いろいろな意味で操作感の異なるゲームに
ドーモ! ブンブンです。
『ワールドサッカー実況ウイニングイレブン4』あたりから本格的に『ウイニングイレブン』(以下、『ウイイレ』)シリーズをプレイしはじめ、一時期は狂ったようにやり込んでユーザー主催のリーグ戦イベントに参加もしたり。近年は昔ほどの頻度でプレイはしていないものの、俺たちサッカー好き男子にとって『ウイイレ』という共通言語というのは、とてもとても大切なもの。ちなみに、俺がプレイを始めた『ワールドサッカー実況ウイニングイレブン4』が出たのが1999年。今年で約14年もの月日が流れたわけで。……14年!? この事実に軽く驚愕したわけだけど、その話は置いておいて。シリーズの新作が出るたびに、「ドリブル楽しいなあ」とか、「あ、今回はクロスが有効なんだ」とか、「バーストドリブル強くね?」とか。その作品における魅力や有効なプレイなんかを模索し続けてきたわけです。昔はプレイしていたけど、いまでも最新の『ウイイレ』ってどんなもんかと知りたいサッカー好きって、かなり多いはずだよね。そんな皆さんのために、今回は俺が最新作の『ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014』(以下、『2014』)のインプレッションをお届けしたいと思う。
■グラフィック
映像面ではFOXエンジンの実装の成果か、選手の質感とスタジアムがよりリアルになり試合の臨場感が増した印象。とくにスタジアムの観客の出来が格段に上がっていて、スタジアムの雰囲気がすごくいい。『ウイイレ』にとって映像が最重要な項目ではないけれど、映像から伝わる試合の雰囲気なども楽しむうえでは必要な演出だと思う。
■重心を考慮したプレイ感
で、実際にプレイしてみた感じですが……いいんじゃないかと。最初は前作よりもプレイがもっさりとした感じがあり、慣れるまでに時間がかかったけれど、重心の概念を意識するようになってからは飛躍的に楽しくなった。いままででもダッシュしている状態で急な切り返しがしにくい、という要素はあったけど、『2014』は別物。たとえばドリブルにしても相手のディフェンスの逆を一瞬付くだけでもスルっと抜けられたりする。これまでだと、左にドリブルしてディフェンスを誘い込んで切り返し……という抜きかたをしていたけれど、フェイントで少しだけボールを動かし、そのアクションにディフェンスが釣られれば抜けるチャンスが生まれる。そこで重心の逆を突けるかどうか? この駆け引きが非常に楽しい。ここで重要になってくるのが『2014』で一新されたフェイントのシステム。正直、ここ最近の『ウイイレ』フェイントは既存のドリブルのシステムに後付けで追加されたという印象が強く、ディフェンスに対して仕掛けるといった意思をともなって使える代物とは言い難かったと思う。しかし、テクニックコントロールにまとめられた各種フェイントはプレイの流れのなかで自然と出しやすい。なかでも一瞬ボールを引くドローオープンや左右に揺さぶりを掛けやすいダブルタッチあたりは有効でおもしろい。もちろんディフェンスサイドにも駆け引きがあり、フェイントに対してブロックを試みずにディレイに専念するなど、いろいろな方法がある。小さな局面での1対1の勝負ではあるが、サッカーの魅力のひとつでもあるのはたしかだろう。こういった改善は実にうれしい限りだ。
駆け引きで言えば、球際でのコンタクトやショルダーチャージといったシステムもおもしろい。あくまでも俺の個人的な印象だけど、前作は選手のスピードが優遇されていた感覚があり、スピードのある選手のドリブルに対して守るのが難しかったり、フライスルーで簡単に抜け出して……といったプレイが強かった気がする。『2014』ではRボタンによるショルダーチャージが加わり、完全に追いつく前からドリブル中の選手のバランスを崩して潰すという選択が選べるようになった。ドリブル中の選手もRボタンを入力することでコンタクトブロックを行えるため、ここでも新しい駆け引きが生まれるのだ。こういった要素からも、今回はスピードだけではなく選手のフィジカル関連の能力も非常に重要なものとなりそうだ。……と、話はつきないが、新たな要素はまだまだあるので、とくに気になったものを以下にまとめてみた。
■アドバンスコントロール
これまでのシリーズではシュートをニアかファーに打ちわけることはできたが、上下のコースへの打ちわけは難しかった。シュートゲージでコントロールするくらいしかなかったからだ。『2014』ではファーサイドの上側へのシュートなども打てるようになったし、シュートゲージを多めに溜めた速くて低いシュートも打ちやすくなった。ゴールキーパーのポジションを確認できれば、これまでのパターン以外のシュートも狙えると思う。個人的にアドバンスシュートは非常にいいシステムだと感じた。スルーパスに関しては、まだやり込みが足らないせいが思ったように使いこなせない。コースやボールを落とす位置までピンポイントで指定できるのはいいが、パスを出すまでに若干時間がかかるのがネックとなってしまっている感じ。このあたりはプレイヤーの好みが分かれそうだなあ。
■11vs11
新実装された11vs11に関しては、まずできるようになったっていうこと自体がすごくありがたい。それだけで大きな一歩なんじゃないかなと。数試合やってみたところ、大人数でそれぞれのポジションの動きをしたうえで、チャンスを作ったり攻撃を防いだりっていうのは非常に楽しい。とくに『2014』は1対1の駆け引きの要素が多いのでそれを活かす機会は多いからだ。残念な部分としては、全プレイヤーのIDが画面に表示されてしまうのでジャマという点。近くの選手のみにするとかの配慮がほしかったなあ……。また、現状ではエキシビジョンマッチなどでしかプレイできないので、自分たちでクラブを作るモードといった追加要素も期待したいところかな。
とりあえず駆け足ではあるけど、俺が『2014』で感じた点を述べてみた。完成度が高かったがために、大規模な変更を加えることのなかったこれまでシリーズだが、『2014』は根本的な部分を継承しつつもこれまでの『ウイイレ』とはいろいろな意味で操作感の異なるゲームに仕上がっている。この点は賛否両論あると思うが、俺個人としてはこういうチャレンジをどんどんしてほしい。これから先もサッカーファンである限り、『ウイイレ』というシリーズは俺たちのなかでずっと続いていくからだ。シリーズの既存の魅力だけではなく、プレイの幅が広がった分を意識して遊んでみると、さらに新しい魅力が見えてくる作品だと思う。
(筆者:ブンブン丸)
ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014
メーカー | KONAMI |
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対応機種 | PS3プレイステーション3 |
発売日 | 2013年11月14日 |
価格 | 7980円[税込] |
ジャンル | アクション |