。僕は、過去に任天堂さんからローンチタイトルを出させていただいたことはあるのですが、じつはソニーさんのハードでは初めてなんです。なので、これまでとは違う感覚です。プレイステーション4はいまもっとも注目されているハードでしょうから、その注目されているハードから一番乗りでゲームを出させていただけたことは、とても光栄に思います。

――いくつもの体験会やサイン会などに参加されているおふたりですが、ユーザーの方の熱量についてはどう感じられましたか?

名越 ユーザーさんの熱量は、前作同様にすごく高く、本当にうれしく思います。いまとても寒い季節なので、イベントに行くの面倒だと思われても仕方ないのですが、いつもと変わらない数のユーザーさんにお越しいただけました。感謝の気持ちでいっぱいです。

横山 発売日なので、ゲームを購入された方はすぐに家でプレイして、そのまま外出しないものと思っていたのですが、かなりたくさんの方にイベントにお越しいただけて、とてもうれしいです。ご自宅の暖かい環境でゲームを楽しんでくださいと思う反面、こちらも勇気をいただけますので、ご来場くださった方々には本当に感謝しています。

――本作の発売前に、一足作にプレイステーション Vita版で無料アプリが配信されましたが、そちらの反応はどうですか?

横山 手応えはすごく感じています。アプリユーザーの皆様は、ゲーム中でお金を貯めたり、武器を入手したりして気持ちを高ぶらせた状態で『龍が如く 維新!』に挑んでくださっていると思います。別の会場のサイン会のときも、「Vita版やりこんでいます!」と言ってくださったユーザーさんがたくさんいました。

名越 『龍が如く』がまだプレイステーション Vitaとの関わりがなかったので、今回このように大盤振る舞いな内容で配信することになりました。かなりたくさんの方がダウンロードしてくれたようで、感謝の気持ちでいっぱいです。反面、ダウンロードしてくれた方がどれくらいの割合で『龍が如く 維新!』を購入してくれたのかドキドキしたりもします。とはいえ、たとえ『龍が如く 維新!』を購入してくださらなくても、『龍が如く』というコンテンツに触れていただけたことは事実なので、我々は満足です。

――今回はプレイステーション4のローンチだったり、プレイステーション Vitaで無料アプリを配信したりと、“チャレンジ”な取り組みが多かったと思いますが、『龍が如く 維新!』で「これは“チャレンジ”だな」と思った箇所はどこですか?

横山 『龍が如く 維新!』自体がチャレンジでしたね(笑)。今回は時代劇ですから(笑)。これまで『龍が如く』シリーズはいくつもスピンオフをやってきていますが、やはり坂本龍馬という主人公で、幕末という世界観で、『龍が如く』の名前を背負ってゲームを製作するというのは、それ自体が勇気のいることです。それでも、結果的にとてもおもしろいものを提供できた自信はあります。

名越 やはり、プレイステーション4のローンチにするということがチャレンジでしたね。僕らは約1年に1本というペースで『龍が如く』シリーズを製作してきました。初めは、『龍が如く 維新!』をプレイステーション4で出す予定はなかったんです。でも、ある日にソニーさんと協力して、プレイステーション4でも出すという決断をしました。正直な話、スケジュール的にお互いあまり余裕がなかったので、どの段階でソニーさんのオファーを受けるか、その決断が一番のチャレンジだったかもしれません。

――今回の『龍が如く 維新!』では、ナンバリングでは出てこられないキャストの方が多数出演されていますが、それらキャストさんのエピソードなどがあればお聞かせください。

横山 総じて皆さんには喜んでいただけました。たとえば、シリーズで柏木というキャラクターを演じていた咲野俊介さんには、今回井上源三郎を演じていただいています。咲野さんは、てっきり自分はもう出られないと思われていたそうなので、今回メインの役に抜擢されたことをすごく喜んでくださいました。じつは、いなくなってから再出演という形になったキャストの方々のテンションは、おしなべて高いんです。「またやれるんだ」と思っていただけたことは、こちらとしてもすごくうれしいことです。

名越 僕はふだん、中村獅童さんと飲みに行ったりするのですが、彼は新しいことに挑戦するのが好きな俳優さんなので、ゲームの仕事も楽しみだったらしいんです。それで、『龍が如く3』に出演したあと、その反響を感じていただけたようで、「またやりたい」と言ってくれました。それと、高橋ジョージさんが「僕はもうスピンオフにしか出られないんだよね……死んじゃったから」とすごく名残惜しそうに言ってくれたのもうれしかったです。だから復活させたいという気持ちも芽生えてきてしまうんですよ。ファンの方からも、高橋ジョージさんのキャラクターを生き返らせてあげてほしいという声がたくさんありました。

――横山さんに質問です。『龍が如く5 夢、叶えし者』のときからプロデューサーを担当されて、さらに今回のプレイステーション Vita版のアプリを合わせれば3タイトルを担当されたわけですが、その中で思い出深かったことがあれば教えてください。

横山 『龍が如く 維新!』が出るまでの、この1年はすごく長く感じました。年を取ると時間の流れって早くなるものと思っていたのですが、1年前の『龍が如く5 夢、叶えし者』のときが3年も4年も前のように感じられるんです。それはきっと、1日1日がすごく濃かったからなのだと思います。去年新宿で『龍が如く 維新!』を発表したときのことも、すごく昔に感じられます。やはり濃かったんです。そういう意味で、思い出深い、素晴しい1年を過ごすことができたなと思います。

――名越さんはいかがですか? 横山さんの2作目を見守ってきた立場として。

名越 横山はすごくたくましくなったと思います。ディレクターの阪本も成長しました。やはり作品を通じて実力と自信をつけていくことが大切だと思います。あとは、自信がついたからといって調子に乗らないこと。そこだけをキチッとやっていれば人間は成長するものだと思います。うちのスタッフたちはみんな謙虚ですので、慢心せず成長してくれると信じています。またつぎも、いい作品を生み出すことができるよう勉強していると思いますね。

――最後にファンの方へのメッセージをお願いします。

横山 寒い季節なので、家にこもって思いっきりゲームをしましょう! 家庭用のゲームですから、家で遊びましょう。外は寒いですが、家の中では熱くプレイしていただければと思います! 

名越 そう決まっているわけではありませんが、『龍が如く』は寒い時期に出る傾向にあるんです(笑)。狙っているわけではありませんよ。でもやはり、そういうことって、僕らもすごく意識するんです。いまは遊ぶ環境がこうであり、また世の中の動きはこうであるからして、ゆえにユーザーの方にはこういうストーリーを楽しんでいただきたい、こういう気持ちになっていただきたいとか、そういうことをけっこう考えるんです。とくにいまはすごく寒いですよね。本作には、現代劇にはない熱さがあるので、「また『龍が如く』の魅力が増えたな」と感じていただけると思います。まだまだ新しい魅力が増えていくと思うので、これからも『龍が如く』を温かく見守ってください!