『PIANO OPERA FINAL FANTASY VII/VIII/IX』レコーディング現場に潜入取材! 今回の収録曲も発覚!

2014年に発売予定のCD、『PIANO OPERA FINAL FANTASY VII/VIII/IX』のレコーディング現場に潜入取材! 作曲家の植松伸夫氏、そして演奏と編曲を行う中山博之氏にお話をうかがいました。

●『PIANO OPERA FF』シリーズ最新作、始動

 東京の都内某所で、とあるCDのレコーディングが行われていた。それは、スクウェア・エニックスの『PIANO OPERA FINAL FANTASY VII/VIII/IX』(2014年春発売予定)。これまでの『PIANO OPERA』シリーズのレコーディング取材を行ってきた記者が、今回もまたそのレコーディング現場に潜入! レコーディングのディレクションをする、『ファイナルファンタジー』(以下『FF』)シリーズの作曲家・植松伸夫氏と、『PIANO OPERA』シリーズでピアノの演奏、そして編曲を行う中山博之氏(通称:ショパンさん)にお話をうかがった。


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 今回、レコーディングされていたのは、『FFVII』の『オープニング~爆破ミッション』、『FFVIII』の『The Man with the Machine Gun』、『Force Your Way』、『Liberi Fatali』の4曲。みずから編曲を担当した中山氏が黙々と楽曲の練習をし、続けてレコーディング。各パートのレコーディングをくり返しながら、植松氏が気になる部分を指摘して随時調整をしていくという、職人のようなレコーディングが行われていった。


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 『PIANO OPERA』シリーズの前作が発売されたのは、2012年。約2年の時を経て帰ってきた『PIANO OPERA』は、『VII/VIII/IX』の新作を発売するだけでなく、2014年5月10日に東京“よみうり大手町ホール”にて、ピアノリサイタルを行う(昼夜2回公演)。ただし、チケットは即日完売。すぐさま、2014年5月9日に追加公演が行われることが決定した(チケットの発売日などの情報は、公式サイトを参照のこと)。

 今回のCDの選曲基準、そしてレコーディング、さらにピアノリサイタルまで、気になるあれこれを、休憩中の植松氏、中山氏に直撃してきました! 

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●今回のオススメの曲は……?

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▲植松伸夫氏(写真左)と、中山博之氏(写真右)。

――本日のレコーディングは何日目でしょうか?
植松伸夫氏(以下、植松) 3日目です。つぎの『Liberi Fatali』で終わりなんですよ。
中山博之氏(以下、中山) 無事に終われば……。

――(笑)。『Liberi Fatali』は、難しい印象がありますが……。
植松 どうなの? 難しい? ほかにも、難しい曲いっぱいあるよね。
中山 そうなんですよね。でも、曲がすばらしいですから……。
植松 いえいえ。演奏とアレンジがすばらしいんですよ。

――恒例のやり取り!(笑)。本日のレコーディングをお聴きして、『オープニング~爆破ミッション』などは人間の手で弾くのがすごく難しい気がしました。とくにイントロの部分は……。
植松 難しいと、僕は思うんですけど、ショパンは簡単だって。
中山 ちょちょちょ! そんなこと言ってないですよ! でも、あの音の動きは植松さんそのものなんですよ。だから、絶対に再現しないとダメだと思って、がんばって入れました。

――それは、やはりアレンジを重ねているとわかるのでしょうか?
中山 そうですね。植松さんの曲をたくさん聴いていると、曲に込められた植松さんのメッセージが聞こえてくるんです。
植松 本当にー?
中山 本当ですって! あと、ファンの皆さんもよく聞いている曲ですので、外せない。
植松 ああいう印象的なフレーズは端折っちゃうと、曲のイメージが変わっちゃうからね。
中山 ピアノだけで曲を再現するというのが、僕が『PIANO OPERA』シリーズで目指しているテーマですので。

――今回の選曲基準についてお聞きできますか? 『片翼の天使』が入っていないということを聞いて驚いたのですが、どなたが決めたのでしょうか?
植松 僕が決めたんですが、本当に悩みますよ。これまでの『PIANO OPERA』もそうですが、『FF』シリーズの曲は『ピアノ・コレクションズ』でアレンジされたり、バンド、オーケストラのアレンジもあるので、『VI』だったらこれ、『VII』だったらこれという、ある種のお約束となっている曲があるんですよね。でも、そのまま選んでもつまらないので、あんまりアレンジされすぎていないものを選ぼうと。とはいえ、今回も何度かアレンジされているものが入っていますが。最終的に、『ピアノ・コレクションズ』とカブらないように、でも人気のありそうな曲を選んだつもりです。

――アレンジもだいぶ違いますよね。『The Man with the Machine Gun』はとくに印象が違いましたし、『オープニング~爆破ミッション』の最後の部分はとてもカッコよかったです。
植松 あそこは、カッコよかったね。
中山 いやいや、曲が……。
植松 演奏が……。

――今日2度目!
植松 もういいか(笑)。

――(笑)。今回の演奏でいちばん難しかった曲は?
中山 『更に闘う者達』ですね。あの曲は、演奏会をイメージして作ったので、難易度が高いです。
植松 難易度上げたのは、ショパン自身なんですけどね(笑)。

――(笑)。激しいイメージでしょうか?
中山 激しく、リズムも凝っているというか、メロディーを出すために右手と左手を交互に使ったり。『VII』、『VIII』、『IX』あたりになると音が増えているので、右手がメロディー、左手が伴奏だけでは、ちょっと追いつけないところが出てくるんですよね。

――では、総じて難易度が上がっていると?
植松 これまでの曲でも難しい曲はあったけど、やっぱり今回のほうが難しそうな印象があるね。
中山 先ほど言ったように、曲そのものの音数が増えているので、それをいかにピアノらしく、なおかつ原曲の雰囲気も再現しようとすると……。でも、だいぶ弾きやすくなっていますので、楽譜も買ってください(笑)。
植松 早くも宣伝(笑)。

――言わば、ショパンさんからの挑戦ですね!
植松 「弾けるものなら弾いてみろ!」って。
中山 いやいやいや、そんな上からじゃないです!(苦笑)


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――今回、アレンジしてみて、いかがでしたか? やはり『I』~『VI』よりも難しいのでしょうか?
中山 確かに音数が多いので、再現は難しいのですが、『I』~『VI』は、曲の尺が短いので、それを広げるアレンジ力が求められるんですね。『VII』以降は、もともとの曲の尺が伸びているので、そこに助けられることもあります。

――今回の収録曲でオススメの曲は?
植松 好きなものは多いんですが、いま録音したばっかりということもあって、『The Man with the Machine Gun』のアレンジが印象的でしたね。「そう来ますか!」という感じ。タッタッタッタラッタっていう伴奏とメロディーを同時に右手で弾くという難しいことをしているんですが、よくやる気になったなって(苦笑)。
中山 じつは、あの曲はいちばん悩んだんですよ。アレンジが最後にできあがった曲でした。
植松 もともとアップテンポのノリのいい曲だったのが、それをミディアムに落とすというのは、こういうやりかたあるんだなーと思いました。
中山 ファンの皆さんには、アップテンポのイメージがあると思うので、「いいのかな」と悩んだんです。
植松 いいじゃない。ほかのアレンジでもアップテンポだったし、同じようなものばっかり聴いてもおもしろくないよ。
中山 僕の中では、戦いに向かうときの、決意をする瞬間といった物語を考えて構成しているんですけど……。
植松 ショパンはアレンジするときに、曲の中に物語を作って、構成を考えているんですよ。詳しい内容は、もう忘れちゃったけど(笑)。
中山 構成があったことだけでも覚えていただけていたので、十分です(笑)。

――(笑)。
中山 でも、そういう構成こそ、“物語”という意味を持つ『PIANO OPERA』ならではだと思っています。

――なるほど。では、ショパンさんのオススメの曲は?
中山 僕は『オープニング~爆破ミッション』ですね。最後のところをカッコいいっておっしゃっていただけましたけど、あそこは植松さんとけっこう話したんですよね。
植松 そうそうそう。
中山 3回くらい、「最後の部分はこうしたほうがいいんじゃないか」と作り直しましたね。


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――先ほどレコーディングされていた、『Force Your Way』もアレンジの調整をされていましたね。
植松 あの曲も最初にあげてもらったアレンジの締めの部分で、「もっとインパクトのある終わりかたはできないか」というやり取りをして作ってもらったんだけど……。でも、やっぱり違うなって、急遽スタジオで変えることにして(笑)。
中山 それも作曲者の植松さんがいるからこそ、その場でできるんですよね。そうじゃなかったら、できない(苦笑)。
植松 スタジオで急に譜面をイジるというのは、ふだんはあんまりやらないんですけどね。アレンジャーでもあるショパンの統一感で作っているので、当日になって第三者が新しいアイデアを加えるというのは、それまでにできていた完成形をいじって、どっちつかずの中途半端なものになりかねない。ただ、今回は単純な変更でうまくいくんじゃないかと思ったので、ちょっとお願いして。
中山 アレンジが2日前にできたので、何も言えない……(苦笑)。

――(笑)。そして、このアルバムを引っさげて、2年ぶりのリサイタルが開催されますね。
中山 前回のコンサートが、お客さん、植松さんのおかげで盛り上がったので、いまからすごく楽しみにしていて。ああいうノリというのは、クラシック畑では味わえないし、皆さんの盛り上がりで気持ちを乗せてくれるという、あんなに気持ちのいい思いをしたのは初めてでしたね。でも、また僕が練習をしないと、そういう気分になれないと思うので、一生懸命練習したいと思います。

――先ほどのお話にあったとおり難しい曲ですから、生で披露するのもたいへんだと思いますが……。
中山 久しぶりに1日5時間くらい練習しようかな……と。

――おお。期待大ですね。植松さんがリサイタルで楽しみにしているものは?
植松 ピアノソロにしても、オーケストラにしてもいつもそうなんですけど、僕らがやっているのは音楽で、ちゃんと伝えたいという想いもあるんですが、ガチガチの芸術作品をやっているわけではないので、お客さんに楽しんでほしいんです。だから、ちゃんとした会場のピアノソロだからとかしこまるのではなく、気楽に楽しんでほしいですね。今回、いきなりブラボー係決めちゃおうかな(編注:ブラボー係とは、曲が終わった後に「ブラボー!」と声を出す人で、その人が声を出すことがきっかけで、会場全体が“声を出して盛り上がっていいんだ”という雰囲気になっていく)。

――それくらいのほうが盛り上がりますよね。さらに、追加公演も決まりましたね。
植松 追加という名称だけど、もともと決まっていた公演の前日なんだよね。
中山 そうなんです。追加だけど、演奏は初めてになるんですよね。それはそれでいい緊張感が味わえるんじゃないかと。
植松 追加公演をやってもらえるほど期待してもらえるというのは、こういう仕事をしていて、本当にうれしいことですよね。ぜひ皆さんに来ていただきたいと思います。

――前回の『PIANO OPERA』シリーズでは、インストアイベントがありましたが、今回は?
植松 やりますよ。詳細は追ってお伝えしますが、ああいう距離の近いイベントは喜んでもらえますよね。前回の仙台イベントなんて、お客さんが目の前にいる状態だったもんね(インストアイベントのリポート記事はこちら)。

――あれはすごい盛り上がりましたね。
中山 植松師匠のおかげです……。
植松 ショパンの演奏のおかげですって。

――また! そして、『VII』、『VIII』、『IX』が出ますと、つぎも期待してしまいます。『XII』は、崎元仁さんの楽曲ですけども。
植松 そうですね。今回の評判がよければ、スクエニさんが考えてくれるんじゃないかな(笑)。

――期待しています! では、最後におひとりずつメッセージをいただけますか。
中山 今回も皆さんの期待を裏切らないように、原曲も大切にしながら、でも自分のアレンジも入れて、ピアノらしい作品を一生懸命に作りました。すばらしい作品になっていますので、ぜひお楽しみください。コンサートも楽譜もお願いします!
植松 ショパンのセンスやアイデアが満載で、原曲をいかにもピアノっぽく、「ピアノ作品だったら、こうするだろうな」というアレンジになっています。曲を作ったのは自分だけど、新しいピアノ作品として聴けるのが楽しいですね。聴いていると、「ピアノが弾けたらなー」と思います。ぜひ皆さんもCDを楽しんでいただいて、ピアノを弾ける人は「弾けるもんなら弾いてみろ」ってショパンが言ってました(笑)。
中山 言ってない、言ってない。本当にピアノ業界から抹殺されますから!(笑)。

 というわけで、気合十分(?)のおふたり。そのほかの収録曲や、インストアイベントの詳細など、気になる情報もまだまだあるが、それらの続報は間もなく発表されるはず。ファミ通.comでは、情報が届き次第、すぐにお伝えするので、続報を待て!


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