予約特典に、日本でも人気の台湾作家VOFAN氏が参戦
2014年1月23日から27日にかけて台湾の台北で開催されている、2014台北ゲームショウ(TAIPEI GAME SHOW)。現地法人のSony Computer Entertainment Taiwan(以下、SCET)ブースでは、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(以下、SCEJA)関連や、サードパーティーのゲームにまつわるトークイベントを開催している。2014年1月23日のSCETブースでは、日本で2014年3月6日に発売予定のプレイステーション Vitaの新作『SOUL SACRIFICE DELTA(ソウル・サクリファイス デルタ)』のイベントが開催。コンセプターを務めるcomseptの稲船敬二氏と、アソシエイトプロデューサーを務めるSCE ワールドワイド・スタジオの鳥山晃之氏が登壇し、発売間近となった本作の魅力を語った。
「台湾、ただいま!」の第一声で登壇した稲船氏は、前作が台湾でも好評だったことに加え、「皆さんの意見を取り入れながら、作りました」と感謝を伝える。前作『SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)』は、最大4人で楽しめるマルチプレイアクションゲームで、魔物や仲間の命を“生贄”にするか、“救済”するか、という選択が、成長や攻撃方法が変化するという大きな特徴を持っていた。新作となる『SOUL SACRIFICE DELTA(ソウル・サクリファイス デルタ)』は、前作にあった“生贄”と“救済”のふたつの選択肢に、第3となる“運命”の選択肢を導入。“生贄”も“救済”も選ばず、まさに運命に任せるという選択になる。また、前作では“生贄”を生業とする、秘密結社アヴァロンと、救済を正義と信じる信仰組織サンクチュアリのふたつの組織が描かれたが、本作では新たに第三の組織グリムが登場。本作のストーリーでは、前作以上に組織が重要になるという。ちなみに、プレイヤーは所属する組織によって、得意な魔法などが異なるほか、組織が信条とする行為を行うことで、得られる経験値が多くなるというメリットがある。稲船氏いわく、「マルチプレイでは、ほかの組織と手を取り合うこともできますし、シングルプレイでも組織に従わず反逆的なプレイをするのもおもしろいと思います」とのことだ。
新要素のひとつとして、“魔法の連携”も追加。「魔法を連携し、重ねあったり、剣に魔法をかけて、新たな剣を生み出すこともでき、共闘がより熱くなります」、「前作で好評だったゴーレムを呼び出す魔法(ゴーレムが現れ、周囲を攻撃する)は、魔法の連携をすることで、小さなゴーレムが現れ、敵を追いかけるように移動するようになります」と、稲船氏は連携の魅力を語る。また、プレイヤーである魔法使いの見た目のカスタマイズは、前作以上にバリエーションが増えたほか、敵としていろいろな個性を持った魔法使いも数多く登場するようだ。
なお、グリムには、グリム童話という意味も込められており、新たに登場する魔物はグリム童話から引用されているものがいるという。今回、ステージ上で行われたマルチプレイでは、“赤ずきん”に登場する狼をモチーフにした魔物が登場。腹の部分に、狼に食べられた赤ずきんの首が出ており、狼の部分が眠ると、赤ずきんの首が身体を乗っ取り動かすというギミックも見られた。稲船氏が「皆さんが知るグリム童話から引用している魔物には、きっと驚いてもらえます」と語るように、意外なモチーフが多く入っているのかもしれない。
そのほかにも、ひとつのフィールドから別のフィールドへと魔物が移動するという要素も追加。見た目が変わるだけでなく、魔物の行動パターンが変わるとのことで、戦略も変える必要があるようだ。
マルチプレイが終わると、鳥山氏が登壇。鳥山氏は、まず本作の予約特典を発表。予約特典として、“魂縛之法衣”(日本では早期購入特典になっている“魂縛の法衣”)のコスチュームと、光田康典氏&鋒山亘氏による新曲のダウンロードコード、本作の世界観を描いたイラストを収録したスペシャルブックを公開した。ここまでは、日本でもすでに公開されている通り。さらに、スペシャルブックに参加するイラストレーターとして、日本でも大人気の台湾の作家、VOFAN氏を初公開すると、会場からは驚きとともに喜びの歓声が漏れていた。鳥山氏は、「この本は、もともとは初回限定版の特典にしようかと思うほどのデキなのですが、前作を楽しんでくださったファンのためにも、予約特典にさせていただいた」と、ファンへの感謝を込めた予約特典になっていることを明かした。続いて、アジア版の『SOUL SACRIFICE DELTA(ソウル・サクリファイス デルタ)』の発売日について、日本と同日になることを発表。「皆さんの声を聞いて、すごくパワーアップしました。日本のプレイヤーといっしょに楽しめるので、ぜひ遊んでください」(鳥山氏)と、会場に集ったファンにメッセージを送る。
ステージの最後には、稲船氏が「前作は、台湾を始め、アジアの方々に好評で、日本といっしょにアジアの皆様に楽しんでもらいたくて、同時発売できるようにがんばりました。ぜひ応援をお願いします」と語り、盛大な拍手の中、ステージは幕を閉じた。
稲船氏の童話への見解も飛び出たメディアセッション
ステージイベントの終了後に行われた、台湾メディア向けのメディアセッションの模様もお届け。
――中国語版と日本語ユーザーがいっしょにプレイできるということですが、ダウンロードコンテンツ(DLC)なども共通でしょうか?
鳥山 共闘プレイはマルチがいっしょにできるようにしています。DLCはまだ検討中ですが、日本で出すものはこちらでも出させていただきます。
――前作からグレードアップを感じますが、“デルタ”というサブタイトルに込めた意味を教えてください。
稲船 今回3勢力という3つの組織が特徴になっていて、グリムが加わって三つ巴になるので、その意味も含めてデルタにしました。
鳥山 3つの勢力というのがストーリーにも関わりますので、ゲームをプレイすれば、なぜ“デルタ”とついているのかわかると思います。
――前作のストーリーでは、ヨーロッパの神話などをモチーフにしていましたが、なぜ今回は童話を選んだのでしょうか?
稲船 神話もそうですが、もともと、みんなが知っている、聞いたことがあるというものをモチーフにしたほうがおもしろいと思ったんですね。それで、世界共通でみんなが知っているもので、本作とかけ離れているもののほうが、驚きもあり、おもしろいと考え、日本も台湾も世界中の人が知っている童話をモチーフにしました。
――稲船さんにとって童話、神話のなかでいちばん印象にあるものは?
稲船 日本の童話が子どものころから聞かされていたので、印象に残っていますね。“浦島太郎”とか。台湾の方でもわかるかな(笑)。(知っているという回答を受け)“浦島太郎”って、すごいSFな感じがするじゃないですか。竜宮城に行って戻ったら、自分の知っている世界ではなくなっている。知っている世界ではないことに絶望して玉手箱を開けると、何年も歳月の経った中で死んでいくという。すごいSFチックで現代ドラマにして作れそうなお話で、“かぐや姫”もSFっぽいですよね。童話は、いま考えるとすごく深く考えて作られていて、本当にSFのようで、ゲーム作りにおいても参考になるなと思っています。
――今回、オンラインのマルチプレイにはオンラインチケットチケットが必要でしょうか?
鳥山 はい。前作と同じく、パスは必要です。
――前作から『デルタ』まで1年しか経っていませんが、今後どういったペースで新作などを出す予定ですか?
鳥山 非常に答えづらい質問ですが……(苦笑)。ファンの方に「続編が欲しい」といっぱい声を出していただければ、会社の上のほうに掛け合いますので! 僕らはシリーズ化したいと思っていますので、ぜひ応援していただければと思います。
稲船 本当にストレートに言うと、たくさん売れれば、このようなペースで出せるんじゃないかなと思います。ですので、台湾の方もアジアの方も協力してほしいですね。
――本作は、プレイステーション Vitaですが、稲船さんはプレイステーション4で新作を作りたいと思いますか?
稲船 プレイステーション4は魅力的なハードですので、やりたいと思っています。ただ、もし作っていても“作っている”とは言えないのですが(苦笑)。思い切って、お金のことを考えずに、湯水のように使って作りたい、そういうハードですね。台湾に、スポンサーになってくれるお金持ちはいませんか?(笑)
――本シリーズは、ユーザーの声を聞きながら作っていると思いますが、12月に日本で体験版を出して、ユーザーのフィードバックで何か新しいものはありますか?
鳥山 東京ゲームショウ2013の試遊台でユーザーさんの声をいただいて、それをもとにイチから体験版を作り直しました。ですから、東京ゲームショウ2013で遊んでいただいた人が体験版を遊ぶと、バランスなどが変わっているのがわかると思います。本日お見せした体験版の内容も製品版では変わります。ユーザーの声を拾っていくというのは、今後もやっていきたいと思います。
稲船 今回は、大きな調整よりも、バランスを重視しています。遠距離攻撃と近距離攻撃、連携魔法などのバランスは、皆さんの声をもとに調整していて、前作をやり込んだ人からプロのごとく意見をいただいているので、前作よりバランスを取っていくように調整できていると思います。