ついに『SHORT PEACE』プロジェクトも佳境に
東京ゲームショウ2013のバンダイナムコゲームスブースで、『SHORT PEACE』プロジェクトのスペシャルステージが開催。プロジェクト第5弾として開発中の、プレイステーション3用ソフト『SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日』では、キャスト情報が初公開された。
『SHORT PEACE』プロジェクトとは、『AKIRA』でおなじみのクリエイター・大友克洋氏が2009年のアヌシー国際アニメーション映画祭に参加した際に、「俺らもこういう場に本格的にチャレンジしてもよいのでは」というひと言に、多くの著名クリエイターが賛同してスタートしたプロジェクト。2012年に、大友監督の『火要鎮(ヒノヨウジン)』、森田修平監督の『九十九』がアヌシー国際アニメーション映画祭・短編部門に選出され、2013年には、安藤裕章監督の『GAMBO』、カトキハジメ監督の『武器よさらば』が完成した。これら4作品のオムニバス形式として、大友監督の初期の漫画短編集『ショートピース』と同じ名称となり、7月20日から劇場公開された。
このプロジェクトの共通テーマは、スバリ“日本”。大友監督の『火要鎮(ヒノヨウジン)』の舞台は18世紀、江戸時代。以前から江戸時代を舞台にしたアニメを作りたかったが、長編では服のシワや刺青の表現などに掛けられる労力から難しいと思っていたが、10分程度の短編ならチャレンジできると感じたとのこと。『火要鎮(ヒノヨウジン)』は、かなり昔に大友監督が書いた同名マンガが題材になっているが、アニメで描いたのは、マンガが終わった後の大火のシーン。CGをふんだんに使いつつも、CGっぽく見せずに、いかに手描きと自然なマッチングにさせるかがテーマだったそうだ。よく見るとかなり細かい部分まで描かれているので、「今度発売されるブルーレイやDVDでじっくり見てほしい」と語った。
そして、プロジェクトは最終形態に
続いてステージに登場したのは、プロジェクトの第5弾として、バンダイナムコゲームスから2014年1月16日発売予定のプレイステーション3用ソフト『SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日』の制作を担当している、グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏とバンダイナムコゲームスの内山大輔チーフプロデューサー。
当初の企画として、現代・渋谷・駐車場……といったキーワードがあったそうで、「たまたま抜けていた(アニメ4本で描かれていなかった)“現代日本”を舞台に」(須田氏)することができた。また、ゲームとしては当初から、「『源平討魔伝』をリスペクトした横スクロールアクションのイメージ」(須田氏)があり、そこに須田氏をして「いい意味で変態」と言わしめる、開発を担当するクリスピーズ・片岡陽平氏が加わって、ゲームが開発された。
本作のジャンルは“ハイスピードエフェクトアクション”。エフェクトで敵を倒しながら、背後から迫る敵から逃げていくというもので、ステージでは、内山氏による実機デモが披露された。でも……。
公開されたばかりのムービーで、“ハイスピードエフェクトアクション”の一端は垣間見れたのではないかと思うが、ステージでは、新情報として本作のボイスキャストが公開された。
公開されたのは、鈴村健一さんと内田真礼さんのおふたり。なんと、このふたりで、本作に登場するすべてのキャラクターの声を演じるのだそうだ。つまり、公開されている“蘭子”、“萌子”、“希良々”の3人の女性キャラクターは、内田さんが演じ分けているわけだ。そのため、音声収録は長い期間かかり、またたいへんだったそうだが、おかげで満足のいく仕上がりのようだ。
映画・ゲームだけでは終わらない!
右のイラストは、最終形態を迎えた『SHORT PEACE』プロジェクトの新しいキービジュアル。監修した大友監督は「前のイラストもカッコよかったけど、今回のイラストはカラフルでいいよね」と語った。
実力派クリエイターが手掛けた4本の短編アニメーションによる『SHORT PEACE』に、須田氏と片岡氏という稀有な魅力を持つゲームクリエイターが作った『SHORT PEACE 月極蘭子のいちばん長い日』という、最後のピースが加わり、最終形態へと進化したこのプロジェクト。来年の発売を楽しみにしたいところだ。