「PIANO OPERA」ピアノコンサートの予定も!?

「PIANO OPERA FINAL FANTASY IV/V/VI」制作決定! レコーディング現場で作曲家の植松伸夫氏とピアニストの中山博之氏を直撃_01
「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」
2012年2月29日(水)発売予定
2800円[税込]

 スクウェア・エニックスより2012年2月29日に発売されるCDアルバム「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」。『ファイナルファンタジー』、『ファイナルファンタジーII』、『ファイナルファンタジーIII』の楽曲をピアノアレンジして収録した作品だ。

 本作の発売を待たずして、「PIANO OPERA」シリーズの続編となる、「PIANO OPERA FINAL FANTASY IV/V/VI」の制作が決定! 発売は2012年春を予定しており、「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」と同じく、ピアニストの中山博之氏(ゲーム音楽をピアノアレンジして演奏するピアニスト集団“ピアコンズ”の一員としても有名)が編曲を担当し、作曲家の植松伸夫氏が完全監修するという。この話を聞き、ファミ通ドットコム編集部の記者は、またしてもレコーディング現場に突撃したのだった。
※「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」収録現場リポートはこちら

 この日に収録が行われたのは、「愛のテーマ」(『ファイナルファンタジーIV』)、「はるかなる故郷」(『ファイナルファンタジーV』)、「仲間を求めて」(『ファイナルファンタジーVI』)の3曲。いずれも人気の高い名曲だ。前回同様、中山氏が見事な演奏を披露するものの、わずかでも違和感があれば録り直すという、非常のレベルの高いレコーディングが行なわれた。

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▲真剣な面持ちでピアノに向かう中山氏(通称ショパンさん)。
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植松氏、中山氏にミニインタビュー!

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▲植松伸夫氏(右)、中山博之氏(左)。「PIANO OPERA」シリーズのCDジャケットに使われている、特製のクリスタルを手に。

――まずは、まもなく発売される「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」についてコメントをいただけますでしょうか。
植松 これまで展開していた「ピアノ・コレクションズ」というシリーズでは、多少弾く人のことを考えて譜面を作っていたのですが、「当時と同じものを作ってもしょうがないな」と考えまして。CD単体で、聴く作品としておもしろいものができるといいなぁと思って作りました。実際、ショパン(中山氏の愛称)のおかげで、そのとおりの作品になったと思います(笑)。
中山 いえいえそんな……。今回、1曲だけでも楽しめるものにしたいと思いながらアレンジしました。1曲1曲にドラマがありますので、そのメロディーからいろいろなことが想像できるようにと。
植松 この「PIANO OPERA」は、響きが近代以降の音楽に近いものになっている気がします。ドビュッシーやラヴェルを彷彿とさせる和音があちこちに入っていて。ですので、以前の「ピアノ・コレクションズ」とはずいぶん違うものになっていて、おもしろいと思いますよ。弾くのは難しいですけど。アレンジした本人が、スタジオで泣いていますからね(笑)。
中山 いや、ライブ感のある演奏をつねに目指していまして……。
植松 ヤマハさんから楽譜も発売されますので、チャレンジしようと思う人は買ってみてください。(※楽譜情報はこちら

――この「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」は、どのような人に聴いてもらいたいですか?
植松 『ファイナルファンタジーI~III』を遊んでくださった方はもちろんですが、ピアノ音楽のファンの方にも、じゅうぶん楽しんでいただけますよ。
中山 ゲームファンの人はもちろん楽しめますし、ゲームに興味がないという人も、メロディーラインがとても美しい曲ばかりなので、味わっていただけると思います。

――ひと足先に「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」を聴かせていただいたのですが、時おりメロディーから、はかなさと言いますか、悲壮的なイメージが感じられる気がしました。
中山 ピアノという楽器は鍵盤を一度押したら、音は消えていくだけです。ヴァイオリンなど、ほかの楽器は持続させることができますが……。そういったピアノの特性と、植松さんのメロディーがマッチして、はかなく聴こえることがあるのだと思います。べつに僕が悲壮感漂う人間というわけではありません(笑)。

――(笑)。ところで、「PIANO OPERA」というタイトルはどのように決められたのでしょうか。
植松 そろそろタイトルを決めなければならなくて、みんなでいろいろ言葉を調べていたときに、“オペラ”という言葉がラテン語で”作品”という意味を持っていることがわかって。「これはいいなぁ」と。“ピアノオペラ”って不思議な響きで、いわゆる歌曲じゃないのに“オペラ”と付いている。でも誰かに突っ込まれたら、「これは作品って意味なだもんね!」と胸を張って言える。これがおもしろいと感じて、ゴリ押ししちゃいました。スクウェア・エニックスさんからは、最初「意味がわかりません」って言われたんですけど(笑)。
中山 僕もこのタイトルがすごくいいなと思っていて。オペラというのは主人公がいて、さまざまな登場人物が出てきて、そしてドラマがあります。今回アレンジした曲も、原曲は尊重しつつも、メロディーにたくさんの表情が表れるように作っているので、オペラと重なるなと思ったんです。

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▲「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」のジャケットとブックレット内容を確認するふたり。

――ピアノひとつでオペラを奏でるようなイメージですね。そんな「PIANO OPERA」ですが、早くも続編が決まったということで……『ファイナルファンタジーIV~VI』については、以前「ピアノ・コレクションズ」が発売されていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
植松 「ピアノ・コレクションズ」は、オリジナルの曲に忠実で、多少のアレンジが加えられていたぐらいでした。でも今回は、メロディーと和音さえ、オリジナルのものが曲のどこかに出てくればいいかな、と思っています。あとはもうショパンの発想で膨らませてくれれば。
中山 おかげで、とてもやりやすいです。かなり楽曲の世界も広がっていると思いますし……。

――気になる曲のラインアップは決まっているのでしょうか?
植松 じつは、今日収録したもの以外の曲は決まっていないんです。でも、「仲間を求めて」のような、これまでピアノやオーケストラでアレンジされていないようなものも入れていこうと思っています。いままでアレンジされていないから聴いてみたい、と思われるような曲を。

――アレンジの方向性は「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」とは意識的に変えているのでしょうか?
中山 じつは僕、まだ「PIANO OPERA FINAL FANTASY I/II/III」の余韻に浸っていたところで……。「やった、最高のものができたぞ!」と思っていたら、「もうつぎが来た!」って(笑)。やっぱり前作とは違うことをやらなければと、いろいろなネタを仕入れているところです。絶対にキレイなものにしようと思ってはいますが。

――前作からあいだのない制作で、たいへんですよね。
植松 でも、『ファイナルファンタジーIV~VI』は、初期の3作と違って、1曲の長さが長いものがけっこうあるから、アレンジはしやすいほうだよね。1曲3~4分にアレンジしてほしいとお願いしているんですが、前作のときはワンコーラス1分もないような曲ばかりでしたから、いろんなアイデアを込めないと3~4分にならなかったんです。
中山 非常に助かっております。
植松 たとえば、オペラの一連の曲を演奏したら15分ぐらいになりますし。「妖星乱舞」と合わせたら30分になっちゃうね(笑)。どちらも収録するとは決まっていませんけど。

――中山さんは、「ぜひ弾いてみたい!」と思う曲はあるのでしょうか?
中山 いえ、もうすべて好きですから……全部覚えてますし。どちらかと言うとバラード系のほうが得意ですが。
植松 バラード系のほうが収録早いもんね(笑)。
中山 植松さんのバラード系の曲と、波長が合うんです……きっとお互いにロマンティストなんですね(笑)

――(笑)。ところで、「PIANO OPERA FINAL FANTASY IV/V/VI」ときたら、「PIANO OPERA FINAL FANTASY VII/VIII/IX」を期待するファンも多いと思うのですが……。
植松 どうでしょう、スクウェア・エニックスさん?
広報 それは、皆さんからの声援が大きければ……(笑)。

――ピアノコンサートを開催される予定は?
植松 コンサートやりたいよね。スクウェア・エニックスさんと「やろうよ」という話はしているのですが、まだ具体的な日程などは決まっていませんので……続報にご期待ください。

――楽しみにしています。では、最後にファンにコメントをお願いします。
植松 『ファイナルファンタジーIV~VI』は「ピアノ・コレクションズ」シリーズも出ていますが、より聴きごたえのあるものになると思いますので、楽しみにしていてください。譜面も出ますから、挑戦したい人はぜひ。「やれるもんならやってみろ」ってショパンが言っていました(笑)。
中山 一言もそんなこと言ってませんよ~(笑)!! 聴いている人が「盛り上がってほしい」と思うところに、しっかりガツンと盛り上がりがきて、聴いていて幸せになれるような作りになっていると思います。また、悲しくなったときに聴きたくなるような曲もありますし、弾んだ気分のときに聴きたいような曲もあります。自分の気分を、いっしょに音楽が語ってくれるような作品になっているので、ぜひ聴いてください。