イーノックの日だから20枚!
2013年11月9日、阿佐ヶ谷ロフトAにてイベント“エルシャダイの宴 11月9日はイーノックの日”が開催された。『El Shaddai (エル シャダイ) ASCENSION OF THE METATRON』(以下、『エルシャダイ』)は、2011年イグニッション・エンターテイメント・リミテッドより発売されたアクションゲーム。2013年に入ってから竹安佐和記氏の個人会社crimが本作の全権利を取得し、さらに8月12日にイベント<エルシャダイ権利取得記念イベント“問題ない権利”>が開催されるなど、再び活動が活発になってきたことはご存じの通り。そんな状況のなか開催された本イベントは、いうなれば『エルシャダイ』好きの、『エルシャダイ』好きによる、『エルシャダイ』好きのためのイベント。当日は、ニコニコ生放送の“エルシャダイ公式チャンネル”(⇒こちら)で放送されたので、ご覧になった方も多いかと思いますが、見ていない方のため&おさらいの意味も込めて、さっそくリポートしていこう。
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※“問題ない権利”を取得するために竹安氏は全財産をつぎ込んだ!? 『エルシャダイ』権利取得記念イベントリポート
「僕自身は知らなかったのですが、11月9日はイーノックの日と呼ばれていると、ファンに教えてもらって」と、竹安氏の軽快なトークでイベントの一部がスタート。気がつけばイベントを開催する運びになってしまい、11+9で20枚の『エルシャダイ』イラストが見られる日にしようと、テーマを決めたという。
「みんな頭のなかでは見えていたけれど、実際には見たことがない。ファンはそんな『エルシャダイ』のイラストが見たいんだろうな」と竹安氏は思い、今日のために20枚のイラストを書き起こしたという。というわけで、竹安氏のコメントと合わせて20枚の新規イラストをご覧いただきたい。
「イーノックの日ということで、とりあえず書いておかないと。イーノックも喜んでいるだろう」
「『エルシャダイ』に出てくるに出てくるミカエルは、いま僕がやっているブログのミカエルとはちょっと様相が違うと思う。サラッと書いてみたんだけれど、何の意図もなく、気がついたら目をつぶっていました」
「先のミカエルのイラストとはつながっていて、ふたりが会話しているようイメージですね。最初のトレーラーでは、こんな感じで「神は言っている……」と話していたんでしょうね」
「『エルシャダイ』で“背徳の塔”を作ったと言われているのがバラケル。実際設計しているときは、こんな博士風の衣装も着ていたのかも」
「ゲームに登場する前に死んでしまった設定のウォッチャーですね。このイラストもバラケルと対になっていて、会話しているイメージ。変わった感じのスーツが似合いそうかな、と」
「未来都市を担っているため、科学者として意欲旺盛ですね。イーノックのライバル的な立ち位置とスタッフに話していたら、彼らの頭のなかでは『機動戦士ガンダム』のシャアのようなイメージになっていたようで。ジジイをデザインしたら爆笑されました」
「タワーを作っている最中のイラストですね、まだフーラ、ウーラもちっちゃくて。じつは開発当初、エゼキエルは中華拳法を使う男という設定だったんですよ。でもキャラクターが並んだときに男ばかりだとバランスが悪いなあ、と思って女性になりました」
「彼の私服はアラビアンナイトのような、ターバンを巻いて空飛ぶ絨毯にでも乗っているかのようなイメージですね。意外といいやつです」
「ダンサーのイメージが強いので、そんな格好ですね。彼が叫ぶのは、僕がマイケル・ジャクソンを敬愛していることも理由のひとつ。開発中にさまざまなことがあってセリフがなくなったんだけれど、結果的にはキャラが立ってよかったのかも」
「背徳の塔にいる、堕天使の長ですね。彼は、地上界に好きな女の子ができて、彼女と会うために堕天したという、たまらなくロマンチックなやつです。その子が幼かったので、自分も同じような年頃に転生したいと願い、このような姿に。『エルシャダイ』では病弱な部分もあったので、ゆったりとした服を着ているのかな」
「『エルシャダイ』に登場する、ナンナという女の子が成長した姿ですね。この子が転生する前の姿を、セムヤザは好きになったんです。そしてセムヤザが堕天して、『エルシャダイ』の世界が動き出したんです」
「アークエンジェルの4人は、『エルシャダイ』では白鳥の姿やステンドグラスに描かれた状態でしか登場しなかったので、人間の姿は描いていなかったですね。天使は見えるのではなく感じるモノ、という考えがあったので、あまり実体は出したくなかったんです」
「彼はけっこうそのままかなあ。堕天する根源は怒りや憎悪で、それが一番似合うのがコイツですよね。聖書では堕天すると言われているので、僕も彼が堕天するエピソードを考えています」
「かなり怪しいキャラですね(笑)。彼がネクタイをシャーっと外してイーノックに渡し、それが回復アイテムになる、なんて構想もあったんですよ」
「本日紹介したイラストでカレンダーを作ったんですが、一番最後を飾るのがこれです。このイラストが飾られる時期には、たぶん残念じゃないカレンダーが出ているんじゃないかな」
残りの4枚はカラーイラスト! せっかくのカラーイラストということで、竹安佐和記氏からご提供いただいた画像データでお届けする。そのクオリティーにしびれる。
「以前ニコ生でファンからお題をいただいて描きました。これは、笑うイーノック、白鳥、アークエンジェルがテーマ。旅の途中で、こんなシーンもきっとあったことでしょうね」
「イーノック天界、片メガネ、書記官イーノック、というテーマです。イーノックの勤勉な姿と、天使の気まぐれ感ですね」
「テーマはダークイーノックにアルマロス。アルマロスファンは彼に似ているのか、アルマロスが好きというアピールがすごいんですよ! 彼のステージは難しすぎるとよく言われるんですが、そのステージの担当者、リーダー、プログラマー全員がとてもゲーム上手で。そんな状況のなか、がんばってあそこまで難度を下げたんです」
「これは、バイクイーノック、ヘルメットを脱いだイーノックですね。僕はロボットアニメが大好きで、メカデザイン自体も大好きだったんです。でもメカはパースを取るのが大変で、キャラクターデザインの10倍ほどの労力がかかる。費用対効果が悪いんですね。それであまり描かずにいたら、描きたくなくなってきたという。バイクイーノックのデザインは、出雲重機の大久保淳二さんに手伝ってもらったものです」
「イシュタール、めとせら、半裸イーノックがテーマですね。原作小説を読んでくれた人に、よく“イーノックとイシュタールが結ばれたときの絵を見たい”と言われたんです。個人的にはその後のルシフェルの堕天のほうが燃えるんですが。僕は子どもの頃『めぞん一刻』が大好きで、主人公がヒロインと結婚したあとの話が見たくて自分で描いたんですが、ファンはこういうのに萌えるのかなあ、と」
つぎつぎに映し出される書き下ろしイラストを見て、会場からは「キャーッ! 格好いいー!!」と黄色い歓声がわき起こっていた。ゲームに登場しなかったキャラクターのイラストも多く、濃い『エルシャダイ』ファンであるほど楽しめた内容に感じた。
ちなみに、当日公開されたイラストは、カレンダーや複製原画として、crimの公式サイトにて販売されている。気になる方は、ご確認してみてください(⇒crimのオンラインショップはこちら)
まさかの“シーエ”とのコラボも!?
第二部では、元イグニッション・エンターテイメント・リミテッド日本支店代表の竹下和広氏、ユニオンクリエイティブの鈴木氏、MARS16(マーズ・シックスティーン)の北山友之氏がゲストとして登場、4者による座談会が開催された。
それぞれの活動報告ということで、竹下氏は「最近すごく才能に惚れた人がいて……」と、Deino氏という3DCGのイラストレーターを紹介。ご存じの方も多いと思うが、Deino氏は“シーエ”というオリジナルキャラクターを生み出したクリエイターで、その“シーエ”と初音ミクがコラボした“骸音シーエ”(カルネ・シーエ)が大きな話題を呼んだ。現在ユニオンクリエイティブがこの“骸音シーエ”フィギュアを作成しているとのことで、本日サンプルを会場に持ってきてくれたのだ。
フィギュアが飾られると、会場からは『エルシャダイ』の話題に負けないばかりの歓声が。「で、現在ユニオンクリエイティブの社長さんに、『エルシャダイ』のフィギュアは皆が待っているので、ぜひともやっていただけないかとお話をしていて……」と竹下氏が衝撃発言、会場からはさらに大きな歓声が上がった。
フィギュアの購買層は男性がメインという固定概念があるため、鈴木氏はファンの熱気や反応をうかがうため、本日イベントに訪れたのだという。竹安氏は「『エルシャダイ』ファンは、『エルシャダイ』であることが重要なんですよ。過去のプレイステーションのゲームでも、女性がいちばん買ったのがたしか『エルシャダイ』なんです。ゲームのために本体を買ったという女性が多くて。ちなみに2位は『トロと休日』だったかな」と、ファンの熱気をアピール。『エルシャダイ』フィギュアは、発売が決定したわけではないが、これからのファンの熱気如何で商品化されるかもしれない、というわけだ。
MARS16(マーズ・シックスティーン)の北山氏は、当日から発売となったTシャツを告知。『エルシャダイ』をモチーフとした新しいTシャツふたつが、MARS16より発売されたのだ。ちなみにひとつは北山氏がデザインし、もうひとつは竹安氏がデザインしたとのこと。またMARS16では漫画『キン肉マン』とのコラボTシャツも作成しており、竹安氏が手がけた“アシュラマン”のTシャツも発売された。
竹安氏は「これまでに出た『キン肉マン』コラボTシャツを見て、絶対にこのラインアップのなかで浮くデザインにしようと思ったんです。なので、ちょっとご迷惑をおかけしたかも……」と語る。北山氏は「デザインチェックで先方に見ていただいたとき、最初は“ムッ!?”という反応だったんですが、基本的にはクリエイティブなモノなので、そのままがいいと。最終的に、修正無しで通りました」と、Tシャツの開発秘話を教えてくれた。ちなみに“アシュラマン”Tシャツは、『キン肉マン』オフィシャルショップでも販売されるとのことだ。
最後に、来場者へのプレゼント抽選会が行われ、興奮冷めやらぬままにイベントは幕を閉じた。竹安氏の活動はもちろん、フィギュア化構想の話なども飛び出し、ますます目が離せなくなる『エルシャダイ』。さまざまなグッズを楽しみつつ、新情報を心待ちにしていきたい。
(取材・文:ライター/喫茶板東)